心臓
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36 巻, 6 号
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  • 入院時心筋型脂肪酸結合蛋白濃度測定の有用性
    森 義久, 石井 潤一, 北川 文彦, 久野 貴弘, 中村 祐, 成瀬 寛之, 松井 茂, 石川 隆志, 大島 久二, 近藤 武, 野村 雅 ...
    2004 年 36 巻 6 号 p. 439-447
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    早期侵襲的治療の目的で発症6時間以内に当施設のCCUに入院した連続328例の急性冠症候群(ACS)患者で,心筋型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)濃度と予後との関係を検討した.
    入院時にH-FABPと心筋トロポニンT(TnT)の血清濃度を測定し,6カ月間の経過を観察した.ESC/ACCの新基準による急性心筋梗塞(AMI)は241例,ST上昇型ACSは168例であった.観察期間中に24例の心事故(心臓死16例,非致死性心筋梗塞8例)を認めた.ステップワイズCox比例ハザード解析ではH-FABPと年齢が心臓死(p=0.002,p=0.004)と心事故(p=0.001,p=0.046)の有意な独立した予測因子であった.Kaplan-Meier曲線はH-FABPの中央値(9.9ng/ml)により6カ月以内の心臓死(p=0.002)と心事故(p=0.0007)のリスクが2群に層別化できることを示した.ST上昇型ACSにおける検討ではH-FABP高値群の30日および6カ月の心臓死と心事故の発生率がH-FABP低値群より有意に高かった.しかし,非ST上昇型ACSでは早期侵襲的治療を行っているため,両群間で心臓死と心事故の発生率に有意差を認めなかった.今回の検討結果から,発症6時間以内のACS患者で入院時H-FABP濃度の測定は6カ月以内の心リスク評価に有用であると考えられた.
  • さらなるエビデンスの集積を
    清野 精彦
    2004 年 36 巻 6 号 p. 448-450
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 常深 孝太郎, 蓑原 靖一良, 高田 耕二, 井上 公仁, 森田 雅文, 近藤 敬一郎
    2004 年 36 巻 6 号 p. 451-455
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈バイパス術(CABG)中の所見から右胃大網動脈(RGEA)がin situ動脈グラフトとして使用できなかった2症例を経験した.
    症例1は83歳,男性で,左主幹部(LMT)病変および右冠動脈(RCA)と左前下行枝(LAD)に有意狭窄病変を有した.RCAに対しRGEAをバイパスする予定であったが,RGEAの石灰化が強いため十分な血流が得られず使用できなかった.症例2は56歳,男性で,急性心筋梗塞と診断され,LADに対する経皮的冠動脈形成術(PTCA)後,同部に冠動脈解離をきたした3枝病変症例である.RCAに対しRGEAをバイパスする予定であったが,開腹所見で極度の胃下垂を認め,解剖学的にもグラフト採取困難であったため,in situ動脈グラフトとして使用できなかった.In situ RGEAを使用するCABGを予定した場合,RGEAが使用できない可能性を考慮し,グラフト選択とバイパス方法の術中変更についても術前から検討しておくべきである.
  • 椿本 恵則, 伊藤 一貴, 高田 博輝, 弓場 達也, 西川 享, 足立 芳彦, 加藤 周司, 東 秋弘, 杉原 洋樹, 中川 雅夫
    2004 年 36 巻 6 号 p. 456-460
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は61歳の男性で,慢性腎不全および狭心症で通院中であったが,突然の胸痛が出現したため,救急外来を受診した.心電図では,前胸部誘導のT波の増高が認められ,血液検査では定性トロポニンTが陽性であった.直ちに施行した99mTc-etrofosmin心筋SPECTでは前壁および中隔に高度の集積低下所見が認められた.冠動脈造影では,左前下行枝の近位部に比較的辺縁明瞭な円形の透亮像が認められた.血管内超音波法では冠動脈造影における透亮像は高度の石灰化を伴った動脈硬化の所見が認められたが,血管内超音波を施行した直後の造影では透亮像は左前下行枝の遠位部に移動していた.血栓吸引カテーテルを用いたが,内容物の吸引はできなかった.Primary stenting(MULTILINK TRISTAR2.75/18Guidant社製)および血管内超音波法を試みたが,遠位部の病変は硬くいずれのカテーテルも通過できなかった.バルーンカテーテル(MAVERICK2.0/20Bostonscientific社製)は通過できたため,これを用いて前拡張を行い,ステント(MULTILINK TRISTAR2.75/18Guidant社製)を留置した.これらにより良好な血流が得られ,症状の改善が認められた.断層心エコー図では左室や左房内に血栓は認められなかったが,僧帽弁の弁尖に血栓が示唆されるエコー輝度の高い塊状影が認められた.これらの所見より,僧帽弁に付着した石灰化した血栓が冠動脈に塞栓した可能性が考えられた.
  • 山田 道治, 清水 智雄, 松井 義親, 柴田 哲男
    2004 年 36 巻 6 号 p. 461-465
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,女性.激しい驚愕の後に持続する胸痛が出現し来院.心電図にてI,aVL,V2~V5誘導でST上昇を認めた.緊急冠動脈造影で冠動脈に有意狭窄はなく,左室造影で前壁の中部に無収縮,下壁に高度収縮低下を認めたが,心尖部には正常な収縮が認められた.第5病日に施行した123I-MIBG心筋シンチでは前壁に高度の集積低下,下後壁に中等度の集積低下を認めたが,心尖部の集積低下は認めなかった.心電図は入院3日目で既にST-T変化は回復傾向となり,左室壁運動異常は心エコー上,入院1週間後には正常化していた.経過からたこつぼ型心筋障害と考えられたが,左室心尖部に正常な壁運動が認められたことが従来の報告と異なり興味ある病態であった.たこつぼ型心筋障害の左室造影像にはたこつぼ型以外に多様性があると考えられ,報告した.
  • 河合 祥雄, 瀬川 郁夫, 土橋 和文, 岡本 洋, 澤田 準, 高山 守正, 小川 洋司, 丹羽 明博, 三宅 良彦, 山中 修, 安 隆 ...
    2004 年 36 巻 6 号 p. 466-468
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 西田 幸司, 矢部 敏和, 馬場 裕一, 近藤 史明, 深谷 眞彦, 高田 淳, 西永 正典, 土居 義典
    2004 年 36 巻 6 号 p. 469-474
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.1999年3月,某病院にて精査を受けて洞不全症候群と診断されたが自覚症状はなく,当院外来に紹介された.同年6月の当科初診時心電図は心拍数42/分の洞性徐脈で,ホルター心電図では24時間総心拍数(THB)74391拍,2秒以上のR-R間隔は43回で最長値は2.70秒であった.胸部X線による心胸郭比は57%と拡大していたが,心エコーでは左室拡張末期径50mm,左室駆出率71%であった.
    同年9月よりシロスタゾール100mg/日の投与を開始した.直後より外来時の心拍数は65から80台/分,THBは86000から97000拍台の範囲へと増加した.しかし,投与開始後1年目頃より外来時の心拍数は次第に50から60台/分が主となり,2002年4月のTHBは77462拍と投与開始前の値近くまで低下した.
    薬効の再評価目的でシロスタゾールを一時中止したところ,洞性徐脈が増悪し心不全が出現したため,シロスタゾール200mg/日の投与を再開した.心拍数増加とともに心不全はすみやかに軽快したが,この心不全はシロスタゾールの中止や開始で再現性をもって増悪・改善を繰り返しており,徐脈依存性であると考えられた.最終的にはシロスタゾールを中止し,AAI型ペースメーカー植込みを施行した.その後心不全の再発は認められていない.
    シロスタゾールは長期使用により心拍数増加作用の効果減弱が認められる可能性がある.また,洞不全症候群例では徐脈に伴う潜在的な心不全を合併している可能性があり,シロスタゾール長期使用後の中止時には,高度徐脈に伴う心不全の出現あるいは顕性化に留意すべきであると考えられた.
  • 新 博次
    2004 年 36 巻 6 号 p. 475-477
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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