心臓
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41 巻, 1 号
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Open HEART
HEART’s Selection (心肺蘇生法を科学する)
HEART’s Original
臨床研究
  • 佐伯 知昭, 若見 和明, 坂田 成一郎, 山下 純世, 浅田 馨, 福田 英克, 向井 誠時, 北田 修一, 森本 高太郎, 鈴木 章古, ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 1 号 p. 31-33
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    腎障害を伴う心不全患者におけるカルペリチドの腎への効果は不明な点が多い. われわれは8名の症候性顕性心不全患者にカルペリチドとフロセミドの単独ならびに併用療法の腎への作用を比較した. 4名はフロセミド20mg/日の静脈注射を, ほかの4名はカルペリチド0.025µg/kg/分の持続静脈注射を, おのおの24時間にわたり行った後, 異なる日に8名すべての患者に同じ用量の両薬剤を24時間にわたり併用し, おのおの24時間蓄尿検査を行いクレアチニン·クリアランスと尿中ナトリウム排泄量と尿量を測定した. カルペリチド単独療法はフロセミド単独療法に比べ, 24時間尿量に有意な影響を与えずに(855±306mL対1,216±884mL, p≥0.1)24時間尿中ナトリウム排泄量を有意に増加した(120±25mmol/g·Cre対73±9mmol/g·Cre, p<0.01). カルペリチドとフロセミドの併用療法は各単独療法に比べ, 24時間尿中ナトリウム排泄量(260±104mmol/g·Cre)と24時間尿量(1,603±343mL)の両方を有意に増加した(各p<0.05). この併用効果は血圧に影響を与えずクレアチニン·クリアランスが低くても(112mL/分から18mL/分, 平均44±20mL/分)明らかであった. 以上より併用療法は, さまざまな腎機能を有する心不全患者の尿中ナトリウム排泄を促進することにより治療に寄与できる.
Editorial Comment
症例
  • 山田 健志, 北嶋 宏樹, 宮井 伸幸, 中村 玲雄, 入江 秀和, 木下 法之, 橋本 哲男, 田巻 俊一
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 男性. 2005年1月に狭心症に対し冠動脈造影を行ったところ, 右冠動脈の完全閉塞を認めたために経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行. その際にsirolimus-eluting stent(SES)を留置し, アスピリンとチクロピジンの投与を開始した. 半年後の冠動脈造影ではステント内再狭窄を認めなかったため, チクロピジンの投与を中止し, その後はアスピリンによる単剤抗血小板療法を継続していた. 以降, 症状なく経過していたが, 2007年4月に突然の持続する胸痛にて当院受診. 緊急冠動脈造影を行ったところ, 右冠動脈ステント留置部位の閉塞を認めたため, 急性心筋梗塞の診断にて血栓吸引およびPCIを施行した.
    SES留置後2年3カ月でvery late thrombosisにより急性心筋梗塞を発症した1例を経験した. PCIを施行したときの血管内超音波(intravascular ultrasound; IVUS)所見よりstent malappositionの可能性が示唆され, 血栓症の原因としてstent malappositionやチクロピジン投与の中止が関与している可能性が考えられた.
Editorial Comment
症例
  • 杉山 英太郎, 竹中 孝, 井上 仁喜, 藤田 雅章, 蓑島 暁帆
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    症例は73歳, 女性. 1996年より心不全·高血圧·心房細動にて, 当科外来に通院中であったが, 2006年10月ごろより労作時に胸部圧迫感を自覚するようになり, 2007年2月精査目的で当科に入院した. アデノシン負荷Tl心筋シンチグラフィ上, 前壁中隔から心尖部にかけて集積低下を認め, 同部位に再分布を認めた. 冠動脈造影では, 左冠動脈前下行枝および右冠動脈に75%狭窄を認め, また, 左冠動脈回旋枝末梢に, 直径4mm大の状冠動脈瘤を認めた. 左前下行枝75%狭窄に経皮的冠動脈インターベンションを施行し, 胸部圧迫感は消失した. 冠動脈瘤に関しては, 外科的手術やコイル塞栓などのカテーテル治療を検討したが, 破裂の危険性が不明であること, 血管が細く治療に伴う冠閉塞や冠動脈穿孔の危険性が高いと考えられたことから, 経過観察とした. 本症例の冠動脈瘤は, 冠動脈側枝の末梢という稀な部位に存在しており, 治療方針の決定に苦慮したので報告する.
Editorial Comment
症例
  • 平林 朋子, 田中 睦郎, 片山 雄三, 関 宏, 川瀬 康裕, 和田1 直樹, 安藤 誠, 高橋 幸宏, 朴 仁三
    原稿種別: 症例報告
    2009 年 41 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    症例は生後4カ月, 女児. 生直後より心不全を認め, 心エコー上の診断は, 左室低形成を伴う完全型房室中隔欠損, 両大血管右室起始症および著明な左室収縮能低下を伴う拡張型心筋症であった. 生後1カ月よりカルベジロールを導入するも効果がみられず, 心不全症状は増悪. カテーテル検査にて, 拡大した左室がdamping chamberとなって, 右室からの心室拍出量を減少させており, 外科適応と考えられた. 啼鳴時に急変し, 挿管, ICU管理となり, 人工呼吸管理, ミルリノン投与下で当院転院. 著明に拡張し収縮能の低下した左室が右室からの全身への心拍出を減少させていると考えられ, 収縮能の改善と心拍出の障害を改善させるため, 入院2日目に心室縮小形成手術を施行. 術後心機能が改善したところで, high flow, 両心室のdyssynchronyに対し, 両方向性グレン手術および両心室ペーシングを行った. その後経過良好にて引き続きフォンタン手術を予定し, 退院となった. 心室縮小手術による心機能改善がその後の治療継続のために必要であった症例と考えられた.
症例
  • 山崎 元成, 井澤 智明, 山本 平, 丹原 圭一, 菊地 慶太, 天野 篤
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全, 不安定狭心症の患者に対し, 冠動脈バイパス術を行った際, 膿胸を契機に非閉塞性腸管虚血を発症した1例を経験したので報告する. 症例は63歳, 男性. IgA腎症の悪化により10年前から慢性腎不全となり, 血液透析中であった. 不安定狭心症の診断にて冠動脈造影が施行され前下行枝, 回旋枝と右冠動脈の3枝閉塞病変を認めたため, 全身麻酔下, 心拍動下に6枝冠動脈バイパス術, 肺静脈隔離術が施行された. 術後経過に問題はなかったが, 第9病日, 炎症反応が上昇し, 胸腔ドレーン, 血液培養からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(mechicillin-resistant staphylococcus aureus; MRSA)が検出され膿胸, 菌血症と診断された. 第11病日に敗血症性ショックとなるも, 持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration; CHDF)により血行動態, 炎症反応は一時的に改善していた. 第16病日に腹部膨満感, 腸蠕動音の低下が認められ, 第17病日に, 心房細動から突然, 心停止を生じたため, エンドトキシン吸着を行ったが, 第19病日に死亡した. 経過中に心機能の低下, 腹部膨満の所見, 代謝性アシドーシスの進行を認め, 死因の究明のため剖検を行った. 剖検所見では, 冠動脈バイパスグラフトの閉塞所見は認められなかった. 腹腔内所見としては, 広範囲な小腸壊死を認められたが, 上腸間膜動脈, 腹腔動脈には血栓, アテロームなどによる明らかな閉塞所見はなく, 非閉塞性腸管虚血(non-occlusive mesenteric ischemia; NOMI)と診断された.
    MRSA膿胸から敗血症を併発し, septic shockによるhyperdynamic stageとなり臓器灌流障害が進行した結果, NOMIを発生したと考えられた.
    高齢, 慢性腎不全などリスクの高い症例では, 敗血症などを契機に血行動態に変化がないまま内臓臓器に灌流障害が進行することがあり, 腹部所見に留意し, NOMIを念頭に早急に対処すべきであると考えられた.
Editorial Comment
症例
  • 皿澤 克彦, 中野 顕, 川人 充知, 荒川 健一郎, 宇隨 弘泰, 見附 保彦, 上田 孝典, 李 鍾大
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 1 号 p. 62-66
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    症例は30歳, 男性. 健康診断のため近医受診し, 心電図検査を受けた直後に突然意識消失.
    心室細動を認め, 心肺蘇生が施された. 電気的除細動を含む約40分の心肺蘇生にて洞調律に回復し, 当院に搬送された. ICU入室しカテコラミンの大量投与などにて入院3日目に人工呼吸器を離脱, 当初みられた低酸素脳症による記銘力障害も, 約2週間で全快した. 健診の心電図では全誘導にJ waveを認め, 入院後は日内変動を伴うV1,2でのsaddle-back型からcoved型へのST上昇を認め, Brugada症候群を疑った. 入院約4週間後に植込み型除細動器の移植術を施行した. 発作直前を含めて経時的に特異な心電図変化を認めた, 特発性心室細動蘇生成功症例を経験した.
症例
  • 長尾 強志, 伊藤 一貴, 鶴山 幸喜
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    症例は73歳, 女性. 驚愕の後に胸部圧迫感が出現したため来院した. 心電図ではIII, V3, 4誘導で軽度のST低下を認め血液学的検査では異常所見は認められなかったが, 断層心エコー図では心室中部に無収縮が認められた. 冠動脈造影で有意狭窄は認められなかったが, 左室造影では心尖部および心基部の過収縮, 心室中部の無収縮が認められた. 経時的な血液検査でも心筋逸脱酵素値の有意な上昇は認められず, 第2病日の心電図ではI誘導でT波の平低化, V4誘導で軽度のST低下を認めるのみであった. しかし, 第3病日には広範な誘導で陰性T波が認められた. 第3病日の99mTc-Tetrofosmin心筋シンチグラフィでは左心室中部に集積低下所見が認められた. 心電図および壁運動の異常は第7病日で正常化した. 経過から本症例は, いわゆる逆たこつぼ心筋障害と考えられたが, 急性期の心電図変化に乏しい症例であった. このような所見は報告がなく非常に稀な病態と考えられた.
症例
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