背景 : 最近, デジタル式24時間ホルター心電図によるSAE (H-SAE) の記録がルーチン化しているが, 多数例でのリアルタイムSAEとの相関を検討した報告は少ない. 目的 : H-SAEとR-SAEの諸指標の比較検討を行うこと. 方法 : 健常者53名および何らかの心疾患を有する患者95名を対象とし, R-SAE, H-SAEを連続で施行した. R-SAEは, ART社製1200EPXを用い, ノイズレベルが0.3μV以下となるよう加算平均を行った. X, Y, Zの3つの双極誘導から得られたvector magnitude波形からfiltered QRS duration (f-QRSd), LAS40, RMS40, noise levelを自動計測した. H-SAEは, ela medical社製Spider Viewを用い, 24時間記録された心電図波形から選択した200~250心拍の加算平均を行った. X, Y, Zの3つの双極誘導から得られたvector magnitude波形からfiltered QRS duration (f-QRSd), LAS40, RMS40, noise levelを自動計測した. LP陽性基準は, f-QRSd>120ms, LAS40>38ms, RMS40>21μVとした. 両群においてR-SAEおよびH-SAE間で比較し, 相関関係を検討した. 結果 : 健常例での検討では, H-SAEとR-SAEによるf-QRSd, LAS40, RMS40, noize levelはいずれも良好な相関関係を認めた (R2=0.77, 0.86, 0.70) が, noize levelはばらつきが多く, 弱い相関関係に留まった (R2=0.14). 患者での検討でもほぼ同様な傾向を示した. 結語 : H-SAEとR-SAEによる諸指標には良好な相関関係が示されたが, noize levelは比較的ばらつきが多かった. 今後, 臨床例でH-SAEの評価を行うにあたり, 早急に正常値を決定する必要がある.
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