心臓
Online ISSN : 2186-3016
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43 巻, 11 号
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Open HEART
HEART’s Selection (心拍数を考える)
HEART’s Special
HEART’ s Original
臨床研究
  • 大久保 健史, 高橋 良英, 中島 永美子, 久佐 茂樹, 藤野 紀之, 桑原 大志, 高橋 淳
    原稿種別: HEART’ s Original
    2011 年 43 巻 11 号 p. 1418-1424
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル フリー
    背景·目的: 持続性心房細動のカテーテルアブレーションでは, しばしば両上肺静脈間を線状に焼灼する左心房ルーフラインアブレーションが肺静脈隔離に追加して行われる. しかし, 伝導ブロックを作成することは容易ではなく, 伝導ギャップが心房頻拍など再発性不整脈の原因となることもある. 本研究の目的は, 左心房ルーフラインアブレーションによる伝導ブロック成功の予測因子につき検討することである.
    方法: 持続性心房細動に対して, 8mmチップ電極カテーテルを用いてカテーテルアブレーション(肺静脈隔離ならびに左心房ルーフラインアブレーション)を施行した71症例を対象とした. 対象をルーフライン伝導ブロックが成功または不成功であった2群に分け, 各群において, (1)年齢, (2)性別, (3)心房細動持続期間, (4)左心房径, (5)左室駆出率と, (6)ルーフライン長, (7)左心房ルーフ形状の7項目について比較検討を行った. 左心房ルーフ形状は肺静脈·左心房造影により評価し, 平坦型と凹面型の2群に分類した.
    結果: 検討した7項目のうち, ルーフラインブロック成功, 不成功の2群間で左心房ルーフ形状のみに統計学的有意差を認めた. 平坦型群では84%がルーフライン伝導ブロック成功であったのに対し, 凹面型群では60%であった(p=0.027).
    結語: 左心房ルーフ形状はルーフラインの伝導ブロック作成の予測因子であり, 左心房ルーフ形状の把握は, ルーフラインアブレーションの適応の判断に有用であると考えられた.
症例
  • 正井 博文, 原 久男, 池田 長生, 伊藤 信吾, 高木 拓郎, 諸井 雅男, 鈴木 真事, 中村 正人, 杉 薫
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 11 号 p. 1425-1430
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 男性. 狭心症のため50歳時に左前下行枝(left anterior descending artery; LAD) #6に方向性冠動脈粥腫切除術(directional coronary atherectomy; DCA), 51歳時にLAD#6にステント留置歴あり. 1週間前より感冒症状があり数日前より口渇感が出現. 翌日, 当科定期受診するも感冒と考え, 症状の訴えはしなかった. その後, 胸痛, 呼吸困難が出現し救急車にて搬送された. 来院時, 血圧測定不能, 頻呼吸, 全身チアノーゼ著明であり, 心電図ではwide QRS, 広範囲の誘導でST上昇を認め, 経胸壁心臓超音波検査にて前壁中隔から心尖部にかけての壁運動低下を認めた. 急性冠症候群に伴う心原性ショックと判断し, 大動脈バルーンパンピング(intraaortic balloon pumping; IABP)留置後, 冠動脈造影検査を施行しLAD#7に90%狭窄を認め, 同部に対し冠動脈形成術を施行した. その後, 血糖値1,063mg/dLであることが判明し, 集中治療室にて気管挿管下に心不全管理とともに血糖管理を行った. 入院時の尿中ケトン体陽性, 血液ガス所見上アシドーシス著明, HbA1c <6.5%, 尿中Cペプタイド低値であり劇症1型糖尿病の診断基準を満たした. 本症例は, 著明な高血糖に伴う脱水のため高度な循環不全が生じ, それに伴い冠動脈の虚血が進行, 梗塞に陥ったものと考えられた.
症例
  • 松本 順 松本 順, 渡辺裕昭 渡辺裕昭, 村山 梓, 中神 理恵子, 村田 光延, 北條 行弘, 三橋 武司, 島田 和幸, 森澤 雄司, ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 11 号 p. 1431-1436
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル フリー
    症例は30歳, 男性. 2009年3月, 呼吸困難とふらつきを主訴に前医受診. 重症貧血(Hb 2.8g/dL)のため前医入院. 入院4日目にショックとなり精査加療目的で当院紹介. 来院時の心エコーにて多量の心膜液を認め心タンポナーデと診断. 緊急ドレナージにて悪臭を伴う膿性の心膜液が725mL排液された. ドレナージ前の胸部X線CT検査で心腔内にairが認められ心膜液の培養から4種の細菌が同時に検出されたため消化管穿通による化膿性心膜炎が考えられた. 全身状態が悪く, 手術適応はないと判断し心ドレナージと抗生物質の経静脈的投与による保存的加療を行った. 今回, われわれは食道穿通によると思われる多種起因菌性重症化膿性心膜炎の1例を救命し得たので文献的考察を加え報告する.
症例
  • 水野 篤, 西 裕太郎, 渡邉 琢也, 浅野 拓, 迫田 邦裕, 西原 崇創, 新沼 廣幸, 安齋 均, 高尾 信広
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 11 号 p. 1437-1442
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル フリー
    症例は84歳, 女性. 来院当日16時ごろから, 突然の左肩への放散を伴う胸痛出現. 心電図上, V2~4でST上昇とラピチェック®陽性を認めたため, 他院より紹介受診した. 来院後, 緊急冠動脈造影を施行. 冠動脈には有意狭窄を認めず, 左室造影でたこつぼ心筋症の診断に一致する心尖部領域の壁運動低下, ballooningを認めた. 左室引き抜き圧較差および心臓超音波検査で僧帽弁の収縮期前方運動とそれに伴う左室流出路狭窄を認めたため, 経胸壁心臓超音波検査観察下で塩酸ランジオロール投与静脈注射を行い, 軽度の圧較差の軽減が認められた. 塩酸ランジオロールの持続静注を行い, 翌日よりフマル酸ビソプロロールの内服に移行した. 約1週間程度の入院期間で左室流出路狭窄は消失し, 左室壁運動も正常化したため, 退院となった. たこつぼ心筋症において左室流出路狭窄を伴う症例はしばしば経験するが, 急性期における治療法は確立していない. 急性期塩酸ランジオロール静脈注射は超短時間作用であるため, 血圧低下が遷延する可能性が低く有効かと考えられたが, 実際の圧較差の軽減は軽度であった. その使用方法と経過について意義のある症例と考え, 文献的考察を加えて報告する.
Editorial Comment
症例
  • 田崎 龍之介, 田中 宏治, 北野 勝也, 中島 伯
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 11 号 p. 1444-1448
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル フリー
    大動脈四尖弁(quadricuspid aortic valve; QAV)は, 稀な先天性弁膜症であり, 大動脈弁閉鎖不全症や狭窄を伴うことが多く, 心不全を契機に発見され, 手術適応となる例もある. われわれは, 循環器症状がなく, 経過観察と術前心機能評価で施行した心エコーで偶然にQAVと診断し得た2例を経験した.
    症例1: 73歳, 男性. 3年前に高血圧と労作時の息切れの精査で紹介受診となった. 中等度大動脈弁閉鎖不全症があったが, 血圧コントロールで症状は軽快した. その後は, 1年ごとの経胸壁エコー法(transthoracic echocardiography; TTE)を行っていたが, 当科の心エコー機を最新機器(iE-33; Philips, Eindhoven, NED)に買い換えた後で施行したTTEでQAVが疑われ, 引き続き施行した経食道心エコー(transesophageal echocardiography; TEE)で, QAVと確診し得た. 心エコー機を最新機器に買い換えたことで容易に診断が可能となった.
    症例2: 58歳, 女性. 外傷による右橈骨骨折のため手術を受けることとなり, 当院整形外科から術前精査目的で紹介された. 心電図の左胸部誘導でST低下があり, TTEで大動脈四尖弁による中等度大動脈閉鎖不全があることが判明した. 初回TTEから最新型心エコー機でQAVとの診断が容易であった.
    まとめ: 検査者の経験や技能もさることながら, 心エコー機器の進歩により, これまでは診断できていなかったQAVの正確な診断が可能となり, 過去の報告よりも頻度が増加する可能性がある.
症例
  • 名越 智古, 南井 孝介, 小川 和男, 関山 裕士, 中根 登喜子, 藤崎 雅実, 荒瀬 聡史, 小武海 公明, 小川 崇之, 吉村 道博
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 11 号 p. 1449-1457
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 男性. 2003年狭心症に対し冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting; CABG)施行. 以後無症状で経過. 2008年, 胃癌術前に施行した冠動脈CTにて左回旋枝に慢性完全閉塞を含む高度狭窄病変を指摘され経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行, 薬剤溶出性ステント(drug eluting stent; DES)を留置し血行再建に成功した. その後から労作と無関係に亜硝酸薬が有効な胸痛を頻回に自覚. 負荷心筋シンチグラフィでは虚血は同定されなかったが, ホルター心電図上胸痛に一致してST低下を認めた. DES留置1年後の冠動脈造影では, ステント再狭窄および新規狭窄病変は認めなかった. アセチルコリン負荷試験を施行したところ, 胸痛とともにステント遠位部より右冠動脈への側副血行路にかけて著明な冠攣縮が誘発され, 心電図変化と血圧低下を伴った. 本例は, DESの冠動脈内皮機能障害への関与を臨床的に捉えた興味ある, 多剤耐性冠攣縮性狭心症症例と考えられたため報告する. 著明な再狭窄抑制効果からDESの需要と使用率が高まる一方で, 血管保護をより一層考慮した治療の重要性が問われており, その病態生理学的意義について考察する.
Editorial Comment
症例
  • 和田 輝明, 北端 宏規, 石橋 耕平, 小向 賢一, 谷本 貴志, 猪野 靖, 木村 桂三, 平田 久美子, 水越 正人, 今西 敏雄, ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 11 号 p. 1459-1464
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル フリー
    症例は29歳, 男性. 2009年7月交通事故による一過性見当識障害, 右膝打撲傷のため近医に入院したが, 明らかな異常を認めなかったため, 退院となった. 退院後, 右膝の疼痛が持続するため, 当院整形外科を受診したが, X線, MRIにて明らかな異常を認めず, 安静にて経過観察となっていた. 退院から5日後に呼吸困難が出現したため, 当院救急外来を受診した. 胸部造影CTにて両側肺動脈内に陰影欠損像, 下肢静脈エコーにて右膝窩静脈の血栓像を認め, 深部静脈血栓症(deep vein thrombosis; DVT)からの肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism; PTE)と診断した. 外傷後であるため血栓溶解療法は施行せず, PTE予防のために下大静脈フィルターを留置し, 抗凝固療法を開始した. 総プロテインS(protein S; PS)抗原量が37%と低下していたため, PS欠乏症と診断した. 肺動脈血栓は退縮傾向にあったが, 両側下肢静脈が血栓閉塞したため, 第19病日よりウロキナーゼの持続点滴を開始した. その後, 下肢静脈血栓は退縮傾向を示し, 第58病日退院となった. 今回, 交通事故を契機に発症したPS欠乏症が疑われたPTEの1例を経験したので報告する.
Editorial Comment
症例
  • 竹内 和航, 若林 靖史, 山崎 恭平, 堀込 実岐, 黒河内 典夫
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 11 号 p. 1466-1471
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル フリー
    症例は58歳, 女性. 2004年(52歳時)ころより, ときどき動悸発作があり, 数回, ホルター心電図などで精査されたが, 異常は認められなかった. 2010年4月(58歳時)に動悸が24時間継続するため受診したところ, 心電図で心拍数202/分の心室頻拍(ventricular tachycardia; VT)を認めた. 同期下電気的除細動にて洞調律復帰としたうえで, 精査加療目的に入院となった. 入院中に行った前斜角筋リンパ節生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫と多核巨細胞の組織像を認めた. また, 心臓超音波では心室中隔基部の菲薄化と左室収縮不全, 心尖部心室瘤とその内部の血栓を認めた. 胸部X線では両側肺門部リンパ節腫脹を認めた. 99mTCシンチグラフィでは心室瘤に一致して取込み欠損, ガドリニウム造影MRIでは心筋中層の遅延造影を認めた. 1臓器にサルコイドーシスに特徴的な組織像を認め, かつ心臓病変を強く示唆する臨床所見も満たし, 心サルコイドーシスの診断となった. アミオダロン内服中の心室頻拍誘発試験で非臨床的VTではあるものの, 約11秒間のVTが誘発された. 植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)植え込み術を施行し, プレドニゾロン内服も追加し, その後, 良好な経過を得ている.
    心サルコイドーシスでは, 心尖部に心室瘤を合併するのは稀である. また, 本例ではVTの起源は心室瘤周囲とは断定できず, 複数の起源であることも考えられた. よって, 治療としてカテーテルアブレーションではなく, ICD植え込み術による治療を選択した.
Editorial Comment
症例
  • 竹内 庸浩, 堀松 徹雄, 増田 重樹, 三木 孝次郎, 藤田 幸一, 高田 昌紀, 西堀 祥晴, 丸山 貴生, 宮本 裕治
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 11 号 p. 1473-1479
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル フリー
    症例は37歳, 男性. 2008年5月起床時に激しい胸痛を認め当院救急搬送された. 侵襲的冠動脈造影(coronary angiography; CAG) の結果, 器質的狭窄病変を認めず, その後のホルター心電図にて下壁に相当する誘導においてST上昇を認めたため異型狭心症と診断され内服加療されていた. 2008年10月初旬, 胸痛出現したため当院受診した. 心電図でST変化を認めず, 経過観察目的で入院した. 入院翌日, 胸痛出現し, 心電図ではII, III, aVFのST上昇, V1~2でQS型, I, aVL, V2~4で陰性T波を認めた. 心エコー検査で前壁中隔の壁運動の低下を認めた. 入院第5日目, 安静テクネシウム(99mTc)心筋シンチグラフィにて前壁中隔および下壁において集積低下を認め左前下行枝と右冠動脈領域の心筋梗塞が疑われた. 入院第7日目, CAGにて左前下行枝中間部の完全閉塞病変を認め, 経皮的冠動脈形成術を施行したが, ガイドワイヤー不通過であった. 入院第28日目, 心臓CT検査で左前下行枝中間部に血栓閉塞をきたした冠動脈瘤を認めた. 同時に, 右冠動脈遠位部, 左回旋枝遠位部に冠動脈瘤を認めた. 冠動脈瘤の血栓閉塞による心筋梗塞と診断し, 心臓血管外科に転院のうえ, 心臓バイパス手術を施行され術後経過良好である. 川崎病不全型は, 幼少期に川崎病の臨床所見がなく成人期に心筋梗塞を発症して判明することがあり, 本症例は, 川崎病後遺症として巨大冠動脈瘤の血栓閉塞により心筋梗塞を発症したと推測される稀な症例と考えられた.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 横山 亮, 中島 大成, 津久田 享三, 宇津 典明, 宮越 一穂
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 11 号 p. 1484-1487
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/02/05
    ジャーナル フリー
    症例は51歳, 男性. 2009年7月ころより安静時, 労作時に胸部圧迫感を認めたため, 当院循環器内科受診. 運動負荷心電図施行中, 胸部症状を認めたため, 試験を中止し, ニトログリセリンを舌下投与したが, 下壁誘導にてST上昇と症状の持続を認めたため, 緊急冠動脈造影検査を施行. 器質的冠動脈狭窄は認めず, 運動誘発性冠攣縮性狭心症と診断した. 入院後, 冠拡張薬内服し安静時, 運動時とも症状は出現しなくなったため, 退院となった. 労作性狭心症の鑑別診断の1つとして留意すべき疾患であると考えられた.
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