心臓
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44 巻, SUPPL.1 号
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第21回 体表心臓微小電位研究会
一般演題
  • 松山 斉久, 堤 健, 高野 奈実, 大羽 康博, 渋谷 正直, 中村 弘人, 平野 健一郎, 岩澤 邦明, 中島 敏明
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_3
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    [目的] P波の時間-周波数解析は,解析法を含めて検討の必要がある.今回,P波の時間-周波数解析方法を考案し,一過性心房細動(PAF)患者のP波解析を行った.
    [方法] 正常洞調律(normal)とPAF患者のECGを30秒間SDカードへ記録後fileをtxt fileへ変換した.QRS-T除去ソフト(WaveCheck, エルメック社)に読み込み,QRS-T除去file作成後,Wavelet解析ソフト(BIOMAS ver2.0,エルメック社)でII,V1誘導P波の時間-周波数解析を行った.解析条件は,周波数域1-200Hz,sampling rate 500Hz, Wavelet functionはGaborとした.対象解析区間(120msec)の周波数パワー積分(ITFP;ntegrated time frequency power)を各周波数ごとに算出し連続10心拍加算を行った.
    [結果] ITFPは,normalとPAFともにII誘導が2峰性(6,48Hz),V1が1峰性(12Hz)パターンを示しピーク値に差はなかった.ITFP比(V1/II)は,PAFがnormalと比較し1-4Hzの低周波領域で高値を示す例が多く違いが見られた.
    [考察]  Wavelet法を用いて心電図P波の定量的周波数解析が可能であり,心房細動患者同定の非侵襲的評価法になる可能性があると考えられた.en-copyright=
  • 須藤 二朗, 高柳 恒夫
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_4-S1_8
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    加算平均心電図(SAECG)から心室遅延電位(LP)を求めるためのフィルタとして双方向フィルタと逆方向フィルタがある.その違いにより,LPの指標であるQRS幅が異なることは知られている.しかし,この差に関する報告は少ない.そこで,今回,フィルタの違いによるQRS幅の差について考察した.
    健康成人21人(男16人)を被験者とし,弊社製心電計ECG-1550を使用して収集した心電図を,Arrhythmia Research Technology(ART)社製Predictorにて加算平均した.この心電図に対し,後方から先頭まで及び,前方,後方双方向から各々QRS波内までフィルタをかける.フィルタは,どちらもハイパスフィルタは40Hzの4次,ロウパスフィルタは250Hzの2次,のバターワースフィルタとした.QRS幅を求める手法は,SD noise levelの3倍以下になる点の近傍の最小点を開始点,終了点とした.
    双方向フィルタのQRS幅に比較して逆方向フィルタのQRS幅は平均で41.3ms長かった.また,QRS開始点の決定にフィルタ処理前の波形を用いた場合は,3.7ms長かった.
    フィルタ方向の違いによるQRS幅の差はQRS面積,パワー,波高値などとの関連はなかった.
  • 笠巻 祐二, 山来 貴, 金子 睦男, 小沢 友紀雄, 太田 昌克, 田野 絢子, 藤井 信如, 相澤 芳裕, 中井 俊子, 国本 聡, 渡 ...
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_9
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    [目的] 新薬開発に伴うthorough QT評価のためのpositive controlの代用に,新たに開発したQT計測モデルが有用か否かを検討すること,および問題点を明らかにすること.
    [方法] 健常者37名の12誘導心電図をQT計測ソフトQTD-2で解析した.さらに第II誘導の平均波形を対象とし,新たに開発した12誘導T波シミュレーター機能を用い,QT間隔を設定値から5ms単位ずつ延長させ,微分法および接線法による自動解析で微小なQT延長を評価し得るか否かについて検討した.なお,QT間隔の可変部位はS波のendからT波のendまで,(SE-TE)およびT波のpeakからT波のendまで,(TP-TE)とした.
    [成績] QT(SE-TE)を+5msから5msずつ+20msまで延長した場合,加工前後での設定値との差分は微分法で3.2±1.8ms,接線法で4.1±1.6msであった.一方,QT(TP-TE)を+5msから5msずつ+20msまで延長した場合,加工前後での設定値との差分は微分法で3.8±1.5ms,接線法で4.8±1.7msであった.
    [結論] 今回開発したQT計測モデルは微小なQT延長を評価できる精度を有し,今後,thorough QT評価でのpositive controlの代用に使用できる可能性があるが,さらなる精度の向上が必要である.
  • 原 正壽, 戸兵 雄子, 熱田 英彦, 松本 直樹, 三宅 良彦
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_10
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    [目的] QT間隔の計測は,接線法および微分法により行われている.T波の終末部の波高は基線に対して漸減することから,これらの測定値が一致することはない.各法における測定値の差がどのような波形因子により生じるかについて解析を行った.
    [方法] 健常人22例から双極誘導CM5で導出した心電図をデジタル化し,50Hzで高域遮断した.R波起始部,Tmax値,接線法によるQT間隔を求めた.次に微分を行い,接線における微分値,T波終末点,微分法によるQT間隔の測定を行った.接線法および微分法でのQT間隔測定値の差をΔQTEとした.
    [結果] Tmax 0.84±0.27mV,微分値-17.0±4.2,ΔQTE 0.032±0.009ms. Tmaxと微分値の相関は,0.94.ΔQTEとTmaxの相関は0.62であり,p=0.01で有意な相関が得られた.
    [結論] ΔQTEは,Tmax値に依存することから,T波が高い波形は,各法での測定値に差があり測定値の比較には留意する必要がある.
  • 戸兵 雄子, 原 正壽, 熱田 英彦, 西尾 智, 松本 直樹, 三宅 良彦
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_11-S1_14
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    ホルター心電計による心室遅延電位(LP)の測定は,体動あるいは環境ノイズの混入により,しばしばLPの測定が困難となることがある.そこで,健常人のRMS40値と加算時の平均ノイズレベルを比較し,ノイズがRMS40値に与える影響を検討した.
    人間ドック受診者20名を対象に,FM-180携帯型ホルター心電計を装着しX,Y,Z軸の双極誘導で24時間の記録を行った.
    RMS40値は,ノイズの影響を受け,特に,日中活動時のRMS40値は高値となる傾向があった.ノイズとRMS40値との分布では,20例中19例に正相関を認めた.逆相関例は認めなかった.
    ホルター心電計によるRMS40値は,日中活動時のノイズの影響を受けていたが,RMS40値はノイズと相関関係にあったことから,今後は,ノイズレベルを考慮した診断基準あるいは加算回数の選択により,ホルター心電計による,長時間のLPの測定,および変動の評価が可能となると考えられた.
  • 若月 大輔, 東 祐圭, 山谷 清香, 下島 桐, 江波戸 美緒, 鈴木 洋, 嶽山 陽一
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_15
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    [目的] 今回,われわれは,心房細動(AF)患者のP波の周波数パワー値の特徴を検討した.
    [方法] (発作性/持続性)AF患者30人(AF群;68±10歳,男性22人)とAFが確認されたことがない患者20人(control群;56±16歳,男性19人)を対象とした.AF群は,肺静脈隔離術(PVI)を受け,1年間発作がない患者10人(AF-PVI群)と,受けていない患者20人(AF-nonPVI群).心電図II誘導のP波を周波数解析し,時間周波数パワー積分値(integral time-frequency power;ITFP)を算出し検討した.AF-PVI群はPVI1年後に検査を施行した.
    [結果] 心エコーにおいて,左房容積はcontrol群に比べAF群で有意に大きかった(p<0.0001).P波の40HzにおけるITFP値の前半/後半の比(ITFP40 ratio)は,AF-nonPVI群では,ほかの群に比べて有意に低かった(AF-nonPVI vs AF-PVI vs control;0.89 vs 1.49 vs 1.59, p<0.01).AF群の中で加算平均心電図を施行し,RMS20は2群間で有意差を認めなかった.
    [結論] AF患者では,心電図P波の周波数特性が異なり,P波の周波数解析がAFの検出に有効である可能性が示唆され,今後,症例数を増やし,検討を要すると考えられた.
  • 熱田 英彦, 原 正壽, 西尾 智, 戸兵 雄子, 松本 直樹, 今村 諭, 三宅 良彦
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_16
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    [目的] 近年,防水性に優れたホルター心電図測定装置が開発されており,入浴中などの環境下で記録が可能となっている.しかし,液体導体内での高周波成分の変化に関しては検討されていない.そこで,液体導体内での高周波電位の変化に関して評価し,心室遅延電位が計測可能か否かを検討した.
    [方法] 銀・塩化銀電極を用いてCM5誘導で心電信号を導出した.電極および周辺を防水テープで絶縁し,胸部を淡水,人工海水で浸した.Power Lab ML135バイオアンプ およびML870システムを用いて,サンプリング周波数1KHz,分解能1µVで,デジタル記録を行った.専用ソフトウェアで乾燥状態と淡水,人工海水が存在する状態のQRSについて,原波形および高周波(75-150Hz)の各波高値,および積分値の比較を行った.
    [結果] 躯体の周囲に伝導性がある液体が存在した場合において,原波形および高周波のQRS波高・積分値の変化を比較・検討した.いずれの環境下においても各電位に変化は認められなかった.
    [結語] 心電図中に含まれる高周波電位は,各導体の環境下においても変化しなかった.したがって,水中での心室遅延電位などの高周波記録も可能であると考えられる.
  • 宗次 裕美, 川崎 志郎, 大西 克実, 大沼 善正, 菊池 美和, 伊藤 啓之, 三好 史人, 安達 太郎, 河村 光晴, 浅野 拓, 丹 ...
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_17
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    [目的] P波加算平均心電図(P-SAE)で記録される心房遅延電位は心房細動の病理的特徴である心筋線維化の指標として注目されている.今回,発作性心房細動(Paf)症例での,高血圧(HT),心不全(CHF)のP-SAEへの影響について検討した.
    [方法] 検討(1)当院外来を2007年から2010年までに受診したPaf患者,連続242例(男性170例,女性72例)について,フィルター化P波持続時間(FPD)およびその終末部20msec間のRMS電位(LP20)を記録し,合併症ごとに以下のLone Paf群,HT+PafB群,HT+CHF+Paf群の3群に群分けし,3群間での比較検討を行った.検討(2)当院外来を2007年から2010年までに受診した患者,連続305例(男性220例,女性85例)について上記と同様に記録し,HT+Paf(-)群,HT+Paf(+)群,HT+CHF+Paf(-)群,HT+CHF+Paf(+)群の4群間での比較検討を行った.
    [結果] 検討(1)FPDは合併症による有意差は認められず(p=ns),LP20はHT群に比べHT+CHF群では低下する傾向がある(p<0.07).検討(2)HTを合併したPaf(+)では,paf(-)に比べFPDは有意に延長するが(p<0.001),LP20に有意差はない(p=ns). HT+CHFを合併したPaf(+)では,Paf(-)に比べLP20が有意に低下するが(p=0.001),FPDに有意差はない(p=ns).
    [結語] HTを合併したPafに比べ,HTにCHFを合併したPafでは心房の線維化が促進されている可能性が示唆された.
  • 星田 京子, 三輪 陽介, 柳沢 亮爾, 宮越 睦, 阿部 敦子, 石黒 晴久, 塚田 雄大, 米良 尚晃, 柚須 悟, 吉野 秀朗, 池田 ...
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_18
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    [背景] 自律神経活動異常を反映する指標であるheart rate turbulence(HRT)は,心筋梗塞後,患者のリスク評価において有用とされている.しかし,自律神経活動に影響を与えるβ遮断薬投与下でのHRTの有用性については明らかではない.本研究ではこの点に注目し評価を行った.
    [方法] 対象はβ遮断薬を内服している心筋梗塞後患者連続318例(平均年齢69±11,男性162例)である.HRTは24時間ホルター心電図でturbulence onset(TO)とturbulence slope(TS)を測定し,TO>0%とTS<2.5msec/R-R 間隔の両方を満たした場合を陽性とした.エンドポイントは心臓死と定義された.
    [結果] 対象患者のうち94例(30%)は心室期外収縮の出現が,わずかなどの理由でHRTの測定が困難であった.測定可能であった224例中77例(34%)がHRT陽性であった.観察期間807±399日間において24例(10%)がエンドポイントに達した.HRT陽性のハザード比は2.6(95%信頼区間1.1-5.7;p<0.02)であった.
    [結語] β遮断薬投与下の心筋梗塞後,患者においてもHRTは心臓死の予測指標として有用であることが示された.
シンポジウム
  • 淀川 顕司, 森田 典成, 小林 義典, 小原 俊彦, 村田 広茂, 高山 英男, 清野 精彦, 加藤 貴雄, 水野 杏一
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_19
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    [背景・目的] Brugada症候群と不整脈源性右室心筋症(ARVD)はともに加算平均心電図における心室遅延電位(LP)が高率に検出されるが,そのLPの形態に着目すると,ARVDでは高周波成分で形成されるのに対し,Brugada症候群では比較的低周波成分で形成されることが多い.そこで,われわれは,QRS波の周波数解析を行うことにより両者の周波数特性を検討した.
    [対象と方法] 特発性右室流出路起源心室頻拍(RVOT-VT)20例,Brugada症候群10例,ARVD 10例.全例で心電図Z誘導QRS波をガボール関数を用いてウェーブレット変換し,各周波数帯でのピークのパワー値,および総パワー値を比較.
    [結果] Brugada症候群では80Hzを中心に,ARVDでは150Hzを中心にQRS内部に高周波成分が発達していた.高周波帯の中で最大パワーを有する周波数はBrugada症候群に比し,ARVDで有意に高かった(81.7± 19.9Hz vs 145.4± 27.9 Hz,p<0.01).
    [結論] 心電図QRS波の周波数解析において,周波数特性は,Brugada症候群とARVDで明らかに異なる.
  • 中居 賢司, 伊藤 学, 坪井 潤一, 岡林 均
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_20
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いて導出する心磁図は,心臓の電気的興奮に伴い発生する磁界の3次元解析を特徴とする.今回,64チャネル心磁計(64ch MCG)による心房細動波の解析と臨床的意義について報告する.2次元心臓磁界データ(Bz)に空間フィルタ法を適用して3次元電流密度分布を計算し,同一個人の3次元心臓外郭を求めた.さらに2次元心磁界データQRS波削除後にFFT(高速フーリエ変換)による心房細動波の周波数解析を行い,心房細動波電流密度のスペクトル(周波数,パワー)の3次元表示を行った.外科的肺静脈隔離術(PVI)を施行した弁膜症に合併した心房細動13例で,心房細動波のスペクトラム解析を行った.PVI後に洞調律に復帰した例(n=9)での心房細動波の平均周波数は,術後も心房細動であった群(n=4)に比べて低値であった(6.5±0.7Hz vs 7.7±0.5Hz).64ch MCGによる心房細動波スペクトラムの3次元表示は,PVI適用評価に有用な指標と考えられた.
  • 石川 康宏, 堀畑 聡, 堀米 仁志, 戸田 浩, 章 忠
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_21-S1_28
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    離散ウェーブレット変換(DWT) は,Daubechiesの第1世代のDWTに始まり,Sweldensによるリフティング理論による第2世代のDWTを経て,現在,戸田,章の考案した時間周波数密度を可変可能にする完全シフト不変・複素数離散ウェーブレット(第3世代) と進化している.従来のDWTの致命的な欠陥に,シフト不変性の欠如がある.われわれは,この問題を解決した完全シフト不変性(PTI) を基礎に,時間周波数密度を可変可能にする新しい離散ウェーブレット(VD-PTI) を提案している.心臓のリズムの特性である心拍変動は,シフトそのものと考えられるので,心電図・心磁図にVD-PTIの応用を試みた.独立成分分析(ICA) により抽出した胎児心磁図,胎児心電図のノイズ除去にPTIを応用した例,Brugada症候群の心電図や心筋梗塞後VTがみられた症例や,催不整脈性右室形成不全の加算平均心電図の心室遅延電位をVD-PTIで解析したパイロット・スタディーから,不整脈などの心電図の解析にVD-PTIは有望であると考えられる.
  • 高野 奈実, 堤 健, 岩澤 邦明, 中島 敏明
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_29
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    連続ウエーブレット解析(wavelet transform;WT)を用いてQRS波の周波数解析を試みてきたので方法と臨床応用を述べる.
    300Hzまで記録可能な心電計を用いてECGを記録,1~数拍のQRSを選択してWT解析を行った.解析データは主に2つの方法で半定量的に分析された.(1)周波数パワー積分法:80列のWT信号中QRS波内周波数を算出するため,周波数パワー値の積分を行い周波数分布を測定した.(2)2次元表示法:WT信号をQRSに一致した時間軸上にプロット,異常信号の発生時間やピークパワー値を測定した.3つの応用例を提示する.1)周波数パワー積分法を用いた心筋梗塞心電図の周波数解析,2)2次元表示法を利用した心室性不整脈基質と推定される高周波信号とLP法との比較,3)周波数パワー積分値変動を利用した運動負荷前後の周波数分布変化の解析.
    以上の結果によりWT法による周波数解析は可視的に捕捉できないQRSの周波数変化を評価できることが明らかとなった.
  • 西尾 智, 原 正壽, 熱田 英彦, 戸兵 雄子, 松本 直樹, 三宅 良彦
    原稿種別: 第21回体表心臓微小電位研究会
    2012 年 44 巻 SUPPL.1 号 p. S1_30
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/08/23
    ジャーナル フリー
    広く行われている心室遅延電位を知る手法は,QRS区間終末部を解析しているに過ぎず,QRS区間内の高周波成分に関しては十分な検討が不可能であった.われわれはQRS区間内のサブストラクションフィルタを用い低周波成分を遮断し,160Hz以上の周波数領域の非加算による高周波解析を行ってきた.健常人・Brugada症候群・心筋梗塞患者を対象とし解析を行い,さらに.時間-周波数分解能にすぐれたWavelet解析法を用いてその分析を行った.得られた結果を比較検討し,健常人・Brugada症候群・心筋梗塞患者ではQRS区間内高周波成分に差異を認めた.それぞれのQRS区間内高周波成分の特徴的な所見を報告してきた.われわれの考案した方法は,QRS区間内すべての高周波成分の検討が可能であり,非常に有用であると考え報告する.
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