【目的】 高血圧を合併した発作性心房細動(Paf)の慢性心房細動への移行に対する抗不整脈薬療法の阻止効果を,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(Enalapril 5mg/日;EN)併用の有無で比較した.
【方法】 対象はPaf111例(男性77例,女性34例,年齢70±9歳)で,EN併用あり群(A群,N=52)ならびにEN併用なし群(B群,N=59)に分け,観察期間44±27カ月における各指標を比較した.
【結果】 (1)患者背景因子は2群間で有意差を認めなかった.(2)観察期間1カ月,3カ月,6カ月,12カ月,18カ月,24カ月目の2群における心房細動の慢性化阻止率はA群が100%,100%,100%,98%,96%,96%,B群が100%,97%,92%,86%,85%,83%であり,観察期間24カ月目時点でB群に比しA群で有意に高率であった(P<0.05).(3)慢性心房細動移行例における洞調律維持期間は,A群8.8±3.1カ月,B群5.1±1.6カ月であり,A群で長い傾向であった(P=0.073).
【結語】 高血圧を合併したPafに対するEN併用療法には,心房細動の慢性化予防効果が期待される.
抄録全体を表示