心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
42 巻 , 4 号
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Open HEART
HEART's Selection(たこつぼ心筋症(心筋障害))
HEART's Original
臨床研究
  • 松本 康, 笠島 里美, 川島 篤弘, 遠藤 将光, 川上 健吾, 笠島 史成, 西田 佑児, 全 陽
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 4 号 p. 458-469
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    目的:種々の臓器に起こる特発性硬化性病変(immunoglobulinG4;IgG4)関連硬化性疾患が注目されているが,心血管領域における新しい疾患概念として,炎症性腹部大動脈瘤と診断した症例の中にもIgG4関連硬化性疾患と考える病態が存在する可能性を評価する.
    方法:手術時の切除標本から,炎症性腹部大動脈瘤と診断された23例と,同時期の動脈硬化性腹部大動脈瘤40例を対象とし,基礎疾患や動脈硬化と関連した諸危険因子,IgG4血中濃度などの生化学検査を調べると同時に,免疫組織染色を中心とした病理組織学的検討を後ろ向きに行った.
    結果:これまでのIgG4関連硬化性疾患の病理学的診断基準に従い,60/hpf以上のIgG陽性形質細胞浸潤と60%以上のIgG4/IgG陽性細胞比を認めた場合をIgG4関連腹部大動脈瘤と診断した.23例の炎症性腹部大動脈瘤のうち,13例が診断基準を満たした.自己免疫性疾患を併存し,生化学所見では,高力価の抗核抗体陽性例が多くIgG4とIgEが有意に高値を示した.病理所見では著明な外膜肥厚を認め,動脈周囲炎の所見であった.IgG4免疫染色では外膜にIgG4陽性形質細胞のび漫性浸潤とともに,IgG4/IgG陽性細胞比高値を示した(80.2%:p< 0.001).
    結論:炎症性腹部大動脈瘤の病因の1つにIgG4関連硬化性疾患の病態の存在が示された.本臨床病理学的検討から,IgG4関連動脈周囲炎という従来の血管炎とは異なる炎症性疾患の存在が明らかになり,さらに冠動脈や末梢動脈にも病変が確認されたことで,今後血清IgG4高値の病態と深く関係する慢性動脈周囲炎は,全身の血管疾患として,さらに広がりをみせるものと期待される.
Editorial Comment
Editorial Comment
臨床研究
  • 柴田 宗一, 菊田 寿, 住吉 剛忠, 渡辺 誠, 三引 義明, 大沢 上, 小泉 勝, 榛沢 和彦
    原稿種別: 臨床研究
    2010 年 42 巻 4 号 p. 473-480
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    岩手・宮城内陸地震発生後,新潟大学を主体とする「エコノミークラス症候群予防検査支援会」を中心に,周辺医療機関からのボランティアと栗原市職員から構成される『チーム栗原』として,静脈血栓塞栓症 (venous thromboembolism;VTE) 予防検査活動を行った.地震発生後6カ月目までに,被災者113名に対し下肢静脈エコーを行い,17名 (15%) に深部静脈血栓 (deep vein thrombosis;DVT) を認めた.DVT陽性群とDVT陰性群とで,リスク要因について多変量解析を用いて分析した結果,年齢:高齢 (オッズ比1.090,95%CI 1.029-1.155,p=0.004),性別:男性 (odds ratios (OR) 0.150,95% confidence interval (CI) 0.027-0.818,p=0.028),症状の有無:有り (OR 3.326,95%CI 1.024-10.805,p=0.046),喫煙習慣:有り (OR 16.020,95%CI 2.067-124.163,p=0.008) が統計学的に有意であった.血栓陽性者に対しては,弾性ストッキングを配布し,かかりつけ医に対し診療情報提供書を作成し,基礎疾患治療の継続とともに,血栓治療を依頼した.さらに検診データをもとに栗原市とともに,避難所および仮設住宅の環境改善にも取り組んだ.保健師を中心に,避難所生活内での指導と管理を継続して行った.その結果,避難所および仮設住宅内で1人も肺塞栓症へ進展することなく現在まで経過している.震災後のVTE予防検査活動を行ううえでは,病院の枠組みを越え,行政を巻き込んだ活動が必要である.またこのような活動を支援することは,災害時における循環器科医師の重要な役割の1つと考える.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 横田 裕之, 八木 崇, 野間 重孝, 太田 賢一, 小林 範弘, 下地 顕一郎, 家泉 泰宏, 鬼塚 岳志, 寺本 洋之
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 4 号 p. 483-488
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.2008年5月,数十秒間の意識消失があり,救急搬送された.搬送時は心原性ショックにあり,心電図上,心房停止に伴う房室接合部調律,V1~3でST上昇さらにV3R~6RでST上昇を認めた.心臓超音波検査では,右室壁の低収縮・拡大,下大静脈の拡大,呼吸変動の消失を認め,右室梗塞と診断した.緊急心臓カテ-テル検査を施行したところ,右冠動脈 (right coronary artery;RCA) は低形成性であったが,AHA分類#1に造影遅延を伴う99%狭窄が認められ,同部位に対して経皮的冠動脈インターベンション (percutaneous coronary intervention;PCI) を施行したところ,血行動態の改善が認められた.Peak CKは18,42 IU/Lで,術後9日間で軽快退院した.全身の血行動態の維持に対する右室自由壁の役割を考えるうえで示唆に富む症例であると考え報告した.
症例
  • 森 清男, 永田 満, 井田 正博, 村本 明彦, 山岸 正和
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 4 号 p. 489-493
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.尿路結石による背腹部痛のため受診した.その際の単純CT検査において,前縦隔に腫瘤像を認め,縦隔腫瘍を疑い精査が行われた.胸部X線写真,心電図に異常なく,心エコー検査では,無エコー性の内腔を有する約1.3×1.5cmの腫瘤像を胸壁近くの右室前下方に認めた.内部の血流信号や壁運動の詳細は不明であった.造影CT検査では,右室心尖部前方に約1.5cm径の内腔が右室腔と交通する突起様構造物を認め,3次元再構成像で右室心尖部内側から前下方へ細い交通路で連絡する状構造物を認めた.心臓カテーテル検査時の右室造影で,右室から茎状構造物を経由し造影剤が流入する小腔を認め,その壁に収縮性はみられなかった.また内腔に血栓像は認めなかった.心室瘤と心室憩室との鑑別基準は明確には定められていないが,心室との交通路が狭いことや構造物の形態から右室憩室と考えた.
    本症例では,造影CT検査が診断に非常に有用であった.これまで心室憩室の頻度は低いと報告されてきたが,画像診断技術の進歩により,今後本症の発見頻度が増加すると思われ,さらに本症の予後についても知見が得られることが期待される.
Editorial Comment
症例
  • 河田 正仁, 松浦 啓, 中西 智之, 森 健太, 平山 恭孝, 足立 和正, 坂本 丞
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 4 号 p. 495-501
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.労作時の呼吸困難と胸痛があり,10~15分で治まっていた.心筋シンチグラフィで虚血が疑われ紹介入院となった.入院初日,心エコー検査を受けたが心拍数は90/分で精神的緊張が認められた.心エコー図では左室流出路圧較差を伴う収縮期前方運動 (systolic anterior motion;SAM) と僧帽弁逆流 (mitral regurgitation;MR) III-IV度を認めたが,左室肥大は認めなかった.翌日,冠動脈造影で左前下行枝#7に90%狭窄を認めた.左室造影ではMRを認めなかった.心エコー図でSAMは消失し,MR I-II度であった.冠動脈ステントを留置したが翌日心エコー図でSAMを伴うMR II-III度を認めた.ドブタミン負荷心エコー図でSAMとMRが一過性に誘発された.βブロッカーの内服で良好にコントロールした.以上より,精神的緊張によると考えられる左室過収縮により一過性にSAMとMRをきたした稀な1例を報告する.
Editorial Comment
症例
  • 中川 貴文, 日浅 芳一, 細川 忍
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 4 号 p. 503-508
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    ステロイド投与により,高度房室ブロックによるアダムス・ストークス発作に対しての永久ペースメーカー挿入が回避された心臓サルコイドーシスの1例を経験した.その後の経過で,ステロイド漸減中に筋・末梢神経サルコイドーシスによるものと考えられる筋力低下が出現し,ステロイドの再増量を余儀なくされた.本症例は心臓病変を含むサルコイドーシスにおけるステロイド治療の重要性と困難さを再認識させる症例と考えられたため報告する.
    症例は73歳,女性.2007年より心エコー図,心電図などから心臓サルコイドーシスを疑われ経過観察されていた.2008年9月下旬ころよりふらつきが出現した.10月初旬以降,何度か失神発作を反復したため当院外来を受診した.心電図所見の高度房室ブロックと心エコー図所見では心室中隔基部の菲薄化と左室収縮能低下を認めた.高度房室ブロックを伴う心臓サルコイドーシスと診断して緊急入院した.入院後はイソプロテレノール持続点滴で心拍数コントロールを行ったのち,プレドニゾロン25mg/日を導入し入院第22日退院した.外来で漸減して経過観察をしていたが,上下肢の脱力,しびれが出現し,筋・末梢神経サルコイドーシスの疑いを指摘され,プレドニゾロンを再増量し症状は軽快した.
Editorial Comment
症例
  • 尾崎 和幸, 矢部 正浩, 土田 圭一, 高橋 和義, 三井田 努, 小田 弘隆
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 4 号 p. 511-516
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    82歳,女性.前医にて感染巣不明の感染症に対し抗菌薬投与を施行するも,心膜液が急速に貯留し当科へ転院した.CTにて多量の心膜液,両側胸水,右腎盂腎炎と後縦隔に径4cm大の腫瘤を認めた.腫瘤は下大静脈と右心房に接し,周辺のみ造影効果があり,一部は下大静脈へ突出していた.当科入院当日に心膜穿刺を施行し,排出された心膜液は炎症性で,培養は陰性であった.ガリウムシンチグラフィでは上記腫瘤に一致した集積を認めた.また,血液培養からE. coliおよびBacteroides fragilisが検出された.シプロフロキサシン,クリンダマイシンを投与し,血栓の関与を疑いヘパリン投与を併用し,炎症反応は陰性化した.6カ月後にCTを再検し,腫瘤消失を確認した.臨床経過より後縦隔の腫瘤は膿瘍と考えられた.稀な症例と思われここに報告する.
Editorial Comment
症例
  • 古賀 まゆみ, 平木 桜夫, 松井 洋人, 長島 淳, 河岡 徹, 徳光 幸生, 福田 進太郎, 河野 裕夫
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 4 号 p. 518-524
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.脳梗塞の後遺症で右片麻痺,両側下肢の拘縮があり,寝たきりの状態であった.2006年11月,腹痛,嘔吐を認め,イレウスの診断で当院に搬送された.入院時の心電図で,II,III,aVFで異常Q波,V1で高いR波を認めた.開腹手術によりイレウスの整復を行った.術後,発熱などの感染所見を認め,抗菌薬などで治療を行い,いったん状態は改善した.術後28日目,発熱,咳,悪寒,戦慄など感染症の再燃所見を認め,意識は正常だったが突然心肺停止の状態になり死亡した.
    剖検で左心室の著明な求心性の肥大,内腔の狭小化を認め,組織で心筋に錯綜配列,叢状線維化を認めた.脾臓で敗血症の所見を認め,肺で肺膿瘍および器質化した誤嚥性肺炎の像を認めた.
    生前には全く心疾患を疑われておらず剖検によって初めて肥大型心筋症と診断し得た.肥大型心筋症の多くが,本例のように生前には診断されていないことが多いと思われる.心疾患を疑わせる症状がなくても本症例のように全身状態の悪化を誘因に突然死をきたす可能性があり,心電図異常のある症例については十分な注意が必要と考える.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 林 大知, 吉谷 敬 敬, 松本 純一, 清水 紀宏, 平林 高之
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 4 号 p. 528-533
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    たこつぼ心筋症は一般に心尖部の無収縮を特徴とする.今回われわれは意識障害を主訴とし,初発時には心尖部の無収縮を,再発時には心基部の無収縮を呈した,たこつぼ心筋症の1例を経験したので報告する.症例は70歳,女性.高血圧,てんかんの既往がある.背景因子として夫の介護,娘の就職の不安があった.意識障害を主訴とし入院,胸痛はなかった.心電図にてI, II, aVL, aVF, V1~4での陰性T波,心筋逸脱酵素の軽度上昇を認めた.心エコーで左室心尖部の無収縮を認めた.冠動脈造影で有意狭窄は認めず,左室造影では心尖部に無収縮領域を認め,たこつぼ心筋症と診断した.安静のみで経過観察し,心エコーで心尖部壁運動の改善を認め,心電図所見も正常化し無投薬で退院となった.その約4カ月後,胸痛なく意識障害にて入院,心電図にてV2~6でのST低下,心筋逸脱酵素の軽度上昇を認めた.冠動脈造影では有意狭窄を認めず,左室造影では心基部に無収縮領域を認めた.安静のみで経過し慢性期の左室造影では心基部の壁運動は正常化した.右室心筋生検では炎症細胞の浸潤なく,アセチルコリンによるスパスム誘発試験は陰性だった.意識障害についてはその後ヘルペス脳炎の診断がつき,抗ウイルス薬投与にて改善した.
Editorial Comment
症例
  • 佐藤 大輔, 江石 清行, 橋詰 浩二, 押富 隆, 谷口 真一郎, 三浦 崇, 橋本 亘, 尾立 朋大, 松隈 誠司, 久冨 一輝, 瀬戸 ...
    原稿種別: HEART's Original
    2010 年 42 巻 4 号 p. 535-540
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/01/31
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.3年前に左主幹部および3枝病変に対して冠動脈バイパス術を施行.術後2カ月目より両側胸水・腹水・下腿浮腫を認めた.利尿薬投与で症状は一時的に軽減するため,近医入退院を繰り返した.しかし,徐々に症状が増悪し,術後30カ月目に当院循環器内科に精査入院となった.聴診上,心膜叩打音を認め,経胸壁心エコー検査では左室流入血流速波形E波の呼吸性変動と吸気時の心室中隔の左室側への偏位を認めた.胸部CT検査では心膜の肥厚・石灰化は認めなかったが,心臓カテーテル検査では,右室内拡張期圧波形がdip and plateauを呈していた.上記所見より,心膜の肥厚・石灰化を伴わない収縮性心膜炎と診断し,冠動脈バイパス術後34カ月目に心膜剥離術を施行した.術後,腹部膨満と下腿浮腫は軽減し,中心静脈圧は術前の15mmHgから4mmHgまで低下した.術後14日目に退院した.開心術後の収縮性心膜炎の発生頻度は0.2~0.3%と低いが,開心術症例が右心不全症状を呈した場合,常にその可能性を考慮する必要がある.
研究会(第43回 河口湖心臓討論会)
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