心臓
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44 巻, 1 号
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Open HEART
HEART’s Selection (新時代に入った抗血栓治療)
HEART’s Original
臨床研究
  • 小野 博, 香取 竜生, 永峯 宏樹, 豊田 彰史, 清水 信隆, 中村 嘉宏, 五十嵐 隆
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 1 号 p. 22-25
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    卵円孔が血行動態の維持に不可欠な疾患で, その卵円孔が狭小化した症例に対し, 透視室でバルーン心房中隔裂開術(balloon atrioseptostomy; BAS)が行われてきた. 今回, そのBASを2次元(2 dimension; 2D)に加え, 3次元(3 dimension; 3D)も併用しエコーガイド下で行った. エコーガイド下で行う利点は, 小児集中治療室(pediatric intensive care unit; PICU), 新生児集中治療室(neonatal intensive care unit; NICU)のベッドサイドで行うことができ, 患者を透視室へ搬送する際に生じる低血圧や低体温などのリスクがなく, 透視を用いないため, 放射線の被曝がないことである. 3Dの利点は, 2Dと比べ, カテーテル位置の把握がしやすく, 手技前後での卵円孔の形態を詳細に観察できることである.
Editorial Comment
臨床研究
  • 梅原 英太郎, 小村 泰雄, 木村 朋生, 小林 和哉, 田村 謙次, 松田 剛
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    大規模臨床試験であるThe Japan EPA lipid intervention study(JELIS)において, イコサペント酸(EPA)は低比重リポ蛋白コレステロール(low density lipoprotein-cholesterol; LDL-C)に依存しない心血管イベント抑制作用を示し, 特に, 高トリグリセライド(TG)および低高比重リポ蛋白コレステロール(high density lipoprotein-cholesterol; HDL-C)合併例でイベント抑制効果が大きいとの報告がなされた. また, 血漿中EPAとアラキドン酸(AA)の比(EPA/AA)と冠動脈イベント発症率の間に逆相関の関係を示すことが報告されている. EPA/AAは魚類·肉類の摂取に依存する, いわば居住地域によって大きく差が生じている.
    本研究では日本国内の2地域, 特にメタボリック症候群が話題となっている浦添市(沖縄県)と瀬戸内地方の1都市である坂出市(香川県) における循環器内科外来受診患者(沖縄196例, 香川120例)を対象とし, 脂肪酸分画とEPA/AA, 各種動脈硬化因子について検討した. 身長, 体重, 体格指数(BMI), 血圧, HbA1c, 総コレステロール(total cholesterol; TC), LDL-C, HDL-C, TG, EPA, AAおよびEPA/AAを測定し, 両地域の特徴につき検討した. また, 第2次世界大戦前後の60歳を境とし, 若年層と高齢者層に分け, 両地域間での差について検討した.
    香川に比し, 沖縄では肥満傾向であったが, その差は高齢者で顕著であり, 若年者では緩徐であった. また, 若年者については低HDL血症が沖縄に多い結果となった. EPA, AA, EPA/AAについては, 高齢者において香川でのEPAとEPA/AAが沖縄に比し高く, 若年者において香川でのAAが沖縄に比し, 顕著に高く, EPAは香川に多い傾向にあるものの, EPA/AAは両群に差がない結果となった. 同一地域間では, 香川での若年者のAAが高齢者に比し高値を示しており, 日本国土における食生活の欧米化が強く関与していることが示唆された. 冠疾患危険因子のない症例では, 沖縄, 香川ともに脂肪酸分画に差を認めなかったことは新たな見地であった. いずれにせよ両地域ではEPA/AAはJELISの日本人ベースライン値に比し低値を示す結果となった.
Editorial Comment
症例
  • 黒田 豪, 高瀨 浩之, 鳥山 隆之, 岡戸 建央, 萩倉 新, 高垣 航輔
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は90歳, 女性. 高血圧, 大動脈弁狭窄症(aortic stenosis; AS) のため, 循環器内科に通院中であった. 消化管出血と貧血を繰り返すため, 内視鏡, 消化管出血シンチグラフィを施行したが明らかな出血の原因を確定するにいたらなかった. Heyde症候群を疑いvon Willebrand因子のマルチマー解析を行った結果, 高分子マルチマーの欠損が認められた. 大動脈弁の狭窄部によるvon Willebrand因子の破壊が, 出血傾向の原因であった. Heyde症候群は臨床的に見過ごされていることが多いと考えられ, 適切に診断·治療を行うことにより, 予後の改善する患者は多いと思われる.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 梶川 隆, 村上 敬子, 小橋 真司, 寺田 洋明, 長田 好規, 横山 宏道, 竹本 俊二, 友田 純
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は50歳代, 男性. 2010年2月ごろから出現した早朝の胸部圧迫感を主訴に来院した. 断層心エコー図検査と運動負荷心電図検査は正常であった. 冠攣縮性狭心症を疑いニトログリセリンを処方し, 胸痛時の舌下投与にて軽快を認めていたが, 数日後の夕方, 自宅で胸部圧迫感を訴えた直後に倒れて, 痙攣し, 心肺停止状態となった.
    妻が目撃し, ただちに胸骨圧迫を行い, 近所の住人に救急隊通報を依頼した. 約4分後に救急隊が到着し, その2分後と4分後に自動体外式除細動器(automated external defibrillator; AED)による電気的除細動が施行された. 自己心拍は再開し, 約30分後に搬送された. 来院時の意識状態は, JCSIII-300で, 自発呼吸は微弱であったため, 気管挿管と人工呼吸とを開始した. 12誘導心電図ではIII, aVFでST上昇と, QT延長とを認め, V5~6でST低下を認めた. 入院後, クレアチンキナーゼ(creatine kinase; CK)は正常域を推移した. 第3病日に人工呼吸器から離脱し, 意識は清明となった. 第10病日に行った冠動脈造影では左冠動脈seg.7に軽度の狭窄を認めたが, 左室造影では局所壁運動は正常に保たれていた. カルシウム拮抗薬を処方後, 胸痛の再発はなく, 第12病日に退院した. 神経学的後障害を残さず職場復帰した.
    福山地区では, 2008年度からの2年間で救急搬送人員数は35,784人で, このうち心肺停止状態が, 777人であった. 一般住民による心肺蘇生処置(cardiopulmonary resuscitation; CPR)は346人(44%)に行われ, 1カ月生存は5.2%であったが, CPR未施行における生存率は3.2%であった. 今後, 地域住民に対する心肺蘇生法とAEDの啓蒙普及活動が必要と考えられた.
Editorial Comment
症例
  • 梅田 全伸, 森本 淳詞, 山本 和央, 中川 陽子, 福原 慎也, 高瀬 栄司
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は36歳, 男性. 前胸部痛を主訴に当科を受診した. 急性心筋炎と診断し入院したが, 第3病日に心機能が低下し, 循環不全の状態となったため, 大動脈内バルーンパンピング(intra aortic balloon pumping; IABP)および経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support; PCPS)による機械的補助循環を開始し, 集中治療管理を行った. 第7病日には著明な心筋浮腫がみられ, 心機能はさらに低下したため, ステロイド短期大量療法(メチルプレドニゾロン1,000mg×3日間)を施行した. ステロイド短期大量療法施行後, 心筋浮腫や心機能は改善傾向を示し, 第11病日にはPCPSおよびIABPから離脱することができた. しかし, 第16病日には再び心筋浮腫の増悪および心機能の低下がみられ, 循環不全の状態となったため, IABPを再挿入した. 再度, ステロイド短期大量療法を施行し, その後ステロイドの維持療法を行った. 以降, 心機能は徐々に改善傾向を示し, 第84病日には心機能は正常まで回復し退院した.
Editorial Comment
症例
  • 原 佳世, 西村 和久, 土居 寿之, 東 晴彦, 藤井 昭, 稲葉 慎二, 永井 啓行, 井上 勝次, 鈴木 純, 大木元 明義, 檜垣 ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は64歳, 女性. 2005年に完全房室ブロックのため, DDDペースメーカー植え込み術を施行された. 2008年に左前脛骨部の皮膚生検からサルコイドーシスと確定診断された. 2009年4月より労作時呼吸困難が出現し, 徐々に増悪した. 2010年1月には軽労作でも呼吸困難が出現するようになったため, 精査目的で当院に紹介された. 心エコー図検査で左室拡大, び漫性の壁運動低下(特に心室中隔基部と後壁の菲薄化), Gaシンチグラフィや18F-FDG-PETで心臓への集積を認め心サルコイドーシスと診断した. 心エコー図検査で右室心尖部ペーシングによる左室同期不全も認めたため, 心臓再同期療法およびステロイド療法を開始した. また, 終夜睡眠検査で中枢性優位の睡眠時無呼吸症候群の合併を認めたため, 陽圧換気療法(adaptive servo-ventilation; ASV)も開始した. 治療後, 左室駆出率は22.5%から29.7%に, 拡張末期左室容積も148mLから104mLに軽度改善したが, reverse remodelingは認めず心機能改善効果は軽度であった. 心筋障害や左室remodelingの高度な症例での治療には一定の効果が認められたが限定的であった. このため, 心不全早期からの治療介入が重要と考えられたため, 文献的考察を加えて報告する.
症例
  • 池内 雅樹, 関屋 正俊, 古財 敏之, 浦部 由利, 眞柴 晃一, 久原 学, 栗栖 和宏, 山本 一郎
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    これまでに心疾患の治療歴なく, 健康診断で心雑音を指摘されたこともなかった43歳, 男性. 1カ月前から抗菌薬抵抗性の発熱が続き, 近医で行われた心臓超音波検査にて僧帽弁の疣腫を指摘されたことから, 精査加療のため当科へ入院した. 血液培養6セットのうち5セットからグラム陰性桿菌のKingella denitrificansが検出されたため, 同菌を起炎菌とした感染性心内膜炎と確定診断した. ただちに抗菌薬投与を開始したものの, 以後も発熱は治まらず, 末梢血白血球数も横ばいが続いた. また, 経時的に行った心臓超音波検査では疣腫の大きさに変化がないまま, その可動性が増大していた. さらに, 頭部のCTおよびMRIにて新鮮梗塞が多発していることが明らかとなった. そこで, 第10病日に準緊急で疣腫摘出術および僧帽弁置換術を行ったところ, 以後, 感染は速やかに終息した. 現段階で術後1年間半が経過しているが, いまのところ, 感染の再燃の徴候はない. 本症例はKingella denitrificansによる自己弁感染性心内膜炎の臨床的・病理学的確診例としては本邦初のものである. 今回は, 当院入院中の治療経過を報告するとともに, これまでの同菌による感染性心内膜炎の症例報告とあわせ, その臨床的特徴について考察する.
症例
  • 今西 純一, 清水 雅俊, 門口 倫子, 高野 貴継, 正井 博之, 三輪 陽一, 岡 隆紀, 野村 拓生, 大北 裕
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は76歳, 女性. 71歳時に心雑音の精査で僧帽弁後尖内側(medial scallop; P3) の逸脱および中等度僧帽弁逆流を指摘されていた. 1カ月前より労作時息切れの増悪を自覚するようになり, 心エコー図上, P3の腱索断裂と高度僧帽弁逆流をきたしていた. さらに, 以前は指摘されていなかった変性性大動脈弁狭窄を合併しており, 連続波ドプラによる最大圧較差は64.8mmHgと中等度であるが, プラニメトリ法による弁口面積は0.54cm2と重症で著しい石灰化を伴っていた. 大動脈弁狭窄による左室収縮期圧の上昇が僧帽弁逸脱から腱索断裂への進展に関与したものと考えられ, 一方, 高度僧帽弁逆流による心拍出量低下は大動脈弁狭窄の圧較差を減弱した可能性がある. 僧帽弁逸脱, 腱索断裂と大動脈弁狭窄, 僧帽弁逆流と大動脈弁狭窄の重症度評価がそれぞれに関与しあった興味深い1例であった.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 木村 俊之, 清水 紀宏, 吉谷 敬, 松谷 健一, 松本 純一, 平林 高之, 馬場 俊雄, 佐々木 昭彦
    原稿種別: HEART’s Original
    2012 年 44 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/09/18
    ジャーナル フリー
    症例は, 82歳, 女性. 呼吸苦を主訴に来院した. 受診時, 著明な低酸素血症を認め, 胸部造影CTにて肺塞栓症と診断. 入院後より抗凝固療法を開始し, 低酸素血症は改善され退院したが, 再び低酸素血症が増悪し, 再入院となった. なんらかのシャント疾患も疑い経胸壁コントラスト心エコーを施行し, 右左シャントの存在を確認した. SpO2は仰臥位から座位への体位変換で著明に低下し, 体位に依存して右左シャントが出現することが疑われた. 経食道コントラスト心エコーにより, 卵円孔開存症と臥位から座位への変換で右左シャント量が増大することを確認し, platypnea-orthodeoxia syndromeと診断した. 卵円孔閉鎖術を行い, 低酸素血症の著明な改善を認めた. 術後は日常生活動作も向上し, 酸素投与なしで退院となった. Platypnea-orthodeoxia syndromeは稀な疾患である. 本症例において, 右心カテーテル検査では肺高血圧は認めておらず, 肺塞栓症による長期間の右心系圧負荷が拡張不全をもたらし, 卵円孔を介して右左シャントを形成したと考えられる.
症例
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