背景と目的:近年,慢性腎臓病と心血管病の関連が注目されている.糸球体濾過量(glomerular filtration rate;GFR)と冠動脈狭窄病変の比較検討を行った.
対象と方法:対象は,2004年6月15日から2007年11月15日までに16列や64列CTを用いて行われた冠動脈CT連続延べ413 例( 男性202 例, 女性211 例, 平均年齢67.9 歳) . 症例ごとに冠動脈病変評価と推算糸球体濾過量(estimate GFR;eGFR)の算出を行い,主要冠動脈病変の程度で正常冠動脈(狭窄率0~25%未満),軽度病変(同25~50%未満) , 中間病変( 同50~75% 未満) , 高度病変(同75% 以上) に分類, eGFR との関連を検討した.結果: 正常群163 例, 軽度群7 2 例, 中間群51例, 高度群84 例のeGFR (mL/分/1.73m
2 ) の平均値± 標準偏差は,それぞれ83.02±21.36,77.95±16.65,71.55±19.25,67.05±16.50で,正常群-中間群間,正常群-高度群間,軽度群- 高度群間で有意差が見られた( p=0.0002 , <0.0001, 0.0005 ) . 正常群, 軽度群, 中間群, 高度群の「eGFR<60」例の占有率は,それぞれ8.6%,13.9%,27.5%,34.5%で,正常群-高度群間,正常群-中間群間,軽度群-高度群間で有意差が見られた(p=0.0083,0.013,0.013).結語:慢性腎臓病が冠動脈狭窄病変の進展に大きく関与していることが示唆された.
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