目的:ST上昇型急性心筋梗塞に対する高用量のニコランジル投与を亜急性期ならびに慢性期への効果を含め低用量と比較検討した.
方法:ST上昇型心筋梗塞30例(年齢=62±10歳,男性/女性=26/4)を無作為に高用量群(high dosage;HD;0.2mg/kg/5分静注後0.2mg/kg/時持続投与),低用量群(low dosage;LD;4mg静注後4mg/時持続投与)に振り分け24時間持続点滴投与を行った.また再灌流直後には両群ともニコランジル2mgの冠動脈注入を併用した.亜性期と慢性期に安静時
99mTC-MIBI心筋シンチグラフィを施行し,心筋血流総欠損スコア(total defect score;TDS)を算出した.またQGSソフトウェアを用いejection fraction(EF),end-diastolic volume(EDV),end-systolic volume(ESV)ならびに心肺運動負荷試験からpeak
O
2を求め比較した.
結果:TDSは亜急性期,慢性期ともLD群に比し,HD群で低値を示した.EDV,ESVには両群に差を認めなかった.EFは両群とも慢性期に改善した.慢性期のpeak
O
2はHD群がLD群より有意に高値を示した.
結論:ST上昇型急性心筋梗塞患者における高用量ニコランジル投与は低用量投与に比し心筋salvageならびに運動耐容能の改善により有用であった.
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