[目的]自己免疫性心筋炎では心筋内にT細胞,B細胞やマクロファージのような免疫担当細胞が浸潤する.浸潤したマクロファージなどがinterleukin-1β(lL-1β), interleukin-6(lL-6), tumor necrosis factor-α(TNF-α)などの炎症性サイトカインを産生し,このことが組織傷害を引き起こし,フリーラジカルを放出することにより病変がさらに増悪する.MCI-186(エダラボン)は現在,脳虚血時の保護薬として使用されているフリーラジカル消去剤である.そこでわれわれはラット自己免疫性心筋炎モデリレを用いてMCl-186の心筋保護効果を検討した.
[方法]ルイスラットにブタ心筋ミオシンを投与し自己免疫性心筋炎を作成後,MCl-186を,1mg/kg/day,3mg/kg/day,10mg/kg/dayでそれぞれ腹腔内投与した。実験期間は21日間とし,MCl-186は連日投与とした.
[結果]MCl-186 10mg/kg/dayを与えた群で心体重比と心筋炎発症率が有意に減少した.また,MCl-186 3mg/kg/day,10mg/kg/dayを与えた群では心筋炎の程度は減少し,さらに心筋内lL-1β陽性細胞の発現も減少した.【結論】MCl-186はラット自己免疫性心筋炎に対して有効であり,したがってフリーラジカルは心筋炎の進展において重要な役割を果たしている可能性が示された.
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