心臓
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36 巻, 8 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 足立 和正, 河田 正仁, 松浦 啓, 坂本 丞
    2004 年 36 巻 8 号 p. 571-575
    発行日: 2004/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性冠症候群の再灌流療法において冠動脈内血栓はノー・リフロー現象や末梢塞栓をもたらし,心筋障害の面から重大な問題となる.近年,急性冠症候群に対する血栓吸引療法の有効性が報告されている.RESCUETMとTHROMBUSTERTMを用いて冠動脈血栓吸引療法を行い,その臨床成績について比較検討した.
    対象は急性冠症候群63例(64病変)である.RESCUETMを用いた46症例(46病変)をR群,THROMBUSTERTMを用いた17症例(18病変)をT群とした.カテーテルの病変部通過性,血栓吸引術前後でのTIMI血流分類の変化,ノー・リフロー現象について,両群において比較検討したカテーテルの通過性は両群間で有意差を認めなかったが,TIMI血流分類の改善率はR群で59%,T群で94%と有意にT群の方が良好であった.(p<0.01).ノー・リフロー現象はR群で11%,T群で5.6%であった(p=NS).
    以上より,THROMBUSTERTMはTIMI血流分類改善に関してRESCUETMよりも有効であり,急性冠症候群例の冠動脈インターベンション治療においての有効性が示唆された.
  • 青田 正樹, 中根 武一郎, 植草 英恵, 小池 裕之, 齋藤 雄平, 松田 光彦, 小西 裕
    2004 年 36 巻 8 号 p. 577-582
    発行日: 2004/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対して僧帽弁形成術(MVP)を行った症例のうち,sliding leaflet techniqueを用いた症例5例を検討した.
    症例は,Barlow症候群(Billowing Mitral Leafllet Syndrome)1例,一枝病変に合併した弁輪拡大1例,交連部逸脱3例であった.2例に対し,後尖のmiddle scallopを切除しsliding leaflettechniqueを用いて後尖の高さを減じ形成した.このうちBarlow症候群に後乳頭筋に対しpapillarymuscle repositioningを追加した.交連部逸脱に対しては,逸脱部を矩形に切除し弁輪部に沿って前尖後尖に切り込んだ後,新たに交連部を形成した.全例にCarpentier-Edwards rigid ringを用いた.2例に同時に冠動脈バイパス術を行った.
    冠動脈バイパス術を行った1例をMRSA前縦隔炎で失ったが,全例でMRは消失し,左室流出路狭窄,SAMを認めなかった.心エコーで計測した左房径,左室拡張期径は術前に比べて小さくなった.遠隔期においても,MRの再発を認めていない.
  • 岡 達二郎, 糸井 利幸, 浜岡 建城
    2004 年 36 巻 8 号 p. 583-589
    発行日: 2004/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    当院小児循環器外来を受診した患者のうち満18歳以上で外来受診した患者について,疾患群,内服治療の有無,受診頻度,内科への移行の程度について調査した.
    総患者数1325人中満18歳以上の患者は204人であった.内訳は先天性心疾患が135人(66.2%),川崎病が34人(16.7%),心電図異常が25人(12.3%),その他(心筋症など)が10人であった.内服治療を要する症例は全体で46人(23%)であった.受診頻度は,年に複数回受診が60人,年1回以下が117人,不定期受診が16人,終了が11人であった.内科への移行が終了した症例はわずかに3人(1.5%)であった.先天性心疾患の中で18歳以上で手術を要した症例のうち11人(61%)が他院からの紹介であった.
    今回の調査で,(1)川崎病が全体の17%と,小児循環器外来に占める割合が高いこと,(2)先天性心疾患のうち,7割の患者が年1回以下の受診頻度であったこと,(3)成人期になって手術を必要とした症例が18人認められ,その半数以上が他院からの紹介であったこと,(4)年1回以下の外来経過観察であっても,内科への移行はほとんど進んでいない現状では,今後も小児循環器外来の受診を継続することが必要であること,などが判明した.
  • 油布 邦夫, 大塚 寛子, 脇坂 収, 篠原 徹二, 金田 幸司
    2004 年 36 巻 8 号 p. 591-596
    発行日: 2004/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は26歳女性.主訴は嘔気,肩痛.冠危険因子としては,喫煙を16歳より1日数本~20本.低用量ピル(エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル)を半年間使用した.2002年3月22日,起床直後嘔気とともに肩痛を生じ当科へ搬送された.第2病日の冠動脈造影で右冠動脈後下行枝に99%狭窄を認めた.左室造影では下壁に壁運動低下を認めた.カルシウム拮抗薬を中心とした薬物療法の方針とし,特に合併症なく,第9病日に退院した.CPKmaxは1997IU/lであった.本症では,急性心筋梗塞の発症にピル内服に加え,喫煙の影響が大きかったと思われる。糖尿病,川崎病,膠原病,その他の既往がない,低用量ピル内服中の若年女性の急性心筋梗塞は報告が少なく,貴重な症例と考えられた.
  • 太田 洋, 住吉 正孝, 諏訪 哲, 田村 浩, 佐々木 玲聡, 小島 貴彦, 峰田 自章, 小島 諭, 中田 八洲郎
    2004 年 36 巻 8 号 p. 597-603
    発行日: 2004/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は45歳女性.呼吸困難,右上下肢の麻痺,意識障害を主訴に近医を受診した.頭部および胸部CT検査の結果,左中大脳動脈領域の脳梗塞と急性肺血栓塞栓症を同時に発症していた。肺血栓塞栓症に対して人工呼吸管理下に血栓溶解療法と血栓吸引療法を施行し,肺動脈圧は60/30mmHgから32/18mmHgへと著明に改善した.急性期の経食道超音波検査では,右心系の拡大,心房中隔の奇異性運動と卵円孔開存が確認された.静脈造影では,下大静脈の壁外性の圧排所見と深部静脈血栓が認められた.骨盤CT検査の結果より,深部静脈血栓症の原因は巨大子宮筋腫により下大静脈が圧排され血流低下をきたしたためと考えられた.子宮筋腫手術における周術期の肺血栓塞栓症と脳梗塞のリスクを考慮し術前に永久留置型下大静脈フィルターを留置し,脳梗塞については保存的に治療を行った.第39病日,腹式単純子宮全摘術施行.特に合併症なく経過し,51病日にリハビリテーションのため転院となった.本症例は巨大子宮筋腫により生じた深部静脈血栓が原因で急性肺血栓塞栓症を生じ,右心系の圧上昇に伴い卵円孔を通って左心系に血栓が流出,奇異性脳梗塞をきたしたと考えられた.
  • 峰松 一夫
    2004 年 36 巻 8 号 p. 604-606
    発行日: 2004/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 中村 浩彰, 都崎 祐美, 志水 栄伸, 峰 隆直, 小田垣 正言, 成瀬 均, 藤田 知之, 上野 高義, 平田 展章
    2004 年 36 巻 8 号 p. 607-611
    発行日: 2004/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    巨大冠動脈瘤を形成した両側冠動脈肺動脈瘻の1例を経験した.症例は74歳女性,労作時胸痛にて発症し,検査所見より巨大冠動脈瘤を形成した両側冠動脈肺動脈瘻と診断した.心筋虚血を認めること,冠動脈瘤は巨大な嚢状であり破裂の危険性があることより,外科手術の適応と考えられた.外科手術を行い,心筋虚血の改善に成功した.術後冠動脈造影では,冠動脈肺動脈瘻の消失を確認することができた.
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