心臓
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44 巻, 7 号
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Open HEART
HEART’s Selection (循環器疫学研究の成果と課題)
HEART’ Original
臨床研究
  • 無作為クロスオーバー法による検討
    内川 友起子, 中村 千種, 宮井 信行, 伊藤 克之, 石井 敦子, 内海 みよ子, 有田 幹雄
    原稿種別: HEART’ Original
    2012 年 44 巻 7 号 p. 799-804
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    メタボリックシンドローム(metabolic syndrome; MetS) によって引き起こされる動脈硬化のリスクを軽減するには,身体活動を含めた生活習慣を是正することが基本となる. MetSにおける砂浜でのウォーキングがMetSの危険因子に及ぼす影響については十分な検討はなされていない. 本研究では砂浜でのウォーキングがMetSの心血管危険因子に及ぼす影響を検討した.
    重篤な心血管病のない44名の住民を対象とした. 無作為クロスオーバー法を用い,A群: 運動介入—観察期間—非運動介入(n=22) とB群: 非運動介入—観察期間—運動介入(n=22) に分類した. 運動介入時は,1日1万歩の砂浜での歩行運動を行い,非運動介入時は,積極的な運動を行わないようにした. 介入·観察期間はそれぞれ8週間とし,介入前後に,身体計測,血圧,augmentation index(AI) ,血液検査などを計4回実施した.
    運動介入時(n=44) の平均歩行数は9,692±1,592歩で,非運動介入時(n=41) の平均歩行数は6,386±1,633歩であった. 運動介入時群に,体重,腹囲,BMIが有意に改善した. 血圧は有意でないものの改善傾向であり,radial(r) AIは有意に減少した. 中性脂肪は有意に低下,インスリン,空腹時血糖は低下傾向であり,特にHbA1cで有意に低下した. 一方,非運動介入時は,いずれも有意差を認めなかった.
    以上より,身体活動は内臓脂肪の減少とインスリン抵抗性を改善させるとともに動脈スティフネスの改善を示したことより,1日1万歩程度の砂浜での歩行は,MetS改善に寄与する有効な手段であることが示唆された.
Editorial Comment
症例
  • 湯淺 右人, 藤井 太郎, 山本 直樹, 小暮 周平, 渡邉 文亮, 徳井 俊也, 庄村 赤裸
    原稿種別: HEART’ Original
    2012 年 44 巻 7 号 p. 807-811
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    間歇性跛行を呈する疾患の多くは, 脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症が原因であるが, 膝窩部の嚢腫性病変が原因となることもある. 今回, 膝窩動脈周囲の嚢腫性病変により膝窩動脈狭窄をきたし下肢症状を呈した比較的稀な症例を経験したので報告する. 症例は49歳, 男性. 歩行時に左下腿の痛みがあり近医を受診した. 500m歩行で左下腿の間歇性跛行が出現し当科へ紹介受診された. 足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index; ABI) , 下肢血管エコー, 下肢造影CTによる精査の結果, 左膝窩動脈狭窄性病変が疑われた. このため, 病変切除術と大伏在静脈を使用した血行再建を予定し手術となった. 術中所見では, 膝窩動脈を全周性に取り囲む嚢腫性病変があり, この嚢腫病変によって膝窩動脈の狭窄をきたし, これが間歇性跛行の原因であることが判明した. これに対して, 血行再建せずに嚢腫切除のみで下肢血流の改善を認めた. 術後, 間歇性跛行は改善し術後7カ月経過しても下肢虚血症状はない. この経験を踏まえ, 下肢症状を呈する症例に対しては, 嚢腫性病変も下肢虚血症状の原因となり得ることを常に念頭におき, 注意深い診察と術前検査が必要であると考えられた.
Editorial Comment
症例
  • 古賀 将史, 清水 智明, 磯 佳織, 小林 司, 小林 泉, 菅野 晃靖, 松本 克己, 石川 利之, 内野 和顕, 梅村 敏
    原稿種別: HEART’ Original
    2012 年 44 巻 7 号 p. 813-819
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    症例は48歳, 男性. トレーニングとして平日2km, 週末10kmを走っていたが胸部症状の自覚はなかった. 市民マラソン参加中に心肺停止となり, 救急隊により現場で除細動され自己心拍再開した. 保存的加療の後, 発症9日目に冠状動脈造影を施行. 左前下行枝に高度狭窄病変が認められ, アセチルコリン負荷により左前下行枝および左回旋枝に冠攣縮が誘発された. ステント留置および植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)植え込みが施行された. 市民マラソンでの突然死の発症は5万人から10万人に1人程度の報告があるが, その中には無症候性心筋虚血患者も含まれている可能性があり, その機序の一因として冠攣縮の可能性が考えられた. 院外心停止の自己心拍再開例には血行再建の後, 適切な時期に冠攣縮誘発試験を行うべきと考えた. また, 無症候性心疾患患者の事前のスクリーニングには限界があり, 現時点では救護体制を確立することが重要であると考えられた.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 小川 尚, 中島 康代, 臼井 健, 竹中 淑夏, 鵜木 崇, 石井 充, 益永 信豊, 舩津 順子, 金崎 幹彦, 中野 為夫, 阿部 充 ...
    原稿種別: HEART’ Original
    2012 年 44 巻 7 号 p. 823-826
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    発端者は,20歳,男性.左下腿腫張および左下腿痛を訴え来院.血管エコーを行い左総腸骨静脈から浅大腿静脈にかけ深部静脈血栓症(deep venous thrombosis;DVT) を認めた.核磁気共鳴静脈造影検査でも同様の所見であった.家族歴では,父方の家系にDVTが多くみられており,先天性血栓性素因を疑い精査行ったところ,アンチトロンビン抗原量,活性値ともに低下を認めた.本人,父および兄弟のアンチトロンビン遺伝子診断を行った.アンチトロンビン遺伝子のエクソン4に正常型GAAのうちヌクレオチド・ポジション7,641番Aの1塩基欠失をダイレクトシークエンス上ヘテロで認めた.この変異によりframeshiftをきたし314番目のコドンがterminationとなっていた.父,兄も同様の遺伝子異常が認められた.以上より先天性アンチトロンビン欠損症(タイプⅠ) と診断した.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 藤井 悠一郎, 我妻 賢司, 内田 靖人, 新居 秀郎, 天野 英夫, 戸田 幹人, 山﨑 純一
    原稿種別: HEART’ Original
    2012 年 44 巻 7 号 p. 829-834
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    症例: 57歳, 女性.
    経過: 2008年9月ごろより労作時の胸部圧迫感を認めたため, 冠動脈造影を施行. 精査の結果, 左前下行枝(left anterior descending artery; LAD近位部と, 左回旋枝(left circumflex artery; LCxを含む3枝病変と診断され, 冠動脈バイパス手術(coronary artery bypass grafting; CABG) (RITA to LAD, SVG to OM)を施行された. 4カ月後の確認造影でRITAの閉塞を認め, 冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行することとなった. LAD, LCxの入口部病変は, LMTから続くtrue bifurcationにてmini-crush stentingの方針とし, LMT-LCxに対しeverolimus eluting stent(EES)を留置, ステント近位部をcrushした. 引き続きLMT-LADにかけてEESを留置し, kissing balloon technique(KBT)を行って手技を終了とした. 術後の経過は良好であったが, PCI後3カ月で施行した確認造影で, LMTにperi-stent contrast staining(PSS)を認めた. 術後8カ月で再度確認造影を行ったところ, PSSの所見は改善を認めた.
    考察: Late acquired stent malappositionの発生はステント血栓症の危険因子となり得る可能性が示唆されており, 造影上PSSの所見を呈するケースが多い. 本症例においては, 薬剤そのものの影響だけではなく, KBTを含めたバルーンによる過拡張により血管支持組織である中膜平滑筋か, あるいは外膜への直接的な障害の影響も, その誘因として推測される. 今後, 遅発性ステント血栓症の発症に注意が必要と考えられた.
    結語: LMT分岐部病変に対しEESによるmini crush stenting後, 短期間にPSSを認め, その後, 改善を認めた1例を経験した. これまでEES留置症例のPSSの報告はなく, 示唆に富む症例と考え報告する.
Editorial Comment
症例
  • 澤崎 貴子, 深谷 兼次, 柳澤 哲, 冨田 崇仁, 成瀬 賢伸, 大野 修
    原稿種別: HEART’ Original
    2012 年 44 巻 7 号 p. 837-843
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    63歳, 女性. 60歳時に原因不明の胸水, 心嚢水貯留があり自然消退した既往あり. 61歳より原因不明の胸腹水貯留, 全身浮腫が出現. 石灰化を伴わず, 心膜所見に乏しく診断に難渋したが, 超音波での拡張障害所見, 心臓カテーテル検査にて両心室圧波計のdip and plateau所見より, 収縮性心膜炎と診断した. まず内科的に治療を開始したが, 次第に右心不全が増悪し, 従来の心不全治療で限界にいたった. ループ利尿薬, サイアザイド利尿薬, ジゴキシン, カテコラミン持続静注併用下でトルバプタン15mgの内服を開始したところ, 多量の利尿を認め, 全身浮腫, 腹水, 胸水ともに改善を得た. 収縮性心膜炎は従来内科治療困難な疾患であるが, トルバプタンが心不全治療の1つの選択肢となり得る.
Editorial Comment
症例
  • 井出 雄一郎, 伊藤 一貴, 中島 崇太, 増田 達郎, 長尾 強志, 坪井 宏樹
    原稿種別: HEART’ Original
    2012 年 44 巻 7 号 p. 845-849
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    症例は, 四肢脱力および意識障害を主訴とした64歳, 男性. 頭部MRIでは脳幹部に高信号が認められた. アルコール多飲歴がありチアミンが低値であったことより, ウェルニッケ脳症と診断された. 不整脈が頻発し, 脚気心およびアルコール性心筋症が示唆されたため99mTc-tetrofosmin心筋シンチグラムおよび123I-MIBG心筋シンチグラムを施行した. 99mTc-tetrofosmin心筋シンチグラムでは集積低下は認められなかったが, 123I-MIBG心筋シンチグラムでは高度集積低下, 心縦隔比の低下, 洗い出し率の亢進が認められた. 心臓カテーテル検査を施行したが, 冠動脈造影では狭窄病変は認められず, 左室造影では壁運動は正常であった. 右心カテーテル検査でも肺動脈圧や心拍出量などは正常で心不全の所見は認められなかった. これらの結果より脚気心およびアルコール性心筋症は否定された. チアミンの投与により神経学的所見や頭部MRIの異常所見は改善し, 不整脈や123I-MIBG心筋シンチグラムの所見も改善した. 本症例の心臓交感神経障害の原因としてウェルニッケ脳症による自律神経障害の可能性が示唆された.
症例
  • 庭前 野菊, 金古 善明, 黒沢 幸嗣, 中島 忠, 入江 忠信, 倉林 正彦
    原稿種別: HEART’ Original
    2012 年 44 巻 7 号 p. 850-856
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/12/26
    ジャーナル フリー
    症例: 67歳, 男性.2010年4月労作時の息切れが出現, うっ血性心不全のため入院した.心電図は洞調律, PQ 162msec, QRS 138msec, 完全右脚ブロックを呈し, 左室駆出率16%, 三枝病変を有する虚血性心筋症であった.発作性房室ブロックにより約1分の心停止を生じたため, 永久的ペースメーカー植え込みの適応であったが, 右室単独ペーシングによる心機能の悪化を懸念し, また, 突然死の1次予防の適応から, 両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(cardiac resynchronization therapy defibrillator;CRTD) を移植した.術後, CRTDの設定を両室ペーシングにすると心不全徴候が明らかに悪化し, 自己QRS波を優先させると軽快した.移植前の心室内同期不全の指標は心エコー上ほぼ陰性であったが, 移植後には右室ペーシングのみならず両室ペーシング時にも陽性となっており, 左室駆出血流の時間速度積分値は自己QRS波>CRT時>右室ペーシング時の順に大であった.心臓再同期療法により新たな心室内同期不全を生じ, うっ血性心不全が増悪することがあり注意を要する.
研究会(第18回 肺塞栓症研究会)
一般演題
要望演題 (一般口述)
要望演題 (ラウンドテーブルディスカッション)
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