心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
56 巻, 7 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
OpenHEART
HEART’s Up To Date
[総説]
  • 福満 雅史, 朔 啓太
    2024 年56 巻7 号 p. 645-657
    発行日: 2024/07/15
    公開日: 2025/07/16
    ジャーナル フリー

     肺高血圧症(Pulmonary hypertension;PH)は肺動脈圧が上昇し,右室への力学的負荷を引き起こす疾患である.その原因は多岐にわたるが,右心不全の合併の有無は患者予後を左右するため,PHにおける右室の力学的負荷と,それに対する右室の代償機構の生理学的理解は極めて重要である.右心─肺循環は低圧・高コンプライアンスで特徴づけられるが,PHの状態では肺血管抵抗(PVR)は正常の4~5倍に上昇し,動脈コンプライアンスは30%程度まで低下する.PVRの上昇によって,心室圧容積平面における実効動脈エラスタンスも4~5倍に上昇し,カップリング保持のため右室収縮特性も同程度に増大する.また肺動脈圧の上昇は収縮期右室圧の上昇をもたらし,右室心筋にかかる壁応力が増大する.右室壁応力は右室圧と右室容積によって規定されるため,圧増大の時相(タイミング)によって瞬時壁応力が変化する.PHの原因疾患によって肺血管特性は異なり,それによって右室後負荷に違いが生じる可能性がある.本稿では心臓力学の立場からPHにおける右室後負荷について概説するとともに,肺動脈性肺高血圧症,慢性血栓塞栓性肺高血圧症,左心系疾患による肺高血圧症などの代表的なPHの原因疾患の右室後負荷の特徴について考察したい.

[Editorial Comment]
[臨床研究]
  • 古田 康之, 小林 洋一, 髙橋 笑美子, 小林 洋子, 北原 佳代子, 德田 幸子, 吉田 雅子
    2024 年56 巻7 号 p. 660-669
    発行日: 2024/07/15
    公開日: 2025/07/16
    ジャーナル フリー

     背景:失神は,重症外傷の一因となるため重要な項目であるが,失神と転倒転落との関連を検討した報告は少ない.
     目的:院内転倒転落において,失神がどの程度関与しているか明らかにする.
     方法:対象は2018年4月から3年間の昭和大学病院内転倒転落インシデント症例(1,226例)を失神の診断・治療ガイドライン(2012年改訂版)をもとに失神として判定し,失神分類と失神・前失神の発生状況を検討した.
     結果:転倒転落インシデント報告のうち失神症例は233症例(19.0%)であった.その失神分類では,反射性(神経調節性)失神55.4%と,起立性低血圧による失神30.9%で合計86.3%と多くを占め,心原性(血管性)失神は5.2%であった.失神の発生場所は,病室やトイレ,廊下の順に多く,ほとんど失神状況は目撃されていなかった.ベッドからの離床・座位後の歩行で転倒する症例が多かった.内服薬服用者数は207例で,1,332剤を服用していた.このうち添付文書上,副作用に失神の記載がある薬剤を抽出したところ,22種類,76剤が使用されていた.
     結論:転倒転落には,失神の関与が相当数あり,血圧低下などの血管抑制因子が主ではあるが,心原性も少なからず認めることから,循環器的評価が必要である.また,看護師によるリスク評価・対策だけでなく,医師による失神評価・対策,薬剤師は転倒転落に関与する薬剤を睡眠導入剤に絞るのではなく,失神に影響を及ぼす薬剤の情報を提供することなど,多職種の関与と検討が必要である.

[症例]
  • 篠田 明紀良, 古川 善郎, 小林 史明, 板橋 史晴, 藤井 将人, 高瀬 哲郎, 市橋 敬, 寺村 真範, 旦 一宏, 前田 拓哉, 田 ...
    2024 年56 巻7 号 p. 670-676
    発行日: 2024/07/15
    公開日: 2025/07/16
    ジャーナル フリー

     症例は37歳,男性.過去に上室性期外収縮以外の心電図異常を指摘されたことはない.発作性心房細動(paroxysmal atrial fibrillation;PAF)と診断され鎮静下でカテーテルアブレーションを施行した.入室時洞調律であったが手技途中にAFになり両側肺静脈隔離,非肺静脈起源への通電に加えて電気的除細動を数回行うも洞調律維持が困難であった.ピルシカイニド静脈注射を行ったところ直後よりV3-V6誘導でJ波が出現したとともに2秒程度の心室細動(ventricular fibrillation;VF)が発生した.AFのまま手技を終了し麻酔から覚醒後,一旦は意思疎通が可能であったが(E3V5M6),VFが発生しアドレナリン投与および3度の電気的除細動により自己心拍が再開した.ピルシカイニド投与24時間後の高位肋間のV1誘導でCoved型ST上昇を認め,Brugada症候群(Brugada syndrome;BrS)と診断した.若年のAF患者ではBrSを合併している場合があり・群抗不整脈薬を投与する場合,投与前に高位肋間での心電図記録と投与後の経時的な心電図の経過観察が有用である可能性が示唆された.

[Editorial Comment]
[Editorial Comment]
[症例]
  • 渡部 真吾, 川勝 紗樹, 沼部 紀之, 河本 梓帆, 増田 怜, 中村 玲奈, 佐藤 弘典, 村上 輔, 山本 康人, 吉川 俊治, 鈴木 ...
    2024 年56 巻7 号 p. 680-685
    発行日: 2024/07/15
    公開日: 2025/07/16
    ジャーナル フリー

     レムナント様リポ蛋白(RLP)コレステロールは小腸や肝で生成されたリポ蛋白が血中でリポ蛋白リパーゼにより分解されて生じる中間代謝産物である.高RLPコレステロール血症は心血管イベント発症の危険因子であるという報告がある.
     症例は29歳男性.非ST上昇型急性心筋梗塞の診断で当院入院,左前下行枝近位部の99%狭窄に対して経皮的冠動脈形成術が施行された.本患者はBMI 26.1 kg/m2と軽度肥満を認めていたが,糖尿病,高血圧,高LDLコレステロール血症といった古典的冠動脈危険因子は有していなかった.食前中性脂肪は350 mg/dL,RLPコレステロールは17.1 mg/dLと高値であった.脂質異常症に対してはロスバスタチン5 mg/日を開始し,LDLコレステロールは60 mg/dL以下を達成したが,RLPコレステロールは11.8 mg/dLと改善不十分であった.高RLPコレステロール血症に対してペマフィブラート0.2 mg/日を開始したところ,RLPコレステロールは4.7 mg/dLと低下した.
     我々は軽度肥満と高RLPコレステロール血症以外に冠動脈危険因子をもたない若年男性の急性心筋梗塞症例を経験した.高RLPコレステロール血症は心血管イベントリスクと認識する必要がある.治療介入としてペマフィブラートが有効である可能性が示唆された.

[症例]
  • 齋藤 文美恵, 三原 和平, 湯本 啓太, 服部 隆司, 松下 明仁, 長谷川 秀臣
    2024 年56 巻7 号 p. 686-689
    発行日: 2024/07/15
    公開日: 2025/07/16
    ジャーナル フリー

     79歳,慢性呼吸器疾患のない女性.胸部大動脈瘤に対し上行大動脈置換術を施行した.順調に人工呼吸器から離脱したが,第3病日,努力様呼吸で酸素化が不良になったため再挿管した.再挿管後のCTで気管膜様部が三日月状に前方に突出し,高度に狭窄した気管・気管支を認めた.Excessive dynamic airway collapse(EDAC)を強く疑った.Positive end-expiratory pressure(PEEP)を10 cmH2Oかけ,呼吸ケアを強化した.徐々にFiO2とPEEPを下げ,1週間後に抜管した.その後,呼吸不全を起こすことはなかった.術後急性期の頻回な咳嗽が誘因になったと考えられた.

第30回 肺塞栓症研究会・学術集会
feedback
Top