心臓
Online ISSN : 2186-3016
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46 巻, 1 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
Open HEART
HEART’s Selection(循環器遺伝子診療の新展開─遺伝子型から臨床へ)
HEART’s Original
[臨床研究]
  • 黒瀬 聖司, 岩坂 潤二, 堤 博美, 山中 裕, 新野 弘美, 福島 八枝子, 日暮 恭子, 今井 優, 桝田 出, 武田 真一, 河合 ...
    2014 年 46 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/08
    ジャーナル フリー
     目的 : 急性心筋梗塞発症の70%は狭窄度50%未満の軽度狭窄病変からのプラーク破綻によって発症する. 本研究は, 急性冠症候群 (acute coronary syndrome ; ACS) 患者における責任病変より末梢に存在する50%未満の軽度狭窄病変に対する心臓リハビリテーション (心リハ) の効果を検証することを目的とした. 方法 : ACSで緊急冠動脈インターベンションを行った男性33名 (平均年齢 : 63.2±8.8歳, LVEF : 57.1±13.4%) を心リハ群17名と非心リハ群16名に分類した. 心リハ群はストレッチ, 有酸素運動, レジスタンストレーニングを90分, 強度は嫌気性代謝閾値で週3 回実施し, 通常治療群は定期的な外来受診のみとした. 入院時と6 カ月の冠動脈造影から定量的冠動脈造影 (quantitative coronary arteriography ; QCA) を行い, ステント治療部位よりも末梢の25~50%狭窄の部位を解析した. また, 両群の血液性状を比較し, 心リハ群は心肺運動負荷試験の指標も比較した. 結果 : 心リハ群は最小血管径, 狭窄率, プラーク面積, プラーク体積に有意な変化を認めなかったが, 非心リハ群はプラーク面積とプラーク体積が有意に進展した. 両群のLDL, L/H, HsCRPは有意に低下したが, 心リハ群のHsCRPは非心リハ群よりも低値の傾向を認めた. また, 心リハ群はpeak VO2が有意に増加した. 結論 : ACS患者に対する心リハは末梢の軽度狭窄病変の進展を抑制する可能性が示唆された.
[症例]
  • 北條 林太郎, 田邊 康宏, 荒井 研, 左近 奈央子, 赤澤 良太, 名内 雅宏, 西村 卓郎, 渡邉 智彦, 北村 健, 島田 博史, ...
    2014 年 46 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/08
    ジャーナル フリー
     異なる機序を介して逆たこつぼ心筋症様の左室壁運動異常を呈した2 例を経験した. 症例1 は, 58歳, 女性. 癲癇発作で入院した. 心電図にてST上昇を認め, 緊急冠動脈造影検査にて有意な所見を認めず, 左室造影より逆たこつぼ心筋症が疑われた. タリウム (201 Tl) を使用した薬物負荷心筋シンチグラフィでは異常はなく, 123 I-MIBGでは壁運動の低下した心基部に一致する取り込み低下と洗い出しの亢進を認め, 逆たこつぼ心筋症に矛盾しない結果であった. 症例2 は, 81歳, 男性. 胸痛を主訴に来院され, 冠動脈造影にて, 高位側壁枝を含めた多枝冠攣縮を認めた. 左室造影にて逆たこつぼ心筋症様の壁運動異常を認めた. 201 Tlを使用した薬物負荷心筋シンチグラフィでは側壁に逆再分布現象を認め, 123 I-MIBGでは同部位に取り込み低下を認め, 冠攣縮後の再灌流障害と考えられた. 冠攣縮性狭心症とたこつぼ心筋症においては両者の鑑別が重要である. 冠動脈造影検査および左室造影に加えて, 201 Tlと123 I-MIBGを用いた心筋シンチグラフィを行うことは病態究明に有用であると考えられた.
[症例]
  • 福田 信之, 井内 和幸, 稲尾 杏子, 能登 貴久, 野々村 誠, 三崎 拓郎, 名倉 里織, 深原 一晃
    2014 年 46 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/08
    ジャーナル フリー
     症例は慢性閉塞性肺疾患 (chronic obstructive pulmonary disease ; COPD) で近医通院加療中の68歳, 男性. 2 カ月前より労作時息切れを自覚し, 呼吸機能検査で閉塞性障害を認め, COPD増悪と診断され抗コリン薬吸入を追加された. しかし, 呼吸困難は増悪し起座呼吸の状態で当院へ救急搬送された. 心音ではⅠ音亢進, tumor plopを聴取し, 胸部X線, CT上は肺の気腫性変化に加え, 肺うっ血および両側胸水を認めた. 心臓超音波検査では左房全体を占める可動性良好な径80×65mmの巨大腫瘤が拡張期に僧帽弁輪を越え左室内に陥入し, 腫瘤により僧帽弁狭窄をきたし, 切迫嵌頓の状態と考えられた. 腫瘤は心房中隔に付着するstalkを有し左房粘液腫が疑われた. 巨大左房内腫瘤の僧帽弁口への切迫嵌頓に伴う心不全の状態であり, 緊急で左房腫瘤摘出術を施行した. 手術所見では左房内を占める巨大な腫瘤が僧帽弁にはまり込むように存在し, 組織病理診断で粘液腫と診断された. 開心術後の心臓リハビリテーションを行い, 経過良好に退院された. 呼吸困難が主訴であったが, 原疾患がCOPDのため診断にいたるまで時間を要し, 粘液腫も巨大化したと思われた. 診断は心臓超音波検査で行われたが, Ⅰ音亢進, tumor plopを聴取し, 日常診療で遭遇する機会が少ない左房粘液腫においても内科診断学に基づく身体所見が重要であると考えられた. 聴診能力を高めることが循環器診療の診断率向上につながることを再認識させてくれた貴重な1 例であった.
Editorial Comment
[症例]
  • 松添 弘樹, 清水 宏紀, 畑澤 圭子, 中村 浩彰, 熊谷 寛之, 辻 隆之, 井上 通彦, 則定 加津子, 高見 薫, 七星 雅一, 角 ...
    2014 年 46 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/08
    ジャーナル フリー
     症例1 : 30歳代, 女性. アルコール依存症, 神経性食思不振症にて精神科外来加療中であったが1 年前より通院を中断していた. 2012年5 月下旬の夕食後, 突然の痙攣様発作で救急要請. 救急隊到着時, 心室細動波形で心肺蘇生を開始, 合計3 回の電気的除細動が施行され当院搬入となった. び漫性左室壁運動低下を認め, 血清カリウム2.2mEq/L, 血清リン1.1mg/dLと電解質異常を認めていた. 入院後電解質補正を行い不整脈は消失したが, 低酸素脳症のため意識レベルの改善なく経過した. 症例2 : 40歳代, 男性. 2012年5 月下旬より下肢筋力低下, 起立困難から脳梗塞を疑われ近医で頭部精査入院となったが, 明らかな脳神経疾患は認めなかった. 前医第2 病日の朝食後, 突然心室細動が出現し心肺蘇生が施行されるも, 難治性心室頻拍となり某院救急センターへ搬送. 冠動脈造影にて有意狭窄はなかったが, 薬剤的, 電気的にもコントロール困難で経皮的心肺補助装置 (percutaneous cardiopulmonary support ; PCPS) 挿入下に当院に紹介搬送となった. 当院では多形性心室頻拍 (torsades de pointes ; TdP) を認め, び漫性に左室壁運動が低下しており, 血清カリウム : 1.6mEq/L, 血清リン : 1.6mg/dLと電解質異常を認めた. 入院後電解質補正によりTdPは消失, PCPS抜去にいたるも低酸素脳症から意識障害が遷延し第10病日に死亡退院となった. 両症例ともアルコール依存症を背景に持ち, カロリー摂取後の致死的不整脈出現からrefeeding症候群の関与が疑われた. 慢性低栄養患者に発症した若年性心肺停止患者ではrefeeding症候群の可能性を常に考慮する必要があると考えられた.
Editorial Comment
[症例]
  • 角田 聖子, 山下 省吾, 筒井 健介, 中田 佳延, 小山 達也, 上原 良樹, 笠井 督雄, 関 晋吾, 吉村 道博
    2014 年 46 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/08
    ジャーナル フリー
     症例は71歳, 男性. 以前, 健診で心電図異常を指摘されたが心臓超音波検査上異常所見なく経過観察となった. 2012年1 月下旬, 4 日前より出現した胸部不快感を主訴に当院来院. 受診時, 心電図にて心拍数210/分のwide QRS tachycardiaを認めたが, 意識は清明であり, 血圧は98/50mmHgであった. 心電図より持続性心室頻拍と診断し, リドカイン, ベラパミル, アミオダロンの点滴投与を行ったが頻拍は停止せず, 電気的除細動にて停止した. しかし, その後も持続性心室頻拍を繰り返したため, 虚血性心疾患の存在も考慮し緊急冠動脈造影検査を行ったが有意狭窄は認めず, 左室造影にて心尖部心室瘤を伴う心室中部の内腔狭小化を認めた. 心室中部閉塞性肥大型心筋症に伴う心室頻拍と考えられ, ランジオロール持続投与を開始し, 再度電気的除細動を行ったところ頻拍は停止し, 以後洞調律維持が可能となった. その後, アミオダロン点滴投与から内服へ, またランジオロールはビソプロロール内服へ移行させ再発なく第27病日に軽快退院となった. 退院後14カ月経過しているが, 心室頻拍の再発は認めていない. 今回, 心尖部瘤を伴う心室中部閉塞性肥大型心筋症に合併した反復性持続性心室頻拍に対して薬物療法が効果的であった症例を経験したので報告する.
Editorial Comment
Editorial Comment
[症例]
  • 能登 沙央理, 渋井 敬志, 松下 紀子, 大島 杏子, 佐伯 仁, 畑 明宏
    2014 年 46 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/08
    ジャーナル フリー
     腎梗塞および脾梗塞による側腹部痛で発症した高齢者心房中隔欠損症の1 例を経験したので報告する. 症例は78歳の女性. 生来健康であったが2012年1 月, 突然の左側腹部痛が出現し次第に増悪したため当院救急外来を受診した. 来院時低酸素血症を認め, 原因精査のための胸腹部造影CTで肺塞栓症, 左腎梗塞, 脾梗塞を認めたため緊急入院となった. 抗凝固療法を行い症状は改善した. 多発動静脈塞栓症の原因疾患精査として経食道心エコーを行い, 心房中隔に径7.8mmの欠損孔を認め, 心房中隔欠損症ならびにそれに伴う奇異性塞栓症と診断した. 心房中隔欠損症は先天性心疾患の10%を占める疾患であり, 奇異性塞栓症の原因となり得る. 本例では下肢造影CTで深部静脈血栓症を認めており, 深部静脈血栓症から肺塞栓症を生じ, 肺高血圧および右心系の負荷に伴う右房圧の上昇から心房中隔欠損症を介して逆シャントを生じ奇異性塞栓症を起こしたと考えられた. 心房中隔欠損症を伴う奇異性塞栓の再発予防に関しては, 薬物療法, デバイス閉鎖, 手術がある. 本例のような高齢者心房中隔欠損症の奇異性塞栓症においては, 薬物療法に対するデバイス閉鎖の優位性に一定の見解は得られておらず, 今後の検討を要する.
Editorial Comment
Editorial Comment
[症例]
  • 福岡 秀介, 山本 重忠, 宮村 有紀子, 泉 大介, 坂井 正孝, 幸治 隆文, 松岡 宏治, 宮原 眞敏
    2014 年 46 巻 1 号 p. 79-87
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/08
    ジャーナル フリー
     全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus ; SLE) の心合併症としては心外膜炎, 心筋炎, 心内膜炎, 冠動脈病変が知られている. 今回われわれは, SLE関連心膜心筋炎と診断した2 症例を経験した. 1 例目は42歳, 女性, SLEの診断でステロイドとシクロスポリンを内服していた. 動悸と呼吸困難で救急搬送となり, 肺炎・うっ血性心不全の診断で入院となった. 心エコー検査で左室壁運動のび漫性壁低下が認められSLE関連心筋炎の存在を疑ったが, SLEの疾患活動性は低くプレドニゾロン, シクロスポリンの増量は行わなかった. 15カ月後の心エコー検査では左室壁運動の低下は残存していた. 19カ月後の心臓MRI検査で心筋浮腫像や遅延造影は認められなかったが, 経過から慢性心筋炎と診断した. 2 例目は47歳, 女性, SLEと診断されステロイド治療を勧められていたが拒否していた. 労作時呼吸苦で受診され, 心エコー検査で左室壁運動のび漫性低下, 中~高度の心嚢水貯留を認めた. 心筋生検で心筋炎に特徴的な所見は認められなかったが, 臨床経過や心臓MRI検査からSLE関連心膜心筋炎と診断した. ステロイド内服治療を開始したところ, 次第に心不全症状と心嚢水・心機能の改善が得られた. 5 カ月後の心エコー検査では, 左室壁運動は正常化していた. 膠原病患者の心病変は, 疾患活動性, 重症度, 生命予後を規定する因子である. 早期に診断し, 適切な治療を行うことが重要である.
Editorial Comment
Editorial Comment
[症例]
  • 野本 英嗣, 徳永 毅, 中野 国晃, 久保山 修, 服部 英二郎, 山口 裕己
    2014 年 46 巻 1 号 p. 90-94
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/08
    ジャーナル フリー
     症例 : 47歳, 男性. 主訴 ; 乾性咳嗽, 血痰. 既往歴 ; 2003年 深部静脈血栓症 ( 6 カ月間抗凝固療法). 現病歴 ; 2009年1 月より乾性咳嗽, 5 月中旬より血痰を認め, 他院で精査されたが原因不明であった. 9 月中旬造影CTで肺動脈瘤, 肺血栓塞栓症と診断され, ワルファリン内服を開始された. しかし, 再度血痰を認めたため, 10月中旬精査加療目的で当院に紹介となった. 入院後経過 : 胸部CTで右下葉肺動脈に30mm大, 左下葉肺動脈に46 mm大の肺動脈瘤を認め, 明らかな血栓素因はなく, 肺高血圧症, 膠原病, 感染徴候なども認めず, 特発性末梢性肺動脈瘤と診断した. 2003年と比較し比較的急速に増大傾向を認めたため, 手術の方針とし, 新東京病院で自己心膜を用いた肺動脈形成術を施行された. 考察 : 肺動脈瘤そのものが稀な疾患であるが, 末梢性はさらに頻度が少ない. また, 続発性の多くは喀血などの症状を認めるが, 特発性は無症候であることが多い. 治療は手術が原則とされているが, 肺切除や瘤切除によって肺灌流が低下すると, 肺高血圧症や右心不全のリスクが高くなる. 本症例は自己心膜を用いた肺動脈形成術により肺実質への血流温存が可能となり良好な経過をたどった. 症候性の特発性末梢性肺動脈瘤は稀であり, 今後同様の疾患に対する治療法を検討するうえで貴重な症例と考え報告する.
[症例]
  • 尾関 真理子, 俵原 敬, 松成 政良, 神田 貴弘, 宮島 佳祐, 田村 純, 高林 瑠美, 待井 将志, 浮海 洋史
    2014 年 46 巻 1 号 p. 95-101
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/08
    ジャーナル フリー
     症例は81歳, 男性. 5 歳時から心雑音を指摘されていた. 52歳時に心室中隔欠損症, 肺動脈弁狭窄症を指摘されたが手術拒否, 以後保存的に加療されていた. 79歳ころより労作時呼吸困難が増強し当院に紹介入院となった. 入院後のmultidetector-row computed tomography検査により初めて修正大血管転位症と診断された. 体心室は駆出率67%と維持され, また三尖弁閉鎖不全は軽微なものでありBNPも72pg/mLとごくわずかな上昇にとどまったことから体心室不全は否定的であった. 心室中隔欠損症は膜様部に位置し肺体血流比0.62であった. 肺動脈弁は三尖で石灰化を伴い, 左室肺動脈圧較差118mmHgであった. 平均肺動脈圧は20mmHgであり肺高血圧症は否定された. 未手術の合併心奇形を有しながらも高齢まで生存し, 81歳で初めて修正大血管転位症と診断された稀な症例を経験したため報告する.
Editorial Comment
[症例]
  • 佐藤 由里子, 大島 祥男, 桧山 和子, 片桐 敏雄, 石原 龍馬, 堤 正和, 登坂 淳, 水村 泰祐, 玉村 年健, 杉村 洋一, 新 ...
    2014 年 46 巻 1 号 p. 105-112
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/08
    ジャーナル フリー
     症例 : 29歳, 男性, 主訴 ; 労作性胸痛. 11カ月前に下壁梗塞の既往あり. 右冠動脈病変#3 99%に対し近位側に金属ステント (Liberté® 4.0×28mm), 末梢側に薬剤溶出ステント (TAXUS® 3.0×20mm) を留置されている. 冠動脈造影では以前留置した2 個のステントのギャップに90%狭窄を認めステント再狭窄と診断した. ダイレクトステントにより, 薬剤溶出ステント (drug eluting stent ; DES) を留置したところ急性冠閉塞を発症. 動脈硬化粥腫内容物の圧出による末梢閉塞と考え, 血栓吸引, バルーン拡張を試みたが改善なし. 血管内超音波 (intravascular ultrasound ; IVUS) の観察により遠位側に留置されているステントのストラット外側からのガイドワイヤーの迷入, 新たなステントの追加留置によるステントの不完全拡張, 遠位側のステントの変形および病変部の粥腫内容物の流出により急性冠閉塞をきたしたと判明した. IVUSにより病態を把握後, バルーン拡張を追加しbail outに成功した.
Editorial Comment
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