心臓
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35 巻, Supplement3 号
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  • 直通PHSで除細動までの無駄な時間を半減させることができた
    近藤 誠, 岩田 一城, 外山 淳治, 〓原 史郎, 渡辺 康介, 岡田 太郎, 武藤 真広, 山田 功, 谷 智満, 山上 祥司, 村上 ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 3
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    特発性非外傷性心停止をきたす成人傷病者は心室細動であることが多く,除細動までに要する時間が救命において最大の決定要因である.平成14年1月から一宮市消防署管内では,半自動除細動器の判定をもとに救急救命士が医師とPHSを用いて直接連絡を取り,除細動を含む特定行為の許可を受ける体制を開始した.一宮市消防署管内で生じた非外傷性心肺停止症例で,従来の方法で医療機関へ搬送した121例(A群)と上記体制を開始した後の85例(B群)計206例において,転帰,目撃者の有無,第1発見者による心肺蘇生の有無,特定行為実施までの時間,特定行為の内容,症例の状況と経過を検討した.
    B群において1カ月後に生存,退院していた症例が存在した.その症例では目撃者が存在し,心肺蘇生を施行しており,除細動も迅速に施行されていた.第1発見者が心肺蘇生を実施していた割合はA群B群とも25%で有意差を認めなかった.上記体制を開始したことにより,現場到着から特定行為実施までの時間はA群(13分6秒)に対し,B群(7分21秒)では有意に短縮していた(p<0.001).また除細動実施についてはA群(3.3%)に対しB群(15%)で有意に増加していた(p<0.001).
    心室細動による心肺停止患者の救命率向上のためには,より早期の除細動施行とバイスタンダーによる心肺蘇生実施率の向上が必要であると考えられた.
  • 阿部 芳久, 門脇 謙, 宗久 雅人, 庄司 亮, 熊谷 肇, 佐藤 匡也, 寺田 俊夫
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 4-8
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    17年9カ月間に新規ペースメーカー植え込み術を行った798例を対象に,平均7.4年間の追跡期間中に死亡した症例の原因を調査し,突然死例の割合や基礎疾患などについて検討した.
    症例の内訳は洞不全症候群が346例,房室ブロックが238例,徐脈性心房細動(ブロックを伴う心房細動はこの群に分類)が104例で,男性387例,女性411例,植え込み時年齢は平均70歳であった.214例の死亡例のうち突然死例は24例(死亡例の11.2%,全症例の3.0%)で,死亡時の年齢は平均73.5歳であった.突然死以外の死因は,脳梗塞が53例,癌死が36例,心不全が26例,老衰が22例,呼吸疾患が14例,不明が10例,腎不全が9例,消化器疾患が8例,心筋梗塞が6例,その他が6例であった.疾患別の死亡例に対する突然死例の割合は,洞不全症候群で7.8%,房室ブロックで16.4%,徐脈性心房細動で10.3%であった.突然死例の基礎疾患は,高血圧性心疾患が13例,拡張型心筋症が5例,陳旧性心筋梗塞が3例,虚血性心疾患,大動脈弁置換術後と基礎疾患なしがそれぞれ1例ずつであった.また7例に心室性頻拍症が合併していた.剖検例は5例で,いずれも不整脈死の可能性が高いとさた.死亡前6カ月以内のペースメーカー・クリニックで問題のある症例はなかった.心房細動合併の有無および生理的ペーシングモードか否かと突然死との間には関連を認めなかった.心室性頻拍合併例の突然死はアミオダロンや埋え込み型除細動器の導入前であることから,突然死例の中にはこれらの使用により防ぎ得た症例が含まれると考えられる.
  • 北川 喜己, 大宮 孝, 岩田 充永, 高橋 伸二, 佐々木 弘和, 伊藤 亜抄子, 佐竹 立成, 加藤 林也
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 9-12
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    前回の当研究会で我々は当院の心臓性突然死症例を検討し,組織学的には急性心筋梗塞とは明らかに異なり心筋の好酸性変化が左右両心室にびまん性にみられる一群の疾患が最も多いことを報告した.今回はこの心筋の組織学的所見が,心臓性突然死の心筋に特異的であるか否かを検討した.心臓性突然死を除く剖検症例84例を対象とし,死因が心臓疾患や各種のショックではなく組織学的にもショック肝を示していない62例をI群とし,一方死因が心臓疾患ではなく肝臓に組織学的にショック肝を認めるか,臨床的に明らかなショックを伴って死亡した22例をII群とし,切り出された心臓の標本における心筋好酸性変化所見の有無を調査した.その結果I群では3例(5%),II群では3例(14%)に心臓性突然死例に見られる心筋の好酸性変化の所見が認められた.この結果から心筋の好酸性変化の所見は心臓性突然死にかなり特異的といえ,広範囲の心筋繊維に対する高度の低酸素が発生機序の一因になる可能性を示唆した.また心臓性突然死以外の症例でも心筋の好酸性変化所見が認められたことは,この所見の発生機序には冠状動脈の血栓性閉塞以外の原因の関与が示唆された.
  • 多施設共同研究
    森本 紳一郎, 渡辺 一郎, 奥村 恭男, 小幡 篤, 宮沼 弘明, 植村 晃久, 久保 奈津子, 大槻 真嗣, 加藤 茂, 加藤 靖周, ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 13
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】Brugada症候群の心筋に関する組織学的な検討は十分に行われていない.今回心筋生検材料を用いて検討し,若干の知見をえたので報告する.
    【方法】対象はBrugada症候群21例(男性19,女性2例,平均年齢46.8歳)である.内17例で心室細動が確認されている.右室より得られた生検材料を,型のごとく包埋し,組織標本を作製し,光顕下で半定量的に検討した.この対照として12例の正常剖検心を用いた.
    【結果】心筋炎後と考えられる1例(5%),肥大型心筋症の組織学的な特徴である心筋細胞の高度の錯綜配列を有する2例(10%),著しい脂肪織と間質の線維化がみられる5例(24%),壁在血栓が高度な1例(5%),心筋細胞の肥大が全く認められない13例(62%)など症例によって所見は様々であった.
    【考察】従来の報告は心筋病変は軽度であるというのが大半であり,今回の結果とは異なる.
    【結語】本症は症候群であって,病因は様々であることが組織学的にも裏づけられた.
  • 三田村 秀雄
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 14
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    致死性不整脈によって心停止を起こした患者は,心停止後数分以内の電気的除細動によってのみ蘇生できる.現場近くにいる人が即座に除細動器を使って除細動を行えばそれが可能となるが,現状では一部の有資格者しか,この器械の使用が許されていない.近年,操作が簡単で,専門知識を必要とせず,しかも安全に使用できる自動体外式除細動器(AED)が開発され,とくに欧米では様々な職種の非医師の人達によって積極的に使用され,驚異的な救命成果をあげている.日本循環器学会は,日本においても,AED使用に関する規制を緩和し,非医師による緊急時の除細動行為を促すことが,日本国民の院外心停止からの救命率改善に必須と考え,厚生労働大臣に提言を提出し,国がこれら提言に対して真剣かつ早急に取り組むことを要望した.
  • 水牧 功一, 藤木 明, 阪部 優夫, 西田 邦洋, 菅生 昌高, 常田 孝幸, 長沢 秀彦, 井上 博
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 15-22
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】Brugada症候群の報告例はほとんどが70歳未満であることから,70歳以上のBrugada型心電図症例の検討は無症候性Brugada型心電図症例の自然歴を考える上で意義がある.そこで70歳以上の高齢者Brugada型心電図症例の特徴について検討した.【方法】Brugada型心電図を示す70歳以上の無症候例(AB群)男性5例を,70歳未満のAB群8例,有症候(B群)6例と比較検討した.無投薬下でR波同期加算平均心電図を記録しfiltered QRSduration(fQRS)≧130msecかQRS終末40msecの平均RMS電位(RMS40)<15μVをLP陽性とした.またIc群薬による心電図V1,V2誘導のST変化を検討した.【結果】Control ECGでのV2誘導のSTレベルおよびpilsicainide負荷による上昇度は,70歳以上のAB群,70歳未満のAB群,B群の3群間で有意な差はなかった.LP陽性は70歳以上のAB群の4/5例に認められ,70歳未満のAB群(6/8例),B群(6/6例)と同様に高率であり,またfQRS,RMS40は各群間で有意差はなかった.70歳以上のAB群のうち0.4mVのST上昇を認めた例でplidicainide静注後右室流出路より2連期外刺激を施行したがVFは誘発されなかった.【総括】70歳以上の高齢者Brugada型心電図症例は,70歳未満の例や有症候Brugada症候群と同様,LP陽性例が多くIc群薬負荷で有意なST上昇を認めたが,VFの既往やVFの誘発はなかった.本研究は無症候性Brugada型心電図例の予後を予測する上で,LPやIc群負荷試験には限界がある可能性を示唆していると考えられた.
  • 高木 明彦, 中沢 潔, 岸 良示, 長田 圭三, 原田 智雄, 桜井 庸晴, 三宅 良彦, 松本 直樹, 小林 真一
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 23-27
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    突然死の原因として,心房不整脈が疑われた家系を1995年に報告した.母に上室期外収縮が多発し,長男は31歳で就寝中に突然死した.長女に失神と心房粗動(AFL)を認め,AFLに対してカテーテル・アブレーション(CA)を行った.次女は13歳から失神,洞不全症候群,AFLを認め,CAによる房室ブロック作成術とペースメーカ植込み術を行った.父の情報はない.家族性発症が疑われ経過を追っていたが,長女(現在42歳)に再び失神を認めた.心臓電気生理検査では非持続性のAFLと心房細動が誘発されたのみであったが,pilsicainide負荷でBrugada症候群を疑う心電図波形を認めた.
    近年,Brugada症候群における心房不整脈の合併が注目されている.心房不整脈の家族性発症,突然死の家族歴,そして長女の検査結果からBrugada症候群の家系が疑われた.
  • 安田 正之, 中里 祐二, 佐々木 玲聡, 山下 晴世, 河野 安伸, 飯田 洋司, 中里 馨, 戸叶 隆司, 代田 浩之, 峰田 自章, ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 28-31
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は14歳,男児.6歳頃より運動中・直後に失神発作を繰り返し,脳波およびECG異常から癲癇発作もしくは心室性不整脈が疑われ,インデラルおよび抗癲癇薬が処方された.9歳時に兄が突然死したが,そのECG所見が本例に類似していたため,精査目的で当院小児科に入院した.運動負荷心電図,心エコー,心筋RI検査,心臓カテーテル検査等では異常を認めなかった.13歳時,発作再発のため当科に入院,加算平均心電図ではlate potential陽性で,電気生理学的検査では洞機能および房室伝導は保たれ,頻脈性不整脈は誘発されなかった.何らかの基礎心疾患に伴う致死性不整脈を否定し得ず,ICDを植込み,β遮断薬を併用した.14歳時,TVゲームで遊戯直後,失神発作を起こし,死亡した.ICDの記録では,心室性期外収縮を契機に心室細動へ移行,計6回の除細動(30J)は無効であった.
  • 深堀 耕平, 篠崎 毅, 遠藤 秀晃, 佐藤 公雄, 多田 博子, 広瀬 尚徳, 高橋 孝典, 大友 淳, 熊谷 浩司, 菅井 義尚, 杉江 ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 32-36
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    59歳男性.患者の父および,父方伯母に突然死の家族歴がある.早朝,庭で外出準備中に意識消失発作を起こした.看護師である妻と隣人により直ちに一次救命措置(BLS)が開始された.救急隊到着時に心室細動(VF)を認めたため,近隣病院の医師による電話指示の下に救急隊員が半自動式除細動器による直流通電を行い,3回目の通電で除細動に成功した.この時点で,BLS開始から約30分経過していた.近隣救急病院搬送直後の心電図では左室肥大所見を,心臓超音波検査においては求心性心肥大を認めた.精密検査目的に当院に紹介された後の体表面心電図ではQTc400であった.冠動脈造影検査において有意狭窄はなく,acetylcholine負荷によるspasmの誘発も認めなかった.しかし,右冠動脈へのacetylcholine注入直後より,一過性QTcの延長を認めた.Epinephrine負荷,pilsicainide負荷試験に異常を認めなかった.以上より,特発性心室細動と診断した.本症例はICDを植え込んだ後に完全社会復帰を果たした.しかし,β-blocker投与にも関わらず退院後も繰り返すVFとICDの適切作動を確認している.
  • Brugada症候群との電気生理学的比較検討
    江里 正弘, 清水 昭彦, 山縣 俊彦, 上山 剛, 大村 昌人, 角川 浩之, 土居 正浩, 亀谷 良介, 金本 将司, 井上 宣子, 藤 ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 37-44
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    当院で経験した特発性心室細動(idiopathic ventricular fibrillation with non-specific ST changein precordial leads)の4症例(39±20歳)について報告する.4症例における共通点は,(1)男性である,(2)心肺蘇生の既往がある,(3)突然死の家族歴を有さない,(4)明らかな器質的心疾患が見いだせない,(5)心電図上右側胸部誘導における特異的ST-T変化(V1またはV2におけるcovedもしくはsaddleback型ST上昇を認め,その程度がJ点において0.2mV以上)を有さない,(6)Na+遮断作用を有する抗不整脈薬による静注および1肋間挙げた心電図記録にて右側胸部誘導におけるST上昇が顕性化しない,(7)加算平均心電図が陰性,(8)電気生理検査にて持続性心室頻拍・心室細動が誘発されない,(9)心室内伝導遅延の程度がBrugada症候群に比し有意に延長しない,というものであった.全例に対し除細動器植え込みを行った.
  • 森田 宏, 原岡 佳代, 大田 恵子, 中村 陽一, 森田 志保, 中村 一文, 江森 哲郎, 松原 広己, 中谷 陽子, 林 一彦, 赤木 ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 45-49
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は精神発育遅滞のある男性で,15歳時より運動中,興奮などにより意識消失発作を繰り返していた.17歳時にHolter心電図で心室頻拍を認め,当科入院となった.心電図で軽度のQT間隔延長,Holter心電図で興奮時に二方向性心室頻拍を認めた.画像診断上,明らかな異常所見はみられなかった.カテコラミン感受性多形性心室頻拍(CPVT)と診断し,β遮断薬,Ca拮抗剤で加療を行い,精神的な問題もあり植込み型除細動器は適応としなかった.時に興奮時に一過性の意識消失発作を来すことがあったが, 頻度が少なくβ 遮断薬増量等で経過観察していた.25歳時に球技中に興奮し,突然死した.剖検では著明な右室拡大と右室心尖部自由壁の脂肪浸潤を認め,不整脈源性右室心筋症(ARVC)の可能性が考えられた.リアノジン受容体の異常がARVCとCPVTをきたすことが報告されており,この症例でもこの二疾患の関連が示唆された.
  • 麻生 明見, 中村 俊博, 金谷 誠司, 迫 重樹, 松本 高宏, 大園慶 三郎, 酒井 喜久雄, 加藤 誠也
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 50-55
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大型心筋症(以下HCMと略す)の中に,死亡率が年間4~6%と高率である突然死の高リスク群が存在する.特に,過去に心停止や失神の既往のある患者,突然死の家族歴のある家族性HCM,心室性不整脈のある患者等は突然死の高リスク群と考えられる.
    症例は33歳男性.15歳時に心電図異常と心エコ一所見からHCMと診断された.労作時の息切れを主訴に精査加療目的で入院となった.父親もHCMで61歳時に突然死しており,父方の親族3人にも突然死例がいる.今までに失神の既往はなく,心室頻拍等の不整脈を指摘されたこともない.突然死の高リスク群と考え,電気生理学的検査による心室頻拍/心室細動誘発を試みた.右心室心尖部からの二連続期外刺激にて心室頻拍が誘発され心室細動に移行し失神を来した.直ちに直流除細動を行い洞調律に復した.通常の植込み型除細動器(以下ICDと略す)の適応基準には合致しないが手術を勧めた.しかし,同意は得られず現在保存的治療で経過観察を行っている.本例は突然死の高リスク群と考えられる若年性HCMであり,高リスク群におけるICD適応についての文献的考察も加えて報告する.
  • 門田 欣也, 小池 城司, 平川 洋次, 竹下 彰, 樗木 晶子
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 56-61
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.昭和61年,肺サルコイドーシスを発症.平成元年,心電図異常と心エコーで心室中隔基部の菲薄化を認め,心サルコイドーシスの合併も診断された.以後,プレドニゾロンの内服が継続されたが,平成4年,完全房室ブロックとなり永久ペースメーカー植込み術を施行された.その後,徐々に心機能低下が進行し,平成10年よりうっ血性心不全に対し,ACE阻害薬内服を開始.平成11年9月,発作性心房細動を発症し,少量のβ遮断薬とアプリンジン内服を開始された.平成14年8月2日夕食後,突然呼吸困難感,眼前暗黒感を自覚したため近医受診.心電図上150/分の心室頻拍(VT)と考えるwide QRS tachycardiaを認めたため,当科緊急入院となった.入院後,リドカインを投与したが,痙攣と意識障害が出現したため中止し,電気的除細動にて心室ペーシングに復帰した.8月3日午前8時,再度VTとなりニフェカラントの静注を行ったが効果なく,除細動にて心室ペーシングに復帰した.8月6日よりアミオダロンの内服を開始し,並行して植込み型除細動器の手術準備も進めていたが,8月9日午後9時,再度VTになり除細動も無効で心室細動から心停止となり死亡に至った.
  • 原田 敬, 大江 春人
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 62-66
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスは原因不明の多発性肉芽腫性疾患で,多くは肺病変で発見され,最近の剖検報告では25%に心病変を認める.この一部は,伝導障害,心収縮障害,突然死等の病像を呈し,予後不良と考えられる.我々は,拡張型心筋症として観察中,心肺停止となり,蘇生に成功した心サルコイドーシスの1例を経験した.
    症例は53歳男性.5年前に心不全にて近医精査入院,拡張型心筋症と診断された.平成14年4月,ゴルフの練習中に突然意識消失,心肺停止状態となった.救急隊到着時心室細動で,直流通電にて心拍再開し当院へ搬送された.血圧154/92mmHg,脈拍125bpm整,意識レベル:GCS 5点.緊急心臓カテ一テル検査:冠動脈異常なし,左心駆出率25%.心.心エコー:左室拡大,びまん性壁運動低下,左室壁中隔基部に限局性の菲薄化.
    経過:意識レベル低下が遷延し低体温治療施行,後遺症なく回復.前斜角筋リンパ節生検にて類上皮肉芽腫を認め,臨床的に心サルコイドーシスと診断.一般に心エコー所見は,心室中隔基部の菲薄化と壁運動異常等が特徴的であるが,進行すると拡張型心筋症様となり鑑別困難となる.本症例は,アミオダロン投与でもhigh risk VPC が持続していた. ステロイド治療後に心室頻拍が難治化した報告もあり,ICD治療を先行させた.その後ステロイド治療にて左心駆出率40~45%まで回復,職場復帰可能となった.
  • 永原 大五, 鵜野 起久也, 西原 昌宏, 藤井 徳幸, 高橋 亨, 久馬 理史, 土橋 和文, 島本 和明
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 67-74
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【背景】右脚ブロック型の脚枝間リエントリー性心室頻拍(BBRT)は比較的稀な心室頻拍(VT)であるが,今回我々は心肺蘇生下に搬入された患者に対し経皮的心肺補助法(PCPS)にてVTをコントロールし,慢性期に右脚ブロック型のBBRTに対し左脚後枝のカテーテルアブレーション(ABL)を行い治療し得た1例を経験したので報告する.【症例】15歳,中学女子.平成12年,心房頻拍(AT)に対しABLを試みたがATは消失せず,以後内服治療中であった.平成14年2月,学校の清掃中に意識消失し心肺停止で当院搬入された.搬入時,薬剤抵抗性VTが頻回に認められ電気的除細動を必要とし,PCPSを挿入しコントロールした.同年5月,心臓電気生理学的検査(EPS)を施行.Pilsicanide 50 mg静注によりclinical VTと同様のVTが自然誘発された.VTはQRSの立ち上がりより170msec先行してHis束電位が1:1で記録されBBRTと考えられた.QRS波形は右脚ブロック型,上方軸を呈し,洞調律で左脚前枝ブロックを呈することより左脚後枝を順行伝導すると考えた.左室mappingにより左脚後枝遠位部にQRS波に86msec先行する拡張期電位が記録され,同部位での通電にて6.6秒後にVTは停止した.【結論】急性心不全存在下にコントロール不良であったVTに対しPCPSの使用が極めて有効であった.右脚ブロック型のBBRTに対し左脚後枝遠位部にABLを施行し,以後再発を認めていない.
  • 福田 有希子, 高月 誠司, 三田村 秀雄, 谷本 耕司郎, 大橋 成孝, 家田 真樹, 栗田 康生, 三好 俊一郎, 小川 聡
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 75-79
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    数年の経過で進行した心室頻拍症例を経験したので報告する.症例は64歳の男性.1994年検診で心室性期外収縮を指摘され,運動負荷検査後に非持続性心室頻拍を認め入院.心臓超音波検査,冠動脈造影,左室造影は正常,器質的心疾患は否定的と考えられ,mexiletineが開始された.1997年,心拍数240/分の持続性心室頻拍が出現.電気生理検査では,左脚ブロック下方軸型,心拍数240/分の持続性心室頻拍が誘発された.右室流出路付近に起源を有すると考え,カテーテルアブレーションを施行するも不成功に終わり,flecainideを開始した.その後心室頻拍は出現せず2001年2月にflecainideは漸減中止した.2002年9月右脚ブロック型240/分の心室頻拍が出現,リドカイン静注により停止した.心臓超音波検査では左室拡大,前壁中隔と後壁の壁運動低下を認めた.電気生理検査では心室3連期外刺激で,左室前中隔基部付近を起源とする心室頻拍を含め,計6種類の心室頻拍が誘発された.植込み型除細動器を導入し,amiodaroneの内服を開始した.壁運動異常を合併しない単形性心室頻拍が数年の経過をへて,壁運動異常と数種類の心室頻拍に進行した症例を経験した.たとえ器質的心疾患を有さないと考えられる単形性心室頻拍であっても,注意深い経過観察が必要であると考えた.
  • 高谷 典秀, 住吉 正孝, 峰田 自章, 田村 浩, 小島 貴彦, 佐々木 玲聡, 太田 洋, 小島 諭, 諏訪 哲, 佐藤 真琴, 森 健 ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 80-83
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は56歳女性.平成13年6月頃から,特に食事によって誘発される舌根部から右耳への放散痛が出現し,近医で舌咽神経痛と診断,カルバマゼピンを投与されていた.平成14年3月頃から症状が頻発,7月7日の疼痛時に,数秒間の意識喪失と痙攣を認めたため当院へ搬送された.来院後も疼痛発作が頻発し,その度に徐脈,心停止を認め,心停止は最長で約26秒にも及び痙攣を伴った.カルバマゼピン投与にて発作がやや抑制されたが,その後も心停止を繰り返しており,7月18日神経痛除去を目的に神経血管減圧術を施行.舌咽神経と迷走神経の間を未発達な後下小脳動脈が走行しており,同血管を両神経から剥離しテフロンフェルトとスポンジで固定し神経への圧迫を解除した.術後は神経痛の消失とともに,徐脈および心停止も認めず,後日施行した電気生理学的検査およびHead-up tilt testでも異常は認めなかった.
  • 高木 康博, 渡辺 一郎, 奥村 恭男, 山田 健史, 小船 達也, 大久保 公恵, 橋本 賢一, 押川 直廣, 脇田 理恵, 斎藤 穎, ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 84-88
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の女性,動悸を主訴に近医受診.心電図上,多源性心室性期外収縮とtorsades de pointes(tdp)を認めた.Lidocaine,magnesium,propranolol,verapamilの投与を受けたが停止せず当院へ搬送.心電図上,右脚ブロック,左軸偏位,著明なQ T 延長( Q T c 6 7 5 m s ) を認めた. 既往歴として数年前より動悸を自覚していた.電気生理学検査上,H-V間隔63ms,基本刺激周期375msで2:1H-V blockがみられた.単相性活動電位(MAP)および右室有効不応期は刺激頻度依存性に短縮した.Isoproterenolとepinephrineの負荷ではMAP上humpは検出されずPVC,tdpは誘発されなかった.Nicorandil 0.1mg/kg負荷では,QT,MAP持続時間の短縮は認められなかった.Mexiletine負荷にてQT間隔およびMAP持続時間の短縮が認められた.
  • 長瀬 衣代, 高柳 寛, 岩崎 洋一, 中田 俊之, 田中 数彦, 溝口 圭一, 津田 麻希子, 千田 龍二, 加藤 剛, 小松 孝昭, 清 ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 89-93
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,女性,心室性期外収縮(PVC),下腿浮腫で内科外来加療中であり,下腿浮腫に対してfurosemide 40mg/日を,PVC(Lown 4A)に対してはdisopyramide 300mg/日を投与されていた.Disopyramide服用開始1年後より数秒間の意識消失発作が出現するようになりHolter心電図を施行した.平均心拍数は53 bpmで,PVC総数は1,686/日であった.24時聞を通してQTcが0.695と著明に延長しており,午後5時に集中して,先行R-R間隔が1,600msec前後に延長した後に約10秒間の自然停止するTorsades de pointes(Tdp)を認めた.Tdpと症状は一致していた.血清カリウム値は3.2mmol/l,マグネシウム2.2mg/dl,電解質に影響を与えうる血中ホルモン値は正常,disopyramide血中濃度は3 . 3 μ g / m l であった. Q T 延長とT d Pの原因はdisopyramideと利尿剤による低カリウム血症によると考え,同薬剤を中止し,電解質の補正を行い,QTcは0.38に正常化し,Tdpは出現しなくなった.【考察】投不整脈薬によるQT延長にはいくつかの要因があげられているが,本例では基礎心疾患はなく,disopyramideと低カリウム血症,高齢,女性がQT延長に相乗的に関与したと考えられる.
  • 唐澤 剛, 高野 幸一, 原 和義, 伊藤 致, 田所 寿剛, 箕田 紳一郎, 吉田 康太郎, 中野 滋文, 矢部 彰久, 堀中 繁夫, 松 ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 94-98
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,女性.薬剤抵抗性閉塞性肥大型心筋症の精査加療目的に当院紹介入院となった. β 遮断薬,ベラパミル内服下の心臓超音波検査では約60mmHgの左室内圧較差を認めた.Holter心電図では有意な心房性または心室性不整脈は認められなかった.心臓カテーテル検査では冠動脈に有意狭窄はなく,左室造影では左室中部を中心とした著明な壁肥厚を認めた.左室心尖部から心基部へのカテーテル引き抜きにより圧較差を認め,左室内圧較差は約70mmHgを有していた.シベンゾリン70mgの静注投与により左室内圧較差は消失し著明な改善を示した.その後,検査終了時に,突然,心拍数180/minの心室頻拍(VT)が出現した.VTは自然停止せず,血圧低下,意識消失となり,直流通電(200J)により洞調律へ復帰した.なお,VT出現時はすでに左室内カテーテルは抜去されている状態であり,VTに対する手技的な関与(カテーテル操作による不整脈の誘発)はないものと考えられた.閉塞性肥大型心筋症に対する抗不整脈剤による圧較差の改善と催不整脈作用は相反する場合が考えられ,注意を要するものと考えられた.
  • 五十嵐 正樹, 豊田 美和子, 宇野 成明, 新居 秀郎, 笹尾 健一郎, 小澤 司, 戸倉 夏木, 三木 義隆, 内野 正文, 笹本 修一 ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 99-103
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Nifekalant(NF)は本邦で開発されたpure Kchannel blockerであり,難治性致死性不整脈の有効性が報告されている.今回我々は院外心室細動(VF)症例に対するNFの除細動効果を検討した.2001年8月から2002年11月までに,当院救急外来に搬送されたVF16例(男:女=13:3,平均56±16歳)を対象とした.NFを投与した群(N群)7症例とlidocaine 2mg/kg投与群(C群)9症例での院外除細動回数,エネルギー,院内血清Na,K,動脈血PH,base excessについて検討した.N群ではNFO.3mg/kgを静注後に除細動を行い,持続静注した.C群ではlidocaine 2mg/kg静注後除細動を行った.両群とも院外除細動回数,エネルギー,血清Na,K,動脈血pH,base excessでは有意差はみられなかった.N群は7例中5例,C群では9例中2例が洞調律化(p<0.05)し救命救急センター入室となったが,この7例はいずれも脳死と判定され1カ月以内に死亡した.NFは院外発症VFの除細動に有効である.
  • 網野 真理, 吉岡 公一郎, 中嶋 徹, 岩田 理, 森本 浩司, 出口 喜昭, 伴 和信, 椎名 豊, 後藤 信哉, 半田 俊之介, 田辺 ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 104-108
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞の重篤な合併症である心破裂は,リスクとして初回梗塞,老年女性,広範囲前壁梗塞があり,発症48時間以内と1週間以内が多いと報告されている.一方,臨床では下壁梗塞に合併する心破裂例は少なく,急死に至る症例は稀である.我々は,63歳男性,高血圧未治療の急性下壁梗塞例において,発症7時間後に突然の下壁心破裂により死亡した症例を経験した.
    今回,剖検例から突然死した下壁心破裂例の特徴を検討した.1991年3月から1998年12月までの当院法医学剖検例において,心破裂が突然死の原因とされたのは計19例で,前壁(AN群)8例,下壁(IN群)8例,側壁3例であった.性別はAN群:男性50%,IN群は全例男性であった.年齢に有意差はなかった.高血圧未治療例は3例全てIN群であった.左室重量はAN群336g,IN群442gとIN群で有意に大であった(p<0.01).
    下壁心破裂例は前壁心破裂例と比較し,壮年男性で心肥大を伴う未治療の高血圧症例で多い.
  • 樋口 京介, 間仁 田守, 本多 忠暁, 山口 昭三郎, 金子 敦, 濱口 重人, 落合 出, 飯島 徹, 山内 康彦, 佐々木 豊志, 金 ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 109-112
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 秋山 昌洋, 金古 善明, 谷口 靖広, 中島 忠, 間仁 田守, 伊藤 敏夫, 羽鳥 貴, 高松 寛人, 倉林 正彦
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 113-119
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    69歳,男性.平成7年より拡張型心筋症に伴う持続性心室頻拍に対しソタロール,メキシレチンの投与を受けていた.左室駆出率は17%であった.平成14年3月,心室頻拍が再発したため,植え込み型除細動器を植え込み,ソタロールの増量,カルベジロールの併用を行った.術後44日目より心室頻拍によるelectrical stormが出現した.人工呼吸管理下にアミオダロン,ニフェカラントを併用,心房ペーシングレートを上昇したが,3日間で計69回の直流通電(総エネルギー2,290J)が作動した後,突然electromechanical dissociactionとなり死亡した.剖検にて約300mlの新鮮血性心嚢液と中心静脈中位部に長さ1cmの裂傷を認め,直接死因と考えられた.破裂血管周囲の心筋障害を認めず破裂血管壁に著変を認めなかった.頻回の直流通電に伴う物理的な冠静脈裂傷の可能性が考えられた.
  • 酒井 孝裕, 中川 義久, 木村 剛, 安藤 献児, 横井 宏佳, 岩淵 成志, 濱崎 直也, 井上 勝美, 野坂 秀行, 延吉 正清
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 120-124
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】非保護左主幹部動脈(LMCA)閉塞の急性心筋梗塞(AMI)の死亡率は高い.【方法】LMCAAMIへの直接冠動脈形成術(PTCA)の臨床的側面と予後を検討した.【結果】1,736人の連続AMI患者に, 38 人(2.2 % ) のL M C A 閉塞を認め, 全例にPTCAを施行した.17人(45%)は生存退院(生存群)し,21人(55%)は院内死亡(死亡群)した.生存群は,死亡群と比較すると,心原性ショック合併が低率であり(47%VS95% , p < 0.001) , 来院時のbase excessとpHが高値であり(base excess(mEq/l):-4.5±3.9VS-10.4±6.0,p<O.01,pH:7.40±O.10 VS 7.30±O.14,p<O.O5),そして再疎通成功が高率であった( 100 % VS57 % , p <O.O1).心原性ショックを合併したLMCA-AMI患者(n=28)は,ショック非合併患者(n=10)と比較し,再疎通成功が低率であり(68% VS 100%,p<O.05),院内死亡が高率であった(7L4% VS 10%,p<0.001).PTCAの成功は,不成功と比較すると,院内死亡率を低下させた( 41.4% VS100% , p <O.O1).【結語】LMCA-AMIの予後は,来院時循環動態の変化に由来する.再疎通成功は,生存への必須条件である.心原性ショック合併のLMCA-AMIは,再疎通成功を妨げ,予後不良である.LMCAへのPTCAは実施可能で有効であり,予後を改善することが可能であると考えられる.
  • 紺谷 浩一郎, 阪上 学, 大倉 誓一郎, 安部 剛, 国枝 武重, 丸山 美知郎, 齊藤 伸介, 高村 雅之, 湯淺 豊司, 富田 重之, ...
    2003 年 35 巻 Supplement3 号 p. 125-128
    発行日: 2003/09/10
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    77歳女性.平成14年7月28日,突然の前胸部痛にて近医救急搬送された.心電図および採血より急性心筋梗塞が疑われ,冠動脈造影にて3枝病変を認めたため,当院紹介され緊急冠動脈バイパス術を施行した.第2病日に心室性期外収縮頻発から心室細動(VF)となり電気的直流除細動(DC)を行った.VF予防目的で塩酸リドカインの持続点滴を開始したが,第4病日再びVFとなりDCにて除細動できない状態となった.塩酸ニフェカラント静注後のDCで除細動に成功したため,同薬の単剤持続静注を開始したが,第5病日に再びVFを認めた.その後塩酸リドカイン併用によりVFは抑制され,アミオダロン内服へ移行可能となった.心機能に影響の少ない塩酸リドカインと塩酸ニフェカラント併用が有効と考えられた.
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