心臓
Online ISSN : 2186-3016
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41 巻, 8 号
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Open HEART
HEART’s Selection(小児心疾患(非先天性)の侵襲的治療)
HEART’s Original
臨床研究
  • 塩見 紘樹, 岩村 優美, 有吉 真, 福居 顕介, 坂本 智子, 澤西 高佳, 木山 昌広, 島 正巳, 松原 欣也, 上床 博久, 古川 ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 8 号 p. 898-905
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    目的: ST上昇型心筋梗塞(ST elevation myocardial infarction; STEMI) 患者に対するdoor to balloon time(DTB) 90分以内を達成するために循環器非専門医が汎用可能な急性冠症候群(acute coronary syndrome; ACS) クリニカルパスを救急診療に導入することで, 早期再疎通療法が実現可能か否かを検討した.
    方法: ACSクリニカルパス導入前後1年間のSTEMIに対する緊急経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI) 施行例でのdoor to cath labo time(DTC), DTBを比較検討した.
    結果: クリニカルパス導入前1年間(2005年9月~2006年8月)ではDTC中央値76.0分(平均値84.6分), DTB中央値110.0分(平均値115.0分)であった(n=25). しかし, クリニカルパス導入後1年間(2006年9月~2007年8月)では, DTC中央値48.0分(平均値54.0分), DTB中央値96.0分(平均値106.7分)とDTCで28分の短縮(p<0.01), DTBにおいても14分の短縮(NS)がみられた(n=16).
    結語: ACSクリニカルパスを導入することで救急初療医が非循環器専門医であることの多いわが国の一般市中病院においてもSTEMI患者のDTCが30分近く短縮可能であることが示された. このことは, STEMIの再灌流療法のガイドラインに示されているDTB 90分以内の達成が現実となる可能性を示唆した.
臨床研究
  • 夏秋 政浩, 平尾 好子, 岡部 眞典, 山本 雄祐
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 8 号 p. 906-910
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者においては冠動脈疾患の合併率が高く, 無症候性である場合も少なくない. しかし, 無症状の糖尿病患者における冠動脈疾患の有病率はいまだ明らかではない. そこでわれわれは無症状の糖尿病患者に対し冠動脈疾患スクリーニング検査を行い, その有病率について検証した.
    方法: 2002年7月~2006年6月までの間に当院循環器外来を受診した無症状の糖尿病患者311例に対し, 冠動脈疾患スクリーニング検査として胸部X線写真, 心電図, 心エコー検査, 運動負荷心電図検査を施行した. 運動負荷心電図検査陽性患者に対しては, 負荷心筋シンチグラフィまたは冠動脈造影を勧めた. 負荷心筋シンチグラフィ陽性患者には冠動脈造影を勧めた.
    結果: 運動負荷心電図検査陽性患者は85例(27%) であった. このうち32例(10%) に冠動脈造影を施行したところ, 15例(4.8%) に有意狭窄病変を認めた. 11例(3.5%) に血行再建術が必要であり, 6例に経皮的冠動脈形成術を5例に冠動脈バイパス術を施行した.
    結語: 無症状の糖尿病患者における冠動脈疾患の有病率は4.8%と高率であり多枝病変が多い. よって, 糖尿病患者においては無症状であっても冠動脈疾患スクリーニング検査が有用である.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 長尾 強志, 伊藤 一貴, 鶴山 幸喜, 坪井 宏樹, 浅野 由祐子
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 8 号 p. 914-917
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は49歳, 男性. 2年前よりうつ病に対して向精神病薬のスルピリドおよびロラゼパムが近医より投与されていた. 近医からの帰宅中に一過性意識消失を生じたため当院に救急搬送された. 来院時の血圧は86/40mmHg, SpO2は90%であった. 心電図検査の施行中に突然に心肺停止となった. 心肺蘇生を行いながら撮像した造影胸部CTでは両側肺動脈主幹部に血栓像が認められた. 肺塞栓と診断しPCPSによる補助循環療法を試みたが救命できなかった. 剖検では両側肺動脈主幹部に血栓が認められた. また悪性腫瘍の合併は認められなかった. 血液検査では血栓症の原因となる明らかな異常所見は認められなかったため, 薬剤に起因する肺塞栓症が示唆された. スルピリドおよびロラゼパムに起因すると考えられる肺塞栓症は稀と考えられたため報告した.
症例
症例
  • 刀根 克之, 久保 典史, 野首 光弘, 船山 大, 菅原 養厚, 百村 伸一
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 8 号 p. 924-930
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は63歳, 女性. 生来健康. 2週間前より発症し, 次第に増悪する労作時呼吸困難を主訴に, 2007年12月近医を受診し, 同日当院に紹介入院となった. 著明な肺高血圧症(三尖弁圧較差102mmHg), 右肺腫瘤性病変, 血小板減少などの所見が指摘された. 緊急胸部造影CT検査では肺血栓塞栓症は否定的であった. ほかの肺高血圧症をきたす疾患も考慮したが合致せず, 原因不明の肺高血圧症として, 酸素投与などの対症療法を行った. 翌日急速に呼吸状態が悪化して死亡した(来院26時間後). 剖検の結果, 右肺に腺癌が確認された. また両肺の肺細動脈レベルにおいて, 腫瘍塞栓, 血栓形成, 線維細胞性内膜増殖などの所見を認め, これにより血管内腔の偏心性狭窄~閉塞をきたしていた. 肺腫瘍塞栓微小血管症(pulmonary tumor thrombotic microangiopathy; PTTM)に合致する所見で, 直接死因となった肺高血圧症の原因と診断された. 血小板減少はこの病態に合併する播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome; DIC)と考えられた. 亜急性に生じた肺高血圧症の原因を生前診断できず, 剖検にて確定診断がついた貴重な症例であるため報告した.
症例
  • 伊藤 一貴, 長尾 強志, 坪井 宏樹, 鶴山 幸喜
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 8 号 p. 931-934
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は高血圧, 高脂血症, 糖尿病, 喫煙の既往がある55歳の女性で, 5年前に左冠動脈主幹部入口部の高度狭窄病変に対してバイパス手術が施行された. 術後は自己判断で医療機関を受診されなくなったが, 父親が心筋梗塞で死亡したため心臓カテーテル検査を希望して受診した. 冠動脈造影では, 左冠動脈主幹部に認められた90%の狭窄病変は25%に退縮していた. 薬物による治療は5年間行われていなかったが, 食事療法, 運動療法や禁煙は継続されており体重は78kgから59kgに減量された. 血圧も正常化し, 血液検査でも耐糖能異常や脂質代謝異常の所見は認められなかった. 本症例ではスタチンなどの内服治療なしに高度な冠動脈狭窄病変において自然退縮が認められたが, その機序として生活習慣の改善が考えられた. 自然退縮が生じた詳細な機序については不明であるが, 生活習慣の改善とともに自然退縮が認められたため冠動脈疾患患者の管理における生活習慣改善の指導の重要性が示唆された.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • アプローチと対処法の検討
    佐藤 誠, 阪本 亮平, 五十嵐 知規
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 8 号 p. 938-941
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    右橈骨動脈アプローチによる冠動脈造影に難渋した右鎖骨下動脈起始異常の症例と検査後に初めて本症と診断した症例を経験した. 症例1は安定狭心症の74歳, 女性. 以前に大腿動脈アプローチでのカテーテル手技を問題なく施行されていた. 右橈骨動脈アプローチでのカテーテル検査の際に, カテーテル操作に非常に難渋し, 手技時間も長時間に及んだ. 後日施行した胸部MRAにて, 右鎖骨下動脈起始異常(aberrant right subclavian artery; ARSCA) と診断した. 後日施行した左橈骨動脈アプローチでのカテーテル検査は問題なく施行可能であった. 症例2は大動脈弁狭窄症の68歳, 男性. 右橈骨動脈アプローチによるカテーテル検査はトラブルなく終了していた. 後日術前検査として施行された胸部造影CT検査でARSCAと診断された. ARSCAの頻度は0.5%前後と比較的稀であるが, 右橈骨動脈アプローチによるカテーテル検査などにおいては, 手技困難のリスクを有する. 本症の存在とその対策を認識しておくことは重要であると考えられた.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 武田 宏太郎, 竹本 真生, 江島 健一, 多田 英生, 籾井 英利, 砂川 賢二
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 8 号 p. 946-951
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は32歳, 女性. 近医美容形成外科にて頭皮上眼瞼移植術, および大腿部と臀部の脂肪吸引術を施行された. 帰宅途中に気分不良, 呼吸困難となり総合病院に救急搬送された. 血圧70mmHgとショック状態で, 胸部X線写真にて肺血管陰影の増強を認め, 急性うっ血性心不全と診断された. 心筋逸脱酵素の上昇があり心筋障害の存在が示唆され, 心エコーでは心機能は左室駆出率20%と低下し, 左室中部から基部が全周性に無収縮で心尖部のみが収縮していた. 緊急冠動脈造影を施行されたが正常冠動脈であった. 精査加療目的で同日当科搬送となった. 来院時, 肺うっ血を認めるも循環動態は安定していた. その後心室壁運動異常は急速に改善し, 第6病日の心エコーでは壁運動は正常に回復していたため, 第8病日に軽快退院となった. 本例は美容形成外科術後に冠動脈支配では説明できない領域に左室壁運動異常が生じ, 数日で急速に改善したことより, たこつぼ心筋症と考えられた. 典型的には心尖部の動きが低下し, 心基部が過収縮するたこつぼ型を呈する. 本例のように逆たこつぼ型を呈するたこつぼ心筋症は比較的珍しいと考えられたため, 文献的考察を加えてここに報告する.
Editorial Comment
症例
  • 丸山 園美, 井上 健司, 岡井 巌, 小松 かおる, 西澤 寛人, 岡崎 真也, 藤原 康昌, 平野 隆雄, 住吉 正孝, 代田 浩之
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 8 号 p. 953-959
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    冠動脈ステント治療には抗血小板薬の内服が不可欠であるが, 血小板減少症例では出血の危険性を助長するため投与に苦慮する. 今回われわれは特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura; ITP) 患者に発症した急性冠症候群に対し, 安全に通常型ステントを留置し, その後再狭窄を認めず, 順調に治療し得た症例を経験したため報告する. 症例は78歳, 女性. 2年前に血小板減少(5.5×104/µL) を指摘された. 血小板結合性免疫グロブリンG(platelet associated immunoglobulin G; PAIgG) の上昇もありITPが疑われたが通院を自己中断していた. 入院2カ月前に労作時胸痛を認めたため, 冠動脈CTを施行したところ, 左前下行枝seg7に90%狭窄を認めた. 早期に入院し, 心臓カテーテル検査の施行を勧めたが, 家庭の事情で拒否していた. しかし, その後安静時にも胸痛を認めるようになり, 当院外来を再度受診した. 心電図検査でV1~4の陰性T波を認め, 急性冠症候群の診断で緊急入院となった. CAG所見では左前下行枝seg7に90%狭窄病変を認め, 通常型ステントを留置しアスピリン100mg/日とクロピドグレル50mg/日の内服を開始した. ITPに対してはプレドニゾロン0.5mg/kg(20mg/日) の内服を抗血小板薬と同時に開始し, 血小板数を15×104/µL以上に維持できた. その後重大な合併症なく抗血小板薬の内服継続が可能で, 6カ月後の再造影検査でもステント再狭窄は認められなかった.
症例
  • 大江 康太郎, 荒木 勉
    原稿種別: HEART’s Original
    2009 年 41 巻 8 号 p. 960-965
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は56歳, 男性(兄). 数年前より高血圧を指摘されていたが無治療であった. 夜間の咳にて来院. 身体所見では著明な漏斗胸と外反肘, 胸部X線写真にて心拡大を認めた. 心エコー図上, 左室肥大, 左室拡大, 左室収縮障害(左室駆出率(EF) 21%)を認めた. 冠動脈造影上, 器質的狭窄なし. 左室造影では, び漫性の収縮低下を認め, 高血圧性心疾患と診断された. 後日, 弟(51歳男性)が, 感冒にて来院. 兄と同様の著明な漏斗胸と心拡大を認めた. 心エコー図にて左室拡大と左室収縮障害(EF 42%)を認めた. 冠動脈造影上, 器質的狭窄なし. 左室造影では, 左室拡大と前壁, 心尖部を中心に収縮低下を認め, 拡張型心筋症と診断された. 兄は当初, 高血圧性心疾患と診断されていたが, 家族歴, 左室拡大, 著明なEF低値より, 拡張型心筋症の合併が疑われた. 兄のみ染色体検査を施行したが, 異常は認めなかった. 家族歴では父と母は二重の血族結婚で, 父と妹, 2番目の弟も漏斗胸であった. 父, 母には明らかな心疾患は認めなかった. 漏斗胸と心筋症の関連は不明であり, 過去に報告もなく, 稀な症例と考え報告する.
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