心臓
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36 巻, 7 号
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  • 入院中の変化および予後との関連
    荒川 友晴, 渡辺 英一, 内山 達司, 平光 伸也, 石井 潤一, 加藤 千雄, 児玉 逸雄, 菱田 仁
    2004 年 36 巻 7 号 p. 501-508
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    慢性心不全の入院患者において入院時と退院時の心電図指標の変化を比較し,さらに入院時の心電図指標と予後との関連を前向きに検討した.対象は慢性心不全増悪のため入院した連続187例(男/女=107/80,73±12歳,平均±標準偏差)である.入院時に記録された12誘導心電図より基本調律,QRS幅およびQT間隔を計測し,ホルター心電図より心室期外収縮(PVC)数を調べた.平均1.4±1.0カ月(3日~6.5カ月)の入院中にQTc間隔(Bazettの式で補正したQT間隔)は有意に短縮した(入院時0.461±0.063秒,退院時0.441±0.045秒).PVCは総数も3連発以上の頻度も有意に減少した.また,平均13±10カ月(6~37カ月)の経過観察中,41例(22%)が死亡した(心不全死23例(12%),不整脈死3例(2%),悪性腫瘍6例(3%),不明9例(5%)).死因を問わず全死亡を一次エンドポイントとした場合,独立した予後予測因子は左室駆出率≦40%(相対リスク1.12,95%信頼区間1.03-1.23)とQT≧0.36秒(相対リスク7.34,95%信頼区間1.32-40.7)であった.また,二次エンドポイント(心不全死と不整脈死)の独立した予後予測因子は年齢≧77歳(相対リスク4.45,95%信頼区間1.60-12.4)とNYHA≧III(相対リスク1.80,95%信頼区間1.01-3.33)であった.
    慢性心不全の管理においては左室機能低下,QT間隔延長,および年齢などに留意する必要があると考えられる.
  • 小松 隆, 中村 紳, 鈴木 修, 堀内 大輔, 蓬田 邦彦, 奥村 謙
    2004 年 36 巻 7 号 p. 509-514
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【目的】 高血圧を合併した発作性心房細動(Paf)の慢性心房細動への移行に対する抗不整脈薬療法の阻止効果を,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(Enalapril 5mg/日;EN)併用の有無で比較した.
    【方法】 対象はPaf111例(男性77例,女性34例,年齢70±9歳)で,EN併用あり群(A群,N=52)ならびにEN併用なし群(B群,N=59)に分け,観察期間44±27カ月における各指標を比較した.
    【結果】 (1)患者背景因子は2群間で有意差を認めなかった.(2)観察期間1カ月,3カ月,6カ月,12カ月,18カ月,24カ月目の2群における心房細動の慢性化阻止率はA群が100%,100%,100%,98%,96%,96%,B群が100%,97%,92%,86%,85%,83%であり,観察期間24カ月目時点でB群に比しA群で有意に高率であった(P<0.05).(3)慢性心房細動移行例における洞調律維持期間は,A群8.8±3.1カ月,B群5.1±1.6カ月であり,A群で長い傾向であった(P=0.073).
    【結語】 高血圧を合併したPafに対するEN併用療法には,心房細動の慢性化予防効果が期待される.
  • 橋本 清香, 林 豊, 藤岡 精二, 佐々木 修, 山脇 孝, 越智 直登, 茎田 仁志
    2004 年 36 巻 7 号 p. 515-519
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    破傷風による心臓交感神経機能障害をI-123 metaiodobenzylguanidine心筋シンチグラフィ(以下I-123 MIBG心筋シンチグラフィと略)にて長期間経過観察しえた症例を経験したので報告する.
    症例は62歳,女性.1997年6月に右拇指の爪が剥げたまま農作業に従事していたが,7月31日より頸部の違和感,8月6日からは開口障害,嚥下障害も出現したため,8月7日に当院を受診した.受診時には咬筋スパスムにより口は全く開かず項部硬直も認めたため,破傷風と診断され入院した.入院後,抗破傷風ヒト免疫グロブリンを投与しようとしたが,宗教上の理由にて拒否され使用できなかった.喀痰の喀出困難もあり気管切開術を行い,抗生剤の投与と輸液を開始した.入院翌日より痙笑,後弓反張,全身痙攣が出現したが,抗痙攣薬の使用により徐々に軽快した.入院翌日の心電図にて,陰性T波をI,II,III,aVF,V3~V6誘導に認めた.この心電図変化は遷延し,I-123 MIBG心筋シンチグラフィの所見から心臓交感神経機能の亢進状態によるものと思われた.心電図変化は,I-123 MIBG心筋シンチグラフィから求めた洗い出し率の改善に伴って正常化した.
  • 谷口 和夫, 住友 直方, 宮下 理夫, 金丸 浩, 鮎沢 衛, 唐澤 賢祐, 岡田 知雄, 原田 研介, 保科 優, 白石 裕比湖
    2004 年 36 巻 7 号 p. 521-526
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は9歳男児.7歳から3回胸痛,動悸を認め,前医を受診した.8歳時に同院で右室自由壁副伝導路の高周波カテーテルアブレーション(RF)に成功したが,もう1本は傍His束副伝導路でRFを行わず経過をみた.Verapamilを投与したが,頻拍は再発しRF目的で入院した.既往歴,家族歴に特記すべきことはない.入院時身体所見,血液一般,生化学,尿検査,胸部X線写真,心エコー図に異常はなかった.心電図は心拍数80の洞調律で△波は認めなかった.誘発された頻拍は傍His束副伝導路を介する房室回帰性頻拍で,高位右房連続刺激下で50~55℃,1分間の通電を行いRFに成功した.RF中に完全右脚ブロックを合併した.潜在性傍His束副伝導路は,逆伝導が正常逆伝導であるかの鑑別が困難で,逆伝導の消失を効果判定に利用できない.今回,高位右房連続刺激で房室伝導を確認しながら,その後の誘発の有無でRFの効果を確認し,安全にRFが施行できたと考えられた.
  • 藤木 明
    2004 年 36 巻 7 号 p. 527-528
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 田中 俊樹, 郷良 秀典, 高橋 剛, 福田 重年, 古川 昭一, 小田 達郎, 濱野 公一
    2004 年 36 巻 7 号 p. 529-532
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.右側腹部から背部にかけての激しい痛みが出現し近医を受診した.腹部CTで右腎梗塞と心室内腫瘤が指摘され,血栓塞栓症も疑われ当院入院となった.血液検査ではLDH,CRPの上昇を認め,HbAlcも高値であった.心電図ではI・II・aVL,V1~6に巨大陰性T波を認め,心尖部肥大型心筋症を疑った.心エコーでは左室心尖部中隔側に10mm程度の可動性に富んだ球状の腫瘤を認めたが,左室の壁運動は正常であり駆出率も67%と保たれていた.経食道エコーでも同様の所見であり,左室内腫瘍と診断した.塞栓症の既往があることから,開心術にて腫瘍摘出術を行ったが,摘出標本の病理診断は血栓であった.術後血栓性素因を調べたが,検索項目はいずれも陰性だった.
    本症例における真の原因は不明だが,(1)心尖部肥大型心筋症に合併した血栓症,(2)糖尿病による無症候性狭心症,(3)一過性不整脈が考えられた.
    いずれにせよ壁運動異常・血栓性素因を認めない左室内血栓の報告は非常に少なく,本症例は非常にまれであると考えられたため,文献的考察を加え報告した.
  • 石川 和徳, 伊橋 健治, 佐々木 英樹
    2004 年 36 巻 7 号 p. 533-536
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.他院にてS状結腸腫瘍に対して高位前方切除術が施行された.術後5日目から歩行を開始していた.術後8日目早朝起床時に突然の胸痛,呼吸困難が出現した.緊急造影CT検査にて肺塞栓症が疑われ,当院に緊急搬送された.緊急肺動脈造影検査にて,肺動脈主幹部から両側主肺動脈の広範囲に血栓による陰影欠損を認め,広範型肺塞栓症と診断した.内科的治療に反応なくショック状態が遷延し,心臓超音波所見にて急性右心負荷所見を認めたため,緊急血栓摘除術を施行し,多量の赤色血栓を摘出した.術後経過は良好であり,抗凝血療法後の術後17日目に退院となった.
    循環動態が破綻し,内科的治療ではショック状態の改善が困難な急性肺塞栓症例に対しては,機を逸せず積極的な外科的血栓摘除術を考慮すべきであると考えられた.
  • 川真田 修
    2004 年 36 巻 7 号 p. 537-539
    発行日: 2004/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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