背景:ATTR野生型心アミロイドーシスは,心電図四肢誘導の低電位など様々な心電図異常や,左室壁厚増加,左室収縮・拡張障害などの異常心エコー図所見を示すが,四肢誘導低電位の長期的な経時変化は明らかではない.
方法・結果:ATTR野生型心アミロイドーシス7例中,長期に心電図と心エコー図所見を観察できた5例で,両者の経過と関連を検討した.心電図四肢誘導は各誘導の電位が小さく,その変化を評価しにくいため,四肢誘導R波高の総和を求め(∑R),さらに初回心電図の∑R値を100とし,その後のΣR値の変化率(%∑R)を算出し心電図変化指標とした.心エコー図は左室心筋重量係数(g/m2)・左室駆出率(%)・僧帽弁流入血流E波高と僧帽弁輪運動速度e’の比(E/e’)の3指標を選択し,初回値を100とし,以後の値のそれぞれの変化率を%∑Rと同様に算出して変化指標とした.全症例で経時的に∑R,%∑R,%左室心筋重量係数,%E/e’は増加,%左室駆出率は低下した.%∑Rは%左室心筋重量係数(R=-0.313,P<0.05),%E/e’(R=-0.720,P<0.001)と逆相関,%左室駆出率(R=0.543,P<0.001)と正相関した.
結語:全例が心不全を発症し4例が死亡した.全例で%∑Rの経時的な減少が左室壁厚増加や左室機能障害と関連したため,%∑Rは本症の進行度を反映している可能性が示唆された.
背景・目的:当院循環器病棟における過去3年間の心不全患者の約3割が心不全増悪で再入院となっている.心不全の療養管理には適切なセルフモニタリングが重要な役割を果たす.本研究では,自宅でのセルフモニタリング向上に向けた支援を実践し,遠隔介入の有効性を検証する.
方法:心不全にて入院加療後,自宅退院され外来通院中の患者を対象に病棟看護師が電話による遠隔看護介入を行った.介入前後でセルフモニタリングに対する関心や行動の変化をアンケート調査した.また,介入前から介入終了後までの経過中の体重や介入内容,追加治療の有無,心不全増悪による再入院の有無について調査した.
結果:遠隔看護介入では,体重や血圧の測定,症状の観察を習慣化することや,セルフモニタリング行動への患者の関心を高めることに有効であった.患者自らが病状を正確に解釈し,病状増悪を予防するための行動を促進することはできなかったが,病状の解釈を助け,生活調整を行うことには有用であった.
頻脈誘発性心筋症は救命が困難になり得ることもある慎重な臨床的管理を要する疾患群であり,治療は心不全と原因となる頻脈性不整脈に対する加療である.我々は薬物治療抵抗性の心房細動による頻脈誘発性心筋症,薬物治療抵抗性心不全に対してIMPELLA CP®(Abiomed,Inc.Danvers,MA,USA)を用いて良好な転帰を得た1例を経験した.
症例は70歳台女性.頻脈性心房細動による心不全の診断で集中治療室に入室した.抗不整脈薬,循環作動薬使用や人工呼吸器管理も施行したが循環動態の改善は認めなかった.薬物治療抵抗性心不全と判断して左室補助目的にIMPELLA CP®を導入し循環を維持した.導入後に脈拍の低下,循環動態の改善を認め,第5病日にIMPELLA CP®を離脱し,第6病日に人工呼吸器離脱を行った.
本症例では左室補助としてIMPELLA CP®による循環維持を行い,体液量調整を行った.頻脈誘発性心筋症による薬物治療抵抗性心不全に対してIMPELLA CP®は選択されうる治療の一つと考える.