【目的】たこつぼ型心筋症の臨床的特徴を明らかにするとともに,病因として指摘されている冠攣縮との関連性を検討した.
【方法】当院で経験したたこつほ型心筋症21例における,性・年齢,血中カテコールアミン濃度,心エコーでの駆出分画の変化,ならびに薬剤投与による転帰を後ろ向きに検討した.また,エルゴノビン冠動脈内注入による冠攣縮誘発試験を施行した.
【結果】平均年齢は69歳であり,21例中14例が女性であった.発症時の状況として,情動的・身体的ストレスが存在する症例があった.20例においてエルゴノビン冠動脈内注入による冠攣縮誘発試験を行ったが,冠攣縮は1例も誘発されなかった.11例中5例で血中カテコールアミン濃度の上昇を認めた.心エコーでの駆出分画は,退院時に有意な改善(p<0.05)を認めた.死亡例はなく,1例に再発を認めたが,薬剤投与による予後の差はなかった.
【総括】今回の検討では,たこつぼ型心筋症は,従来の報告どおり高齢女性に多く,2週間以内に心機能が改善し,基本的には予後良好な疾患であった.冠攣縮誘発試験は施行した全例で陰性で,たこつぼ型心筋症は冠攣縮を原因としないことが示唆された.
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