心臓
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6 巻, 7 号
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  • 渡部 良夫
    1974 年 6 巻 7 号 p. 967-976
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心室内伝導と心室期外収縮に関して1万枚の心電図を調査, 444枚に期外収縮を見た. 心室期外収縮は心室内伝導正常群の 3.73%, 伝導異常群の 9.80%に認められ, その発生頻度は心室内伝導遅延の程度に比例して増大した. 期外収縮の連結期は伝導異常群で有意に長かった. 洞性収縮と期外収縮の双方につき, QRS波形および前額面 QRS軸を検討した結果, (1) 洞性心拍と期外収縮のQRS幅は正相関を示し, (2) 洞性収縮と異所収縮の QRS軸のなす角は心室内伝導障害群に大であり, (3) 伝導異常群における心室期外収縮の QRS軸は, 伝導障害のある脚(分枝)から遠ざかる方向に向かうか, 非障害脚における伝導遅延の加わる形を示した. 以上より, (1) 心室期外収縮は伝導異常脚の流域に発生し易く,(2) 心室興奮に際して異所性刺激は他の Purkinje 系分枝に侵入, 少なくとも部分的にこれを利用することが示唆された. 心室内伝導障害患者における異所性収縮発生頻度増加の臨床意義が再強調されよう.
  • 中埜 粛, 川島 康生, 堀口 泰範, 団野 迪昭, 筆本 由幸, 北村 惣一郎, 清水 幸宏, 大出 朝賢, 曲直部 寿夫
    1974 年 6 巻 7 号 p. 978-986
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    三尖弁閉鎖不全(以下 TIと略す)は, 他の弁膜疾患に続発しておこってくることが多いが, この存在ならびにその程度を的確に診断することは, 外科治療上においても, きわめて重要な課題といえる. そこで, thermodilution 法を用いて三尖弁逆流量を定量的に測定する方法を試みた. すなわち, 右室心尖部に室温保存の 5%グルコース 10mlを注入し, 肺動脈幹および三尖弁直上に置いた thermistor にて熱希釈曲線を描かせ, 2つの曲線下の面積比を regurgitant fraction として算出した. 対象は弁膜疾患の 19例で, うち 5例に TIを認めた. TIの程度を regurgitant fraction にて3段階に分類してみると, 50%以上の severe TIが2例, 50%以下25%以上の moderate TIが3例であった. これら themodilution 法による三尖弁逆流度判定結果と, 血行動態的所見ならびに手術所見とを対比検討し, 臨床上, 本法の有用性が確認された.
  • 臨床応用にさいしての留意点
    渡部 哲也, 元田 憲, 山城 正敏, 加藤 紀久
    1974 年 6 巻 7 号 p. 987-997
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    23例について熱希釈法による心拍出量,平均循環時間の測定を行ない,色素希釈法による成績と比較し検討を加えた.熱希釈法の実用にさいしては,注入部位と記録部位との間に細い血管,長い道程を含まないよう努めること,液温を注入直前の位置で実測することが肝要である.これらの条件を満たせば,本法による心拍出量の測定側には,キューベット法に匹敵する正確度が期待でき,頻回の測定が簡単に行なえる利点により,広い用途に多くの有用性を示すと思われる.しかし循環時間は出現時間を除き,色素法による値よりもつねに延長に傾くため,時間因子,中心血液量に関しては,希釈法における従来の概念をそのまま適用できない.
  • 香取 瞭, 白土 邦男, 村井 雅夫, 上杉 憲和
    1974 年 6 巻 7 号 p. 998-1002
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    色素を前五寸静脈 (ACV) と大腿静脈 (FV)に注入した時の色素希釈曲線の時間因子, 濃度因子を比較し, 末梢注入部位としての優劣を検討した. 逆流, 短絡のない 32例で生食水 8ml の flush を行なう方法で, 両静脈に交互にインドサイアニングリーンを注入し, イヤーピース希釈曲線を記録した. (1) FV 注入にくらべ, ACV注入で下降脚の時定数 (ts), 平均循環時間 (t) は有意に長く,最高色素濃度 (Cp)は有意に低値を示した. (2)出現時間(ta), 上昇時間 (Tap), 最高濃度時間(tp), 濃度面贋に関しては両群で有意の差はみられなかった. (3)再現性に関しては, ta, tp, t は平均値でほぼ 5%以内に一致し, Cp, 濃度面磧はより変動大きく, tsで最もパラツキが大であった. しかし各因子について両注入群間には差は見られなかった. 以上から, ACVと FV注入では心拍出量測定には差はないが, 前者で下降脚の変形を生ずる場合があり, これは左一右短絡,逆流の過大算出に導く危険のあることを指摘した.
  • 時間的経過と注入部位による差
    門間 和夫, 中沢 誠
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1003-1010
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    麻酔下開胸陽圧呼吸下の成狽 13匹で 76% Urografin 1ml/kg左室注入 (11回)と, 肺動脈注入(9回)の心臓血管作用を測定した. 左室注入直後に心筋収縮力低下(Strain Gauge Archによる右室前壁張力 -16.4±2.9%, m±S.E. (以下同じ), 左室圧の dP/dt/P -8.3±1.9%)を生じ, その後回復した, 大動脈圧は注入後低下して10 - 20秒後に最低になり (-18.2±3.2%),1分後には注入前値にもどった.体血管抵抗も注入20秒後に最低となり(-36.6±4.2%),1分後も低く(-20.4±5.1%),5分後もまだ低かった. 心拍出量は注入 20秒後に著しく増加し(+27.6±6.2%), 1分後も多く (29.4±4.8%), 5分後には注入前値近くまで低下した. 肺血流量増加と左房圧上昇のため, 肺動脈圧は増加 (20秒後+17.4±2.1%)した. 肺血管抵抗は低下した. 肺動脈注入でも同様の心臓血管作用が現われたが, 肺血管拡張作用が一層著明であった.
  • Comparison of nine different materials.
    門間 和夫, 中沢 誠
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1011-1018
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    9種の造影剤すなわち Angiografin, 76% Urografin, 60% Conyay, Conray 400, Angioconray, Conraxin-L, Conaxin-H, Isopaque 370, Isopaque 440について, 1ml/kg左室注入の心臓血正管作用を, 麻酔下開胸のネコを用いて比較した. 心拍出蚤増加作用と末梢血管拡張作用は, いずれの造影剤にも著明に認められた. 心筋抑制作用の程度は造影剤により大きな差があり, Angio-conray と Conray 400が最も著しい心筋抑制作用を有していた. Conraxin-H, Isopaque 440, 76% Umgrafin は中等度の心筋張力低下作用を有し, Conraxin-L, 60% Conray Angiografinは軽度の心筋張力低下作用を有していた. Iso-paque 370は心筋抑制作用をほとんど有さなかった. 以上の結果より心臓血管造影にあたっての造影剤の選択について考察を加えた.
  • 毒性の作用機序について
    門間 和夫, 中沢 誠
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1019-1026
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    造影剤の心臓血管作用は, 主に心筋収縮力揖制, 心拍出量増大, 末梢血管拡張である. これらの造影剤の作用の機序を明らかにする目的で, 76% Urografin 1ml/kg左室注入の効果と, 50%ブドウ糖 6%食塩,0.9%食塩各 1ml/kg, マソニット 2ml/kg左室注入の効果をネコで比較した. 心筋抑制作用は造影剤および食塩水中の Na濃度と正の相関があり, 造影剤の心筋抑制作用は主に高 Na含有によると思われる. しかしマンニットとブドウ糖の高張液にも, Naを含まない造影剤にも同程度の弱い心筋抑制作用があるので, 造影剤の心筋抑制作用の一部は高張性に由来すると思われる. 心拍出量増加作用は造影剤およびブドウ糖, マンニット, 食塩などすべての高張液に存在し, 高張液一般に共通の作用である. 体血管拡張作用もすべての高張液にあり, 造影剤の体血管拡張作用も高張性に由来すると考えられる.
  • 酒井 章, 遠藤 真弘, 宮田 捷信, 細田 瑳一, 今野 草二
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1027-1034
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    房室ブロックを認めかつ選択的冠状動脈造影を行なった 39例を基礎疾患別に, 急性後壁心筋硬塞群, 異型狭心症群, 原発性心筋疾患群, その他の群, 原因不明の群の以上5群に分けた. これに対照例 33例をあわせ, 房室ブロックと冠状動脈造影所見との関連性を検討した. 急性後壁心筋硬塞群においては, 冠状動脈造影所見と房室ブロックの間に関連を認めた. すなわち急性後壁心筋硬塞に合併する房室ブロックは, 房室結節部の虚血を主要な発生原因とし, 房室結節部の血流の状態と密接に結びついていることを示した. 異型狭心症の発作中に認める房室ブロックは冠状動脈の器質的狭窄以外の他の機序によることも考えられる. その他残りの群においては,房室ブロックの有無と冠状動脈造影所見との間に関連性を認めなかった.
  • Overdrive Suppression による判定基準
    伊藤 昭男, 外山 淳治, 沢田 健, 棚橋 淑文, 都築 実紀, 安井 昭二
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1035-1041
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    失神,眩鑑などの臨床症状によってすでにペースメーカ植え込み術の適応があると診断された洞不全症候群 (Sick Sinus Syndrome) 9症例と突然死した同症候群の1例について, overdrive suppressionによる心臓自動の評価を行なった. 種々の overdrive刺灘における刺激停止直後から, 心臓が自己の興奮を開始するまでの時間の最高値 (Max ART)は, 全例において 5秒を越え, その平均と標準偏差は 7.0±1.2秒であった. ゆえにこの自動能評価法は洞不全症候群の自動能低下の程度をよく反映していると考えられ, とくに同症候群のペースメーカ植え込み術の適応を判断する機能検査法としてきわめて有用であると考えるすなわち, Max ARTが 5秒以上の延長を示す洞不全症候群の患者は, たとえ臨床症状が軽微でも, ペースメーカ植え込み術の適応があると考える.
  • 鈴木 信
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1042-1048
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    新しい各種不整脈の患者29例に, 2% Lidocaine 200mg を瞥筋内に注入して治療を試み, その有効血中濃度を測定し不整脈の種類ごとに検討した. 心房細動には効なく, 上室性不整脈には 4.6μg/認以上で辛くも有効となったが, 心室性不整脈には 91%で有効であった. 投与後5分ですでに 63%に効力を発揮した. その血中有効濃度は 1.09μg/ml 以上であり,投与後 5-20分で peakに達した. しかし2時間後に血中濃度が 1.04μg/ml に低下するので, 筋注法で血中濃度を維持するにはほぼ2時間ごとに注入しなければならない. 本法は, ことに急性心筋硬塞症の患者が発症現地において primary ventricuar fibrillationを未然に防いで極期をきりぬけつつ CCU へ搬送されるためには, 従来の1回静注法の危険性を充分に克服し, かつ, 筋注のみで充分であり, またきわめて有用で安全な方法であると思われる.
  • 佐藤 清春, 堀内 藤吾, 石沢 栄次, 田中 茂穂, 鈴木 康之, 佐藤 哲雄, 鈴木 典夫
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1049-1056
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    教室の Mustard 手術生存例10例の心電図を経時的に追跡し, その不整脈を術式との関連から検討したので報告する. 本手術生存例は10例で, 術前全例が洞調律を呈した. 術直後洞調律を呈したのは2例のみで, 多くは房室結節調律を呈したが, 完全房室ブロックの1例を除き, 術後 3日から 36日以内に全例洞調律に復した. 遠隔期 3例に不整脈の再発がみられた. 2例け術後洞調律に復するのに 20日と 36日を要した症例で, その不整脈は洞結節機能不全によるものであると考えられた. 他の1例は洞結節機能不全の他心房問刺激伝導路の機能不全も考えられた. 原因として, 洞結節領域に対する手術時の外科的侵襲および縫合材料などが, 遠隔期に洞結節の変性, 洞結節動脈の狭窄などの変化をもたらしたためと考えられた. 心房内刺泓伝導系に対する手術侵襲をできるだけ防止するよう手術手技の検討を行なったので報告する
  • 田中 曉, 泰江 弘文, 八木 竜夫, 堀内 徹郎, 秋山 文弥, 篠崎 拓, 当山 真人, 島本 光臣, 加藤 弘文
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1057-1061
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    網赤血球数, 血清 LDH値および血沽Haptoglobin 値を溶血進の指標として,人工弁置換後の症例を検討した.症例はいずれも人工弁置換後2ヵ月以上経過したもので,大動亢脈弁置換 (以下AVRと略す) 14例, 僧帽弁置換 (以下MVRと略す) 8例を対象とした. AVRに著しい溶卑性貧血を認めるものが多く, 網赤血球数の増加は, AVRに著明で, MVRより著しかった. 血清 LDHは AVRで著増し, MVRよりも著明であった. 血清 Haptoglobin は AVRでほとんどの症例が著減し, MVRでも減少したが, 前者に著しいものが多かった. また貧血を認めないか, 軽度の症例でも溶血の充進がうかがわれた. AVR 3例の51Cr法による赤血球寿命 (T/2)はいずれも短縮し, Coomb s試験(直接・間接)は 15例でいずれも陰性であった. 溶血性貧血の著明な症例に, 鉄剤, 還元型グルタチオン, 各種ビタミン剤などを投与したが, むしろ運動量の制限が, 貧血の改善に有効であったと思われる症例があった.
  • その評価法を中心に
    久田 澄夫
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1065-1076
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 沖野 遙
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1077-1085
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • R Kaufmann, 上羽 康之
    1974 年 6 巻 7 号 p. 1086-1103
    発行日: 1974/07/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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