心臓
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35 巻, 6 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 薬物療法と新型人工ペースメーカーを含む
    速水 紀幸, 村川 裕二
    2003 年 35 巻 6 号 p. 373-377
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 山下 英治, 沼田 裕一, 坂本 憲治, 角田 隆輔, 角田 等, 緒方 康博
    2003 年 35 巻 6 号 p. 379-385
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】たこつぼ型心筋症の臨床的特徴を明らかにするとともに,病因として指摘されている冠攣縮との関連性を検討した.
    【方法】当院で経験したたこつほ型心筋症21例における,性・年齢,血中カテコールアミン濃度,心エコーでの駆出分画の変化,ならびに薬剤投与による転帰を後ろ向きに検討した.また,エルゴノビン冠動脈内注入による冠攣縮誘発試験を施行した.
    【結果】平均年齢は69歳であり,21例中14例が女性であった.発症時の状況として,情動的・身体的ストレスが存在する症例があった.20例においてエルゴノビン冠動脈内注入による冠攣縮誘発試験を行ったが,冠攣縮は1例も誘発されなかった.11例中5例で血中カテコールアミン濃度の上昇を認めた.心エコーでの駆出分画は,退院時に有意な改善(p<0.05)を認めた.死亡例はなく,1例に再発を認めたが,薬剤投与による予後の差はなかった.
    【総括】今回の検討では,たこつぼ型心筋症は,従来の報告どおり高齢女性に多く,2週間以内に心機能が改善し,基本的には予後良好な疾患であった.冠攣縮誘発試験は施行した全例で陰性で,たこつぼ型心筋症は冠攣縮を原因としないことが示唆された.
  • 栗栖 智, 佐藤 光
    2003 年 35 巻 6 号 p. 386-388
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 中島 雅人, 土屋 幸治, 井上 秀範, 内藤 祐次, 水谷 栄基, 原 重樹
    2003 年 35 巻 6 号 p. 389-394
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    閉塞性肥大型心筋症(HOCM)に対する治療法は,近年の薬物治療の進歩,ペーシングの有効性の報告,中隔心筋のカテーテルアブレーションの開発などにより,内科的治療を選択することが多い.しかし一方で,特に欧米を中心として外科治療の良好な長期遠隔成績が報告されている.外科治療としては,心筋切開,心筋切除,僧帽弁置換術(MVR)などがある.今回我々は,僧帽弁閉鎖不全(MR)を伴うHOCM症例に対して,中隔心筋切除のみを行い,術後圧較差の消失とMRの改善を認め,さらに術後5年以上を経て良好な経過を得た.中等度以上のMRを伴う症例や長期の内科治療に抵抗し,僧帽弁病変が進行した症例に対してはMVRが選択されることが多い.しかし,本症例のような器質的な僧帽弁病変がない症例では心筋切除術のみで,良好な遠隔成績が得られると考えられた.心筋切除術はHOCMの初期の段階の治療法の1つとして考慮されるべき有用な術式であることが示唆された.
  • 宮崎 晋介, 笹野 哲郎, 平尾 見三, 安達 進, 小林 靖, 角田 恒和, 伊藤 宏, 磯部 光章, 鈴木 紅
    2003 年 35 巻 6 号 p. 395-400
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,女性.既往症,家族歴に特記すべきことなし.2001年4月10日駅前で倒れているところを発見.救急隊到着時心室細動(Vf)であり,電気的除細動にて洞調律に回復し他院搬送された.頭部CT,MRI正常,胸部X線にて心拡大,心臓超音波にて非対称性中隔肥厚を認めたが,流出路圧較差は認めず非閉塞型肥大型心筋症と診断した.冠動脈造影は正常, 左室造影では心尖部から前壁のhypo-killesisを認めた.入院後経過順調であったが,4月18日就寝中非持続性心室頻拍を認め,4月20日右冠動脈のアセチルコリン負荷テスト陽性であり,精査加療目的にて4月23日当院転院となった.4月26日電気生理学的検査(EPS)を施行.右室流出路での頻回刺激にてVfが誘発され,同日植え込み型除細動器植え込み術を施行した.アミオダロン投与も開始,順調に経過し退院となった.冠攣縮に関しては,今回のVfとの因果関係は不明であり薬物療法にて経過観察とした.心肺停止より救命されEPSにてVf誘発が確認された肥大型心筋症の1例を報告する.
  • 濱田 希臣
    2003 年 35 巻 6 号 p. 401-403
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 北端 宏規, 友渕 佳明, 谷本 貴志, 尾鼻 正弘, 山口 智由, 大鹿 裕之, 篠崎 正博, 井畑 匡世, 羽野 卓三, 西尾 一郎
    2003 年 35 巻 6 号 p. 404-408
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は75歳男性.2000年3月12日腎後性急性腎不全の診断で当院泌尿器科に入院した.13日,突然徐脈から心肺停止となり蘇生後CCUに入室した.入室時,心拍数76/分と洞調律を示したが,再度徐脈となり硫酸アトロピンに反応しないため一時ペーシングを行った.14日には自然に洞調律の自己心拍となった. 入院前よりジギトキシン0 . 0 7 5 m g を服用中であり,過量投与を疑い血中濃度を測定したが,7.61ng/mlと有効血中濃度以下であった.しかし,ジゴキシン血中濃度は2.49ng/mlと中毒域を示した.また,以前から高血圧に対してメトプロロール40mg,ジルチアゼム徐放剤200mgを服用中であった.ジギトキシンの約8%は体内でジゴキシンに変換され代謝される.急性腎不全に伴い,このジゴキシンの排泄が遅れ,ジギトキシン服用によりジゴキシン血中濃度が増加し,メトプロロール,ジルチアゼムとの相乗作用により心停止に至ったと考えられた.腎不全患者においてはジギトキシン投与にも注意を要する.
  • 久米 輝善, 赤阪 隆史, 渡邉 望, 加地 修一郎, 斎藤 靖浩, 根石 陽二, 種本 和雄, 吉田 清
    2003 年 35 巻 6 号 p. 409-413
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    44歳男性.大動脈弁閉鎖不全を伴う大動脈二尖弁症例.歯科治療を契機に大動脈弁の感染性心内膜炎を発症した.内科的治療にもかかわらず大動脈弁の破壊が進行し,経時的な経食道心エコー図により,ARの逆流ジェットの衝突する僧帽弁前尖部位に一致して,入院時に認められなかった僧帽弁瘤の形成が観察された.内科的治療では心不全コントロールが不可能となり,大動脈弁置換術を施行した.術中所見において,僧帽弁瘤は7×4mm大で中央部に穿孔を認め,また,僧帽弁弁下組織まで広範囲に炎症所見を認めたため,僧帽弁置換術も合わせて施行した.本症例ではARジェットにより感染性心内膜炎が僧帽弁に波及し,僧帽弁瘤を形成する過程が経食道心エコー図で経時的に観察されており,僧帽弁瘤の発生機序を裏付ける貴重な症例であると思われた.
  • 赤木 達, 渡邊 敦之, 藤岡 英樹, 佐藤 克政, 溝口 博喜, 難波 靖治, 矢野 朋文, 大家 政志, 岸本 卓巳
    2003 年 35 巻 6 号 p. 414-418
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男性.慢性C型肝炎にて外来通院中であった.2001年7月初旬より全身倦怠感,食欲不振が出現.定期外来受診時の腹部エコーで心嚢液が指摘され入院となった.経胸壁心エコーを施行したところ,心嚢液貯留および右房から右室にかけて約4×3cm大の腫瘤を認め,心嚢ドレナージを施行した.血性の心嚢液が採取され,細胞診にて悪性リンパ腫が疑われた.造影CTおよびMRIでも右房および右室壁の肥厚と一部腔内に突出する腫瘤があり,いずれも不均一に造影された.また,左頸部リンパ節,右鼠径部リンパ節も腫大しており,左頸部リンパ節の組織診でリンパ腫細胞がみられ,心悪性リンパ腫(diffuse larege B cell,stage IIIEA)と診断した.その後CHOPによる化学療法を施行,また,1コース終了時に脳浸潤が認められたため,2コース目よりメソトレキセートを併用した.6コース終了時にはいずれの腫瘤も消失した.
  • 金澤 英明, 木村 謙介, 高平 修二, 内田 淑子, 寺本 洋之, 佐藤 吉弘, 野間 重孝, 亀田 幸男
    2003 年 35 巻 6 号 p. 419-422
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    15歳まで無症状に経過し,学校検診を契機に発見された単純型大動脈縮窄症の1例を経験した.症例は15歳の高校生男児.学校検診で心電図上左室肥大を指摘され,精査目的で当院を紹介受診した.外来で高血圧を認め,心臓超音波検査で,左室肥大と中等度の大動脈弁閉鎖不全症を認めたため,精査目的で入院とした.上下肢間に収縮期血圧で約50mmHgの血圧差が存在し,大動脈縮窄症を疑い胸部3D-CTを施行した.左鎖骨下動脈分岐直後から約3.5cmにわたる大動脈の高度狭窄像と肋間動脈と内胸動脈の拡張所見を認めた.心臓カテーテル検査では,縮窄部で血流は狭小化し,上行大動脈と下行大動脈間で76mmHgの収縮期圧較差を認めた.動脈管開存や心室中隔欠損症などの合併奇形は認められず,単純型大動脈縮窄症と診断し,外科的再建術を施行した.
    本症は,未治療例での平均寿命は34歳であり,小児期を過ぎて再建術を施行した場合には,高血圧の残存頻度が高く,早期発見が望まれる.集団検診のあり方に警鐘を鳴らす症例として報告した.
  • 門間 和夫
    2003 年 35 巻 6 号 p. 423-425
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 栗原 敏, 福田 紀男, 田中 悦子, 草刈 洋一郎, 平野 周太
    2003 年 35 巻 6 号 p. 428-433
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋の収縮は内因性機構と外因性機構とによって調節されている.内因性機構は筋長変化による収縮調節機構で,心筋自体が有する収縮調節メカニズムである.外因性機構は細胞内外のイオン環境やホルモン,自律神経伝達物質などによる調節機構である.ここでは,筋長変化による収縮調節の細胞内メカニズムと,虚血時に細胞内に増加するADP,H+,リン酸によって収縮蛋白系のCa2+感受性が変化したときに,筋長変化の効果がどのように修飾されるのかを調べた.また,虚血時に変化する細胞内アデニン化合物とNa+濃度が筋小胞体からのCa2+放出に及ぼす影響を検討した.MgADP濃度低下によってCa2+感受性は上昇したが,筋の伸張によるCa2+感受性上昇は抑制された.pHの低下やリン酸濃度増加によって,Ca2+感受性は低下したが,筋の伸張によるCa2+感受性上昇は反対に亢進した.細胞内ATPは筋小胞体からのCa2+放出に対して促進的に働くが,10mMを超えると促進効果が減弱した.ADP,AMP,adenine,adenosineはATPの効果に拮抗的に作用した.細胞内Na+濃度はある濃度範囲内で濃度依存性にCa2+放出を促進した.虚血時には筋小胞体のCa+放出,種々の要因による収縮蛋白系のCa2+感受性だけでなく,筋長効果も影響を受けて収縮調節が行われている.
  • 山下 武志, 相良 耕一, 飯沼 宏之, 傅 隆泰
    2003 年 35 巻 6 号 p. 434-439
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心不全あるいは心肥大に伴って心電図異常や不整脈を来すことが,今日「電気的リモデリング」という統一した概念で説明されるようになりつつある.特に病態心で見られるイオンチャネルリモデリング,不整脈は「acquired channelopathy」という概念でとらえられ,近年進歩した分子生物学的手法と過去に長い歴史をもつ電気生理学的手法の統合によりその理解が深まったと言えよう.一方でこのような微細な視点は,この現象に数多くの分子が同時に関わっていることを明らかにし,その解釈を困難としている. このような困難は, 「個体」と「細胞」,「適応」と「破綻」という概念を用いて一元的に理解することにより克服可能であるが,その全容を理解するためには分子網羅的な研究とin siilico simulationの発展が必要である.
  • 外山 淳治, 笠貫 宏
    2003 年 35 巻 6 号 p. 440-447
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 分子構造に依存する開閉機構と遺伝性疾患との関わり
    小野 克重
    2003 年 35 巻 6 号 p. 449-458
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心臓や神経等の興奮性組織ではNa+電流は刺激伝導の中心的役割を演じる.電位依存性Na+チャネルαサブユニットは約2000個余りのアミノ酸からなる巨大蛋白であり,チャネルの主要機構を担っている.膜電位依存性K+チャネルのαサブユニットと基本的に相同の4つの繰り返し構造からなるドメインによって構成されており,各ドメインのS4が電位センサー部位と考えられている.I群抗不整脈薬は,ドメインIVのS6,ドメインIのS6,ドメインIII-IVのリンカー部分の3箇所に結合してNa+の通過を遮断する.遺伝性家族性QT延長症候群のうち,N+チャネルαサブユニット遺伝子(SCN5A)が原因遺伝子であるもの(LTQ3)が存在する.LQT3の変異体は,ドメインIII-IVリンカー,ドメインIVのS6部のカルボキシ末端側付近,ドメインIIIとドメインIVのS4-S5リンカー付近に集中している.これらの部位は全てNa+チャネルの速い不活性化gatingを規定する分子構造の中心である.一方,安静時の12誘導心電図の右脚ブロック型を呈し右胸部誘導でST上昇を示しBurugada症候群の中で心筋Na+チャネルのαサブユニット遺伝子(SCN5A)の変異が報告された.Brugada症候群のNa+チャネルにおける変異部位はαサブユニット上の多岐にわたり,同一機構で異常Na+電流がBrugada症候群を呈しているわけではないことを示している.
  • 堀江 稔
    2003 年 35 巻 6 号 p. 459-464
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ブルガダ(Burugada)症候群は,1992年,Brugada兄弟により報告された8例の右側前胸部誘導(V1-V3)の特異的なST上昇と右脚ブロックを示す特発性心室細動の臨床像から,広く知られるようになった.その後の多くの臨床研究から,発症は男性が多いこと,約20%に失神や突然死などの家族歴を有すること,NaチャネルブロッカーによりST上昇のパターンや程度が変化すること,対症療法ではあるが植え込み型除細動器が奏功すること(逆に言うと多くの薬物療法が悲観的である)などが,明らかとされてきた.さて,1998年になって,Naチャネルのαサブユニットをコードする遺伝子(SCN5A)の塩基レベルの変化(変異)がブルガダ患者に発見され,その変異チャネル蛋白の機能解析から,本症候群が,いわゆるイオンチャネル病である可能性を報告された.このNature誌での発表のあと,多くの施設で,本症疾患のSCN5A遺伝子検索が精力的に行われ,現在,20個以上の変異が発見されている.しかしながら,この検出率はPrioriらの報告でも,20%にみたない.本研究会では,まず本症候群の臨床像を紹介し,その一部に認めるSCN5A変異における機能解析との関連を検討する.
  • 鎌倉 史郎, 相原 直彦, 栗田 隆志, 清水 渉, 須山 和弘, 田口 敦史, 里見 和浩
    2003 年 35 巻 6 号 p. 465-472
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Brugada症候群は心電図上右脚ブロック様波形と右側胸部誘導(V1~V3)でのS T 上昇を呈し, 主として夜間に心室細動にて突然死する疾患である.日本の調査から,本症候群の有病率は0.15%前後で,罹患率は0.014%,無症候群の心事故の発生率は年間200人に1人と推定されている.本症候群では心筋のNaチャネルをコードするSCN5A遺伝子の変異が指摘されており,右室流出路でIto等の外向き電流が相対的に増加してST上昇や心室細動が生じると考えられている.ST上昇にはcoved型とsaddleback型があるが,saddle back型だけが認められ,Naチャネル遮断薬を投与してもSTが0.2mV以上上昇しない場合はBrugada症候群とはしないとの意見が一般的である.
    有症候群は予後が不良であるため,植込み型除細動器(ICD)の適応とされているが,無症候群のICD適応に関しては未だ明確な結論が出ていない.
  • 平岡 昌和, 大江 透
    2003 年 35 巻 6 号 p. 473-480
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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