心臓
Online ISSN : 2186-3016
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44 巻, 10 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
Open HEART
HEART’s Selection (早期再分極とJ波症候群)
HEART’s Original
臨床研究
  • 佐藤 哲也, 小野 環, 川合 晴朗, 福家 聡一郎, 池田 哲也, 斎藤 博則, 氏平 徹
    2012 年 44 巻 10 号 p. 1247-1253
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2014/04/03
    ジャーナル フリー
    背景:薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent;DES)留置後に新生内膜被覆遅延が生じることは知られているが,時期やステントの種類による差異はいまだ明らかでない.
    目的:Sirolimus-(SES)およびzotarolimus-eluting stent(ZES)留置後中長期の血管内視鏡所見を比較検討した.
    対象と方法:冠動脈造影と同時に内視鏡を施行したSES留置後病変を8カ月群(SES 8M,n=20)と18カ月群(SES 18M,n=8)に分け,ZES留置後8カ月群(ZES 8M,n=12)との3群間で比較検討した.内膜被覆程度はgrade 1:ステントストラットが血管内腔に突出し鈍い光沢を認める,grade 2:光沢を認めずわずかに透見できる,grade 3:見えない,の3段階に分類した.
    結果:ステント中央部ではgrade 1,2,3それぞれ14,6,0;1,6,1;3,7,2(p=0.011,SES 8M vs SES 18M;p=0.019,SES 8M vs ZES 8M)であり,近位端では16,4,0;2,6,0;9,3,0(p=0.025,SES 8M vs SES 18M)であった.
    結語:内膜被覆状況はZES留置8カ月後はSES 18カ月後とほぼ同等であった.
Editorial Comment
Editorial Comment
臨床研究
  • 竹松 百合子, 小島 重子, 齋藤 文子, 森脇 佳美, 長谷部 ゆかり, 小寺 直美, 宮下 照美, 柴山 健三
    2012 年 44 巻 10 号 p. 1258-1264
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2014/04/03
    ジャーナル フリー
    2年間在宅治療を継続した慢性心不全患者(n=84)の退院時と退院後1年時と2年時のquality of life(QOL)および退院時と退院後2年時のセルフケアを調査することを目的とした.対象患者群の多くは,男性高齢者で虚血性心疾患を基礎心疾患とし,一般病棟退院時にはNew York Heart Association(NYHA)Ⅰの軽度な症状となっていた.QOLは,退院時に比べ退院後1年時と2年時ともに身体的および精神的なQOLがともに悪化していた.セルフケアでは退院時に比べ退院後2年時に定期的な血圧・体重測定,運動,禁煙や塩分制限を生活習慣として実施している患者が増えたと考えられた.これらのセルフケアは,在宅治療の継続に極めて重要であることが示唆された.セルフケアを生活習慣化して在宅治療を継続するが,慢性心不全患者のQOLは徐々に悪化することが認められた.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 松下 訓, 山本 平, 土肥 静之, 松永 巌, 田村 直人, 高崎 芳成, 天野 篤
    2012 年 44 巻 10 号 p. 1268-1273
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2014/04/03
    ジャーナル フリー
    大動脈炎症候群に合併する大動脈弁疾患は,患者の予後を規定する因子として知られている.一方で病変は大動脈弁のみではなく,大動脈壁など周辺臓器にも及んでいることが多くこれらの病変の進行が再手術の原因となることがある.今回われわれは大動脈弁置換術後に,炎症の波及と思われる病態から再手術が必要となった2症例を経験し,再々手術を防ぐべく手術術式に工夫を施した.また,専門科と協力してステロイドを使用し炎症のコントロールを行った.大動脈炎症候群の再手術・再々手術を防ぐためには厳密な炎症のコントロールおよび術式の工夫が必要であると考えられた.
Editorial Comment
症例
  • 相川 忠夫, 石森 直樹, 水島 航, 水上 和也, 濱口 早苗, 横田 卓, 榊原 守, 古本 智夫, 久保田 卓, 松居 喜郎, 筒井 ...
    2012 年 44 巻 10 号 p. 1275-1279
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2014/04/03
    ジャーナル フリー
    症例は,30歳代,男性.生来健康.前医初診2週間前より軽度の左上肢浮腫を自覚していたが,スキー後に急に左上肢の浮腫が増悪し,熱感も伴ったため,翌日前医を初診.画像所見から左鎖骨下静脈血栓症と診断され,抗凝固療法を導入した.その後症状改善したが,3週間後に安静時胸部不快感を自覚し,肺血栓塞栓症の合併が疑われて当院に入院するも,その後の経過より同症の合併は否定された.血液検査で血栓性素因は認めず,コンピュータ断層撮影(computerized tomography;CT),磁気共鳴像(magnetic resonance imaging;MRI)などの画像検査で左鎖骨下静脈の圧排所見も認めないことより,パジェット・シュロッター症候群(Paget-Schroetter syndrome;PSS)と診断した.本症候群は,鎖骨と第1肋骨間の空隙が上肢の動きで狭小化し,鎖骨下静脈が慢性的に機械的刺激を受けて局所で血栓形成されると考えられており,比較的,稀な症例と考えられたために報告する.
症例
  • 小林 秀樹, 吉岡 二郎, 戸塚 信之, 宮澤 泉, 臼井 達也, 浦澤 延幸, 荻原 史明, 佐藤 俊夫, 加藤 秀之, 後藤 博久, 渡 ...
    2012 年 44 巻 10 号 p. 1280-1286
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2014/04/03
    ジャーナル フリー
    症例は,60歳代,男性.2010年9月発熱,咳嗽を主訴に近医を受診した.経胸壁心エコー検査で心嚢液貯留を認め,心膜炎と診断された.胸部造影CT検査で左房後壁に腫瘤影が認められたが,左房内血栓と考えられた.非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs;NSAIDs)の内服で症状は軽快したが,12月に息切れが出現したため前医を再診した.再検された胸部造影CT検査で腫瘤影の増大を認め,悪性腫瘍の可能性が疑われて当科へ紹介された.18F-FDG-PET/CT検査で,心膜に全周性の集積を認めた.確定診断のため開胸心膜生検を施行し,悪性心膜中皮腫と診断された.悪性心膜中皮腫は稀な疾患であり,臨床症状は心膜炎と一致するため,診断に難渋することが多い.本症例ではCT検査やMRI検査は施行されたが,特異的所見に欠き診断にはいたらなかった.詳細な問診でのアスベスト(石綿)曝露歴の聴取や血液検査でのCYFRA・ヒアルロン酸の上昇を認めたことから悪性心膜中皮腫を強く疑い,18F-FDG-PET/CT検査を施行して診断に結びついた.18F-FDG-PET/CT検査は悪性腫瘍の診断や病期判定に用いられる機会が増えているが,悪性中皮腫においてもその有用性が期待される.難治性の心膜炎症例では悪性心膜中皮腫の可能性も考慮し,血中ヒアルロン酸測定や18F-FDG-PET/CTを積極的に検査すべきと考えられた.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 岡崎 怜子, 井川 修, 小谷 英太郎, 川口 直美, 遠藤 康実, 中込 明裕, 草間 芳樹, 新 博次, 中島 正之, 渋谷 純
    2012 年 44 巻 10 号 p. 1290-1295
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2014/04/03
    ジャーナル フリー
    症例は,85歳,男性.73歳時に拡張型心筋症と診断されている.2007年7月,悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)と診断され,化学療法を施行された.それ以後,外来に通院中であった.この際,心電図で1度房室ブロックを認めていたが,2009年11月完全房室ブロックに起因するめまいが出現し入院した.入院1カ月後の経胸壁心エコー図で入院時にはみられなかった心房中隔から房室中隔の腫瘤像,経食道心エコー図で左房前壁の腫瘤像,胸部CTで肺動脈周囲軟部影と縦隔・肺門部リンパ節腫大を認め,可溶性IL-2レセプターの著明な上昇(7,180U/mL)より悪性リンパ腫の心臓転移と診断した.ペースメーカー植え込み術後,めまいは軽快するも低血圧が持続し,全身状態の悪化により翌年1 月永眠した.構造的変化に先行して房室中隔領域への転移による房室伝導障害をきたした例と考えられ,解剖学的検討を加え,報告する.
症例
  • 西城 由之, 小谷 英太郎, 小橋 啓一, 小杉 宗範, 加藤 活人, 進藤 朝子, 渋井 俊之, 吉川 雅智, 中込 明裕, 草間 芳樹, ...
    2012 年 44 巻 10 号 p. 1296-1300
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2014/04/03
    ジャーナル フリー
    症例は,42歳,男性.2010年7月ごろより胸痛を自覚.近医にて肥大型心筋症を疑われβ遮断薬を処方されたが,その後,症状が増悪したため精査加療目的で当科紹介受診.来院時に胸痛を自覚しており,心電図にてV1〜4誘導の陰性T波を認めたため急性冠症候群を疑い緊急冠動脈造影施行.右冠動脈から右室枝を介する左前下行枝への側副血行路を認め,また右冠動脈近位部に90%狭窄を認めたが,硝酸薬の冠動脈内注入により側副血行路,狭窄は消失.左右冠動脈ともに器質的狭窄を認めないことから冠攣縮性狭心症と診断した.本例は,以前より胸痛を自覚していたことから,冠攣縮による慢性心筋虚血により器質的狭窄がないにもかかわらず側副血行路が発達し,かつ発作時に緊急冠動脈造影を施行したことによりその存在が同定されたものと推察された.
症例
  • 近藤 愛, 義久 精臣, 杉本 浩一, 佐藤 雅之, 佐藤 崇匡, 坂本 信雄, 鈴木 均, 斎藤 修一, 竹石 恭知
    2012 年 44 巻 10 号 p. 1301-1306
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2014/04/03
    ジャーナル フリー
    症例は,70歳代,男性.元来高度肥満(BMI 34)を指摘されていた.労作時息切れ,下腿浮腫,食欲不振を主訴に近医受診.胸部X線で心拡大と胸水を認め,心エコーにて推定肺動脈圧70mmHgと高値であり,肺高血圧,右心不全の診断で当科紹介入院となった.入院時,room airでPaCO2 61.4mmHg,PaO2 38.7mmHgとⅡ型呼吸不全を認めた.右心カテーテル検査では肺動脈圧は49/24(33)mmHgであった.また,重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(無呼吸低呼吸指数92.8/時)も認め,非侵襲的陽圧換気療法(non-invasive positive pressure ventilation;NPPV)を導入し,肺動脈圧,血液ガスモニター下に酸素投与とNPPVの効果,設定の至適化を検討した.就寝時,無呼吸により経皮的酸素飽和度(SpO2)は63%まで低下し,肺動脈圧67/23(40)mmHgへ上昇した.NPPVと酸素2L/分投与の併用にて,肺動脈圧38/17(26)mmHgへ低下した.また,PaCO2 46.2mmHg,PaO2 97.1mmHgとⅡ型呼吸不全も改善を認めた.NPPVが有効であった肺高血圧合併肥満低換気症候群の1例を報告する.
症例
  • 山中 哲雄, 羽生 壮史郎, 佐藤 元, 宮澤 健太郎, 一戸 能麿, 深津 徹
    2012 年 44 巻 10 号 p. 1307-1316
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2014/04/03
    ジャーナル フリー
    症例は,70歳,男性.Stage Ⅳの胃癌に対して術前化学療法を施行中の2011年4 月上旬ごろから労作時胸痛が出現.同年6 月上旬,術前評価の運動負荷心電図で下壁誘導のST上昇を認め緊急冠動脈造影検査施行.右冠動脈#1の100%閉塞を認め,ベアメタルステントz(bare metal stent;BMS)を留置.アスピリン100mg/日とクロピドグレル75mg/日を4 週間併用の後,クロピドグレルを術前2 週間前,アスピリンを術前1 週間前に中止し,ステント留置6 週間後に胃癌全摘出術を施行した.手術終了直後に心電図上,下壁誘導でST上昇を認め,急性心筋梗塞が疑われたため,緊急冠動脈造影を施行.6 週間前に留置したステント内に血栓による完全閉塞を認めたため,血栓吸引を行い再灌流を得た.しかし,帰室直後にST再上昇を認めたため,再度冠動脈造影を行ったところ,ステント血栓症による再閉塞を認めたため,経皮的冠動脈インターベンション施行.再度血栓を吸引し再灌流を得た後,血管内超音波を施行したところ,以前留置されたステントはやや拡張不良であったためバルーンで拡張の後,少量のヘパリンを持続投与した.その後,術後9 日目からアスピリンとクロピドグレルを再開.ステント血栓症の再発なく良好な経過をとった.周術期のステント血栓症に関してはいまだ議論,検討が十分でない領域があり,今後さらなる知見の蓄積が必要と考えられた.
症例
  • 井出 雄一郎, 伊藤 一貴, 坪井宏樹 , 長尾 強志, 増田 達郎, 中島 崇太, 後藤 隆利
    2012 年 44 巻 10 号 p. 1317-1323
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2014/04/03
    ジャーナル フリー
    症例は,78歳,女性.主訴は労作時の胸部圧迫感で,運動負荷心電図で虚血性変化が認められた.冠動脈CTおよび冠動脈造影では器質的狭窄病変は認められなかったが,右冠動脈中枢部から肺動脈への瘻管が認められた.瘻管の起始は1 本であったが中間部に直径約20mmの瘤が形成され,瘻管の終端は多数の瘻管に分枝し肺動脈に交通していた.このため右冠動脈肺動脈瘻と診断したが,冠動脈瘻では症状のあるもの,虚血所見のあるもの,瘤を合併しその破裂の危険性があるものでは治療が必要とされている.本症例では症状や虚血所見があり,巨大な瘤を合併していたため治療が必要と考えられた.治療法として外科的手術とカテーテルによる治療があるが,カテーテル治療が選択された.瘻管の中枢部および末梢部をコイル塞栓する予定であったが,瘻管の屈曲が高度なため塞栓用マイクロカテーテルを瘻管の末梢部に進めることができなかった.このため瘻管の中枢部のみコイル塞栓したが,12本のコイルを使用することにより瘻管および冠動脈瘤は閉塞した.術中および術後も不整脈などの合併症はなく,心筋逸脱酵素値の上昇なども認められなかった.術後には胸部症状や心電図での虚血所見は消失した.瘤を合併した冠動脈瘻におけるコイル塞栓術の有用性が示唆された.
Editorial Comment
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