心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
53 巻, 6 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
OpenHEART
HEART’s Selection
低侵襲心臓血管外科手術のトップランナー達~低侵襲性と根治性、技術高度化と後進教育の共存~ 企画:縄田 寛(聖マリアンナ医科大学 心臓血管外科)
HEART’s Special
HEART’s Column―基礎から臨床へ―
HEART@Abroad
HEART’s Up To Date
HEART’s Original
[臨床研究]
  • 宮城 ちひろ, 深江 宏冶
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 53 巻 6 号 p. 564-568
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/06/16
    ジャーナル フリー

     目的:大動脈弓離断症(IAA)および大動脈縮窄症(CoA)に対する当院でのEnd-to-Side Anastomosis(ESA)による外科治療術後の画像所見について検討を行った.

     方法:2008年6月-2016年3月までの8年間でCoA/IAAに対して当院で施行した大動脈弓再建術34例のうち,ESAを再建術式として使用し,術後遠隔期に大動脈造影あるいは造影CTによる画像評価を施行した12例を対象とした.疾患の内訳はIAA 5例,CoA 7例.ESA施行時の日齢は生後17日(6日-3カ月),新生児症例は9例で,平均フォローアップ期間は4.9年(2.7-9.8年).術後の大動脈弓形態を,大動脈弓の幅(W)≒高さ(H)のもの(R:Romanesque型),W>Hのもの(C:Crenel型),W<Hのもの(G:Gothic型)に分類して検討した.

     結果:術後に再建部分に対する再介入を要したものは2例で,手術による再狭窄解除が1例,バルーン拡大1例であった.術後の気道・食道狭窄は認めなかった.術後形態はR型は5例,C型が2例,G型が5例であり,re CoA解除を行った2例はいずれもG型であった.

     結語:当院におけるESAによる大動脈弓再建では,術後の大動脈弓形態がGothic型になっているもので再介入を要するre CoAを生じており,今後も注意深い経過観察が必要である.

  • 山浦 一宏, 窪田 達也, 藤原 純明, 西牧 敬二
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 53 巻 6 号 p. 569-574
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/06/16
    ジャーナル フリー

     2019年12月に行われた本邦での下肢伏在静脈瘤に対する血管内塞栓術の保険収載を受け,2020年3月より当院でも本術式を導入した.本術式は超音波ガイド下にカテーテルを誘導し,シアノアクリレート系接着材を用いて伏在静脈を閉塞させる,新たな治療法である.これまでの血管内焼灼術と比較し,低濃度大量浸潤局所麻酔を必要とせず,熱焼灼を用いないため,より手術侵襲の少ない術式と考えられる.当院への導入においては,本術式の利点を最大に利用すべく血管内塞栓術は単独で行い,付加手術を行わない方針とした.このため,術後の追加治療を可能な限り回避し,一期的に治療を終わらせることを目標に,側枝静脈瘤が比較的軽度の症例を選択した.今回当院にて2020年3月から11月までに,血管内塞栓術を行った症例と,血管内焼灼術を行った症例に対し,患者背景や病変の状態,手術の内容,合併症を含む早期治療結果などに関して,基本統計量の違いを概観し,考察を行った.結果は,異なる基準で患者選択を行ったものの,術式間での患者背景や伏在静脈の治療長などは概ね同等と思われ,血管内塞栓術の潜在的なニーズは性別や年齢に関わらないことや,血管内焼灼術と同様の治療技術で問題なく治療が実施できることを示唆していると思われた.短期治療結果としては概ね良好と考えられ,合併症は特徴的な静脈炎と遅発性過敏症が既報と同等の頻度で認められた.

[症例]
  • 高橋 良輔, 大久保 英明, 長野 知之, 東堂 沙紀, 黒瀬 潤, 兵庫 聖大, 田中 伸明, 下川 泰史, 太田 総一郎, 清水 宏紀
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 53 巻 6 号 p. 575-581
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/06/16
    ジャーナル フリー

     症例は90歳女性.20XX年8月Y日より頭痛,気分不良を自覚していたが,夕方より嘔吐を繰り返したため来院した.来院時の血液検査ではCK-MB・トロポニンは正常であり,心電図においても異常を認めなかった.心エコーでは心基部に過収縮を認め,心尖部を中心に広範な壁運動低下を認めた.入院後,経時的に血液検査,心電図検査を施行し,入院12時間後に心電図でT波陰転化を認め,トロポニンIは微増,CK-MBは正常範囲内であった.第7病日に施行した冠動脈造影では有意狭窄病変は認めず,たこつぼ症候群と診断した.たこつぼ症候群は急性期にST上昇や陰性T波などの心電図異常を認めることが一般的であるが,超急性期では心電図異常を認めない例があることが報告されている.本症例も受診時に心電図変化,心筋逸脱酵素の上昇を認めず偶発的にたこつぼ症候群に典型的な左室壁運動異常を確認し,心電図異常が出現するまで経時的に心電図を観察し得た症例であり文献的考察を交えて報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 八木 一成, 藤永 裕之, 飯間 努, 藤澤 一俊, 川田 篤志, 岡田 歩, 山本 浩史
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 53 巻 6 号 p. 583-588
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/06/16
    ジャーナル フリー

     症例は70代男性,主訴は発熱と浮腫,既往歴には2型糖尿病,高血圧症および脂質異常症があり,虚血性心疾患に対するカテーテル治療およびうっ血性心不全での複数回の入院加療歴がある.今回発熱と下肢脱力感および著明な全身浮腫を認め,緊急受診となった.心電図では左脚ブロックを認め,胸部X線およびCTでは右側の肺炎様陰影と両側のうっ血および胸水を認めた.心エコーでは左室前壁中隔から心尖部および側壁にかけて壁運動低下を認め,左室駆出率も33%と低下していた.脳性利尿ペプチドは2820 pg/mLと著明に上昇し,推定糸球体濾過量40 mL/min/1.73 m2と慢性腎臓病の悪化を伴っていた.以上より肺炎と腎臓病の悪化を契機とした慢性心不全の急性増悪と診断し,非侵襲的人工呼吸管理を開始し,抗菌薬,ループ利尿薬およびカルペリチドの投与を開始した.しかし浮腫やうっ血が改善しないためトルバプタンも追加したが,利尿効果は限定的であった.血糖コントロールと利尿効果を期待してエンパグリフロジンを投与したところ著明な利尿が得られ,うっ血および胸水は改善し,その後も利尿が継続し軽快退院できた.エンパグリフロジンは大規模臨床研究にて心血管疾患を持つ2型糖尿病患者での心血管疾患の死亡および心不全入院を低下させることが報告されている.今回の症例から,同薬剤がループ利尿薬やトルバプタンに抵抗性の心不全増悪時にも有効な可能性があると考えられた.

Editorial Comment
[症例]
  • 早川 渓吾, 朝比奈 直揮, 児玉 翔, 東 真伊, 鍵本 美奈子, 加藤 真吾, 井口 公平, 仁田 学, 福岡 雅浩, 福井 和樹, 町 ...
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 53 巻 6 号 p. 591-597
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/06/16
    ジャーナル フリー

     部分肺静脈還流異常症(PAPVC:partial anomalous pulmonary venous connection)は,肺静脈の一部が左房ではなく体循環静脈系に還流する稀な先天奇形である.肺癌手術において切除予定外の肺葉に存在するPAPVCがあると,分離肺換気に伴う術中の低酸素や,肺葉切除後に左-右シャントが増大し,術後右心不全のリスクとなる.

     症例は70代男性.健診の画像検査で胸部異常陰影を指摘され,当院受診.気管支鏡検査で右肺上葉腺癌の診断となり,右上葉切除手術予定となった.しかし,術前CTで左肺全部のPAPVCを指摘された.左肺動脈造影で,左上下肺静脈が合流し,垂直静脈を介し,無名静脈へと還流していた.心臓MRIを用いて計算した肺体血流比(Qp/Qs)は1.80であった.まず,PAPVCの修復術を行い,二期的に肺癌手術を行った.

     今回,肺癌部分切除の術前検査で対側肺にPAPVCを認め,PAPVCの修復術を先行し,安全に肺癌手術を行えた症例を経験したので報告する.

  • 井上 直也, 岩脇 友哉, 鈴木 智隆, 鶴見 尚樹, 大鐘 崇志, 城向 裕美子, 紅林 伸丈, 森川 修司
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 53 巻 6 号 p. 598-604
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/06/16
    ジャーナル フリー

     70歳代の男性.頻脈性心房粗動を背景とした頻脈誘発性心筋症によるうっ血性心不全で当科紹介となり,体液管理後,頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療を行った.治療は奏功し一時的に状態は安定していたが,徐々に労作時息切れが増悪した.心不全は短期間で軽快増悪を繰り返し,心不全管理が困難となり精査加療目的で入院となった.再検した心電図では左室伝導障害がみられ,心臓超音波検査では著明な左室肥大を認めた.当初想定していた頻脈誘発性心筋症とは異なる心筋症の鑑別が必要と判断し,心臓MRI検査を追加したところ心アミロイドーシスに矛盾しない結果であった.そのためアミロイドーシスの型を鑑別する目的で腹壁脂肪生検および心筋生検,99mTc-ピロリン酸心筋シンチグラフィを施行した結果,AL(λ)型アミロイドーシスの診断となった.伝導障害を合併するアミロイドーシスとしてはATTR型が多いとされているが,本症例は予後不良であるAL型に合併したものであり,現在は化学療法の導入に至っている.心不全発症後の生命予後が不良であるアミロイドーシスを早期診断するため,その診断契機として左室肥大や心電図所見(伝導障害および低電位)の重要性を経験したので報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 甲斐 貴彦, 岡 怜史, 星野 克臣, 渡邊 和徳, 中村 淳, 阿部 信, 安田 和世, 渡邊 明規
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 53 巻 6 号 p. 607-613
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/06/16
    ジャーナル フリー

     症例は21歳男性.心肥大は指摘されていたが自覚症状はなく,学生時代はバスケットボール部に在籍しており問題なく活動できていた.バスケットボールの試合後に卒倒し救急車要請され,11分後に救急隊到着し,初期波形心室細動にて心肺蘇生開始となった.救急外来にて大動脈バルーンパンピング(IABP)挿入,体外式膜型人工肺(V-A ECMO)確立し自己心拍再開した.経胸壁心エコー上,著明な左室壁肥厚(心尖部にて最大30 mm)を認めた.蘇生後脳症にて意識レベルはJCS30であったが,血行動態は安定し,第8病日にIABP,ECMOともに離脱した.第29病日のCT検査にて左房,左室の心内膜を中心にびまん性の石灰化を認め,左室駆出率(EF)の軽度低下,左室壁の菲薄化がみられた.第42病日のCTでは石灰化はさらに増強し,心筋中層まで拡大した.EFの低下(29%),左室壁の菲薄化(心尖部13 mm)はより顕著となり,BNP 1810 pg/mLと高値を認めた.第50病日頃より,低心拍出症候群を呈し,治療に反応せず,第69病日に永眠された.病理解剖にて心筋細胞の肥大ならびに錯綜配列を認め,肥大型心筋症と診断した.心内膜側を中心に心筋細胞の広範な脱落がみられ,斑状のカルシウム沈着を伴った石灰化がみられた.石灰化の中に島状に壊死した心筋細胞や,壊死心筋に対する肉芽組織の増生も認められた.心停止後に心筋石灰化を認め,心機能低下を生じる症例は非常に稀であり,今回文献的考察を含めて報告する.

Editorial Comment
[症例]
  • 山田 めぐみ, 樋口 亮介, 小林 敦, 井口 信雄, 高山 守正, 大竹 俊良, 波多江 遵, 山形 泰士, 三浦 真由子, 池亀 俊美, ...
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 53 巻 6 号 p. 615-621
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/06/16
    ジャーナル フリー

     補助循環装置を装着した患者の搬送は一つのトラブルが生命の危機に直結しうるため容易ではない.症例は21歳男性,拡張型心筋症による急性心不全のために前医に入院した.内服治療が開始となったが効果が不十分であり当院に転院となった.入院時点で肝腎機能障害を伴う心原性ショックであったため,強心薬の持続投与を開始した.その後もショックから離脱することはできず,Impellaおよび経皮的心肺補助装置(venoarterial-extracorporeal membrane oxygenation)によるECPELLA療法を開始した.臨床状況から補助人工心臓および心臓移植の適応と判断し,モービルcardiac care unit(MCCU)にて心臓移植実施施設へ転院搬送することとした.搬送にあたり,MCCUまでの移動方法,車内での医療機器の配置・電源・トラブル対策,患者急変および交通渋滞時の対応をシミュレーションした.搬送を行う医療スタッフは医師2名,看護師,臨床工学技士,運転手,そして事務員の6名とした.搬送当日は晴れ,渋滞はなく,23 kmの道のりを44分で搬送した.搬送先到着後,集中治療室まで患者を移送し引き継ぎを行った.経過中に臨床状態の悪化や医療機器のトラブルはなかった.補助循環装置使用例,特にImpellaの承認に伴うECPELLAを使用した症例の搬送の増加が予想されるが,その報告は少ない.重症患者管理,補助循環装置そして救急患者搬送に習熟した医療スタッフによる綿密な事前計画と搬送が重要である.

Editorial Comment
[症例]
  • 柴田 啓佑, 今村 正和, 大石 充
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 53 巻 6 号 p. 623-628
    発行日: 2021/06/15
    公開日: 2022/06/16
    ジャーナル フリー

     症例は74歳の男性.20XX年3月から喉のつかえを自覚し5月に近医で上部消化管内視鏡検査を受け,食道がんを疑われ紹介となった.PET-CTを含めた精査の結果,胸部中部食道がん(臨床stage Ⅱ:T3,N0,M0)および膀胱がんと診断された.食道がんは手術適応であり,6月に術前化学療法としてFP療法(5-FU+シスプラチン)を2コース受けた.FP療法施行時は末梢挿入式中心静脈カテーテルを留置し,有害事象なく行えた.7月に近医泌尿器科で経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行され,膀胱がんとの重複がんと診断された.FP療法の効果判定目的で8月に胸腹部造影CTを施行した.食道がんの縮小を認めるも,右肺動脈本幹に血栓を認めたため入院し,ヘパリン持続点滴とリバーロキサバン強化療法を開始した.入院時より認めていた肉眼的血尿が増悪し,第8病日の採血で血色素量が入院時から4 g/dL低下したため,リバーロキサバンをエドキサバンへ変更し,体重減少にあわせて低用量(30 mg)使用した.肉眼的血尿は消失し,輸血を行うことなく貧血の改善を認め,退院後に食道がん切除術を施行できた.当院におけるFP療法後のがん関連静脈血栓症を含めて考察する.

Editorial Comment
feedback
Top