心臓
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52 巻 , 2 号
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DOACの新たな展開―非弁膜症性心房細動以外への可能性― 企画:阿古潤哉(北里大学医学部 循環器内科学)
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[臨床研究]
  • 山口 史隆, 蔵垣内 敬, 黒住 祐磨, 大石 醒悟, 菅野 康夫, 坂下 明大, 琴岡 憲彦, 鈴木 誠, 肥後 太基, 弓野 大, 高田 ...
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 52 巻 2 号 p. 128-135
    発行日: 2020/02/15
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

     背景:2018年の診療報酬改定により末期心不全患者に対する緩和ケアが保険適用となった.厚生労働省は心不全患者に対する緩和ケアを推進するにあたり「既存の緩和ケアチームと心不全多職種チームが連携し,心不全多職種緩和ケアチームとして協働する」必要性を指摘しているが,慢性心不全看護認定看護師(CHFNCN)と緩和ケア認定看護師(PCCN)の配置,活動についての実態は不明である.

     方法:日本循環器学会の循環器専門医研修施設1004施設に対して実施した「心不全患者に対する緩和ケアについてのアンケート調査」の結果をもとに心不全患者に対する緩和ケアに対する取り組み,考え方への影響をCHFNCNとPCCNの有無で分析した.

     結果:解析対象539施設において両認定看護師をいずれも配置していたのは115施設(21.3%),CHFNCNのみ配置していた31施設(5.8%),PCCNのみ配置していた249施設(46.2%),いずれも配置されていなかった施設は144施設(26.7%)であった.緩和ケアを行う必要性のある症状について,両認定看護師非配置施設をリファレンスとした多変量解析では,CHFNCN配置施設では呼吸困難の選択が有意に低く,倦怠感,疼痛,不安,抑うつの選択が有意に高かった.何を協議しているかについてはCHFNCN配置施設で「療養環境・社会的支援」が有意に選択され,緩和ケアの障害については「診療報酬が算定されない」が有意に選択された.一方,CHFNCN,PCCN配置施設ともに「家族に説明後,患者・家族の両者に説明」が多く,「強心薬の離脱が困難」,「食事摂取が困難」,「意識レベルの低下」が認められる「最期が近くなった時」に介入していた.また,心不全緩和チームとがん緩和ケアの両チームが存在した22施設中,定期的にカンファレンスを行っている施設は1施設のみであった.

     結論:両認定看護師の注目する内容は異なっている部分もあるが,介入を行うのは最期が近くなった時になっている状況は同じであった.心不全とがん緩和ケアチーム間の連携の困難さも浮き彫りになった.

Editorial Comment
[症例]
  • 齋藤 智子, 服部 愛, 松井 裕樹, 佐々 達郎, 大橋 浩一, 油井 慶晃, 黒木 識敬, 弓場 隆生, 安倍 大輔, 鈴木 紅, 松岡 ...
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 2 号 p. 138-142
    発行日: 2020/02/15
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

     症例は50歳代,女性.喫煙歴と常習的な飲酒歴を有していた.発熱と吸気時胸痛を訴えCT検査にて急性心外膜炎が判明し当院入院となった.抗生剤投与とドレナージで加療開始となり,第4病日には入院時の血液培養と関節液培養からStreptococcus Pneumoniaeが検出され侵襲性肺炎球菌感染症と診断した.経過中に膿胸も出現したが,抗生剤投与継続し適宜ドレナージを施行することにより呼吸状態は改善し炎症反応は低下傾向となった.しかしながら第52病日に経過フォロー目的に実施した胸部造影CT検査にて胸部大動脈に嚢状瘤を認め臨床経過と合わせて感染性大動脈瘤と診断された.この時,CT検査所見を振り返ると,感染性大動脈瘤が形成される部位には第8病日から胸部大動脈血管周囲に浮腫状変化が出現していた.隣接している膿胸や膿性心嚢液と同程度の吸収域であり病理所見と合わせて同部位にも膿瘍形成していた可能性が示唆された.今回のように感染性大動脈瘤の初期画像変化を捉えた症例は少なく,また画像的特徴が早期診断と治療に寄与すると考えられた.

     感染性大動脈瘤は稀だが致死的ともなり得る重篤な疾患であり,早期発見と早期治療が重要である.臨床症状が少ないことから画像検索が早期発見の契機となる.今回,侵襲性肺炎球菌感染症の治療中に遅発性に感染性大動脈瘤が出現し,CT検査にて経時的に感染性大動脈瘤形成過程を捉えたので報告する.

  • 財前 拓人, 篠原 徹二, 谷野 友美, 原田 泰輔, 児玉 望, 廣田 慧, 米津 圭祐, 安部 一太郎, 齋藤 聖多郎, 福井 暁, 秋 ...
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 2020/02/15
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

     43歳女性.高校生の頃に健診で顕性WPW症候群(type B)を指摘されたが,頻拍発作がないため経過観察されていた.33歳時,第一子出産後にバセドウ病を発症し抗甲状腺薬を開始されたが,治療を自己中断したため,甲状腺機能亢進症による洞性頻脈から急性心不全を発症した.加療再開後は心不全再発なく経過していたが,43歳時に抗甲状腺薬を再度自己中断し甲状腺機能亢進により心不全増悪したため当院紹介となった.β遮断薬を内服していたため頻拍は認めなかったが,デルタ波は顕在化していた.心エコー図検査では心室非同期所見を認め,心機能が低下していた(左室駆出率43%).抗甲状腺薬内服の再開で,甲状腺機能亢進は速やかに改善し,それに伴いデルタ波が縮小,心室非同期は消失し,左室駆出率は43%から54%に改善した.心臓電気生理学的検査では,His束近位部にHis電位に先行する副伝導路電位と思われる電位を認め,減衰伝導特性を有していたことから,Mahaim線維による早期興奮症候群と診断した.また,心筋生検で肥大型心筋症に合致する所見を認め,このことも心不全発症に関与していたと考えられた.WPW症候群においては,副伝導路による心室非同期によって心機能が低下した症例がこれまで報告されている.今回我々は,甲状腺機能亢進によってMahaim線維の伝導が促進した結果,心室非同期が増大して心不全を発症したと考えられた1例を経験したため報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 賀来 文治, 大島 央, 井ノ口 安紀, 北川 直孝, 勝田 省嗣, 川尻 杏奈, 黒川 敏郎, 前田 宜延
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 2 号 p. 152-161
    発行日: 2020/02/15
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

     症例は31歳女性.急性骨髄性白血病にて2度の移植治療(初回:骨髄移植,2回目:同種末梢血幹細胞移植)を実施される過程で,イダルビシン36 mg/m2,ダウノルビシン7.6 mg/kg(250 mg/m2)の投与がなされた.2度目の移植実施前の心臓超音波検査では,左室駆出率64%(BNP=33 pg/mL)であったが,その約7カ月後には左室駆出率26%(BNP=3510 pg/mL)と高度の左室収縮障害が出現し,うっ血性心不全の状態で入院となった.心筋生検では心筋細胞の変性,壊死,配列異常は目立たなかったが,細胞間の線維組織の増生が目立った.採血上,CPKの上昇は認めなかったが,心筋トロポニンTの上昇を認めた.入院後にトラセミド,ロサルタンとカルベジロールの導入を行い1.5カ月の経過で左室駆出率54%(BNP=402 pg/mL)に改善し,心筋トロポニンTも正常化した.さらに心不全治療開始から約600日が経過した時点においても,左室駆出率は51%と再低下傾向を認めず,心筋トロポニンT値の再上昇も認められていない.アントラサイクリン系抗癌剤投与による心筋障害は一般的には不可逆的とされるが,心不全の悪循環を断ち切ることにより状態の改善が得られる症例もあるため日常臨床で注意を要する.

  • 田畑 達也, 諏訪 邦明, 山賀 彩花, 大熊 順子, 中嶋 俊, 三橋 哲也, 藤林 真理子, 河村 俊治, 柴田 亮行, 長嶋 洋治, ...
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 2 号 p. 162-168
    発行日: 2020/02/15
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

     症例は43歳男性,既往歴はなし.3カ月前からの血便に対して他院で施行された下部内視鏡検査にてS状結腸癌が疑われ,当院へ紹介された.1カ月前から労作時呼吸困難も自覚しており,初診時はSpO2 87%と酸素化不良であった.心エコー検査ではLVEF 70%,推定右室圧70 mmHg,著明な肺高血圧と左室圧排所見を認めた.造影CTでは明らかな肺動脈内血栓を認めず,原因不明の肺高血圧症としてICUへ入床した.血液検査でD-dimer値 34.3 μg/mLと上昇しており,微小血栓の関与を考え抗凝固療法と,右心不全に対してドブタミン投与を行ったが,第3病日に急激な血圧低下をきたし,心肺蘇生に反応なく死亡に至った.病理解剖では肺小動脈に腫瘍塞栓と,内膜肥厚や再疎通像を伴う血栓を認め,肺腫瘍塞栓性微小血管症と考えられた.免疫染色ではVEGFおよびVEGF受容体が陽性であった.本疾患は臨床像として急速進行性の肺高血圧が特徴であり,死亡率は非常に高いとされる.近年,症例報告も散見され認識が高まってきているが,依然として確立された治療法はない.本症例では一部で有効性が報告されているVEGFを標的とした薬物療法等の治療介入ができないまま不幸な転帰をたどったが,特徴的な臨床像から本疾患を想起し,早期介入することが重要と考えられ,文献的考察を交えて報告する.

  • 尾川 理紗, 渡邉 絵里, 芹澤 直紀, 野村 新, 中尾 梨沙子, 坂井 晶子, 柳下 大悟, 百瀬 満, 長尾 充展, 庄田 守男, 萩 ...
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 2 号 p. 169-175
    発行日: 2020/02/15
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

     症例は40歳台男性.肺サルコイドーシス疑いで他院通院中に息切れが出現し,心臓超音波で高度左心機能低下,心電図異常を認め,当科紹介となった.冠動脈造影で有意狭窄なく,心筋生検陽性,心臓MRIのT2強調像で心基部中隔主体に高信号,遅延造影像で中隔と前壁に淡く広範な遅延造影を認め,18F-FDG PETで心臓集積あり,心臓サルコイドーシスと診断した.また完全房室ブロック,非持続性心室頻拍を認めたため,両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)植込み後,プレドニゾロン30 mgを開始した.以後プレドニゾロンを漸減したが,開始2年後プレドニゾロン7.5 mg内服中に心室頻拍による抗頻拍ペーシング作動が増加した.このため心筋障害の評価目的に心臓MRIを再度施行した.アーチファクトを伴う画像であったが,T2強調像で高信号は消失,遅延造影の範囲は縮小・明瞭化し,炎症の改善と心筋障害の程度を評価しえた.CRT-D植込み後の心臓MRI施行例の報告は国内では少なく,その有用性と限界につき文献的考察を含め報告する.

  • 緑川 博文, 植野 恭平, 影山 理恵, 菅野 恵, 佐藤 晃一, 高野 隆志
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 2 号 p. 176-180
    発行日: 2020/02/15
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

     J Graft Open Stent Graft(JGOSG)留置2年後migrationとともに高度屈曲をきたした1例を報告する.症例は72歳男性,70歳時に機械弁による大動脈弁置換およびJGOSG併用全弓部置換術施行,術後2年胸部CTにてJGOSGの高度屈曲が認められ,その末梢側に胸部ステントグラフト(TEVAR)を追加治療することを選択した.Gore C-TAG(W. L. Gore & Associates, Inc. Flagstaff, AZ, USA)37-150 mmをJGOSG内から下行大動脈の直線状になっている部位まで留置し,endoleakないことを確認し手術を終了した.術後7日におけるCTにてendoleakなく,ステントグラフト移動なく留置部位問題なく,術後9日に退院した.

  • 櫻井 史紀, 岩島 覚, 早野 聡, 佐藤 慶介, 芳本 潤
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 52 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 2020/02/15
    公開日: 2021/04/22
    ジャーナル フリー

     成人先天性心疾患に神経性食指不振症を合併し経過中に心房粗動(atrial flutter;AFL)を発症した19歳女性を経験した.症例は生後に心雑音に気づかれventricular septal defect(VSD perimenbranous type),pulmonic stenosis(PS, valvular and subvalvular stenosis)と診断.3歳3カ月時に人工心肺管理下にVSD閉鎖術,右室流出路形成術施行.術後経過は良好であったが,16歳頃より神経性食思不振症(anorexia nervosa;AN)と診断され,その頃より動悸を自覚,入浴後に突然動悸が持続し救急外来受診,AFLが疑われたが,不整脈治療準備中に自然頓挫し動悸の症状も消失した.不整脈発症前の心臓MRI検査で右房右心系の拡大とpulmonary regurgitation fraction 39.8%を認め,ANの治療が長期に及ぶ可能性があったため心臓電気生理学検査を施行,三尖弁輪を反時計方向に旋回する頻拍が誘発されAFLと診断,アブレーション療法施行.その後の経過は良好であった.成人先天性心疾患症例では経年的に不整脈を合併するリスクがあるがAN等,不整脈を合併しやすい病態を合併した場合,さらに不整脈発症のリスクが高まる可能性があるため注意深い観察が必要と思われた.

Editorial Comment
研究会(第53回 河口湖心臓討論会)
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