[目的] P波の時間-周波数解析は,解析法を含めて検討の必要がある.今回,P波の時間-周波数解析方法を考案し,一過性心房細動(PAF)患者のP波解析を行った.
[方法] 正常洞調律(normal)とPAF患者のECGを30秒間SDカードへ記録後fileをtxt fileへ変換した.QRS-T除去ソフト(WaveCheck, エルメック社)に読み込み,QRS-T除去file作成後,Wavelet解析ソフト(BIOMAS ver2.0,エルメック社)でII,V
1誘導P波の時間-周波数解析を行った.解析条件は,周波数域1-200Hz,sampling rate 500Hz, Wavelet functionはGaborとした.対象解析区間(120msec)の周波数パワー積分(ITFP;ntegrated time frequency power)を各周波数ごとに算出し連続10心拍加算を行った.
[結果] ITFPは,normalとPAFともにII誘導が2峰性(6,48Hz),V
1が1峰性(12Hz)パターンを示しピーク値に差はなかった.ITFP比(V
1/II)は,PAFがnormalと比較し1-4Hzの低周波領域で高値を示す例が多く違いが見られた.
[考察] Wavelet法を用いて心電図P波の定量的周波数解析が可能であり,心房細動患者同定の非侵襲的評価法になる可能性があると考えられた.en-copyright=
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