心臓
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40 巻, Supplement3 号
選択された号の論文の28件中1~28を表示しています
  • 神谷 仁孝, 小谷 英太郎, 西城 由之, 渋井 俊之, 細川 雄亮, 宗像 亮, 吉川 雅智, 上村 竜太, 堀江 格, 松本 真, 中込 ...
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 5-9
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.既往に特記すべきことなし.ソフトボールの試合でピッチャーをしており,キャッチャーからの返球を受けようとした際(ボールは直接患者には当たっていない),突然崩れるようにマウンド上で倒れた.直ちにチームメイトが心肺蘇生(CPR)を開始し,救急隊到着時の自動体外式除細動器(AED)モニター上は心室細動であった.AEDにて意識消失6分後に除細動を1回施行.その後心拍再開し,救急車内で意識レベルはJCSI-1まで改善した.心臓カテーテル・心臓電気生理学的検査(EPS)などを行ったが,原疾患の特定はできず,現時点では拡張型心筋症の初期である可能性が考えられた.後日,他院にて植込み型除細動器(ICD)の植え込み術を行った.本例は院外で心室細動を起こしたにもかかわらず,バイスタンダーと救急隊の適切な処置により,脳への後遺症なく発症前と変わらない状態で社会復帰が可能となった症例である.1次救命処置の重要性を改めて知りうる症例であり報告する.
  • 田渕 晴名, 八木 哲夫, 滑川 明男, 石田 明彦, 山科 順裕, 住吉 剛忠, 佐藤 弘和, 櫻本 万治郎, 中川 孝, 佐藤 美佳
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 10-16
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    正常分娩,正常体重で出生した5歳,男児.意識障害と循環呼吸不全で搬送となった.低体温かつ体重7.7kgの極度低栄養で体幹中心に陳旧性傷跡を認めた.集学的治療を開始したが12時間後収縮期血圧50mmHgとなった.心電図I,aVL,V2~6誘導で単相曲線様ST上昇,その後II,III,aVF,aVR,V1でST上昇を認めた.心エコー上心尖部を中心に広範な左室壁壁運動低下(EF20%)を認めた.カテコラミン,硝酸イソソルビド,塩酸リドカイン,Vit B1,Mg,Pで加療した.ショック離脱後,ST変化は徐々に基線に戻り左室壁壁運動も改善した.第9病日にII,III,aVF誘導でT波陰転化とQTc延長,第19病日にT波は陽転化した.Refeeding syndromeの心病変についての詳細は明らかではなく,報告する.
  • 西田 有毅, 菊池 幹, 坂本 一郎, 土倉 潤一郎, 永田 豊, 山本 雲平, 宮田 健二, 野間 充, 折口 秀樹, 毛利 正博, 山本 ...
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 17-20
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,男性.生来健康であったが2007年6月朝,意識消失しているのを家人に発見され救急車が要請された.救急車内の心電図で心室細動を認めたため電気的除細動3回施行されるも洞調律には復帰せず,心配蘇生術を受けつつ当院救急外来へ搬送された.到着後,ニフェカラント使用後の電気的除細動にて洞調律へ復帰した.経皮的心肺補助装置を用いて循環動態を保ちつつ,原因精査目的で心臓カテーテル検査を施行したが冠動脈に明らかな狭窄病変は認められなかった.その後低体温療法を行ったが,呼吸・循環動態は悪化し入院後6日目で死亡した.
    過去の健診時の心電図所見では4年の間に変動を認め,特に2004年時ではV1誘導において軽度のST上昇を認めた.突然死や意識消失の家族歴を認めなかったが,心電図の変動を示した突然死の症例を経験したので報告する.
  • 野呂 眞人, 久次米 真吾, 徳江 政英, 森山 明義, 沼田 綾香, 熊谷 賢太, 中江 武志, 酒井 毅, 手塚 尚紀, 坂田 隆夫, ...
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 21-28
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【症例】42歳の男性.【家族歴】父親とその兄弟全員(4人)にpacemakerが植え込まれている(病名不詳).父親は65歳時に癌で死亡.その他の3人は30代で原因不詳の突然死をしている.
    【経過】36歳時に心房粗・細動,房室ブロックで紹介来院された.この時点では,明らかな心機能異常は認められず,心房粗・細動に対してアブレーションを施行し,DDDモードのpacemaker(心室leadは心尖部に留置)を植え込んだ.その1年後に心不全を発症し,入院となった.心臓超音波で左心室のび漫性に壁運動が低下していたが,冠動脈造影は正常であった.心筋生検ではFabry病が疑われたが,α galactosidase Aは16.4nmol/mLでむしろ高値であり,臨床検査上,確定診断には至らず,また,他の代謝性心疾患も否定的であった.以後,外来通院していたが,急速に心機能が低下し駆出率30%まで低下,心電図ではQRS幅が増大し,心不全のため入退院を繰り返していた.今回,心臓再同期療法目的で入院となったが,入院中に心室細動を発症し,脳死状態となり救命できなかった.剖検では心Fabry病と診断された.突然死の家族歴を有し,急速に進行する原因不明の心機能低下に対し,より早急に対処する必要があったと考えられた症例であり,病理結果も含めて報告する.
  • 加藤 林也, 北川 喜巳, 岩田 充永, 深津 俊明, 佐竹 立成, 氏平 伸子
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 29-34
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    目的:心臓突然死(SCD)例を剖検し心筋の収縮帯および収縮帯壊死と好酸性変化の意義について検討し,あわせて急性心筋梗塞例における突然死の機序を検討したので報告する.
    対象・方法:病理解剖を施行した院外心肺停止患者224例のうち,SCDと診断された125例(男女比は95:30,年齢は60.3±14.8歳)を対象とし,剖検時の肉眼的所見(心筋破裂などの解剖学的破綻や冠動脈狭窄の有無)とホルマリン固定後の切り出し標本より心筋断裂,収縮帯(壊死),好酸性変化について検討した,
    結果:病理所見により急性心筋梗塞24例(AMI群),陳旧心筋梗塞24例(OMI),原因不明77例(SCD群)に分類した.AMI群では24例中16例(66.7%)に左室自由壁の破裂または心室中隔穿孔を認めたが,心筋の断裂は認めず収縮帯(壊死)は7例(29.1%)に認めたのみであった.OMI群とSCD群には心室破裂は認めず,両群の全例で収縮帯(壊死)と心内膜を除く心筋の好酸性変化を認めた.OMI群では心筋断裂や収縮帯壊死は2例のみに認められ,SCD群では心筋断裂は28例(36.4%),収縮帯壊死は13例(16.9%)に認めた.
    結語:AMI例での突然死は解剖学的破綻によるものであり,OMI例や冠動脈に異常所見のない例では心室細動によるものと考えられた.好酸性変化や心筋断裂・収縮帯(壊死)は心室細動の病理所見と考えられた.
  • 林 達哉, 佐々木 毅, 蜂谷 仁, 樋口 晃司, 古川 俊行, 平尾 見三, 磯部 光章
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 35-41
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,男性.夜間5分間の痙攣を伴う意識消失を認め,救急車内で心室細動(VF)に対し電気的除細動を施行された.心電図上右側胸部誘導でcoved型のST上昇を認め,Brugada症候群と診断し植込み型除細動器(ICD)植え込みを実施した.その後もVF発作を繰り返し,ICDの適切作動を認めたため,硫酸キニジン(キニジン)600mg/日とシロスタゾール100mg/日の併用薬物治療を開始し,以後VF発作を認めなかったが,キニジンを300mg/日へ減量したところ,4週間で6回のICD作動を認めたため,キニジンを600mgへ増量した.以後VFの再発はなく,ICDの記録でも心室性頻脈は認めていない.頻回なVF発作が出現するBrugada症候群に対しては,Ito遮断作用のあるキニジンが選択薬の一つとして考慮されるが,使用に際してはその用量依存性効果についての認識が必要と考えられた.
  • 常田 孝幸, 藤木 明, 坂本 有, 阪部 優夫, 菅生 昌高, 水牧 功一, 井上 博
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 42-47
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    有症候性Brugada症候群に伴う頻発する心室性期外収縮(PVC)にシロスタゾールが奏効した1例を経験した.症例は50歳,男性,夕食後22時に意識消失発作があり近医に入院した.Brugada症候群による心室細動(VF)が原因と診断された.電気生理検査(EPS)でVFは誘発されなかったが心室遅延電位は陽性であり,植込み型除細動器(ICD)の適応と判断したが本人の同意が得られなかった.経過中に右室起源のPVCが増加し(9,507拍/日)動悸を認め再入院となった.ベプリジル200mg/日および硫酸キニジン300mg/日投与ではtype 1波形の有意な変化はなく, P V C 総数も減少しなかった. シロスタゾール200mg/日でもtype 1波形の変化は明らかではなかったが,PVCは著明に減少(105拍/日)した.経過中VF発作はなかったが,Brugada症候群に頻発する右室起源のPVCにシロスタゾールの有効性が確認された興味深い症例と考えられた.
  • 西 淳一郎, 日浅 謙一, 樗木 晶子, 小池 城司, 竹本 真生, 砂川 賢二
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 48-52
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性.重症筋無力症のため当院神経内科で経過観察中であったが,これまでに心疾患を指摘されたことはなかった.深夜,一過性の意識消失発作を主訴に当院救急外来を受診した.診察中の午前6時35分に再度突然意識消失をきたし,モニター心電図にて洞調律から心室性期外収縮(PVC)に引き続き心室細動(Vf)への移行を認めた.直ちに除細動を施行し,洞調律へ復帰した.しかし,7時20分にもPVCに引き続きVfとなり除細動を再度施行した.来院時,洞調律での心電図で右脚ブロック波形およびV1~V3でのcoved型ST上昇を認め,Brugada症候群によるVfが疑われ当科に緊急入院となった.入院後,リドカインやMg製剤の投与を行うも,PVCに引き続くVfが頻発した.このため,アミオダロン(AMD)の持続静注を開始したところ,それまで出現していたPVCが完全に消失し,Vfも認めなくなった.その後AMDの経口薬へ変更した.Brugada症候群に対するAMD投与例の約30%に突然死を認めるため,後日植込み型除細動器(ICD)植え込み術を行った.その後の外来経過観察にてもPVCはほとんど認めず,Vfの出現もない.本症例におけるVfはすべてR on Tに引き続いて出現しており,トリガーとなるPVCの抑制によりVfを予防することができたと考え,このような症例の初期治療としてAMDの静注薬は有用であると考えられた.
  • 松本 真, 小谷 英太郎, 吉田 博史, 堀江 格, 緒方 憲一, 田寺 長, 草間 芳樹, 新 博次, 堀江 稔
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 53-59
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は23歳,男性.既往歴,家族歴なし.午前7時ころ,就寝中に突然意識消失.救急隊が心室細動を確認,心肺蘇生を行いながら救命センターに搬送.低酸素脳症による視野狭窄を残すも低体温療法により全身状態改善,第22病日に精査目的で当科に転科.心肺蘇生直後の心電図では一過性に不完全右脚ブロック,V1,V2誘導のST上昇,QT延長(QTc 0,560秒)を認め,Brugada様心電図を認めたが経過とともにQTc 0.465秒に改善.血清電解質異常なし.心エコー図にて左右房室拡大なし,壁運動異常なし.冠動脈造影にて有意狭窄なし,アセチルコリン負荷試験陰性.LP陰性,TWAは陽性であった.電気生理学的検査で心室細動は誘発されず,Brugada症候群との鑑別のためピルジカイニド負荷試験を行うも陰性.以上より入院中に心室細動を来す原疾患を特定できなかったが,植込み型徐細動器植え込みを行った.後に遺伝子解析にてKCNQ1 W379Xの変異を認めLQT1と確定した.心室細動からの救命者で,確定診断に苦慮し遺伝子解析にてLQT1と確定し得たが,23歳で初発した就寝中の心室細動,およびW379Xの変異は従来の報告と異なりLQT1の非典型例と考えられた.
  • 吉賀 康裕, 清水 昭彦, 上山 剛, 沢 映良, 鈴木 慎介, 杉 直樹, 大宮 俊秀, 大野 誠, 吉田 雅昭, 松崎 益徳
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 60-64
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は25歳,女性.突然死の家族歴はない.幼少より労作時の失神歴がある.2006年7月運動中に心室細動(VF)となり自動体外式除細動器(AED)にて除細動され当院へ緊急搬送された.心電図上QTcは0.43秒で,T波の異常や前胸部誘導の上昇等はなかった.器質的心疾患はなく,運動負荷・ピルジカイニド負荷・TWA・遅延電位のいずれも陰性であった.心室頻拍誘発試験では無投薬およびプロプラノロール投与下ではVFは誘発不能であったが,イソプロテレノール投与下の右室心尖部からの2連期外刺激にてVFが誘発された.エピネフリン投与下では0.1γ でQTcはO.52秒へと延長し,0.4γ でshortlong-short sequenceでQTの著明な延長とともにVFが誘発された.本症例はVFの出現様式からLQTlと診断した.LQT1の診断にカテコラミン負荷が有用であり,交感神経の活性化がVFの基質に強く関与していることが示唆された.
  • 坂部 茂俊, 笠井 篤信, 後藤 至, 安冨 眞史, 角田 健太郎, 山中 崇, 大西 孝宏, 説田 守道
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 65-70
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    QT時間の延長と冠動脈起始異常が併在した心室細動(VF)からの蘇生例を報告する.患者は13歳,女子,既往歴に特記すべきものなく中学入学時の心電図でも異常は指摘されなかった.突然死の家族歴なし.2006年12月某日,バスケットボールの練習後に,突然意識消失を伴う痙攣が出現した.すぐに教員が心肺停止を確認,蘇生を開始し,救急隊によりVFを除細動された.蘇生直後から5日目まで著明なQT時間の延長(QTc 540msec)を認めた.QT時間は安静時には正常範囲内にあったが,エピネフリン負荷,運動負荷で容易に延長した.蘇生時,運動負荷時とも心エコー,心電図で虚血所見はなかったが冠動脈CTで左冠動脈が右冠動脈洞から発生していることが判明した.植込み型除細動器(ICD)植え込み,冠動脈バイパス術をいかに選択するか検討を加えたが蘇生時,運動負荷時に虚血がないこと,エピネフリン負荷時に著しいQT時間の延長が確認されたことからICDの植え込みを選択した.
  • 相澤 義房
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 71-72
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 三田村 秀雄
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 73-84
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • Takashi Yamada
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 85
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    From 1998 to 2004,180 patients were performed implantable cardioverter defibrillator implantation at a single center. Mean age was 67 and percent male waz 79%. Ischemic heart disease (IHD) was 59%, history of cardio-pulmonary arrest (CPA) was 40%. Severe reduced ejection fraction (LVEF below 30%) was 34%. Electro-physiological study (EPS) for the induction of ventricular arrhythmia was performed in 75% of all cases and of these,61% of cases resulted in positive study. Mean follow up period was 651 days and appropriate discharge (including anti-tachycardia pacing)occurred in 36 cases (20%). Positive EPS could not significantly predict appropriate discharge in both CPA group (32.3%/31.3%; posi/nega p=0.9984) and non-CPA group (20.4%/10.5%; posi/nega p=0.2082). And also in both IHD group (26.8%/21.9%; posi/nega p=0.6038) and non-IHD group (21.2%/9.5%; posi/nega p=0.2621). But in all patients, history of CPA could significantly predict appropriate discharge (27.9%/15.7%; p=0.0452). In conclusion, electro-physiological study might not be a major predictor for appropriate discharge after implantable cardioverter defibrillator implantation.
  • 古嶋 博司, 池主 雅臣, 小村 悟, 飯嶋 賢一, 岡田 慎輔, 保坂 幸男, 相澤 義房
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 86-90
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性.大酒家.拡張型心筋症(DCM)による低心機能(左室駆出率:34%)と失神を伴う非持続性心室頻拍を有することより植込み型除細動器(ICD)治療が施行された(Micro Jewel II).飲酒が誘引による心不全のため心室頻拍(VT)が生じ,2回にわたり10回/時間以上の重度のICD頻回作動(severe electrical storm;ES)となった.3回目のES時,ICD電池が急速に消耗し電池電圧は寿命末期(end of life;EOL)となっており,VTに対してICD治療がされていなかった,本症例の電池電圧は,2回のsevere ES後,3回目のES直前のICDチェックにおいてもelective replacement indication(ERI)に達していずプラトー期であり,ERI時期を経ずEOLとなった.本症例のような事例は以前に報告がなく,重篤なESの既往を持つ症例におけるICD交換時期について十分考慮する必要があると思われた.
  • 堺 勝之, 中村 彰, 田村 雄助
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 91-94
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.ファンコニー症候群のため透析中であった.右肩鍵盤断裂のため当院の整形外科で関節鏡手術を受けた.術後16日目の透析中に心室細動(VF)を発症し自動体外式除細動器で徐細動した後ICUに収容した.ICU入室時は不穏状態であったため鎮静し,透析後でKが2.9mEq/Lと低値であったためKとMgを補充したが,エレクトリカルストームとなった.人工呼吸管理として約96分間心臓マッサージを行いながら,除細動を頻回に繰り返したがVFが持続した.ニフェカラント持続静注を行いさらに,右内頸静脈よりHR=150/分で高頻度ペーシングを行うことによりVFは抑制された.後に植込み型除細動器(ICD)の植え込み目的で転院となった.
    透析患者に発生したエレクトリカルストームに対してニフェカラント静注と高頻度ペーシングの併用が有効であった症例を報告する.
  • 杉山 裕章, 相良 耕一, 大塚 崇之, 山下 武志, 平野 景子, 朝田 一生, 山田 純也, 御厨 彰義, 田邉 大明, 澤田 準, 傅 ...
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 95-101
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.拡張型心筋症および慢性腎不全にて他院フォロー中であったが,2007年6月に透析中に心室細動(VF)を発症し電気的除細動で蘇生された.心臓突然死2次予防の植込み型除細動器(ICD)適応とされ当院紹介された.著明な心拡大・心機能低下を伴う有症候性心不全(NYHAクラスIII)を考慮し両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の方針とした.術前の静脈造影にて左上大静脈遺残が確認されたため右側胸部植え込みを余儀なくされた.除細動閾値(DFT)テスト時に誘発されたVFは最大出力(30J)でも停止不能であり,以後,高出力デバイス(36J)への交換,プログラミング変更(極性変更,リード先端位置変更,上大静脈コイル除外,active can機能中止,除細動波形調節),皮下アレイ植込みなどを順次施行したが確実な除細動は得られず体外式除細動を要した.本症例は今後その使用増加が予想されるCRT-D治療において示唆に富むhigh DFT症例であると考えられるため報告する.
  • 三好 史人, 伊藤 啓之, 小貫 龍也, 箕浦 慶乃, 河村 光晴, 浅野 拓, 丹野 郁, 小林 洋一
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 102-106
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心臓再同期療法(CRT)の催不整脈作用は不明な点が多い.今回われわれは,CRT導入後に頻発し心室頻拍(VT)にCRTの催不整脈作用が疑われた1例を経験した.
    症例は虚血性心疾患(重症三枝病変)の男性.薬剤抵抗性の心不全で,非持続性心室頻拍(NSVT)と心室収縮の非同期性を認め,CRT-D導入した.心不全改善の面でCRTは著効したが,CRT導入後からVT頻発し,ICD頻回作動した.VTは左脚ブロック-上方軸型の単形性VTで,心拍数210/分であった.Transmural dispersion of repolarization (TDR)がCRT導入後からVT出現時にかけて80msから150msに延長していたことから,CRTで貫壁性再分極時間のばらつきが増大したと考えられ,CRTの催不整脈作用と思われた.
  • 小船 雅義, 渡辺 一郎, 芦野 園子, 奥村 恭男, 高木 康博, 山田 健史, 小船 達也, 大久保 公恵, 橋本 賢一, 進藤 敦史, ...
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 107-114
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例1:68歳,女性.意識消失発作を起こし,家人が救急車を要請.救急隊到着時に心室細動(VF)を認め,電気的除細動にて蘇生され当院救命センターに搬送された.心エコー図上,心室中部中隔に著明な肥厚が認められた.冠動脈造影上,有意狭窄は認めず,左室造影では収縮期に左室中部の閉塞を認め,中部閉塞性肥厚性心筋症と診断した.心臓電気生理学的検査(EPS)では右室心尖部よりの3連早期刺激にてVFが誘発されたため,植込み型除細動器(ICD)の植え込みを施行した.
    症例2:バスの中で意識消失し心肺停止となり,同乗者によるBLSにて心拍再開し当院救命センターに搬送された.心エコー図上,左室の著明な肥厚を認めた,冠動脈造影では有意狭窄は認められず,左室造影では左室心尖部と流出路間が収縮期に閉塞し,100mmHgの圧格差を認めた.EPSでは右室心尖部からの3連続刺激にてVFが誘発された.本症例はICDの同意が得られず,内服薬にて経過観察中である.
  • 澤田 三紀, 大友 建一郎, 中村 知史, 高山 啓, 大坂 友美子, 大西 健太郎, 栗原 顕, 小野 裕一, 清水 茂雄, 磯部 光章
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 115
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,男性.2007年2月8日運動中突然意識を失い卒倒した.救急隊現着時モニターで心室細動を認め電気的除細動施行,自己心拍が再開し当院救急搬送された.来院時胸部X線では心拡大,心エコーでは非対称性中隔肥厚を認め,流出路圧較差を認めず非閉塞性肥大型心筋症と診断した.意識障害は遷延しており人工呼吸管理と低体温療法を開始した.その後心室性不整脈を認めず意識レベルも徐々に回復した.3月9日冠動脈造影およびアセチルコリン負荷テストを施行したが異常を認めず,電気生理学的検査ではβ遮断薬とアミオダロンの内服下で非持続性心室頻拍を認めるのみだった.若年発症で著明な心肥大が見られることから突然死2次予防の必要性が高いと思われた.植込み型除細動器(ICD)の適応と考え,3月19日ICDの植え込みを施行した.その後外来にて運動負荷試験を施行をしたが不整脈の発生は見られず,慎重に経過観察中である.
  • 矢崎 義直, 五関 善成, アブライテ・ アブラ, 荒田 宙, 森崎 倫彦, 石山 泰三, 山科 章
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 116-120
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    57歳,男性.下血精査の内視鏡で大腸癌を指摘され手術を予定した.以前より眩暈の訴えがあり,術前にHolter心電図を施行したところ5秒の洞停止を認めペースメーカ植込み術(DDD)を施行した.その後全身麻酔下で腹腔鏡下大腸切除術を施行.電気メス使用のためペースメーカの設定をDOOに変更した.腹腔鏡を挿入し気腹後にモニター上ST上昇を認め,R on T PVCから心室頻拍が誘発され,心室細動に移行した.直ちに電気的除細動を施行したが改善せず,計6回の除細動およびアミオダロン静注にて洞調律を維持しえた.心電図上依然ST上昇を認めたため心臓カテーテル検査を施行.冠動脈には有意狭窄はなく,左室造影でたこつぼ様の壁運動異常を認めた.IABPを挿入後,全身管理を行った.10日後の心臓超音波では壁運動はほぼ正常であった.今回,腹腔鏡手術中に心室細動を起こし,たこつぼ型心筋症を発症した1例を経験したので報告する.
  • 前濱 智子, 林田 晃寛, 久米 輝善, 和田 希美, 渡邉 望, 根石 陽二, 川元 隆弘, 豊田 英嗣, 大倉 宏之, 吉田 清
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 121-126
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.1997年から全身性強皮症と診断され,加療されていた.膠原病性肺高血圧症が急速に進行し,2006年から在宅酸素療法およびボセンタンを導入された.2007年6月,自宅で突然心肺停止となった.家人による心臓マッサージを受け,救急隊が装着した自動体外式除細動器(AED)にて心室細動が確認され,除細動2回目で心肺停止から約25分後に自己心拍の再開を認めた.来院時GCS:1-1-1で除脳姿勢を呈していたが,軽度低体温療法を行った結果,若干の記憶障害が残るものの,意識はほぼ清明となるまで回復した.原因検索の際の冠動脈造影検査にて虚血性心疾患は否定されたため,全身性強皮症の心病変による心室細動であったと診断し,植込み型除細動器を植え込み,約1カ月後に退院した.今回われわれは,強皮症による心筋障害が原因と思われる心室細動をきたし,AEDにて蘇生された貴重な症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
  • 河合 勇介, 渡邊 敦之, 細谷 武史, 川合 晴朗, 杉山 弘恭, 橋本 克史, 中濱 一, 山田 信行
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 127-131
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.生来健康であったが,2007年7月16日に胸部不快感,全身倦怠感を主訴に近医受診.急性心不全の診断にて当院へ救急搬送となった.来院時の血圧は102/56mmHg,心拍数は104/分,整であり,意識は清明であった.心電図ではQRS幅の延長を認め,胸部X線では心拡大と両肺野のうっ血を認めた.心エコーでは左心室壁運動は全周性に著明に低下しており,まずは心不全の加療を開始したが,カテコラミンへの反応も乏しく,血圧は徐々に低下傾向となり,人工呼吸を開始し,PCPSを挿入した.冠動脈造影では冠動脈に有意狭窄は認めなかった.心電図上のQRS幅は経過とともに急速に延長傾向となり,PCPS挿入後ICUに帰室した時には心室細動であった.電気的除細動を3回行ったが心室細動は停止せず,その後はモニター上心停止状態であった.Pacing,IABPによる機械的循環補助も開始し,γ-グロブリン5g/日の投与も開始した.第3病日にCHDFを開始,第5病日よりステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロンlg/日)を3日間施行.第6病日より徐々に血圧が上昇し始め,第8病日に心拍の再開を確認することができた.第9病日にPCPSから離脱,第16病日には人工呼吸器から離脱した.長期間の心拍停止状態から救命・社会復帰しえた貴重な1例であり,報告する.
  • 安田 聡, 高橋 潤, 下川 宏明
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 132-137
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.2007年1月午前8時ころ出勤途中の駅で突然倒れ,居合わせた医師が心肺蘇生(CPR)を施行.モニター装着時心室細動(VF)で自動体外式除細動器(AED)による除細動が行われ心拍再開.近医搬送後緊急冠動脈造影(CAG)が施行されたが有意狭窄は認められなかった.しかしながら低体温療法中に再度VFとなり,除細動後の心電図でST上昇が認められたため2月精査加療目的に当科紹介となった.アセチルコリン(Ach)負荷試験では,左前行枝・回旋枝ともに完全閉塞となり,胸痛・心電図変化を伴い冠攣縮性狭心症と診断した.後日施行したEPSにおけるイソプロテレノール負荷下のプログラム刺激ではVT/VFは誘発されなかった,Ca拮抗薬(2剤)・硝酸薬・ニコランジル投与1カ月後再度Ach負荷試験を施行したが前回と同様の結果であった.治療抵抗性冠攣縮と考えスタチンを追加投与するとともに最終的に植込み型除細動器(ICD)植え込みを行った.重症冠攣縮性狭心症に伴うVFに対するICD適応については今後検討を重ねていく必要があると思われる.
  • 田中 正道, 野坂 和正, 多田 毅, 福家 総一郎, 西井 伸洋, 永瀬 聡, 岡 岳文, 草野 研吾, 大江 透, 河野 康之, 小松原 ...
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 138-143
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    49歳,男性.マラソン中に心肺停止となり,救急車内で心室細動(VF)に対し電気的除細動を行い洞調律に回復した.心筋シンチグラフィで心筋虚血所見は認めなかったが,運動負荷心電図検査では陽性であった.冠動脈造影では右冠動脈近位部(#1)に75%狭窄を認め,アセチルコリン負荷にて#1に99%狭窄が出現し,胸痛と心電図変化を認めた,VF発生に冠攣縮による心筋虚血の関与が考えられたため,Ca拮抗薬の投与に加え,#1の器質的狭窄に対してステントを留置した.後日行った電気生理学検査ではVFは誘発されず,再度アセチルコリン,エルゴノビン負荷テストを施行したが,冠攣縮は誘発されなかった.ステント留置と冠拡張薬内服により心筋虚血が抑制されればVFの出現する可能性は低いと考え,ICD植え込みは施行しなかった.
    冠動脈の器質的狭窄に冠攣縮を伴ってVFを発症し,ステント留置と薬物投与にて加療した1例を経験したので報告する.
  • 仲井 盛, 水澤 有香, 小宮山 浩大, 北條 林太郎, 高野 誠, 小田切 史徳, 弓場 隆生, 久次米 真吾, 辰本 明子, 大塚 信一 ...
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 144-147
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.17年前に急性前壁心筋梗塞を発症し,低心機能による心不全増悪にて前医に入退院を繰り返した.2007年7月心室頻拍(VT)を契機とした心不全で1カ月入院.VT(120bpm,右脚ブロック上方軸)は薬剤抵抗性で心不全が改善しないため,アブレーション目的に当院へ転院した.転院時より腎不全急性増悪,肺炎合併による全身状態悪化を認め,人工呼吸器,IABP,PCPS,CHDFのサポート下に緊急アブレーションを行った.CARTOを用いactivation mapを作成,concealed entrainment,PPI,s-QRSを指標に回路を同定し左室前壁に認めたリエントリー回路の出口と考えられる部位で通電を行った.VTは通電中に停止し,誘発不能となった.集中治療を継続したが全身状態改善せず,永眠された.
    本例では救命に至らなかったがVTアブレーションは有効な治療であり,VTによる心不全で治療に難渋する例は早期にアブレーションを行うことで病状の改善が期待できる.
  • 三輪 陽介, 池田 隆徳, 米良 尚晃, 榊 桂, 宮越 睦, 石黒 晴久, 塚田 雄大, 阿部 敦子, 中村 健太郎, 柚須 悟, 信太 ...
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 148-155
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞などの経過中に心室細動/心室頻拍(VF/VT)によるelectrical stormをきたした場合,治療抵抗性となりしばしば致命的な転帰をたどる.われわれはこのようなelectrical stormに対して,静注用の超短時間作用型β1遮断薬ランジオロールの効果を検討している.ランジオロールの投与は漸増法で行っており,こうすることで副作用としての血圧低下を最小限にとどめている.これまでの評価では,18例中15例(83%)で薬剤抵抗性のVF/VTの抑制に成功している(対象例のうち9例は最終的には多臓器不全などで死亡).実際の使用方法と経過について,ランジオロールが有効であった74歳,女性の実例を呈示した. この症例は, ランジオロールが奏効する場合の典型的な症例であったといえる.ランジオロールは重症心疾患に合併したVF/VT によるelectrical stormの抑制に有効と考えられ,今後,症例数を増やし,その有用性をさらに評価していく予定である.
  • 網野 真理, 吉岡 公一郎, 山際 武志, 守田 誠司, 山本 理絵, 飯塚 進一, 大塚 洋幸, 島牧 義, 杉本 篤彦, 神田 茂孝, ...
    2008 年 40 巻 Supplement3 号 p. 156-161
    発行日: 2008/07/30
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    致死性心室性不整脈に対する薬物治療は,抗不整脈薬を使用する以外に心臓交感神経ブロック療怯がある.心臓交感神経をブロックする方法は一般には,βブロッカー静注薬の投与と左星状神経節ブロック(LSGB)の2種類があげられる.今回われわれは,βブロッカー静注薬と塩酸ニフェカラント(NIF)を併用しても除細動不可能であったelectrical stormに対して,LSGBとNIFを併用し除細動に成功した症例を経験したので報告する.症例は22歳,男性,院外心肺停止例.救急隊現場到着時,心室細動(VF)であったため,電気的除細動を施行され洞調律へ回復.当病院到着後,多源性の心室頻拍(VT)の再発を何度となく繰り返し,塩酸リドカインあるいはNIF投与と電気的除細動および心臓マッサージを繰り返したが,難治性であった.心肺蘇生中,経皮的心肺補助装置を併用しながら,高カリウム血症に対して血液透析を施行した.VT/VFはelectricalstormに移行したため,塩酸プロプラノロール,硫酸マグネシウム,経皮的ペーシングなどを併用して除細動を試みるも,除細動効果は一時的でありVFコントロールは困難を極めた.およそ12時間の心肺蘇生術を継続後,最終的にLSGBおよびNIFの併用により除細動に成功し,その後VT/VFの再発を認めることはなかった.
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