心臓
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45 巻, SUPPL.2 号
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
第25回 心臓性急死研究会
  • 永田 拓也, 百名 洋平, 菊池 幹, 吉村 仁, 折口 秀樹, 瀬筒 康弘, 橋本 亨, 山本 雲平, 宮田 健二, 毛利 正博, 山本 ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_104-S2_107
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は71歳, 男性. 夜間覚醒時に突然の前失神発作を自覚し, 当院へ搬送された. 来院時症状は軽快しており不整脈などは認めなかったが, 心エコーで非対称性中隔肥厚を伴う左室肥大を認め, 心原性失神が疑われた. 心臓電気生理学的検査にて 6秒間の非持続性心室頻拍が誘発され, 臨床的に認められた前失神発作が出現した. 入院中のモニター心電図でも自然発作の非持続性心室頻拍がとらえられた.  肥大型心筋症患者に対する心臓MRIにおいて遅延造影MRIは心筋線維化の評価に有用であり, さらに, 遅延造影を認めた症例においては生命予後が不良との報告がある. 本症例における心臓MRIでは遅延造影MRIで, 下壁・側壁・前壁の中部心筋に遅延造影効果を認めた. 以上の所見を総合し, 植込み型除細動器 (ICD) 植え込みを行う方針とした.  今回, 症候性の非持続性心室頻拍を伴う肥大型心筋症患者に特徴的なMRI所見を認め, 治療方針決定における一助となる可能性が考えられたため, 報告する.
  • 安原 容子, 平田 直己, 中川 晋, 蘆田 健毅, 山崎 祐, 樋口 聡, 遠藤 彩佳, 長谷川 祐, 高橋 寿由樹, 三田村 秀雄
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_108-S2_111
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は22歳, 女性. 過去に 3回の失神歴あり. 今回は入社面接で自己紹介の順番を待っている際に意識消失した. Bystander CPRは行われず, 救急隊が自動体外式除細動器 (AED) を装着したところ心室細動 (VF) であった. 3回のAED作動後に自己心拍が再開した. 冠動脈造影では有意狭窄を認めなかったが, 左室造影にてたこつぼ様の壁運動異常を呈し, 左室駆出率は47%と低下していた. 低体温療法中に, QT時間は入院時465msecから最長816msecへと徐々に延長し, 多形性心室頻拍も出現した. ペーシングおよびβ遮断薬によりQT時間はほぼ正常化し, その後は不整脈も見られなくなった. 本症例は, 潜在的なQT延長症候群をベースとして, 入社面接という緊張状態からストレス性心筋障害を併発し, VFに至った可能性も考えられた.
  • 城 日加里, 原 幹, 政田 賢治, 梶原 真二, 小野 裕二郎, 柳原 薫
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_112-S2_115
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は69歳, 女性. 肥大型心筋症, 心室頻拍, 慢性腎不全 (人工透析) にて他院通院中. アミオダロン内服していたがKL-6上昇のため, ソタロール40 mg ( 1×) に変更された. ソタロールを 2日間服用した後, 気分不快, 呼吸苦を訴え, 救急要請した. 搬送された病院で, 急速に意識レベルが低下し, 痙攣を認めたため, 気管内挿管の上, 当院転送となった. 来院時, 血圧85/., 心電図では洞性徐脈 (40/分) とQT延長, また, 胸部X線写真で肺水腫の所見を認めた. 血糖値は 8mg/dLで, グルコース静注したが, 意識障害は遷延した. その後, torsades de pointes (TdP) から心室細動に移行し, 電気的除細動を行った. 低血圧, 徐脈, 低血糖, 意識障害というβ遮断薬中毒症状とTdPからソタロール中毒と判断し, 薬剤中止のうえ, 透析を連日行ったところ, 諸症状は改善した. アミオダロン服用, 腎不全の存在により, ソタロール40mgの 2回の服用で重篤なソタロール中毒症状が出現したものと考えられた.  ソタロールはβ遮断作用とKチャネル阻害作用をあわせ持つⅢ群抗不整脈薬で, 心室性不整脈および上室性不整脈に対する有効性が証明されており, 臨床現場でも頻用されている.  今回, われわれは, ソタロール40mg 2回の服用で, 著明な低血糖, 意識障害, 痙攣, 心不全で発症し, 診断に苦慮したソタロール中毒の透析患者症例を経験したので報告する.
  • —冠攣縮 and/or たこつぼ型心筋症 and/or Brugada症候群
    間仁田 守, 比嘉 南夫, 真志取 多美, 旭 朝弘, 田端 一彦, 崎原 永啓
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_15-S2_18
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は47歳, 男性. 失神の既往, 突然死の家族歴はなし. 冠危険因子は喫煙のみであった.  早朝に路上で胸痛を自覚, 救急要請をした後に卒倒, 心室細動 (VF) が確認され, 自動体外式除細動器 (AED) 1回施行後に心静止となった. 病院到着後も心室頻拍 (VT) /VFを数回認めたが, アミオダロン静注後に消失した.  心電図ではST上昇やQT延長は認めなかった. 冠動脈造影にて有意狭窄は認めなかったが, 左室造影ではたこつぼ型心筋症様の壁運動異常を認めた. 冠攣縮によるVFと考え, Ca拮抗薬と硝酸薬の投与, 低体温療法を施行し, 後遺症なく社会復帰した.  退院後にsaddleback型ST上昇を認め, Brugada症候群が疑われたため, ピルジカイニド負荷を施行したが変化は認めなかった. 心肺蘇生後であることを考慮し, 電気生理学的検査 (EPS) も施行したが, VT/VFは誘発されなかった. VFの原因として冠攣縮, たこつぼ型心筋症, Brugada症候群が疑われる興味ある症例と考え報告する.
  • 勝海 悟郎, 池主 雅臣, 飯嶋 賢一, 佐藤 光希, 和泉 大輔, 渡部 裕, 古嶋 博司, 南野 徹
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_19
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     流出路起源の 2種類の心室期外収縮 (PVC-1・2, LBBB型+下方型, 連結期440.480ms) を契機に発症する多形性心室頻拍 (p-NSVT) で紹介された60歳, 男性. 失神の既往があったが, 器質的心疾患はみられなかった. Ⅰ誘導の極性はPVC-1が陰性, PVC-2は陽性であった. p-NSVT開始様式には同波形のPVCが連発するものと, 2種類のPVCが交互に生じるものが含まれていた. 心内膜マッピングで低電位領域はみられなかったが, 心室早期刺激で心室細動が誘発された. PVC-1の心内膜最早期興奮部位 (EAS : .30ms) は大動脈弁直下の左室流出路前壁であった. 冠静脈洞内のEAS (.35ms) は心内膜EASの対側で, 同部のpace mappingはVPC-1に一致したが冠動脈・冠静脈の損傷を考慮して通電は行わなかった. 心内膜EASに対して通電 (30.40W) を行うとPVC-2の消失とともに, PVC-1の著減と連結期延長 (500ms) がみられた. その後, 失神の再発・ICD作動は認めていない. 本例はLV summit領域からのp-NSVTで, 2種類のPVCはともに不整脈基盤に関与していたことが示唆された.
  • 劔 卓夫, 田中 靖章, 本田 俊弘, 坂本 知浩, 中尾 浩一
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_20
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は42歳, 男性. 2002年, 特発性心室細動の診断にて植込み型除細動器 (ICD) が植え込まれた. 2012年某日早朝, 患者が呼びかけに応じず, 呼吸も停止しかけていたため救急要請を行った. CPRを施行しながら近医に搬送中, 心室細動に対して自動体外式除細動器 (AED) による除細動が行われた. 病着時はasystoleであり, 結局心肺再開せず, 死亡が確認された. 急変 6時間前のICD定期送信時には異常所見は認められなかった. 死亡後にICDのinterrogationを試みたが, ICDが不応であったため, Biotronic本社においてICD本体の検証が行われた. その結果, 不応であった原因は, ICDショック放電による大電流がshock lead内の短絡のためにICD本体に逆流し, 正常な放電が行われなかっただけでなく, ICD本体を破壊した可能性が示唆された. 今回, このような希有な症例を経験したため, 解析の詳細, 文献的考察も含め報告する.
  • 山下 周, 田中 泰章, 高宮 智正, 鈴木 雅仁, 前田 真吾, 佐々木 毅, 笹野 哲郎, 川端 美穂子, 横山 泰廣, 平尾 見三
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_21
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は21歳, 女性. 11歳時と14歳児に失神歴がある. 15歳時に運動中に心肺停止となり回復. 某大学病院でQT延長症候群と診断されβ遮断薬を内服していた. 今回, 友人と会話中に突然意識消失, 心肺停止となり当院へ搬送された. 救急車内での心臓マッサージで心拍は再開したが, モニタ心電図上, 両方向性心室頻拍 (VT) が出現, 自然停止した. 運動負荷試験では, QT延長と両方向性VTが誘発された. Epinephrine負荷試験では低容量負荷でQTが著明に延長, 投与量を増やすと両方向性VTが誘発された. Andersen-Tawil症候群 (ATS) を疑わせる身体的特徴は認めず, KCNJ2を含めた既知の遺伝子変異は同定されなかった. 植込み型除細動器 (ICD) 植込みとmetoprololの内服で経過観察したがVTによるICD頻回作動が記録されたため, flecainideを追加, 以後VTは全く出現しなくなった. ATSを除いて両方向性VTを認めるQT延長症候群の報告はなく極めて稀有な症例と考え報告する.
  • 藤田 聡, 藤井 英太郎, 杉浦 伸也, 中村 真潮, 伊藤 正明
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_22-S2_25
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は21歳, 男性. 買い物中に突然意識消失にて転倒し救急要請された. 救急隊到着時心肺停止状態にて心肺蘇生が開始, 搬送中 3回自動体外式除細動器 (AED) による除細動が施行されたが成功せず, 救急病院到着後 4回目の除細動が施行され約30分後に心拍再開した. 状態安定後アミオダロン内服が開始され退院となり社会復帰したが, 植込み型除細動器 (ICD) 植え込みの同意が得られたため, 当院に転院となった. 初診時の心電図上Ⅱ, Ⅲ, aV F, V4~6にて0.1mVのJ点上昇を認めた. 高位肋間での心電図でJ点上昇の変化は乏しかった. 入院後冠攣縮性狭心症, QT延長症候群の鑑別を行ったがいずれも否定的で, 早期再分極症候群あるいは特発性心室細動と診断しICD植え込み術を行った. 無投薬にて経過観察中であるが, 現在のところICDの作動は認めていない.
  • 山下 文男, 會澤 彰, 千葉 義郎, 福永 博, 大平 晃司, 村田 実
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_26-S2_31
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     冠動脈起始異常は, 若年者における運動時の心臓性突然死の原因の 1つとされている. 今回, 冠動脈起始異常を伴い, それぞれ運動時の心室細動, 労作時の失神を繰り返した 2症例について検討し, 冠動脈起始異常により生じ得る心臓性突然死の病態を考察した.  症例 1 : 14歳, 男性. 1年前より運動時の胸部不快を自覚していた. サッカーの試合中に意識を消失し, 自動体外式除細動器 (AED) 施行時の心電図記録で心室細動が確認された. 冠動脈CTで左冠動脈右冠動脈洞起始が認められ, 左冠動脈主幹部はスリット状の狭窄を生じていた. 冠血行再建のため, 左冠動脈cut back, 左肺動脈再建術が施行された. さらに, 4カ月後の心臓電気生理学的検査で心室細動が誘発されたため, 植込み型除細動器 (ICD) 移植術が施行された.  症例 2 : 37歳, 男性. 1年前より, 労作中の胸部圧迫感と失神が繰り返された. head up tilt (HUT) 試験においてイソプロテレノール 2μg/分静注でST上昇と完全房室ブロックを生じ, ニトログリセリン口内噴霧の後に心電図所見は消失した. 冠動脈CTでは, 右冠動脈左冠動脈洞起始が診断された. 右冠動脈攣縮が考慮されたため, 冠拡張薬を開始し, 現在は症状なく経過している.
  • 松岡 宏治, 福岡 秀介, 宮村 有紀子, 泉 大介, 坂井 正孝, 幸治 隆文, 野田 英毅, 倉田 直哉, 岩田 悠一, 宮原 眞敏
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_3-S2_7
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例 1は37歳, 男性. 内科医師. 2009年11月ゴルフ中に心肺停止をきたした. 自動体外式除細動器 (AED) にて心室細動 (VF) と診断され除細動 (DC) して洞調律に回復した. 後日植込み型除細動器 (ICD) を植え込んだ. 2011年 2月初旬に 2回のVFイベントがあり, そのうち 1回はICD作動したことがホームモニタリング (HM) で確認された. イベント発生時はスキー中であったが, ICD作動も含めて明らかな自覚はなかった. その後, しばらくはICD作動無く経過していたが, 同年12月下旬に再度VFイベントによるICD作動があり, 1回のショック治療でVFは停止していたことがHMで確認できた. 今回もスキー中であったが, 前回と同様, イベント発生時は明らかな自覚症状はなく, ICDが作動していたことも自覚していなかった. 症例 2は32歳, 男性. 2009年6月飲酒後に痙攣発作あり救急受診, VFを認めたため, DCを施行するも, 洞調律⇔VFの状態を繰り返した (計 7回DC施行) . 後日ICDを植え込んだ. 2011年 9月下旬にVFイベントがあり, ICD作動したことがHMで確認された. イベント発生時は夕食後にビール350mL× 3本飲んでテレビを観ていたが, ICDの作動も含めて明らかな自覚はなかった. 無症候性で, かつICD作動の自覚もなかったVFを早期発見し, さらにはVFをきたす引き金になった行動を発見することができた症例を経験した.
  • 根木 謙, 鈴木 紅, 立石 和也, 宮坂 政紀, 金子 雅一, 阿部 裕之, 黒木 識敬, 淺見 貞晴, 弓場 隆生, 岩間 徹, 磯部 ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_32-S2_36
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は61歳, 女性. 以前より冠攣縮性狭心症で通院していたが, Ca拮抗薬単剤で胸部症状なく経過していた. 2012年春ごろより寒い日の午前中に軽労作で胸部圧迫感を生じるため, 冠動脈造影を施行したが, 冠動脈狭窄を認めず, 以後胸部症状なく経過していた. 2カ月後の定期外来受診時に洞性頻脈を認めたため, 甲状腺機能採血を行い帰宅した. しかし, 3日後の午前 5時ごろ, いびきとうめき声をあげた後, 呼吸停止となり救急搬送された. 救急隊到着時のモニター心電図で心室細動を認め, 電気的除細動で洞調律に復し心拍再開を得た. 当院到着時心電図で下壁・側壁誘導のST上昇を認めたが, Nicor-andil静注開始後, 速やかにST上昇は消失した. 低体温療法を行い, Basedow病と診断されたことからThi-amazole内服を開始し, Ca拮抗薬増量とNicor-andil継続により冠攣縮発作の再発なく経過し独歩退院となった. また, 本例では急性期に一過性のJ波の出現を認めた. 甲状腺機能亢進症の発症により冠攣縮発作が再燃し, 心室細動を生じた 1例を経験したため報告する.
  • 清水 嘉人, 住居 晃太郎, 山本 佳征, 折田 裕一, 蓼原 太, 五明 幸彦
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_37-S2_43
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     60歳, 男性. 胸痛発作にて冠動脈造影を施行, 冠攣縮性狭心症と診断し内服治療の方針とした. しかし, その後も胸痛発作を繰り返す治療抵抗性の症例であり, 攣縮を生じた血管へのベアメタルステント留置を行った. しかし, その後心室細動を発症. 救命し得たが, 多枝攣縮が原因のため, さらに, ステント留置を繰り返すこととなった. その結果, 胸痛発作は消失したが, 広範なステント内再狭窄を生じることとなり, 狭窄解除のための再々のカテーテル治療が必要となった. 難治性の冠攣縮に対するカテーテル治療の問題点を提起する症例であり報告する.
  • 浅野 充寿, 沖重 薫, 倉林 学, 岩井 慎介, 加藤 信孝, 井原 健介, 志村 吏左, 鈴木 秀俊, 畠山 祐子, 青柳 秀史
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_44-S2_49
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     重症冠攣縮 (VSA) に伴い致死的不整脈が発生し, 経皮的心肺補助装置 (PCPS) を用いて救命しえた 2症例を経験した.  症例 1は68歳, 男性. 既往歴に陳旧性前壁心筋梗塞があり, 院外心肺停止に対してCRTDが埋め込まれていた. 午前 8時に気分不快を訴えた後CPAとなった. 救急隊現着時はPEAであったが, 来院時自己心拍再開していた. ICUに入室後に心室細動 (VF) stormとなりPCPSを挿入した. CAGでは 3枝とも高度狭窄を認め, イソソルビド冠注で完全に解除されVSAと診断された.  症例 2は66歳, 男性. 失神発作を契機にVSAと診断され, アムロジピンを内服していたが, 胃癌摘出術のため, 内服を中止されていた. 術後 3日間はニコランジルを持続点滴投与されていたが, 同剤中止し 4日目よりイソソルビド貼付薬のみに変更していた. 10日目に気分不快を訴え意識消失しVFを確認した. PCPS挿入後にCAGを行ったが優位狭窄は認めなかった. ICU帰室後に突然, 下壁誘導でST上昇を認めイソソルビド静注にてST上昇は消失した. 有効冠拡張薬中止に伴い, 冠攣縮が誘発されたものと考えられた.
  • 松岡 聡志, 梅谷 健, 藤原 裕季, 牧野 有高, 中村 政彦, 瀬戸 俊邦, 相沢 一徳
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_50-S2_54
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は73歳, 女性. 夕食後, 自宅で会話中に突然意識消失. 家人により胸骨圧迫施行され救急要請. 救急隊到着時, 心電図波形は心室細動 (VF) . 電気的除細動 1回で心拍再開し, 当院へ搬送. 搬送時にはGCS14 (E3V5M6) , バイタルサインは安定していた. 蘇生後心電図はsinus rhythm, aV L・V4.6で陰性Tあり. 心エコーで側壁-後下壁で壁運動低下がみられたが, 冠動脈造影検査で有意狭窄なし. 冠攣縮性狭心症 (VSA) の可能性も考慮. 第 8病日にアセチルコリン負荷試験施行. LCAへ20μg負荷で全体的に攣縮が誘発. 心電図V1.4でSTが上昇し, VSAと診断. 多枝に強い攣縮が生じたことと家族の強い要望もあり, 植込み型除細動器 (ICD) を導入した. 怠薬はないが, 退院して 2年 7カ月後の午前 9時 (内服前) にICD作動. 後日ICD記録から再びVF発症し, 35Jで除細動していたことがわかった. ICD作動により心臓死を回避できた. VSAによるVF 2次予防にICD治療を行うか議論もあるが, 適応を慎重に再検討すべき症例であったため報告する.
  • 橋本 英伸, 伊藤 博, 坪田 貴也, 大久保 亮, 一林 亮, 本多 満, 吉原 克則, 山崎 純一, 池田 隆徳
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_55-S2_59
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は14歳, 男児. 12歳時に運動中に失神発作を生じたことがあり, その際に某病院で精査されたが異常は認められなかった. 2012年某日サッカーの試合中に意識消失をきたし, 心肺停止となった. 直ちにコーチによって心肺蘇生が行われ, 自動体外式除細動器 (AED) の 1回作動で自己心拍再開となった. その後, 当院 3次救急救命センターに搬送された. 当院到着時の意識レベルはJCS-300であり, 挿管・人工呼吸器管理下に脳保護目的で低体温療法 (34℃) が 2日間行われた. 後日, AEDの心電図を解析したところ, 心室細動 (VF) が記録されていた. 循環・呼吸状態に問題がなかったため, 第 7病日には抜管となった. 原因検索のため, 心臓カテーテル検査を施行したところ, 左冠動脈入口部が閉鎖しており, 左冠動脈の血流は右冠動脈からの側副血行路で供給されていた. 冠動脈バイパス術を施行する方針となった. 先天性冠動脈奇形に起因して運動中にVFをきたし, 蘇生された小児例は稀であり, 文献的考察を含めて報告する.
  • 古林 雄平, 廣畑 敦, 松本 健佑, 高藤 広弥, 古林 紫, 飯野 譲, 武 寛, 吉岡 亮, 佐野 文彦, 瀧波 裕之, 大原 美奈子 ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_60-S2_63
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は65歳, 男性. 喫煙を含む多数の冠危険因子があり, 既往歴としては急性肺動脈塞栓症がある. 2011年 7月, 突然の胸痛を自覚し救急搬送され, 各種検査所見からは左冠動脈主幹部が関与した急性冠症候群が疑われた. 来院時はKillip Ⅳ型の急性心不全を併発していた. 緊急冠動脈造影にて左冠動脈主幹部に透亮像を認め, 造影剤の冠動脈内注入によりValsalva洞に移動する所見が得られた. 大動脈造影では上行大動脈から左冠尖, 左主幹部へと連続する巨大な透亮像を認め, 造影CTや経食道エコーから巨大なmassが同部位に形成されているものと考えられた. 緊急冠動脈造影後の血行動態は落ち着いていたが, 左冠動脈主幹部領域の急性冠症候群再燃を恐れて緊急手術を施行する方針とした. 術中所見では上行大動脈, Valsalva洞壁には明らかな形態異常を認めなかったが, 大動脈壁に器質化血栓が付着しており, 2次血栓が形成され冠動脈に塞栓したことで急性冠症候群を発症したと推察された. 入院時はヘモグロビン19.8g/dLで, 喫煙からの 2次性多血症が原因と考えられる稀な急性冠症候群の病態であった.
  • 山田 桂嗣, 片山 祐介, 岡部 浩太, 藤原 敬士, 三木 崇史, 藤田 慎平, 宮地 剛, 山本 和彦, 川本 健治, 田中屋 真智子, ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_64-S2_68
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は74歳, 女性. 突然の胸苦のため救急要請し, 救急隊接触時は心停止. 救急隊による一次救命処置 (basic life support ; BLS) にて, 当院到着時には自己心拍再開. 外来検査にてST上昇型急性心筋梗塞と診断し, 緊急心臓カテーテル検査を施行し, 左前下行枝高度狭窄に血行再建を施行. 胸部CTにて縦隔気腫, 広範囲な皮下気腫, 血気胸, フレイルチェストを認めたため, 経皮的冠動脈インターベンション (percutaneous coronary intervention ; PCI) 後に胸腔ドレーンを挿入しICU入室. 心停止後症候群であり低体温療法を導入したが, 胸腔内出血が持続し出血コントロール困難のため, 短縮プロトコールにて実施した. 血行動態は不安定であり, 大量強心薬および大量輸血, 大量補液施行するもバイタル維持困難であった. ショック状態遷延のため, 経胸壁心エコーによる評価は困難であったため, 経食道エコーを施行した. 収縮能は良好であったが, 左胸腔に血胸を認め, 心タンポナーデによる左室流出路狭窄を生じていた. 左胸腔に直視下に大径胸腔ドレーンを追加したところ短時間で大量血液の排液を認め, 循環動態, 呼吸状態の著明な改善を得た. その後の臨床経過は第 4病日IABP抜去. 第 7病日気管切開術施行. 第10病日胸腔ドレーン抜去. 第20病日高次機能障害なし. 第28病日一般病棟へ転室. 第98病日人工呼吸器離脱. 第122病日気管孔閉鎖. 第162病日転院. 心肺蘇生術により外傷性血気胸, 心タンポナーデのみならず左室流出路狭窄まできたし診断に苦慮した 1例を経験したので報告する.
  • 大沼 善正, 丹野 郁, 塚本 茂人, 千葉 雄太, 大西 克実, 川崎 志郎, 宗次 裕美, 菊地 美和, 伊藤 啓之, 小貫 龍也, 三 ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_69-S2_75
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は62歳, 男性. 先行する上気道症状に続く全身倦怠感を主訴として当院受診した. 心電図でⅡ, Ⅲ, aVFのST低下を認めたため, 急性下壁梗塞の診断で緊急心臓カテーテル検査を行った. 右冠動脈 seg 2が完全閉塞しており, 同部位に対し冠動脈ステント留置術を施行した. 来院時の心エコーでは左室心尖部血栓と全周性に左室壁運動低下 (LVEF 27 %) を認めていた. 入院後第 4病日VFとなり, DCで洞調律へ復帰した. 第10病日トイレに向かう途中心肺停止となり, VF stormによる血圧低下を来したため, IABPを挿入し, 人工呼吸器管理となった. 抗不整脈薬は無効であり, VF停止後に徐脈となるため, 体外式ペースメーカーを挿入した. ペーシングによりVF stormは抑制されるものの, リードのdislodgementが頻回であり, 第12病日ICD植え込み術を行った. 右室ペーシングによりVFは減少したが完全には抑制できず, 第13病日VFに対して緊急カテーテルアブレーションを施行した. 右脚ブロック, 上方軸のVPCがVFのトリガーとなっていたため, VPC起源と考えられた左室後壁基部領域をアブレーションしたところVFは抑制された. 術後ICD作動はなくなったが, 多臓器不全により第24病日死亡確認となった.
  • 平山 敦士, 宮本 卓也, 佐藤 知佳, 安藤 薫, 石垣 大輔, 和根崎 真大, 沓澤 大輔, 佐々木 真太郎, 屋代 祥典, 大道寺 飛 ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_76-S2_79
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は86歳, 女性. 症候性大動脈弁狭窄症 (aortic stenosis ; AS) にて外科的大動脈弁置換術 (surgical aortic valve implantation ; SAVR) を勧められていたが希望されず. 経過観察中に薬剤抵抗性心不全を発症し, 改善しないため, 当科紹介となった. カテコラミン依存性のNYHA Ⅳ度の状態で, Euro SCORE 29.6%, LVEF 21%, 安静時も低心拍出発作を繰り返していた. IABP standbyにて経皮的大動脈弁バルーン形成術 (percutaneous transvalvular aortic val-vuloplasty ; PTAV) を施行した. PTAVにより, 弁口面積が0.34から0.43cm 2へ改善し, カテコラミンからの離脱に成功した. BNPも6,831から1,762pg/mLまで低下し, NYHA ⅣからⅡ度まで改善した. PTAV施行からわずか 9日後に独歩退院することが可能となった. その後, 外来にてLVEFも39%まで改善し, BNPも912pg/mLまで低下した. PTAV施行半年後に再弁狭窄から息切れの増悪とBNP再上昇をきたしたことを契機にSAVR施行に同意され, PTAV後357日後にSAVRを施行し, 成功した. 独歩退院し, NYHA Ⅰ度, BNP 207pg/mLまで改善した. 重症ASに対してPTAVにより致死的な状況を回避し, 慢性期に左室機能の改善が得られ, SAVRへのbridgeに成功した貴重な 1例を経験したので報告する.
  • 加藤 孝佳, 上山 剛, 吉賀 康裕, 土居 正浩, 福田 昌和, 文本 朋子, 石口 博智, 沢 映良, 道重 博行, 矢野 雅文, 清水 ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_8-S2_14
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は73歳, 女性. 持続する動悸を主訴に近医を受診し頻脈性心房細動を指摘された. 同院にて薬理学的除細動目的にベプリジル100mg/日とアプリンジン40mg/日が投与され, ビソプロロール2.5mg/日が追加されたが頻拍は停止しなかった. アプリンジンからシベンゾリン300mg/日に変更した 4日後に右側胸部誘導にST上昇を伴う完全右脚ブロックおよびPQ延長を伴う洞性徐脈と断続的なwide QRS tachycardiaによるプレショックをきたし前医に救急搬送された. 薬剤中止後は正常心電図であったがNaチャネル遮断薬負荷試験は陽性であった. 後に家族歴として長男 (31歳) , 叔父 (50歳代) が突然死, 長女は当院でBrugada型心電図, 心房頻拍・粗動のアブレーション治療歴があり, 孫にBrugada型心電図異常の指摘があることが判明した. β遮断薬とNaチャネル遮断薬によって致死性不整脈が誘発された症例で, 突然死を含むさまざまな表現形を呈したBrugada症候群の 1家系例を報告する.
  • 坂部 茂俊, 森 一樹, 森脇 啓至, 佐藤 圭, 杉本 匡史, 掘口 昌秀, 高村 武志, 世古 哲哉, 笠井 篤信, 松山 由紀子
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_80-S2_85
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     背景と目的 : 心肺停止から蘇生された患者の神経学的予後は, 生存退院や社会復帰の有無でおおまかに評価されることが多い. しかし, 実際の患者は, 退院し, 自宅に戻り職場復帰できてもさまざまな問題に直面する. われわれは心肺停止後, 蘇生患者における高次脳機能障害を神経心理学的検査で評価した.  対象と方法 : 対象となったのは心室細動を生じ, 電気的除細動を含む心肺蘇生がなされ, 生存退院した 4名 (男 2名) , 年齢19~72歳, 蘇生後 1~6年で, 全例除細動までに10分以上要している. 言語聴覚士によるリバーミード行動記憶検査, WAIS-Ⅲ成人知能検査で, 記憶, 知能を中心に高次脳機能を評価した.  結果 : 障害の程度は症例ごとに異なり蘇生までの時間, 発症時の年齢などと単純に相関しなかった. 内容は記銘力など記憶を中心とする障害を示すもの, 記憶のみならず知能に障害が及ぶものにわかれた.  考察とまとめ : 症例ごとに高次脳機能およびその障害を評価することは, 患者の目標設定, 職種選択など社会復帰に有効な手段となる可能性がある. 心事故から蘇生された患者の障害パターンに特異的な所見が存在するか否かは, 今回の検討ではデータが少なく判断できない. しかし, データを蓄積していけば脳低体温療法やリハビリなどの治療効果判定や, 治療の進歩に役立つ可能性がある.
  • 稲川 浩平, 髙月 誠司, 勝俣 良紀, 西山 崇比古, 木村 雄弘, 西山 信大, 福本 耕太郎, 相澤 義泰, 谷本 陽子, 谷本 耕司 ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_86-S2_90
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は39歳, 男性の発作性心房細動 (PAF) 症例. 父もPAF. 突然死の家族歴はない. 2008年の健診で心房細動を指摘され当院を紹介受診. 心エコー図で僧帽弁逸脱による中等度の僧帽弁逆流症と左房拡大, 左室拡大 (Dd/Ds=5.8/3.6cm) を認めた. PAFに対するアブレーションを施行したが, 両側拡大肺静脈隔離後, 三尖弁下大静脈間峡部の通電中に心室細動となり, 電気的除細動を施行した. その後のプログラム刺激でも心室細動が誘発された. 心臓MRIでは特記すべき所見は認めず, 各種薬剤負荷にても有意な心電図変化は認めなかった. 2週間後に再度電気生理学的検査を施行したところ, 右室からのプログラム刺激で心室細動は誘発されなかった. 術後に心房頻拍が出現したため, ベプリジル, ベラパミルを開始し, 植込み型除細動器 (ICD) 植え込みは行わず退院とした. 以後, 外来にて経過観察を行っていたが, 1年 8カ月後に突然死した. アブレーション中に出現した心室細動が唯一の予測因子であった若年性突然死の症例を報告する.
  • 和田 匡史, 草野 研吾, 西井 伸洋, 永瀬 聡, 森田 宏, 中村 一文, 河野 晋久, 伊藤 浩
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_91
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は75歳, 女性. 心拍数208/分の持続性心室頻拍にて当院紹介となった. 基礎心疾患精査にて後下壁領域に心室瘤を伴う心機能低下 (LVEF45%) を認めた. 電気生理学的検査でも容易に多種類心室頻拍が誘発され, 植込み型除細動器 (ICD) 植え込みを施行. 基礎疾患診断に難渋したが, 画像上の肺病変は認めないものの気管支肺胞洗浄 (BAL) を施行したことで最終的にサルコイドーシスの診断に至り治療方針を確定できた.  致死性不整脈などを機に心室瘤が特定されるも確定診断に至らず治療方針が決定できない症例がしばしば経験される. 心サルコイドーシスもまた, 心室瘤の形態異常を呈することがあるものの診断率の低い疾患である. しかし, 診断基準改訂後は, 組織学的証明がなくても臨床診断可能となり, 心病変以外の他臓器での所見診断が重要となる. 本症例は, 肺画像所見がなくてもBALまで施行したことで診断確定できた教訓的な症例であり報告する.
  • 吉岡 良造, 藤木 明, 阪部 優夫, 横山 恵理子, 東 茂樹
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_92-S2_95
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は74歳, 女性. 1997年完全房室ブロックに対しVDDペースメーカーを装着した. 当時は心機能正常で器質的心疾患を示唆する所見は認めなかった. その後15年間経過は良好であったが, 2012年突然の動悸・ふらつきを認め心電図で心室頻拍 (VT) と診断された. 血圧低下を伴っており直流通電でペースメーカー調律に復帰した. 心臓超音波検査では心室中隔の一部菲薄化と左室駆出分画の低下を認め, 心サルコイドーシスが疑われた. VTに対してカテーテルアブレーションを行った. Voltage-mapでは心室中隔基部とHIS束領域に低電位化を, 両者の間にはfragmented potentialが認められた. 同部位でのpace-mapで11/12の一致を認めアブレーションを施行した. また, VDDペースメーカーからICDに変更したが, その後半年間VT再発は認めない.  今回房室ブロック発症後, 遠隔期に持続性心室頻拍を生じた症例を経験した. 心サルコイドーシスとの関連を含め報告する.
  • 須澤 仁, 島本 恵子, 三浦 史晴, 井上 一郎, 河越 卓司, 島谷 祐二, 西岡 健司, 中間 泰晴, 岡 俊治, 䑓 和興, 大谷 ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_96
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     症例は34歳, 男性. 飲酒中に心室細動に伴う心肺停止状態となり当院救急搬送となった. 来院時も心室細動継続していたため, アミオダロン投与下に電気的除細動を繰り返し発症50分で自己心拍再開した. 原因検索のため, 冠動脈造影を含めた各種検査を行い, 虚血性心疾患は否定的であったが心エコー上, 左室後下壁の壁運動低下を認めた. また, 全身のリンパ節腫大あり生検を行ったところ非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が証明され, そのほかの検査所見と併せてサルコイドーシスの心筋浸潤に伴った心室細動と診断した. 植込み型除細動器 (ICD) の植え込み, ステロイド導入後に独歩退院, 致死的不整脈の出現なく経過している.  サルコイドーシスは若年に多く, 心病変では心筋障害や伝導障害による多彩な不整脈をきたし突然死の原因となるため, 特に若年者では基礎疾患として鑑別に挙げる必要がある.
  • 佐々木 直子, 大久保 公恵, 奥村 恭男, 小船 雅義, 永嶋 孝一, 真野 博明, 園田 和正, 古川 力丈, 中井 俊子, 國本 聡, ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_97-S2_103
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/08
    ジャーナル フリー
     たこつぼ型心筋症は一般的に予後良好とされているが, 稀に致死的不整脈をきたすという報告がある. 今回, 著者らは, 心室細動 (VF) を契機に発症したたこつぼ型心筋症 2例を経験し, 示唆に富む症例と考え報告する.  症例 1 : 30歳, 女性. 10年前に健診で右室流出路 (RVOT) 起源心室性期外収縮 (VPC) を指摘され, 5年前よりメキシレチン300mgを内服していた. 2012年 5月某日, 午前11時ごろ会話中に突然失神したため, 家族が救急要請し, 心肺蘇生を施行, 自動体外式除細動器 (AED) によりVFが確認され, 除細動された. 緊急冠動脈造影 (CAG) では左右冠動脈に有意狭窄は認めず, 左室造影 (LVG) で心基部の過収縮と中部以下の広範な左室壁運動の低下を認めたため, たこつぼ型心筋症と診断した. 後日施行したアセチルコリン (Ach) 負荷で冠攣縮は誘発されず, ピルジカイニド負荷でBrugada型心電図変化は呈さなかった. RVOT起源VPCに対してはアブレーションを行った.  症例 2 : 47歳, 男性. 2012年 8月某日, 午前 5時就寝中に突然胸背部痛を自覚し救急要請, 救急隊到着後AEDによりVFが確認され, 除細動された. 緊急CAGでは左右冠動脈に有意狭窄はなく, LVGで, 心尖部の膨隆に伴う壁運動異常と心基部の過収縮を認めたため, たこつぼ型心筋症と診断した. 後日施行したAch負荷で冠攣縮は誘発されず, ピルジカイニド負荷でBrugada型心電図変化は呈さなかった. 電気生理学的検査では心室期外刺激によるプログラム刺激で, 再現性を持ってVFが誘発された.
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