心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
49 巻 , 4 号
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OpenHEART
HEART’s Selection(小児循環器専門医の視点から見た成人先天性心疾患)
HEART’s Original
[臨床研究]
  • 大塚 寛昭, 櫻木 悟, 西原 大裕, 辻 真弘, 市川 啓之, 横濱 ふみ, 谷本 匡史, 山本 和彦, 川本 健治, 田中屋 真智子, ...
    2017 年 49 巻 4 号 p. 352-359
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/17
    ジャーナル フリー

     背景:近年,高感度トロポニンT(hs-cTnT)は,様々な疾患群において,心血管イベントの予後予測因子と報告されるようになったが,左室肥大を有する患者における,hs-cTnT上昇の臨床的意義についての検討は少ない.今回,われわれは左室肥大を有する患者において,hs-cTnTの上昇と,左室機能および心血管イベント発症の関係について検討した.

     方法:対象は,2011年9月より2013年8月までに心臓精査のため当院外来を受診した428名のうち,心臓超音波検査で左室肥大を認めた218名.虚血性心疾患および心不全入院の既往例は対象から除外した.hs-cTnTの正常上限値である0.014 ng/mLをカットオフ値とし,対象患者を2群に分類し(hs-cTnT高値群69例,hs-cTnT低値群149例),両群間で患者背景,血液・尿検査値,診察時血圧と脈拍および心臓超音波検査所見を比較した.hs-cTnT≥0.014 ng/mLとなる規定因子について,ロジスティック回帰分析を用いて解析した.2年間の観察期間内に発生した心血管イベントについて,Kaplan-Meier法を用いて両群間で比較した.

     結果:ロジスティック回帰分析では,年齢65歳以上,左室重量係数,NT-proBNP≥400 pg/mLおよびE/e′≥15がhs-cTnT≥0.014 ng/mLに関係する因子であった.観察期間中,心不全入院は,hs-cTnT高値群で有意に多かった.心不全入院発生の規定因子についてCox回帰分析を行ったところ,hs-cTnT≥0.014 ng/mLは心不全発症の独立した規定因子であった(Hazard Ratio 9.277,95%CI:1.505 to 56.568,p=0.016).

     結語:明らかな心疾患の既往のない左室肥大例において,hs-cTnTの測定は,より高リスクな状態にある患者を抽出するのに有効であった.

[症例]
  • 齋藤 文美恵, 西村 潤一, 不破 相薫
    2017 年 49 巻 4 号 p. 360-365
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/17
    ジャーナル フリー

     症例は81歳男性.遠位弓部大動脈瘤を伴う急性B型大動脈解離に対し保存的加療中に両下肢の麻痺が出現,CT上偽腔血流の増加と大動脈径の拡大,腹腔動脈上で真腔の高度狭窄と血流途絶,上腸間膜動脈と右腎動脈の偽腔起始と左腎の造影遅延を認め,再解離と診断された.瘤内にエントリーを有していたため,初回TEVARは瘤をExclusionするように治療長を長くとらざるを得なかった.院内のデバイスに限りがあったため,接合部のオーバーラップの不足に対してExcluder Aorta Extenderを追加して対応した.術後は血小板減少が遷延し,出血傾向に対して頻回な血小板輸血を要した.造影CTでステントグラフト接合部とリエントリーから偽腔内へ血流を認めた.大動脈径の拡大は認めなかったが,血小板減少の原因と考え,第26病日に以下の追加治療を施行した.①接合部のtype Ⅲエンドリークに対してGore CTAGの追加,②腎動脈の内腔確保に対してステントの留置,③偽腔の閉鎖に対してcandy plugの留置,④リエントリーの閉鎖と腹部大動脈の内腔確保に対してステントグラフトの留置とPETTICOATテクニックを施行した.追加治療後血小板減少は改善され,おおむね満足のいく結果を得た.治療が長期化し多量の血小板輸血を必要としたため,追加治療の時期は検討の余地があったと考える.

Editorial Comment
[症例]
  • 早川 梓, 瀬川 知, 磯 佳織, 重永 豊一郎, 重政 朝彦
    2017 年 49 巻 4 号 p. 367-373
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/17
    ジャーナル フリー

     症例は84歳女性.約6年前より眼サルコイドーシス,皮膚サルコイドーシスにて通院加療中であった.2014年5月より下肢脱力感が出現し,改善しないため当院へ緊急搬送された.心電図にて心拍数45回/分の完全房室ブロックを認め,経静脈ペーシングリード挿入後に同日入院となった.その後永久ペースメーカ植込み術施行.F-18-fluorodeoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET) CTにて心基部中隔,肺門リンパ節等に限局してFDG集積を認め,心臓サルコイドーシスを合併している可能性が高いと考えられた.プレドニゾロン(PSL)を30 mg/日より投与開始.PSL投与量を維持量(5 mg/日)まで漸減後に再度FDG-PET/CT検査を施行したところ,心臓への集積は消失しており,またその他の部位への集積もほぼ消失していた.心臓サルコイドーシスに対するステロイド治療後にFDGの心筋集積が消失あるいは低下し,治療効果判定に有用であるとの報告が散見されており,本症例でもステロイド治療後に心臓へのFDG集積が消失した.FDG-PET/CTが心臓サルコイドーシスの治療効果判定に有用であった1例としてここに報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 島村 元章, 笠尾 昌史, 豊田 康豪, 丹下 徹彦, 金子 光伸, 新田 宗也, 白井 徹郎
    2017 年 49 巻 4 号 p. 376-381
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/17
    ジャーナル フリー

     症例は徐脈性不整脈の家族歴を有する24歳男性.2015年4月左片麻痺が出現し当院に救急搬送.来院時,意識障害,左片麻痺,右共同偏視,構音障害を認め,脳MRIで右中大脳動脈領域に広範な梗塞所見があったことから心原性脳塞栓症と診断の上,緊急入院となった.来院時の心電図ではP波を認めず,心拍数69/分の接合部調律であったが,入院後に高度の徐脈と数秒間の心停止が頻回に出現したため,第5病日に一時的ペースメーカ治療を施行した.心臓電気生理学的検査で,右房内の8箇所をmappingしたが,いずれの部位にても心房電位は記録されず,同部位からの高出力ペーシングでも心房筋は捕捉されなかったこと,12誘導心電図所見,心エコー所見などから心房静止と診断し,抗凝固療法および恒久的ペースメーカ移植術を施行した.若年者の心房静止例であること,徐脈性不整脈の家族歴を有することから遺伝性不整脈を疑い,遺伝子解析を行ったところ,本人と父親に共通する遺伝子変異を認めた.

Editorial Comment
[症例]
  • 大野 英昭, 新浪 博士
    2017 年 49 巻 4 号 p. 384-389
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/17
    ジャーナル フリー

     症例は55歳の男性で,間歇性跛行を主訴に入院.既往症に糖尿病,脳梗塞.糖尿病性腎症で透析導入となった.ヘパリンによる皮疹の既往があり,アルガトロバンによる抗凝固療法下に,下肢動脈の経皮的血管形成術および経皮的冠動脈インターべンション(PCI)を施行した.PCIの再評価でステント内再狭窄を含む冠動脈3枝病変を認め,当科に紹介された.術中の抗凝固療法は,圧モニターラインにメシル酸ナファモスタットを使用し,グラフト血栓予防目的でアルガトロバンを持続投与し,活性化凝固時間を250秒以上で管理した.心拍動下に左内胸動脈を前下行枝に,静脈グラフトを後側壁枝および鈍縁枝にバイパスした.静脈グラフトの中枢側吻合に血管縫合補助具(ハートストリング®)を用いた.静脈グラフトの中枢側吻合後,フローメーターで順行性の血流に乏しくグラフト内の血栓形成が疑われた.静脈グラフトを切開し,ひも状の赤色血栓を除去した.手術直後から抗凝固療法を行い,CTでグラフトの開存を確認した.

Editorial Comment
[症例]
  • 山本 博昭, 八巻 文貴, 河野 恆輔, 板本 智恵子, 三浦 英男, 小林 正経, 甲田 隆, 松村 祐, 前田 朋大, 束原 進, 林 ...
    2017 年 49 巻 4 号 p. 391-395
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/17
    ジャーナル フリー

     症例は55歳男性.幼少時より心雑音を指摘されており,最近になり食物の通りにくさを自覚していた.55歳時,労作時胸痛と呼吸困難を自覚し当院に入院した.心電図にて完全左脚ブロックを認め,心エコー図では大動脈二尖弁と中等度の大動脈弁狭窄症を認めた.心カテーテル検査およびCT検査では,右鎖骨下動脈起始異常による血管輪と上行大動脈瘤がみられた.大動脈弁置換術および上行瘤に対する人工血管置換術を施行した.病理組織学的検索では大動脈弁に骨および骨髄形成を確認した.大動脈二尖弁と右鎖骨下動脈起始異常は,いずれも比較的頻度が高い奇形であるが合併例の報告は少ない.大動脈弁と大動脈弓形成の過程は近年,第2心臓形成領域と心臓神経堤細胞の関与が示されており,両者の合併頻度はもっと高い可能性がある.一方の奇形を認めた場合にもう一方の奇形の有無を検索することが重要と思われる.

Editorial Comment
[症例]
  • 三木 研, 大塚 智, 宮崎 達也, 中込 敏文, 岩瀬 敬祐, 丹羽 学, 平井 稔久, 鈴木 徳幸, 田中 寿和
    2017 年 49 巻 4 号 p. 398-404
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/17
    ジャーナル フリー

     症例は78歳男性.2015年9月頃から労作時の胸痛があり徐々に増悪,12月に当院循環器内科を受診した.狭心症の疑いにて冠動脈造影を行い左主幹部と左前下行枝に有意狭窄を認め,同部に経皮的冠動脈インターベンションを行い,薬剤溶出性ステントを留置して狭心症は改善した.スクリーニングで行ったAnkle Brachial Index(ABI)が左で0.77と低下,下肢動脈造影では左総腸骨動脈に狭窄を認めた.左下肢の跛行症状を認めたため,カテーテル治療を行った.血管内超音波(Intravascular ultrasound;IVUS)で病変を確認したところ病変部にLotus root-like appearanceを認めた.病変部にステントを留置して造影上0%,圧較差なしに改善した.下肢動脈に典型的なLotus root-like appearanceを認めたため報告する.

[症例]
  • 南場 一美, 柏村 健, 大野 由香子, 藤木 伸也, 渡邊 達, 林 由香, 田中 孔明, 小幡 裕明, 佐藤 光希, 和泉 大輔, 塙 ...
    2017 年 49 巻 4 号 p. 405-410
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2018/04/17
    ジャーナル フリー

     症例は26歳女性.7歳時に先天性ミオパチーと診断された.5年前より心拍数40/分台の洞徐脈を指摘されていた.入院5カ月前より心不全症状,前失神症状が出現し,ペースメーカ植込みが施行された.その際LVDd/Ds=5.4/3.7 cm,EF=58%と心機能は保たれていたが,3カ月後にはLVDd/Ds=5.3/4.1 cm,EF=36%と急激に心機能は悪化し,心不全も徐々に増悪した.遺伝子検査にてLMNA遺伝子変異を認め,ラミン関連心筋症と診断した.また,幼児期より緩徐進行性の筋力低下や関節拘縮を呈し,心伝導障害・心筋症の出現とLMNA遺伝子異常を認め,既存のミオパチーをEmery-Dreifuss型筋ジストロフィと診断した.2カ月後には安静時呼吸苦が出現し,救急搬送された.LVDd/Ds=4.9/4.2 cm,EF=28%と心機能はさらに悪化を認めた.ドブタミン併用下に,静注利尿薬,トルバプタン,ミルリノンを使用し,CRT-Dへのupgradeを施行し,徐々に心不全症状は改善した.カルベジロールを10 mgまで漸増したが,低心拍出による全身倦怠感,腎機能増悪が出現し,静注強心薬からの離脱に難渋した.経口強心薬を併用しつつ,静注強心薬から離脱し,入院6カ月後に退院した.Emery-Dreifuss型筋ジストロフィに合併し,急激な心機能低下を認めたラミン関連心筋症の1例を経験したので報告する.

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