心臓
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OpenHEART
HEART’s Selection  TAVI時代におけるSAVRを再考する  企画:縄田 寛(聖マリアンナ医科大学)
HEART’s Column
HEART@Abroad
HEART’s Up To Date
[総説]
  • ~我が国の取り組みの経緯とケアの移行から考えた今後の課題~
    佐藤 幸人
    2025 年57 巻3 号 p. 251-262
    発行日: 2025/03/15
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     超高齢社会となって,心不全患者は医学的背景のみならず家庭的,社会的背景も脆弱になっており,医療だけではなく介護・福祉などの観点も含めた介入が重要となってきている.急性期病院に入院した重症患者は,集中治療室へ入室し,状態が落ち着けば一般病棟へ転棟する.退院先は慢性期病院,介護施設,自宅である.急性期は,医療中心のアウトカムである生存率が重視されるが,退院後は患者中心のケアが必要であり,患者報告アウトカムも重要になってくる.心不全の多職種介入はこの一連の流れを意識していないと,ケアの断片化が生じ,再入院のリスクが高くなる.
     我が国の心不全多職種介入は主に入院中の患者を対象として行われてきた経緯があるが,その効果として在院日数の短縮やQOL改善,再入院回避などが報告されている.学会は多職種介入を支える人材育成に力を入れ,行政も地域包括ケアに落とし込む形で多職種介入を推進しようとしている.診療・介護報酬については,地域包括ケアシステム構想に沿った種々の項目も追加されてきている.今後の課題としては,心不全の至適在院日数の検討,再入院回避のための在宅・外来での点滴治療の整備,疾病管理プログラムや緩和ケア・ACPの地域包括への落とし込み,心不全多職種介入実施施設の増加などがある.

[Editorial Comment]
[臨床報告]
  • 杉田 翔哉, 宗像 大輔, 宮崎 正浩, 調 慧一, 森山 翔太郎, 上山 剛, 赤瀬 英亮, 福江 宣子, 奥田 真一, 中尾 文昭, 池 ...
    2025 年57 巻3 号 p. 265-271
    発行日: 2025/03/15
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     背景:MicraAVが2021年より使用できるようになり,房室同期(VDD)が可能となった.房室同期の指標として総心室ペーシング割合に対する房室同期した心室ペーシングの割合であるAV同期率について評価し検討したので報告する.
     方法:2021~2022年の2年間にVDDが可能なMicraAVの植込みを行った16例が対象で,有効な房室同期の条件として総心室ペーシング割合に対する房室同期した心室ペーシングの割合が70%以上のものを有効とし,リードレスペースメーカ植込み翌日と退院前日にプログラマチェックを行い,房室同期の評価を行った.
     結果:有効な房室同期指標とされる70%以上の症例は15例(94%)で平均AV同期率は87%であった.13例は自動調整で房室同期を得られたが,2例は自動調整では房室同期が得られず,パラメータを固定化し調整を行い房室同期が可能となった.
     総括:MicraAVリードレスペースメーカは自動調整機能で良好な房室同期を得ることができ,手動調整でさらに高い房室同期が得られた.

[臨床報告]
  • 小山 照幸
    2025 年57 巻3 号 p. 272-283
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     はじめに:加齢とともに動脈硬化は進行し,冠動脈疾患は増加している.経カテーテル治療や冠動脈バイパス術などの侵襲的治療は,近年急速に発展したが,大規模試験での長期成績結果により見直しがされている.今回,保険診療における侵襲的虚血性心疾患治療の実情を調査したので報告する.
     調査方法:厚生労働省が公表しているNDBオープンデータの医科診療報酬点数表項目K(手術)から,虚血性心疾患に対する手技の算定回数を,2014年度から2021年度までの8年間にわたって,男女別,年齢階級別に年次推移を調べ検討した.
     結果:虚血性心疾患に対する侵襲的治療の全算定回数は,2014年度250,504回で,年々増加し,2017年度は273,144回とピークに達した.その後減少し,2020年度241,406回となったが,2021年度は244,803回とやや増加していた.最も多かった手技は,経皮的冠動脈ステント留置術で,2021年度には169,283回で全体の69%を占めていた.男女比は,男性は女性の約3倍であった.男性は40歳代から増加し,70歳代にピークがあったが,女性は60歳代から増加し,70歳代にピークがあった.
     まとめ:虚血性心疾患に対する侵襲的治療は減少傾向であった.その原因としては,大規模試験の長期成績の結果,診療報酬改定,新型コロナウイルス感染症パンデミックが考えられた.

[臨床報告]
  • 小林 隆洋, 辻 紀子, 権田 達弥, 坂井 啓子, 安田 亜美香, 佐藤 元信, 西澤 恵, 嶋根 哲, 小林 由一, 坂口 ひろみ, 矢 ...
    2025 年57 巻3 号 p. 284-297
    発行日: 2025/03/15
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     目的:長野医療圏南部地域に心疾患の地域連携パスを作成する.
     方法:「地域のかかりつけ医と多職種のための心不全診療ガイドブック」を参照し,地域連携パスの役割を「地域の多職種による『情報共有』と『疾病管理』」と考え,省力化,高い継続率,多職種介入を意識し作成した.地域包括ケアの概念に則り医療介護連携も重視した.疾病管理が必要な疾患は心不全に限らない等の理由により対象は心疾患全体とした.
     結果:連携先は6病院と診療所27か所,歯科診療所46か所,訪問看護ステーション14か所,薬局96か所,県理学療法士会北信ブロック局,県作業療法士会,県栄養士会北信支部,地域包括支援センター14か所,居宅介護支援事業所57か所,該当地域の4市町村となった.心疾患増悪時の相談・受診基準を定め広域で統一した.心不全手帳を元に連携手帳を作成し,心臓リハビリテーションの多職種カンファレンスで使用するシートにうつや不安,認知機能,フレイルやサルコペニア,オーラルフレイル,GLIM基準による低栄養の有無,各種セルフケアの可否や介護度,生活習慣等に対する指導内容などを記載して手帳に挟み込むことで地域の多職種への情報提供の手段とし,これにより包括的心臓リハビリテーションと関連付けた地域連携パスとなった.連携手帳にはアドバンス・ケア・プランニングも掲載した.
     結語:包括的心臓リハビリと関連した情報共有と多職種連携を重視した地域連携パスを作成した.

[Editorial Comment]
[症例]
  • 改正 咲樹, 藤本 恒, 竹本 良, 黒田 浩史, 山下 宗一郎, 今西 純一, 岩崎 正道, 轟 貴史, 松尾 二郎, 井上 武, 杉本 ...
    2025 年57 巻3 号 p. 300-305
    発行日: 2025/03/15
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     前乳頭筋断裂は心筋梗塞の合併症の中では稀だが,致死的となる可能性がある.しかし,身体所見や経胸壁心エコー図検査のみによる診断が困難な症例について考察されている文献は少ない.
     症例は73歳男性.来院2週間前に労作時の胸痛があり近医を受診するも,経過観察となっていた.来院当日の朝,胸痛が再燃し呼吸困難が出現したため,当院へ救急搬送となった.12誘導心電図検査でI,aVL誘導のST上昇を認めた.病歴と経胸壁心エコー図所見から乳頭筋断裂が疑われたが,全収縮期逆流性雑音が聴取されないこと,経胸壁心エコー図所見で明らかな僧帽弁逆流のカラージェットがないこと,冠動脈造影検査(CAG)で決定的な所見が得られないことから,確定診断には至らなかった.
     経食道心エコー図検査では,逸脱した僧帽弁前尖に前乳頭筋を疑う付着物を認め,僧帽弁逆流のカラージェットが顕著であった.患者は前乳頭筋断裂に伴う急性僧帽弁閉鎖不全症と診断された.緊急で僧帽弁置換術を施行し,術後経過は問題なく術後29日目に退院した.術後に施行した冠動脈CTと遅延造影CTによるフュージョン撮影で,高位側壁枝の狭窄と,その支配領域に一致した前乳頭筋周囲の梗塞像を認めた.

[症例]
  • 髙橋 巴久, 蒲原 啓司
    2025 年57 巻3 号 p. 306-310
    発行日: 2025/03/15
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     今回我々は,重度の僧帽弁輪石灰化に対してDavid法を参考にした新術式による僧帽弁置換術を施行したので報告する.症例は87歳女性.息切れを主訴に来院された.心臓エコー検査では,収縮機能は良好であったが,僧帽弁後尖が逸脱しており重度の僧帽弁閉鎖不全症が認められた.さらに僧帽弁輪は高度に石灰化していた.人工心肺心停止下に僧帽弁を観察すると,石灰化は左室心筋まで高度に進展していた.石灰化病変に対して超音波吸引装置を用いて可及的に突出した石灰化を除去した.P1の僧帽弁輪は直接縫合により再建し,P2からP3までの弁輪は,David法に倣いウシ心膜を用いて再建した.人工僧帽弁は,同パッチおよび左心房壁にも固定する新法を用いて縫着した.術後の心エコー検査では,弁周囲逆流を含めた異常所見を認めず,経過は良好であった.重度僧帽弁輪石灰化症例に対する手術は高いリスクを伴うが,各術式を組み合わせて柔軟な対応を行うことで成績の向上につながると思われた.

[Editorial Comment]
[症例]
  • 豊田 広之, 安座間 真也, 宮本 佳奈, 菊野 亮栄, 福田 真弓, 森田 孝一郎, 相部 仁, 神下 耕平, 中島 史暁, 吉田 敬規, ...
    2025 年57 巻3 号 p. 314-319
    発行日: 2025/03/15
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     症例は70代男性.憩室出血治療目的の入院時に胸痛あり,心電図でST低下を認めた.初回冠動脈造影で3枝病変あり,右冠動脈狭窄部と左冠動脈回旋枝(LCx)の高度狭窄部に対して2度のステント留置術を施行した.しかし治療後の歩行試験で胸痛と心電図でのST低下を認めた.冠動脈造影ではLCxから分岐する気管支動脈を認め,気管支動脈への盗血が心筋虚血の原因と考え,同血管にコイル塞栓術を施行した.治療後に症状および心電図変化は消失し,再燃なく循環器内科外来で経過観察中である.

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