心臓
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45 巻, 5 号
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OpenHEART
HEART’s Selection(慢性透析患者における心血管疾患の現状と展望)
HEART’s Original
[基礎研究]
  • 島田 佳奈, 平野 絵美, 木村 剛, 岸本 千晴
    2013 年 45 巻 5 号 p. 519-526
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/14
    ジャーナル フリー
     目的 : アポリポプロテインE (アポE) ノックアウトマウスに対して, βアドレナリン受容体遮断薬 (β遮断薬) であるプロプラノロール, メトプロロール, カルベジロールの投与を行い, 動脈硬化に対する効果を検討した.  方法 : 実験的動脈硬化症は, アポEノックアウトマウスに高脂肪食を与えて作成した. 高脂肪食開始と同時の6週の時点で, 飲料水中にプロプラノロール (30mg/kg/日), メトプロロール (75mg/kg/日), およびカルベジロール (10mg/kg/日) の投与を開始し, 実験終了まで8週間飲水させた. なお, 本実験では, 血圧に変化を与えない投与量で実験を行った.  結果 : 各群で血圧に有意な変化はなかったが, 心拍数はβ遮断薬群で4~12%減少した. コントロール群と比べ, β遮断薬の3群で有意な動脈硬化病変の減少が確認でき, その抑制効果はカルベジロール投与群でより顕著であった. マクロファージの発現は, β遮断薬を投与したすべての群で発現が抑制され, また, スーパーオキシドの発現は, コントロール群と比べ, カルベジロール投与群で著明な発現の減少がみられた.  結論 : 動脈硬化に対するβ遮断薬の動脈硬化抑制効果は, 心拍数低下作用に加えた抗酸化作用に基づくフリーラジカル産生抑制効果が関与しているのではないかということが示唆された. その抑制効果はカルベジロール投与群で顕著であった.
Editorial Comment
[臨床研究]
  • 辻 義彦, 北野 育郎, 辻 依子, 飯田 修, 杉本 幸司, 澤田 勝寛
    2013 年 45 巻 5 号 p. 528-534
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/14
    ジャーナル フリー
     重症虚血肢症例の救肢, 救命には血行再建が不可欠であるが, バイパス手術と血管内治療にはそれぞれ利点や欠点があるため, これらを適切に組み合わせた血行再建戦略を立てる必要がある. 2003年より2011年の間にFontaine IV度の重症虚血肢に対して血管内治療とバイパス術を組み合わせたハイブリッド治療を施行した27例27肢を検討対象とし, その治療成績を検討した. 症例の内訳は, 男性19例, 女性8例, 平均年齢は72.0歳で, 19例 (70.4%) が糖尿病を合併, 24例 (88.8%) が高血圧を合併, 8例 (29.6%) が血液透析例であった. ハイブリッド治療の内訳は, 腸骨動脈血管内治療+鼠径部以下のバイパス術が17例, 浅大腿動脈血管内治療+膝窩-下腿・足部動脈バイパス術が9例, 大腿-膝窩動脈バイパス術+膝下動脈血管内治療が1例であった. 27例全例にバイパスの初期開存ならびに血管内治療の初期成功が得られた. 術中死亡は認めず, 急性心筋梗塞を発症した1例が入院中死亡となったが, ほかの26例は軽快退院となった. 術後1年でのバイパスならびに血管内治療部位の援助1次/2次開存率は89.3%, 救肢率は100%, 生存率は86.8%であった. 術後フォローアップ期間中にステント破損から膝窩動脈仮性瘤を形成した1例は外科的血行再建により修復できた. 一方, 血管内治療を追加したのは5例で, その内訳はグラフト狭窄または吻合部狭窄が3例, 血管内治療部位の再狭窄が2例であったが, いずれも救済できた. 比較的満足すべき臨床成績が得られたことより, 重症虚血肢に対するハイブリッド血行再建治療の有用性が示唆された.
症例
  • 長谷部 智美, 小川 裕二, 貴田岡 享, 柴山 佳一郎, 佐藤 篤志, 太田 貴文, 塩越 隆広, 加藤 淳一, 長谷部 直幸, 安達 昭 ...
    2013 年 45 巻 5 号 p. 535-540
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/14
    ジャーナル フリー
     症例は, 64歳, 女性. 10年以上前から健診の胸部単純X線写真で左第3弓突出および石灰化を指摘されていた. 心エコー図では異常を認めず経過観察となっていたが, 本人の希望で当科を受診, 心精査を施行した. 冠動脈造影およびMDCTで異常血管および瘤を認めた. 異常血管は右冠動脈直上より起始し肺動脈円錐部前面を走行した後, 石灰化を伴う瘤を形成し, 主肺動脈左方に開口していた. 瘤径は30mm以上であり, 壁在血栓を認めた. また, この異常血管は解剖学的に孤立円錐枝と考えられた. 治療は瘤径が大きく破裂の危険性があることを考慮し, 異常血管の結紮・瘤切除および瘻孔閉鎖術を施行した. 冠動脈瘻および冠動脈瘤は健診の胸部単純X線写真や心雑音が発見の契機となることも少なくないため, 無症状でも鑑別の1つとして考慮する必要があると考えられた.
症例
  • 西本 裕二, 福岡 秀忠, 松本 悟, 長浦 貴史, 高 陽子, 築山 真希, 有田 幸生, 宮岡 宏治, 中川 理
    2013 年 45 巻 5 号 p. 541-547
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/14
    ジャーナル フリー
     症例は, 58歳, 女性. 両眼ブドウ膜炎の加療中に両側肺門リンパ節腫脹を指摘され, 気管支肺胞洗浄検査および経気管支的肺生検で肺サルコイドーシスと診断された. 67Ga citrateシンチグラフィで左室壁に集積あり, 心サルコイドーシスの合併について精査予定であった. 精査前に呼吸困難が生じ, うっ血性心不全の診断で利尿薬の投与が開始されるも効果乏しく, 急激な左室収縮能低下と肺病変の増悪が生じた. 急性心不全および急性呼吸不全に陥り, 当院へ転院となった. サルコイドーシスの急性増悪症例と考え, ステロイドパルス療法を開始した. ステロイド治療開始後, 左室壁肥厚は著明に改善し, あわせて胸水ドレナージと適応補助換気を施行したことで, 速やかに呼吸状態は改善した. また心不全に対する薬物治療として, 早期よりフロセミドおよびスピロノラクトンに加えてβ遮断薬を少量から開始した. アンジオテンシンII受容体拮抗薬 (angiotensin II receptor blocker ; ARB) は血圧が低く投与困難であった. ステロイドパルス療法後の後療法は高用量 (1mg/kg/日) から開始し漸減, 再増悪することなく入院66日目に退院となった.  サルコイドーシス急性増悪症例に対してステロイドパルス療法が奏効した1例を経験したので報告する.
症例
  • 久保地 泰仁, 横山 勝章, 黒澤 毅文, 小森谷 将一, 永島 正明, 榎本 光信, 高世 秀仁, 松平 かがり, 今井 忍, 高橋 直之 ...
    2013 年 45 巻 5 号 p. 548-554
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/14
    ジャーナル フリー
     症例は, 81歳, 男性. 完全房室ブロックのため, 恒久型ペースメーカー植え込み1年後に持続性心室頻拍 (ventricular tachycardia ; VT) が出現し搬送された. 心臓超音波検査で心室中隔基部の菲薄化所見が顕在化したことから, 心サルコイドーシスが疑われた. 経過中VTストームに陥り, VTは血行動態が不安定なため5回電気的除細動 (cardioversion ; CV) を行った後, 閾値上昇から心室ペーシング不全となった. 第2病日に心不全で死亡し, 剖検を行った. 心室中隔を中心に線維性病変と混在する非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の所見から, 心サルコイドーシスと診断した. 右室中隔の心室リード先端付着部近傍の心内膜下領域は非乾酪性類上皮細胞肉芽腫で包囲されており, リード先端付着部位は心筋の間質浮腫や血管の拡張を呈し頻回のCVによる直接の電流傷害所見であった. 心室中隔の線維化の進展の中で残存していた正常心筋に電流傷害を生じたことがCV後のデバイス不全出現の主要因であると推測された.
症例
  • 浅川 雅子, 尾藤 まりあ, 村岡 洋典, 碓井 伸一, 杉下 和郎, 安喰 恒輔, 高橋 利之
    2013 年 45 巻 5 号 p. 555-560
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/14
    ジャーナル フリー
     近医にて高血圧治療中の81歳の女性. 70歳時に脳梗塞の既往がある. 突然の右下肢脱力発作を生じ, 当院を受診. 下肢冷感, 足背動脈触知不能があり急性下肢動脈閉塞が疑われ入院となった. 心電図は洞調律で, 足関節上腕血圧比 (ankle brachial index ; ABI) は0.56/1.04 (右/左) であった. 下肢造影CTで右大腿動脈に約6cmの閉塞を認め, 急性下肢動脈閉塞として経皮的血管形成術 (percutaneous transluminal angioplasty ; PTA) を施行した. 胸部造影CTで左肺静脈内に腫瘤様の造影欠損を認め, 左肺静脈血栓症が示唆され, これによる塞栓症と考えられた. 血液検査では凝固因子異常を示唆する所見はなかった. PTA時に吸引した塞栓子の病理組織像は血栓であった. PTA後, ウロキナーゼおよびヘパリン投与ののち, ワルファリンを導入し退院となった. 1カ月後の造影CTでは左肺静脈の造影欠損は消失した. 以上より, 左肺静脈血栓症に右総骨動脈塞栓を合併した稀な症例と考え, 文献的考察を加えて報告する.
症例
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 麻喜 幹博, 田中 博之, 森 大, 笹川 佳苗, 斉藤 千紘, 三ツ橋 佑哉, 蟹沢 充, 永田 健一郎, 小暮 智仁, 磯貝 俊明, 二 ...
    2013 年 45 巻 5 号 p. 568-574
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/14
    ジャーナル フリー
     症例は, 24歳, 男性. 入院4日前から39°C台の発熱を自覚し, 次第に咳嗽と胸痛および呼吸困難の増悪を認め当院救急外来受診した. 低血圧と著明な低酸素血症を認め, 心電図上広範囲の誘導でのST上昇と胸部X線で両肺のうっ血所見を認めた. 心臓超音波検査で左室駆出率 (ejection fraction ; EF) 20%とび漫性左室壁運動低下が認められ, 入院当日施行した冠動脈造影で冠動脈に有意狭窄はなく, 経過より心原性ショックを併発した劇症型心筋炎と診断した. 大動脈内バルーンパンピング (intraaortic balloon pumping ; IABP) 挿入下でのスワン・ガンツカテーテルデータでもForrester IV型 (心係数1.8L/分/m2, 肺動脈楔入圧23mmHg) であったため, 経皮的心肺補助装置 (percutaneous cardiopulmonary support ; PCPS) を導入し人工呼吸管理を開始した. 第1~2病日に大量γグロブリン療法 (献血グロベニンI® 2g/kg/48時間) を行い, 補助循環管理における出血傾向や感染症などの合併症に対して対症的に管理した. 第6病日より心機能の回復 (心係数3.5L/分/m2以上) を認め, PCPSを離脱した. その後IAPBも離脱でき, 第9病日には人工呼吸管理からも離脱し一般病棟へ転床となった. 第13病日に左室造影と心筋生検を施行した. EFは46%に回復しており, 心筋生検では心筋細胞にリンパ球浸潤と心筋細胞の変性・消失を認め, ウイルス性心筋炎に矛盾しない所見であった. 後遺症なく第18病日に独歩退院した. 致死的疾患である劇症型心筋炎に対して早期に体外補助循環装置を導入し, 大量γグロブリン療法を行ったことが早期の生存退院と心機能の回復に寄与したと考えられた.
Editorial Comment
Editorial Comment
症例
  • 田内 祐也, 安田 徳基, 矢嶋 真心, 渋川 貴規, 佐藤 尚司, 滝内 伸, 大辻 悟, 東野 順彦
    2013 年 45 巻 5 号 p. 579-584
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/14
    ジャーナル フリー
     心不全発症にて診断された成人型左冠動脈肺動脈起始症 (anomalous origin of the left coronary artery from the pulmonary artery ; ALCAPA) に対して, 外科的治療を行い良好な結果を得た. 症例は, 58歳, 男性. 生来健康であったが, 50歳代に心不全症状を自覚するようになり, 2011年12月急性心不全にて受診. 僧帽弁閉鎖不全症を伴うALCAPAと診断され手術を行った. ALCAPA症例では体外循環, 上行大動脈遮断下であっても体循環からの側副血行路により冠動脈血流が持続するため, 手術は超低体温循環停止下に肺動脈を切開し左冠動脈起始部閉鎖および大伏在静脈グラフトを用いて左冠動脈にバイパス術を行った. また, 僧帽弁閉鎖不全症に対して僧帽弁輪縫縮術を行った. 術後合併症なく経過し, MDCT (multi detector row CT) にて左冠動脈から肺動脈への血流消失を確認した. ALCAPA症例では体循環から冠動脈への側副血行路が発達しており, 超低体温循環停止法を用いることで, 安全で確実な修復術を行うことができ, 良好な結果を得たため報告する.
症例
  • 寒川 浩道, 谷本 貴志, 猪野 靖, 塩野 泰紹, 石橋 耕平, 山野 貴司, 木村 桂三, 山口 智由, 平田 久美子, 久保 隆史, ...
    2013 年 45 巻 5 号 p. 585-590
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/14
    ジャーナル フリー
     T2強調像, 遅延造影MRIは心筋梗塞などの急性期, 慢性期診断に有用とされている. 今回われわれは, 冠攣縮によると思われる急性心筋梗塞を発症し心臓MRIが診断に有効であった1例を経験したので報告する. 症例は37歳, 男性. 2012年2月胸やけ, 冷汗が出現し, 安静にて改善しないため, 当院救急外来へ搬送された. 心電図では特に異常を認めなかったが, トロポニンT陽性, CK, CK-MB上昇, 前側壁中部から基部にかけて軽度壁運動低下を認めたことから急性心筋梗塞と診断し, 緊急冠動脈造影を施行した. 冠動脈は左右とも有意狭窄を認めなかったが, 左室造影にて前側壁に壁運動低下を認めた. 入院後ベニジピン塩酸塩内服にて胸痛は出現せず, 第6病日施行の心臓MRIでは前側壁にT2強調像にて高信号, 遅延造影MRIにてgrade 3の遅延造影を認めた. このため, 冠攣縮によると思われる急性心筋梗塞と診断した.
Editorial Comment
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研究会(第30回 関東川崎病研究会)
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