心臓
Online ISSN : 2186-3016
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46 巻, 4 号
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OpenHEART
HEART’s Selection(TAVIの現状と将来)
HEART’s Original
[臨床研究]
  • 目野 宏, 稲生 哲治, 土屋 芳弘, 中村 祐一郎, 志賀 悠平, 田中 道子, 小林 研次, 久原 伊知郎
    2014 年 46 巻 4 号 p. 446-454
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/07
    ジャーナル フリー
     背景および目的 : われわれは以前の報告で (Clinical Drug Investigation 2012 ; 32 (3) : 171-178)1), アンジオテンシン受容体拮抗薬 (ARB) を含む降圧療法を行っているにもかかわらず, 十分な降圧が得られていない症例に対し, 1年間のロサルタンとヒドロクロロチアジドの配合剤の降圧効果および血漿BNP濃度の低下作用を報告した. 本研究では, さらに2年間 (合計3年間) の観察の延長を行った.  方法 : ARBを含む降圧療法を行っているにもかかわらず, 降圧目標を達していない本態性高血圧症症例に対し, ARBをロサルタン50mgとヒドロクロロチアジド12.5mgの配合剤に変更し, 降圧効果, 血液生化学検査成績および血漿BNP濃度に与える影響, および安全性を検討した. 前向き観察研究において, 185例 (年齢36歳から79歳, 平均64歳) を登録し, 3年間の追跡調査が可能であった78例を解析対象とした.  結果 : 収縮期血圧/拡張期血圧 (mmHg) は156±11/86±11から131±14/73±11mmHg (3年後, p<0.001) へと低下した. 血漿BNP濃度 (n=38) は47.5±65.2から36.2±41.2pg/mL (3年後, p=0.10) と変化はみられなかったが, 登録時のBNP値が20pg/mL以上の症例 (n=20) においては, BNP値は79.8±77.4から53.1±49.6pg/mL (3年後, p<0.01) と変化した. 3年後の降圧目標達成率は, それぞれ, 50% (全症例), 81% (高齢者), 45% (若年者) および35% (糖尿病合併例・慢性腎臓病合併例) であった.  結論 : 降圧機序の異なる2種の降圧薬 (ロサルタン50mgとヒドロクロロチアジド12.5mg) の配合剤は, 3年間にわたり, 安全に降圧効果を示し, また血漿BNP濃度が高い症例では同値を低下させた.
Editorial Comment
[症例]
  • 岡部 俊孝, 山下 賢之介, 荏原 誠太郎, 山本 明和, 星本 剛一, 斎藤 重男, 薬師寺 忠幸, 磯村 直栄, 荒木 浩, 小原 千明 ...
    2014 年 46 巻 4 号 p. 457-463
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/07
    ジャーナル フリー
     症例は51歳男性. 冠危険因子は, 喫煙と脂質代謝異常症. 2010年8月に急性冠症候群で他院にて冠動脈造影を施行. アセチルコリン負荷試験で冠攣縮が原因と診断された既往があった. 2011年3月, 胸痛を主訴に当院受診. 心電図では特記すべき変化を認めず, 心筋逸脱酵素の上昇はなかったが, トロポニンTは陽性であった. 血行動態が安定していたため, まず冠動脈CTを施行した. 冠動脈CTでは閉塞血管は認められなかったが, 左主幹部にCT値60-80HUの血栓様楔状構造を認めたため, 緊急冠動脈造影を施行. 左主幹部の造影欠損と, 回旋枝#13の閉塞所見を認めた. #13閉塞部を血栓吸引カテーテルで吸引すると赤色血栓が吸引でき, TIMI2 flowを得た. 血管内超音波法では左主幹部に血栓所見を認めた. #13にバルーン拡張を施行しTIMI 3を得た後, 左主幹部で再度血栓吸引を施行したところ赤色血栓が吸引でき, 血管内超音波法でも冠動脈内血栓の所見は消失していた. 造影上も, 欠損像が消失したことが確認できたため手技を終了した. 冠動攣縮による血栓形成が原因と思われる急性冠症候群に対して, 血栓吸引と冠動脈バルーン形成術のみで改善した症例を経験したため報告する.
Editorial Comment
Editorial Comment
[症例]
  • 原 昭壽, 長内 宏之, 桑山 輔, 石濱 総太, 坂本 裕資, 大高 直也, 小川 隼人, 坂口 輝洋, 村瀬 洋介, 中島 義仁, 浅野 ...
    2014 年 46 巻 4 号 p. 468-474
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/07
    ジャーナル フリー
     78歳男性. 2004年10月に洞不全症候群に対して左前胸部にAAIペースメーカを留置された. 2005年11月に植え込み部位の発赤を認めたため当院外来を受診した. ペースメーカ感染がまず考慮されたがバイタルサインや血液検査上は感染兆候認めず, 腕時計装着部の皮膚発赤から金属アレルギーを疑われた. ペースメーカ本体による接触テストを施行したところ接触部位の発赤が出現し, ペースメーカアレルギーと診断された. 対側への再植え込みに際し, 組織との接触防止のためリード・本体をpolytetrafluoroethylene (PTFE) シートで被覆して植え込みを行った. その後7年間発赤・腫脹などのトラブルなく経過した. バッテリー消耗により, 平成24年11月に電池交換を施行した. 術中所見としては, PTFE周囲は繊維性被膜に覆われおり, 滲出液などの感染やアレルギー反応を示す所見は認めなかった. 洗浄後にPTFE内に新規本体を収納し, 不足分を新規PTFEで被覆して閉創した. ペースメーカアレルギーへの対策として有効であったが, 感染リスクが今後の課題と考えられた.
Editorial Comment
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[症例]
  • 岩崎 夢大, 佐藤 英二, 小松 寿里, 櫻本 万治郎, 中川 孝, 佐藤 弘和, 山科 順裕, 三引 義明, 石田 明彦, 滑川 明男, ...
    2014 年 46 巻 4 号 p. 478-484
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/07
    ジャーナル フリー
     85歳女性. 完全房室ブロックのため当院に救急搬送され, 体外式ペースメーカーを挿入した. 第4病日にDDD型ペースメーカー植え込み術を施行した. 第7病日に胸痛を訴えたため精査したところ, 心臓超音波検査で心尖部の壁運動の低下, 血液検査でトロポニンT陽性を認めたため, 緊急冠動脈造影検査を施行した. 冠動脈には有意狭窄を認めず, 左室造影にて心尖部の無収縮と心基部の過収縮を認め, たこつぼ心筋症と診断した. 同日のペースメーカーチェックで右心室低位中隔に留置した心室リードのペーシング閾値が, 0.75V/0.4msから1.75V/0.4msに悪化を認めた. その後壁運動異常は徐々に改善したが, 心室リードの閾値は改善せず, 術後第45病日の時点でペーシング閾値は2.75V/1.0msとさらに増悪を認めた. その後ペーシング閾値は明らかな悪化を認めず経過している.  ペースメーカー植え込み後にたこつぼ心筋症を発症し, 心室ペーシング閾値の悪化を認めた1例を経験した.
Editorial Comment
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[症例]
  • 大塚 信一郎, 稲葉 美紀, 井上 友樹, 新藤 英樹, 田村 英俊, 渡辺 浩二, 大石 学, 鈴木 創, 形山 憲誠, 小泉 博史, 布 ...
    2014 年 46 巻 4 号 p. 489-495
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/07
    ジャーナル フリー
     症例は66歳女性. 49歳時に慢性腎炎による腎不全のため血液透析が導入された. 統合失調症にも罹患しており, 透析コントロール不良で, 体重増による入退院を繰り返していた. またつねに高リン血症があり, 薬物治療のほか, 二次性副甲状腺機能亢進症に対しての経皮的エタノール注入療法を繰り返されていた. 心臓超音波検査にて徐々に増大する僧帽弁輪後尖部に石灰化を伴う腫瘤性病変を指摘されたが, 精査は拒否され経過観察がなされていた. 体重管理不良に加え, 常時低血圧となり透析困難状態が続き, 最終的に小腸壊死により死亡. 死後の剖検にて心内の腫瘤性病変は腫瘍性石灰沈着症と判明した. 慢性透析症例において, 心臓超音波検査で心内の異所性石灰化はしばしば認められるが, 腫瘤状に増大し腫瘍性石灰沈着症にいたる例は稀である. 本例で腫瘍性石灰沈着症にいたった要因としては, 高リン血症のコントロールが不良であったことが考えられた. また腫瘍性石灰沈着症は塞栓症や弁狭窄を呈することがあるため, 慢性透析例で石灰化を伴う心内腫瘤を認めた場合は腫瘍性石灰沈着症を念頭に置きフォローアップする必要があると考えた.
[症例]
  • 野本 英嗣, 吉川 俊治, 増田 怜, 田中 泰章, 篠岡 太郎, 栗原 顕, 足利 貴志, 平尾 見三, 磯部 光章, 金城 恒道
    2014 年 46 巻 4 号 p. 496-501
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/07
    ジャーナル フリー
     33歳, 女性. 38°Cの発熱を認めたが翌日解熱し, 1週間後38.8°Cの発熱, 嘔吐, 心窩部痛を認め某総合病院受診した. 炎症反応, 心筋逸脱酵素の上昇を認め, 心電図上広範なST上昇, 心臓超音波検査では左室壁運動のびまん性低下, 心筋浮腫を認め急性心筋炎と診断され緊急入院となった. 入院翌日ショック, 完全房室ブロックを認め, 大動脈内バルーンパンピング (IABP), 経皮的心肺補助装置 (PCPS) を挿入された. 前医では心機能改善に乏しく救命困難と判断され, 第6病日に補助人工心臓導入を含めた集学的管理目的に当院転院となった. 転院時, 心筋逸脱酵素の早期ピークアウト, 心電図上QRS幅の減少を認めており, 心機能回復の予兆ととらえ, 補助人工心臓導入の準備はしつつも慎重に経過観察する方針とした. 以降, 経時的に左室壁運動の改善を認め, 順次PCPS, IABP, 人工呼吸器を離脱し退院となった. 劇症型心筋炎に対するBridge to Recovery目的の補助人工心臓導入に関して確立した基準はなく, 慎重な判断が重要である. 本症例は心筋逸脱酵素の早期ピークアウト, 心電図上QRS幅の改善を根拠に保存的に救命し得たため, 補助人工心臓の適否を判断するうえで示唆に富む症例と考えられた.
Editorial Comment
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[症例]
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[症例]
  • 岡田 武規, 森脇 香莉, 大橋 紀彦, 田中 玄紀, 加世田 俊一
    2014 年 46 巻 4 号 p. 511-516
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/07
    ジャーナル フリー
     ゲムシタビン (GEM) およびテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム (S-1) は代謝拮抗薬であり, 非小細胞肺癌, 膵癌, 胆道癌に対して投与される. 手術不能の進行膵癌に対して, GEMとS-1併用による化学療法が行われているが, 急性心筋梗塞の合併は稀である. 今回われわれは, GEMとS-1併用療法中に急性心筋梗塞を発症した症例を経験したので報告する. 症例は68歳, 女性, 多発性肝転移を伴う手術不能の進行膵癌に対して外来で, GEM点滴静注とS-1内服による併用化学療法中であった. 8回目のGEMを投与した1週間後に, 突然の激しい胸痛で救急外来を受診した. 心電図で, V1~V4でST上昇を認め, 亜硝酸剤の舌下スプレーを噴霧するも, 胸部症状は持続し, 心電図でのST上昇は改善しなかった. 急性心筋梗塞の診断で, 緊急冠動脈造影検査を行ったところ, 左前下行枝近位部に完全閉塞を認めたため, 経皮的冠動脈インターベンションを行った. 病変部の血栓吸引後に, バルーンで拡張, ベアメタルステントを留置し, 再灌流に成功した. 血栓吸引後の血管内超音波検査で, 脂質コアに富む病変を認めたが, 冠動脈プラーク破綻部位が明らかに特定できなかった. 本症例では, GEMおよびS-1により, 相乗的に血栓形成性の亢進, 冠動脈プラークびらんをきたし, 急性心筋梗塞を発症したものと考えられた.
Editorial Comment
Editorial Comment
[症例]
  • 川原 洋, 高橋 伸幸, 吉冨 裕之, 田邊 一明
    2014 年 46 巻 4 号 p. 521-527
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/07
    ジャーナル フリー
     症例は79歳, 女性. 2010年9月, 右乳癌に対して右乳房切除+腋窩郭清術を受けた. 同年11月, 術後化学療法のためエピルビシン, シクロフォスファミド併用療法 (EC療法) を開始した. BNP 121.7pg/mLと上昇認め, 経胸壁心エコー図検査で左室拡張末期径/収縮末期径 (LVDd/Ds) 46/36mm, 左室駆出率 (EF) 49%と低下を認めたため, EC療法3コースで終了した. 2011年1月, ドセタキセル療法 (DTX療法) 開始し, 4コースで終了した. 2011年10月の経胸壁心エコー図検査でLVDd/Ds 51/42mm, EF 45%であったが, 2012年1月, トラスツズマブ (HER療法) を開始した. 同年4月, 下腿浮腫を認めたため経胸壁心エコー図検査を行ったところ, LVDd/Ds 56/53mm, EF 30%であり拡張型心筋症を疑う心機能低下を認めた. トラスツズマブ使用を中止し, エナラプリル, カルベジロール, フロセミドによる治療を行った. 内科的治療開始4カ月後, LVDd/Ds 48/40mm, EF 56%, 内科的治療開始8カ月後にはLVDd/Ds 43/31mm, EF 66%と改善を認めた. トラスツズマブによる心機能低下に対して, 内科的治療が奏効した症例を経験したため報告する.
Editorial Comment
[症例]
  • 古山 史晃, 浅野 拓, 千葉 雄太, 川崎 志郎, 大西 克実, 大沼 善正, 菊地 美和, 伊藤 啓之, 小貫 龍也, 三好 史人, 渡 ...
    2014 年 46 巻 4 号 p. 530-535
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/04/07
    ジャーナル フリー
      症例は11歳, 男児. 生来健康. 心奇形なし. 4歳より37°C以上の発熱時に左脚ブロック下方軸, 心拍数170-200回/分の持続性心室頻拍を繰り返し, ベラパミル投与と解熱により停止していた. 5歳時に心臓電気生理学的検査を施行. 心室頻拍は心室プログラム刺激, イソプロテレノール負荷, 硫酸アトロピン投与では誘発されなかった. プロプラノロールを内服したが発作を繰り返したため, 10歳48kgのときに心臓電気生理学的検査を再施行. ピルジカイニド25mg投与したところ心拍数210回/分の心室頻拍が自然発生した. 誘発された心室頻拍は右室流出路自由壁側中下部が最早期のfocalパターンであり, 機序としてマイクロリエントリーが想定された. 同部位からの通電中に心室頻拍の周期は延長し, 洞調律に復帰した. 以降, 発熱による心室頻拍は認めていない.
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