目的:若年者心筋梗塞患者における血管内超音波(IVUS)からみた責任病変の病変形態の評価,およびその長期予後臨床経過を検討する.
方法: 1996年5月より2006 年11月までの間に入院した40 歳以下の若年者急性心筋梗塞患者連続24 例における患者背景,病変背景,IVUS所見,長期経過に関し,対照として60歳以上の非若年者急性心筋梗塞患者連続491例を,比較検討した.
結果:若年者急性心筋梗塞患者は非若年者急性心筋梗塞患者に比し,男性,喫煙および高脂血症が有意に高率であり,左前下行枝および1枝病変が有意に高率に認められ,対照血管径は若年者で大きい傾向を認めた.
IVUS所見では,有意差はなかったが,病変部の血管面積は,若年者19.7±4.2mm
2,非若年者で17.3±6.6mm
2と若年者の血管径は大きく,remodeling indexは右冠動脈において若年者で高値を認めた.長期予後に関しては,24例中5例が通院および内服を自己中断しており,45%の患者が,虚血性心疾患の再発により入院していた.
結語:若年性心筋梗塞患者は非若年性心筋梗塞患者に比べQCA解析では対照血管径が大きく,IVUSでは有意差は認めなかったが,若年者では非若年者に比べ,remodeling indexは高値を認めた.急性期成績は良かったが長期予後では虚血性の再発が多いことから,厳格な2次予防および十分な家族を含めた啓蒙が必要と思われた.
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