心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
41 巻, 4 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
Open HEART
HEART’s Selection(心臓病をもった女性の妊娠と分娩)
HEART’s Original
基礎研究
  • —血圧調節におけるレニン·アンジオテンシン系の関与について
    吉賀 正亨, 小宮山 豊, 高橋 伯夫
    2009 年 41 巻 4 号 p. 401-404
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    高血圧の発症メカニズムとして内因性ジギタリス様物質(endogenous digitalis-like factor; EDLF)がナトリウムポンプ抑制活性を介して関与すると考えられている. EDLFの研究は植物由来のouabain(OUA)でナトリウム代謝や血圧上昇メカニズムの解明が行われてきたが, 近年EDLFの中で両生類から分離精製されたmarinobufagenin(MBG)が注目を集めている. われわれは, MBGの関連物質の1つであるMBGにスベロイドアルギニンがエステル結合したmarinobufotoxin(MBT)が哺乳類に存在し, その昇圧作用を, ラットを用いて証明し報告している. 今回, MBTの高血圧発症およびレニン·アンジオテンシン系との関連を解明するため自然発症高血圧ラット(spontaneously hypertension rats; SHR)を用い検討した. その結果, アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)を投与して降圧した群ではcontrol群と比べ血中MBT濃度の有意な低下が見られた.
    さらにcontrol群では開始前と比べ2, 4週で尿中MBTの増加を認め, ARBを投与して降圧した群では尿中MBTの増加は見られなかった. これらの結果から, SHRの血圧調節機構にもbufadienolide特にMBTの関与が考えられ, さらにその調節にRAS, 特にアンジオテンシンIIの関与が示唆された.
    これらの結果はヒトにおいても本態性高血圧でEDLFの関与を解明する糸口になるとともに, ARBがEDLFの分泌調節をする新たな降圧メカニズムを示唆する結果と考える.
臨床研究
  • 武田 淳史, 近藤 照彦, 武田 信彬, 岡田 了三, 小林 功
    2009 年 41 巻 4 号 p. 405-412
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    今から, 20数年前, 当時の林野庁長官の提唱で始まった「森林浴」活動が, エコロジーの復活とともに日本各地で広がりを見せている. また最近では, メタボリック症候群の予防を目指し, ドイツをはじめとするヨーロッパ同様に森林散策やウオーキングに励む人々が増加している. 森林浴は, 森の中で清浄な空気を呼吸し, 適宜に運動を交えて心身の休息をはかる健康法といわれている. 一般に, 森林浴を行うと気分が爽快となりリラックスすることができる. 本研究では, 19名(男性11名, 女性8名)の健康高齢者を対象に, 群馬県利根郡川場村の森林, および非森林田園地帯を1時間散策し, その前後における血圧, POMS心理検査, NK細胞活性, および血中コルチゾール濃度を測定した. また併せて, 森林の大気分析を行い, 樹木から発散されるテルペン類などフィトンチッド成分を測定した. その結果, 川場村森林地帯での森林浴の前後比較にて, 血圧の有意な低下, 心理テストにおける憂うつ感の減少, 血中コルチゾールの減少が認められ, 被験者が森林浴後にリラックスすることが判明した. 川場村における森林浴研究の結果から, 心理学的, また生理学的に森林浴が癒しと健康をもたらす効果を持つ可能性が示唆された. また, この調査地, 川場村森林地帯からは, 青葉アルコールと呼ばれるキセノールが高濃度に検出されており, 近年ストレスや疲労感の軽減に役立つ物質として注目されている. 今後は, 各種感覚器に対する森林浴の作用を詳細に調査していく必要があると考えている.
臨床研究
  • 杉江 和馬, 埜中 征哉, 西野 一三
    2009 年 41 巻 4 号 p. 413-418
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    Danon病はX連鎖性優性遺伝形式の稀な疾患でLAMP-2遺伝子変異を有する. 病理学的には, 筋細胞内の特異な自己貪食空胞を特徴とする. 最近, 肥大型心筋症の原因の1つとして注目されているDanon病患者の心筋障害について臨床的特徴を見出すべく検討を試みた. 遺伝学的に確立したDanon病患者17家系51例(男性27例, 女性24例)を対象に心筋障害について臨床的に検討した. 男性患者ではミオパチ, 精神遅滞, 心筋障害が3主徴で, 女性患者は主に心筋障害のみを呈した. 調査した患者全例で心筋症を認め, 発症年齢の早い男性では大半が肥大型で, 一方発症の遅い女性では拡張型が多かった. 心電図では左室高電位とWPW症候群が高頻度にみられ, そのほか異常Q波, 房室ブロックを認めた. ペースメーカーは男性6例, 女性3例に植え込みされ, 根治療法となる心臓移植は男性2例, 女性2例で施行された. Danon病では心筋細胞内での自己貪食空胞の増加やグリコーゲンの貯留により, 過剰な房室伝導や心予備能の低下をきたすことが示唆される. 心筋障害は, 本疾患の予後を規定するきわめて重要な因子である. Danon病患者は, ミオパチが軽度であるため, しばしば心筋障害で発見されることがあり, その臨床的特徴を知ることは有意義である.
Editorial Comment
症例
  • 義久 精臣, 宮田 真希子, 半田 裕子, 三阪 智史, 水上 浩行, 山田 慎哉, 高橋 裕志, 安藤 勝也, 佐藤 崇匡, 待井 宏文, ...
    2009 年 41 巻 4 号 p. 422-429
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    症例は40歳代, 男性. 出血性脳梗塞を発症し前医に入院, 同院での心エコー図検査にて僧帽弁前尖および後尖に15mm大の疣贅および僧帽弁閉鎖不全症を認め, 感染性心内膜炎の疑いで当院へ転院となった. 転院時, Japan Coma Scale(JCS)20, BP 60mmHg台とショック状態であり, 敗血症, 播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome; DIC), 脾腫, 脾塞栓症, 腎塞栓症を合併していた. 抗生物質(IPM/CS, CLDM)投与, エンドトキシン吸着療法など内科的加療を実施し, 全身状態は改善傾向にあったが, 5病日に突然の出血性ショックをきたし, 死亡した. 病理解剖で脾梗塞を伴う脾破裂および腹腔内出血を認めた. 感染性心内膜炎に脾破裂を合併した例は希少なため, 報告する.
症例
  • 赤司 良平, 芦澤 直人, 恒任 章, 瀬戸 信二, 前村 浩二
    2009 年 41 巻 4 号 p. 430-436
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    背景: 血漿BNP値は心不全の診断·予後規定因子として確立した体液性因子である. しかし, 心不全を合併した甲状腺機能低下症における, 甲状腺ホルモン補充療法に伴う血漿BNP値の推移は明らかではない.
    症例1: 61歳, 女性. 幼少期より低身長, 言語緩慢があるも月経は発来し50歳で閉経. 股関節痛と著明な心拡大を主訴に来院. モザイク型ターナー症候群による原発性甲状腺機能低下症と診断. Levothyroxine sodium(チラーヂンS®)漸増投与により大量の心液は消失し, 甲状腺機能の正常化とともに血漿BNP値は治療前46.7pg/mLから100~300pg/mLに上昇し推移している.
    症例2: 86歳, 女性. 嗄声, 下腿浮腫が出現し, 甲状腺機能低下に対しチラーヂンS®を投与し, 血漿BNP値は治療前13.4pg/mLから70~150pg/mLに上昇し推移している.
    考察·結論: 甲状腺機能低下症では, 心不全が存在するにもかかわらず, 血漿BNP値は正常であった. 甲状腺ホルモン補充療法により, 心不全の改善とともに血漿BNP値は逆に上昇した. BNP遺伝子の転写開始点より上流約1kbにはTREが2カ所認められ, 甲状腺ホルモンが直接BNPの転写活性を高めているという報告がある. よって, 甲状腺機能低下症例においては, 血漿BNP値を心不全の診断および治療効果判定に使用するにあたっては注意が必要である.
症例
  • 須甲 正章, 大畑 純一, 寺澤 史明, 遠藤 淳子, 三上 晴克, 藤田 美悧, 大谷 則史, 松木 高雪
    2009 年 41 巻 4 号 p. 437-442
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    症例は58歳, 女性. 2006年1月ごろより労作時息切れと咳, 動悸が持続するため当院受診. 聴診にて収縮期雑音を認めた. 胸部X線検査では心胸郭比49.7%, 初診時の心電図は正常洞調律で明らかな異常は認めなかった. 血液一般検査ではHb 6.7g/dLと高度の貧血を認めた. 経胸壁心臓超音波検査を施行したところ, 右室流出路前壁に付着する29×24mmの球状腫瘤を認めた. 腫瘤の辺縁は整で, エコー輝度は心筋とほぼ同程度であった. カラードプラ上は腫瘤の周囲に乱流はなく, 右心負荷所見は認めなかった. 主訴である労作時息切れは貧血の影響が大きいと考えられるが, 腫瘤の破綻による塞栓症や腫瘤増大による右心不全の危険性もあるため, 摘出術を施行した. 術中所見では右室流出路前壁に23×20×20mmの表面平滑な腫瘤を認めた. 心筋との境界は明瞭であった. 病理組織検査で悪性所見はなく, 心臓血管腫と診断された. 心臓血管腫は悪性を含めた原発性心臓腫瘍の約2%といわれている. 右室流出路原発の心臓血管腫という稀な症例を経験したので, 心臓超音波検査所見を中心に報告する.
症例
  • 中根 志保, 沖 淳義, 薄葉 文彦, 桐山 誠一, 浜田 俊之, 野村 文一, 遠藤 真弘
    2009 年 41 巻 4 号 p. 443-448
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    左冠動脈肺動脈起始症は先天性心奇形の0.3%を占める極めて稀な疾患である. 本症には側副血行路の発達が悪く, 無治療では生後1年以内に約90%が心筋虚血や致死的心室性不整脈などで突然死するといわれている乳児型と, 側副血行路が発達し無症状で小児期を経過し, 成人になってから発見される成人型がある. 成人型は本症の約10%を占めるとされるが, 今回, 高齢にいたるまで無症状であった本症を経験し, 稀な症例と考えられたので報告する. 症例は70歳, 女性. 労作時息切れにて当院循環器科を受診した. 心エコーでは左心房, 左室の拡大, 心収縮率の低下, 左室壁運動の低下, 僧帽弁逆流症が認められた. 冠動脈造影では, 右冠動脈は約8mmと著明に拡張し, 発達した側副血行路を介して左前下行枝が逆行性に造影された後, 主肺動脈への造影剤の流入がみられた. 以上より左冠動脈は主肺動脈より起始していることが判明し, 僧帽弁形成術, 左冠動脈主幹部移植術, 三尖弁形成術を施行し, 退院した.
症例
  • 藤本 学, 打越 学, 藤田 崇志, 木山 優, 桶家 一恭, 山本 正和
    2009 年 41 巻 4 号 p. 449-455
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    心不全に伴う睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome; SAS)に対する治療には, 夜間の酸素療法(home oxygen thrapy; HOT)があり, 一定の評価が得られている. しかし, 重症の心不全例においてHOTのみでは心不全の十分な改善が得られない場合があり, 非侵襲的陽圧人工呼吸器(non-invasive positive pressure ventilation; NIPPV)の使用や, NIPPVとHOTの併用が必要になる. 最近, 本邦でも使用可能となったadaptive servo-ventilation(ASV)は対象患者の呼吸の換気パターンを常にモニターし, 無呼吸による呼吸の変動を適切に改善することができる. よって, 中枢性睡眠時無呼吸症候群(central sleep apnea syndrome; CSAS)例では非常に有用と考えられる. 今回, チェーン·ストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration; CSR) を伴う拡張型心筋症による心不全例に対し, ASVを導入し, 心不全の改善を得られた. 症例は46歳, 男性. 2007年1月に心不全にて入院. 拡張型心筋症の診断にて, それ以後, 外来通院中であったが, BNPは1,000以上にて推移. 睡眠時無呼吸検査にてAHI 26でありCSRを主体としていた. HOT導入を行ったが, 心不全の改善は不十分であり, ASVを導入した. ASV開始直後, BNPおよび心胸郭比の減少を認めた. 同様に, NIPPV+HOTにて心不全の改善を得られた症例においても, ASV単独にてNIPPV+HOTと同様の効果が得られた. ASVはCSRを伴う心不全例には非常に有効な治療法と考えられた.
症例
  • 山崎 元成, 鶴田 亮, 山本 平, 丹原 圭一, 菊地 慶太, 稲葉 博隆, 天野 篤
    2009 年 41 巻 4 号 p. 456-460
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    交通事故により発症したと思われる外傷性僧帽弁閉鎖不全に対し, 慢性期に僧帽弁弁輪形成と弁形成術を行った1例を経験したので報告する. 症例は33歳, 男性. 12年前に交通事故(自動車同士)で, 全身を強打した. 受傷の際, 腸管損傷を生じ, 開腹手術を受けた. 受傷後3年目(10年前)より動悸が出現するようになり, 近医にて不整脈, 心雑音を指摘され, 心臓超音波検査で僧帽弁閉鎖不全Ⅱ度と診断された. その後2年間は逆流はII度強へ徐々に増強していたが, 症状は落ち着いていた. 5年前から心臓超音波検査で僧帽弁逆流がIV度に増悪し, 1年前からは階段の昇降時にも軽い息切れが出現するようになり, 手術を勧められた. 術前の心臓超音波検査では, 前尖から後交連にかけての弁の逸脱を認めた. 術中所見では前尖のA3の腱索の延長と腱索一部に断裂が認められた. 人工腱索, 人工弁輪縫着, edge to edge修復術により逆流は消失した. 術後経過は順調で第10病日に軽快退院の運びとなった.
研究会(HANPフォーラム2008)
  • 松尾 壽之
    原稿種別: HANPフォーラム2008
    2009 年 41 巻 4 号 p. 463
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
  • 中尾 一和
    原稿種別: HANPフォーラム2008
    2009 年 41 巻 4 号 p. 464-467
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    1984年に本邦で単離·精製された心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は, 心臓がホルモンを分泌する内分泌臓器であったことを示す重要な発見であり, 続く脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の発見とあわせて, 本邦でナトリウム利尿ペプチドファミリー研究が発展する礎となった. ナトリウム利尿ペプチドファミリー研究は, 基礎研究から臨床応用へとつながるトランスレーショナルリサーチの成功例であり, 現在ではANPは急性心不全治療薬カルペリチド(hANP, ハンプ®)として汎用されている. BNPやCNPもその生理的意義の解明とともに, 様々な疾患における臨床応用を目指した研究が行われている. 本稿では, 本邦におけるナトリウム利尿ペプチドファミリー研究の歴史を概観しながらトランスレーショナルリサーチの重要性について述べる.
  • 蔦本 尚慶
    原稿種別: HANPフォーラム2008
    2009 年 41 巻 4 号 p. 468-471
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP: カルペリチド)の多彩な薬理作用の一つとして, 抗動脈硬化作用などを有するアディポネクチンを修飾する作用を明らかにした. 心不全患者の血中アディポネクチン濃度を測定すると, 血行動態との間には相関が認められなかったが, 血中ANP濃度および血中BNP濃度との間には正相関が認められた. その機序には, ナトリウム利尿ペプチドがサイクリックGMP(cGMP)を介してアディポネクチンの合成に関与している可能性がある. そこで, カルペリチドの血中アディポネクチン濃度への影響を非代償性急性心不全で入院した患者で検討したところ, カルペリチド投与群でニトログリセリン投与群に比べ血中アディポネクチン濃度が有意に上昇した. また, カルペリチド投与により血中アルドステロンやエンドセリン-1が有意に減少することを示した既報を考えあわせると, カルペリチドの心保護作用はアルドステロンやエンドセリン-1などの心毒性因子を減少させる一方で, アディポネクチンといった心保護因子を増加させるという二つの作用が働いていると考えられる. アディポネクチンはメタボリックシンドロームの病態にも深く関与しており, 今後は, 糖尿病などの代謝異常を有した心不全患者も増加すると考えられるため, アディポネクチンの増加作用が示唆されるカルペリチドの役割はますます重要になるであろう.
  • 佐藤 幸人
    原稿種別: HANPフォーラム2008
    2009 年 41 巻 4 号 p. 472-475
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    慢性心不全は急性増悪による入退院をくり返しながら段階的に悪化するため, QOLの低下や医療費の負担が問題となる. 当院では, 入院回避および医療費削減の観点から, 慢性心不全患者に対する外来点滴療法を行っている. 外来点滴では患者個別の状態にあわせた薬剤選択が重要であり, 当院では心保護作用を持つヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP: カルペリチド), 強心作用を持つPDE III阻害薬, またはカテコラミンを投与している. 外来点滴によって1カ月あたりの入院日数が有意に低下し, 入院回数, 保険点数が減少傾向を示した. 以上から, カルペリチドによる外来点滴療法は心不全患者の入院回避に有効な手段の一つと考えられる.
  • 心臓とその取り巻く環境
    猪又 孝元
    原稿種別: HANPフォーラム2008
    2009 年 41 巻 4 号 p. 476-479
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    心不全の治療には主に急性期に行われる「目にみえる治療」と慢性期に行われる「目にみえない治療」があり, 両者は一部重複している. 「目にみえる治療」では, 低心拍出を早期に把握し適切な対策を講じるためにスワン·ガンツ(S·G)カテーテルが時に必要であり, 特に重症例では有効である. 低心拍出の改善には強心薬が広く用いられるが, 動脈系血管拡張薬による後負荷軽減療法が有効な場合もある. また, 心不全の急性増悪時に発症する発作性心房細動は再入院のきっかけとなり, 予後増悪因子であり慢性期治療において見逃してはならないポイントである.「目にみえない治療」の一つに交感神経系やレニン·アンジオテンシン·アルドステロン(RAA)系といった神経体液性因子の抑制がある. これらの因子は急性期および慢性期に活性化して心筋を傷害し病態を悪化させる. このためヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP:カルペリチド), RAA系抑制薬, β遮断薬などを用いた神経体液性因子の抑制が, 慢性期だけでなく急性期においても有効であろう.
  • 何を診て, 何をすべきか
    安村 良男
    原稿種別: HANPフォーラム2008
    2009 年 41 巻 4 号 p. 480-483
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    急性心不全で最も高頻度に発生する病態はうっ血であり, その主な成因は, 心機能低下による低心拍出(cardiac failure)と循環血液の再分布(vascular failure)である. 治療の際には, どちらの成因によるものかを考慮して適切な治療法を選択することが重要である. 肺うっ血の診断法として, 胸郭インピーダンス法(ICG)を用いた非侵襲的な胸郭体液量(TFC)測定の有用性を検討した結果, TFCは急性心不全の経過や予後指標として有用であることが示された. 心不全による肺うっ血および肺水腫の治療は, 初期治療として硝酸薬スプレーの後, ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP: カルペリチド)を投与する. カルペリチドは血管拡張作用と利尿作用に加えて, 神経体液性因子を抑制する多面的作用を有するため, いずれの成因によるうっ血でも基礎薬として使用できる. また, 低血圧が認められた場合は病態をチェックし, 低心拍出と診断したら早期に強心薬を用いることが重要である.
  • 心腎保護とそのメカニズム
    安斉 俊久
    原稿種別: HANPフォーラム2008
    2009 年 41 巻 4 号 p. 484-487
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/05/23
    ジャーナル フリー
    慢性心不全では交感神経系やレニン·アンジオテンシン·アルドステロン(RAA)系に代表される神経体液性因子の亢進を抑制することにより長期予後が改善するが, 最近, 急性期においても神経体液性因子や炎症, 酸化ストレスが病態の増悪と長期予後に関与することが明らかになってきた. また, これらの因子は特に腎障害を合併した急性心不全において悪影響を及ぼすことから, 心腎連関を考慮した治療が長期予後の改善に必要とされる. 本稿では, 心不全治療における神経体液性因子抑制の意義と方法, 心腎連関のメカニズム, 心腎連関と長期予後を考慮した心不全治療におけるカルペリチドの役割について述べる.
feedback
Top