心臓
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7 巻, 3 号
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  • 谷本 欣徳, 遠藤 真弘, 前島 一郎, 今野 草二
    1975 年 7 巻 3 号 p. 288-296
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    造影剤に安定剤として EDTA 2Naが10-40mg/dl含まれているが,選択的冠状動脈造影時に心収縮に及ぼす影響を実験的に検討した.血液に EDTA 2Naを加えると40mg/dlで血中のCa++ は約1/2低下し80mg/dlをこえるとほとんど全てがキレート化される.実験犬の前室間枝に,自家血10mlに EDTA 2Naを加えて注入し各濃度での左室圧,maxdp/dt/p,心拍出量,前室間枝灌流域および左回旋枝灌流域の収縮張力,心表面心電図の変化をみたところ,左室圧,心拍出量などの低下は著明でないが,前室間枝灌流域の収縮張力の低下が著しく濃度が60mg/dlをこえると収縮期にbulgingを認めるようになった.心電図では EDTA 2Naの濃度に応じQT時間が延長し,心室性期外収縮も増加し,60mg/dlでは16%,80mg/dlでは68%,100mg/dlでは全例が心室細動を発生した.
    以上のことから選択的冠状動脈造影時にみられるQT時間の延長,心室性不整脈,一過性の左心機能低下の一因子として EDTA 2Naが関与していることが示唆された.
  • 山城 正敏, 加藤 紀久, 渡部 哲也
    1975 年 7 巻 3 号 p. 297-308
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    熱希釈法を用いて,心房中隔欠損症(ASD)23例,心室中隔欠損症(VSD)4例,動脈管開存症(PDA)2例の計29例について,左-右短絡,肺血流量および体血流量を測定した.冷却生食水を右心系の各所に注入し,全例について肺動脈,右心室および右心房で熱希釈曲線を記録した.右心室注入-肺動脈記録または末梢肺動脈注入-肺動脈記録の場合に,最も鋭敏に短絡を検出でき,4%の微量短絡をも明瞭に識別することができた.本法では,色素希釈法に比し,主として注入熱が肺毛細管床を通過する際の時間因子の遅延による誤差因子が介在する,しかし,実際の測定値の平均についてみると,色素法とよく一致をみた.肺血流量の測定には,大量短絡の場合でさえ初回循環曲線の下降脚の外挿が可能である右心室注入一肺動脈記録が最も正確であると考えられる.熱希釈法は,短絡疾患における短絡部位の決定,短絡率および肺血流量の測定に.有力な診断法であると考えられる.
  • 杉浦 昌也, 大川 真一郎, 平岡 啓佑, 桑島 巌, 上田 慶二
    1975 年 7 巻 3 号 p. 309-314
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左軸偏位の成因はGrant以来冠状動脈硬化(心筋線維症ないし心筋硬塞)に関係した伝導障害(左脚前枝ブロック)とされる.本報はその病理学的再検討である.
    56歳以上の老人1,000例の電気軸は正常58%,準左軸偏位(0~-29°)21.9%,左軸偏位(-30°~-180°)17.4%,右軸偏位2.7%であった.病理学的検討の結果,左軸偏位は心筋硬塞を20%,右脚プロックを16.1%に合併したが,他の軸群と比較して冠硬化,心筋線維症,心肥大のいずれとも特に有意な相関はない.また右軸偏位は右脚プロックを66.7%,右室肥大を22.2%に合併したが冠硬化,心筋線維症の合併頻度は他軸群と有意差を示さなかった.以上より左軸偏位の1部(20%)は心筋硬塞のごとく大きい壊死により説明されるが,その大部分は冠硬化,心筋線維症に無関係であり脚プロックに見られると同様の激伝導系(分岐部)の変性,線維症との関係を推定刺した.
  • 横田 充弘, 山内 一信, 谷村 英彦, 渡辺 佳彦, 外畑 巌, 安井 昭二
    1975 年 7 巻 3 号 p. 315-324
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    20歳から49歳にわたる日本人正常男性164名,女性137名を対象として,小型電子計算機を用いた8心拍加算法により,S/N比の良いFrank誘導ベクトル心電図P環を描出した.
    これらのP環について17項目の諸量を自動計測し,性別,年代別(20-29歳,30-39歳,40-49歳)に平均値および標準偏差を求め,統計学的手法を用いて性差,年齢差の解明を試みた.計測17項目中20歳代の群で5項目,30歳代の群で3項目,40 歳代の群では7項目に有意な性差が存在した.また,男性では5項目に,女性では13項目に加齢に伴う変化を認めた,これらの成績よりP環について適切なベクトル心電図診断を行なうには性別,年齢別診断基準が必要であることが示唆された
  • 梅田 徹, 尾本 良三, 古田 昭一, 町井 潔, 松田 光生, 山口 徹
    1975 年 7 巻 3 号 p. 325-330
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    UCG,心音図,頸動脈波曲線の同時記録により左室等容収縮期(ICT),等容拡張期(IRT)を計測した.
    対象は虚血性心疾患36例,僧帽弁狭窄症12例,対照群として成人健常者27例.
    結果は,ICTは対照群42±11.2msec,IHD58士17.0 msec,MS13±15.9msec.IRTは対照群50±12.0msec,IHD86±22.6msec,MS 40±15.0msecで,IHDはICT,IRTとも,健常者に比し有意の延長,MSではICTの有意の短縮を認めた.IHDにおけるICT,IRTの延長は心筋の収縮力,弛緩速度の低下によると考えられる.
    一方MSおよびIHDのうち左房圧の上昇が予想される症例ではICT,IRTの短縮傾向が認められ,左房圧が僧帽弁の開閉に影響を与える結果であると思われる.本法は従来の心尖拍動図,Dopplerによる方法に比し記録の容易さ,再現性の良いこと,弁の開放閉鎖の同定が容易なことなどから優れた方法であるといえる.
  • 長井 靖夫, 小松 行雄, 厚地 良彦, 中村 憲司, 渋谷 実, 高尾 篤良, 広沢 弘七郎
    1975 年 7 巻 3 号 p. 331-338
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    6方向のM-mode scan を行ない,その解剖学的諸関係の表現がEchocaydiogyaphy からも可能であった Tausig-Bing heartの2症例について報告し,弁下部円錐筋部の有無と肺動脈の騎乗の程度から,両大血管右室起始症から大血管転換症にいたる一連の心奇形の鑑別の可能性を示した
  • 〓野 謙介, 杉本 恒明, 稲坂 暢, 浦岡 忠夫, 佐藤 清, 渡部 秀人, 石川 忠夫, 紺谷 一浩, 池田 孝之, 長田 清明, 重田 ...
    1975 年 7 巻 3 号 p. 339-344
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    His東電位の記録に基づいて,22例の房室ブロック症例をブロックの部位と程度により分類し,その意義について検討した.
    1度ブロックは8例で,うちA-Hブロック4例,H-Vブロック3例,A-H+H-Vブロック1例であった.3度ブロックは.14例で,うちA-Hブロック6例,BHブロック3例,H-Vブロック4例,His東電位を記録できなかったもの1例であった.房室ブロックをこのように分類することの臨床的意義について検討し,以下のような結果を得た.
    (1)3度ブロックではQRS幅よりブロックの部位が推測できる.(2)ブロックの部位によりAdams-Stokes発作・心室自動性・薬物の効果には明らかな差はみられない.(3)心室頻数刺激後の心室リズムの抑制現象をみることは下位中枢の自動性の検討,予後判定に有用である.(4)ブロックの部位により人工ペースメーカの適応を考えるには問題がある.
  • 伊藤 裕康, 杉下 総吉, 小田 政行, 平川 千里, 早瀬 正二
    1975 年 7 巻 3 号 p. 345-355
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    新しいβ-遮断剤practololの不整脈,特に期外収縮に対する効果を,ajmalineを対照薬とする二重盲検交叉試験を行なって検討した.対象は選択基準に合う不整脈39例,うち期外収縮36例であった.主治医により評価された全般改善度,患者自身による薬効の評価および期外収縮の改善度についてはpractololとajmalineの間に差はなく,いずれも70%程度の改善率であった.またこれらの優劣比較においても両薬剤間に有意の差はなかった.
    血圧降下作用は軽度ながら,practololに認められ,徐脈効果についてはpractolol はajmalineと較べ有意に大であった.両薬剤による副作用の出現率についても有意な差を認めず,重篤な副作用もなかった.以上よりpractololは特に徐脈効果においてajmalineに勝りその抗不整脈作用はajmalineとほぼ同等のものであり,臨床上期外収縮などの不整脈に有用であると結論される.
  • 高橋 雅俊, 高江 喜久郎, 尾形 直三郎, 宮本 克彦, 鈴木 盛彦, 土手 剛, 西川 孝戒
    1975 年 7 巻 3 号 p. 357-361
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本症例は,僧帽弁閉鎖不全症の単独疾患として診断され,手術により人工弁置換を行なったが,摘出弁の病理組織学的所見では,酸性ムコ多糖類沈着によるムチン様変性がみられ,心筋には弾力性線維の増量なくfibroelastosisの所見を見出さず,Marfan's症候群の全身的所見も全く認められない点で,floppy valve syndromeの症例ということが出来る.
    患者は5歳,男子,NYHA臨床重症度は4度で,肺動脈圧70/36mmHgであった.手術所見では,僧帽弁全体の萎縮が強く弁の修復が困難なためにBjörk-Shiley弁(M31)を移植した.この人工弁は,成人用のsizeであるが,幼児例に使用出来た点で注目される.術後は血栓防止のためペルサソチソを長期に投与し良好である.
  • 伊藤 佑士, 小池 茂之, 加藤 裕久, 山本 英正, 古賀 道弘, 中井 舜, 宇津 典彦, 岡田 了三
    1975 年 7 巻 3 号 p. 362-367
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    9歳の女児で,病初期に特発性心筋炎を疑い,ステロイド使用中,腹部大動脈血栓症を併発した.5ヵ月間の保存療法後,開腹手術にて,白色の器質化した血栓を摘出した.その後,外来にて経過観察中,初診より2年1ヵ月を経過して,心不全により死亡した.
    剖検にて,心臓は320gと大きく,右房,左房に器質化した血栓があった.左心室の組織にて,心筋はつよく肥大し,小血管周囲にも線維症あり,わずかな細胞浸潤と比較的若い線維細胞もみられた.
    本例は岡田の特発性心筋疾患の心筋線維症型に相当し,そのうちの心筋炎後心肥大症の特徴をもっていた.
  • 坂井 修一郎, 谷内 荘成, 久保 正, 藤村 光夫, 和田 汪, 前田 昭治, 中川 禎二, 北川 正信
    1975 年 7 巻 3 号 p. 368-374
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左房粘液腫と診断し,腫瘍を摘出したが,病理学的に左房原発の血管肉腫であり,死後剖検の行なわれた1例を経験した.症例:19歳女性.労作時の息切れのため1973年1月入院した.心音,心雑音,心尖拍動波,右心カテーテル所見,UCG所見などはいずれも左房粘液腫に特徴とされる所見に一致していた.LDH値(その分画では特にLDH2)の上昇がみられたが,血清GOT,GPT,CPK値は正常範囲内であった.腫瘍は卵円窩直下から後尖弁輪,左房後壁にわたる底部を有する凹凸不整のポリープ状のもので,切除標本の重量36g,組織学的に血管肉腫であった.術後,cyclophosphamide,5-Fu,mitomycin C,chromomycin A2を投与したが,腫瘍の転移と増大には無効であり,術後約4ヵ月で死亡した.
    心臓原発血管肉腫は1972年までにわずか52例であり,そのほとんどは右房,心外膜に原発している.左房原発はGrossら,Hagerらの報告についで第3例である.
  • 赤坂 忠義, 伊藤 健二, 高口 直明, 大川 恭矩, 高 錫健, 井村 哲也, 青木 浩之, 佐藤 秀郎
    1975 年 7 巻 3 号 p. 375-381
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    乳児大動脈縮窄複合,あるいは大動脈弓遮断症は多く複雑な心奇型を合併し,生後早期に重篤な臨床症状を呈するものが多く,その多くは緊急手術の対象となる.
    この様な症例における大動脈再建の際に,従来の大動脈同志の端々吻合による再建法はその手術侵襲が大きすぎて不満足な結果に終ったことに鑑み,大動脈弓あるいは下行大動脈より分枝する動脈を利用して吻合し,これを大動脈間のBridgeとして用いる手術を経験してみたが,今後も試みて良い方法であると考える.
    しかし新生児期における大動脈弓の再建と心内奇型の一期的根治手術の成功例の報告にふれる時,大動脈同志の端々吻合が最善の方法であることに余論はなく,その意味ではそこに到達する,ひとつのstepにある過程と考えている.
  • 渋谷 雄也, 杉井 重雄, 木住 野皓, 山崎 泰雄, 菅原 古人, 鈴木 正明
    1975 年 7 巻 3 号 p. 382-389
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は32歳の男子である.主訴は,胸痛,動悸,呼吸困難であるが,主要所見として理学的に心尖部より胸骨左下緑に沿い,収縮中期クリックを伴う第1度の収縮後期雑音を認め,心電図上,I,aVLでT逆転,V3-6でST低下を認めた.選択的冠状動脈造影,左室造影で検索し,僧帽弁尖異常膨隆症候群を伴う右冠状動脈形成不全を証明し得たので,若干の文献的考察とともに報告する.
  • 上埜 帝一, 石山 太朗, 森田 慶治, 畑中 由江, 東 純一, 谷本 卓司, 小倉 恭子
    1975 年 7 巻 3 号 p. 391-397
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 中村 一規, 新居崎 武俊, 横田 泰司, 水口 宣信, 南部 征喜, 上田 正人, 太田 勝利, 万江 治夫, 仮屋 純人, 戸嶋 裕徳, ...
    1975 年 7 巻 3 号 p. 398-404
    発行日: 1975/03/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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