心臓
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8 巻, 11 号
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  • 容量負荷左室機能曲線による検討
    山田 崇之, 坂本 徹
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1103-1107
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    僧帽弁狭窄症(MS)の直視不交連切開(OMC)術後急性期における左室機能を血漿増量剤急速注入容量負荷時の左房平均圧(LAMP),左室仕事量(LVSWI)などの血行動態推移から左室機能曲線を描き,Rosssらに従い3群に分類し検討した.正群(5例)の平均年齢は3群中最も低く35.23.9歳で,術前の肺動脈(PA)収縮期圧46.4±11.8mmHg.LAMP21.8±2.4mmHgで低値であった.II群(12例),III群(8例)では平均年齢も高くなり,PA収縮期圧,LAMPも1群に比し高値をとった.容量負荷前のLAMPはI群6.8±1.5,II群10.8±0.9,III群14.5±0.8mmHgで対応するLVSWIはそれぞれ42.2±4.1,35.6±2.8,25.4±2.2gm.m/beat/M2であり,III群が最も低値であった.500ml負荷後のLAMPはI群9.5±1.9,II群18.0±1.0,III群230±1.4mmHgで,LVSWIはそれぞれ59.9±4.6,44.5±2.3,28.7±1.8gm.m/beat/M2であり,I群のΔLAMPは少く,ΔLVSWIは最高値をしめし,左室機能曲線の勾配は急峻であった.術前のPA収縮期圧>70mmHgの症例では容量負荷後のΔLVSWIは少なく2.8±28gm.m/beat/M2であったが,70mmHg>PA収縮期圧>50mmHg,50mmHg>PA収縮期圧>35mmHg,35mmHg>PA収縮期圧の各群では,ΔLVSWIはそれぞれ8.2±1.9,9.9±2.7,10.3±4.6gm.m/beat/M2であり,肺高血圧症例ほどOMC後の左室機能は低下していた.また,高齢者>50歳ではΔLVSWIが少く,2.5±3.0gm.m/beat/M2であったが,40歳台,30歳台,20歳台では8.9±2,8,11.9±2.3,9.3±2.0gm.m/beat/M2であり,高齢者ほど左室機能低下の傾向がみられた.高齢者で肺高血圧症を伴うMSでは,OMCによって充分な弁口が得られても左室機能低下の状態にあることがしめされた.
  • ●健常者および発作性"上室"性頻拍患者に対する効果
    佐竹 修太郎, 坂本 保己, 比江嶋 一昌, 鈴木 文男, 佐野 豊美
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1108-1115
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Verapamilの房室伝導系に対する作用について,早期心房刺激法とヒス束心電図を用いて検討した.刺激伝導系に異常を認めない6例と,房室結節リエントリーによる発作性"上室"性頻拍の4症例では,veraparail投与後全例で,房室伝導時間,房室結節の有効不応期および機能的不応期の延長が認められた.頻拍の症例4例中3例でechozoneが消失し,1例で短縮した.また全例で持続した頻拍に対しverapamilを静注すると,2分以内にA-H間隔が漸次延長し,突然頻拍の停止するのをみた.心房細動5例に対しては,除細動はできなかったが,rate controlには有効であった.
  • 横田 充弘, 稲垣 春夫, 石部 義孝, 谷村 英彦, 渡辺 佳彦, 外畑 巌, 岡本 登, 安井 昭二
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1116-1123
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    主として右房拡張期負荷を招来すると考えられる二次孔心房中隔欠損症患者36名を対象として,小型ディジタル電子計算機を用いた8心拍加算法によりFrank法P環を描出し,以下の成績を得た.(1) 自動計測した23項目のP環諸量のうち,水平面最大,ポーラーおよび空間最大Pベクトルの大きさは,それぞれ,64%,58%および53%が著者らの正常値上限を逸脱していた.(2) 水平面P環を主として,その左方および後方成分の形態よりA,B,Cの3型に分けることが出来た.A型は若年者で左→右短絡率の小さいもの,C型は高齢者で短絡率の大きいものにみられ,B型はそれらの中間型と考えられた.(3)23項目のP環諸量と,年齢左→右短絡率および右室収縮期圧との単相関分析を行なったところ,年齢とは後方成分の面積など4項目が,短絡率とは水平面最大Pベクトルの大きさなど3項目が,右室収縮期圧とはX誘導陽性相の振幅など5項目が有意な相関を示した.
  • 桑島 巌, 蔵本 築, 松下 哲, 三船 順一郎, 坂井 誠, 村上 元孝
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1124-1130
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    老年者徐脈例を無症候性の洞徐脈群(SB群)と症候性の徐脈一頻脈症候群(B-T群)に分け,これらと老年健常対照群におけるisoproterenol (ISP) 0.02geg/kg/minおよびatropine(ATR)1mg 1回静注に対する反応を血行動態の面から検討した.
    対照,SB群,B-T群における安静時心拍数(HR)は各々71.3,54.4,52,7/分で,心係数(CI)は各々2.72,2.59,2.071/min/M2でありSB群では1回拍出量(SI)の代償的増加により心拍出量が維持されているが,B-T群ではSIの増加がみられずCIは低値を示した.ISP負荷によるHRの増加は3群間に差がなく,負荷後HRは徐脈群で低値を示した.CIの増加も同様で,負荷後CIはB-T群で低値であった.ATR負荷によりSB群はHRの増加が大なる傾向にあり,その徐脈に迷走神経緊張の関与が示唆された.またCIも対照およびSB群では有意に増加したがB-T群では有意の変化が認められなかった.
  • 入沢 敬夫, 春谷 重孝, 佐藤 良智, 片桐 幹夫, 中村 千春, 浅野 献一
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1131-1138
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Fallot四微症根治手術では種々の右室流出路形成術か試みられているが,これらの術式には術後の血行動態に影響を及ぼす狭窄残存,肺動脈弁閉鎖不全,右室収縮性障害などが附随し問題となる.右室流出路形態はこれらの異常を端的に表現するものと考えられるので検討を加えた,中等度以上の流出路膨隆は無パッチ症例では15.2%,大パッチ症例では高度のもの27.8%を含み50%で,小バッチ症例では両者の中間に値した.流出路膨隆には狭窄残存による圧負荷,肺動脈弁閉鎖不全などによる容量負荷およびパッチの大きさやその材質が程度の差はあれ幽与することを認めたが主因は圧負荷と推測された.流娼路狭窄残存は術式による特異性があり,無パッチ症例ては弁輪や弁下部に,小パヅチ症例では弁輪やパッチ吻合中枢側に,大パッチ症例ではパッチ吻合末梢側に狭窄を認めた.これらの知見は流出路形成術の留意点を指摘するものである
  • 布施 勝生, 三井 利夫, 水野 明, 三枝 正裕
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1139-1147
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ASD術後の徐脈を主とする永続性不整脈症例7例,および,ASD術後早期症例15例(術後不整脈例5例,非不整脈例10例)について,洞結節機能と房室伝導を検討した.洞結節機能については,心房pacingによるoverdrive suppression testを行ったが永続性不整脈例は5例中4例に,早期不整脈例は5例中1例にsinusnode recovery timeの延長がみられた(corrective SRT≧;525 msec).房室伝導に関しては.His束心電図,および心房pacingのrateを増したときのII度房室ブロック出現のrateを測定したが,1例の永続性皿度房室ブロックの症例がAHブロックであることが明らかとなったほか,測定を行った不整脈症例10例中7例に,rate130以下での心房pacingによるII度ブロックの発現がみられた.以上の結果より,これら不整脈例の多くに,洞結節機能の低下,および不顕性伝導障害のみられることを明らかにした.
  • 幸治 隆一, 竹沢 正気, 宮崎 真佐男, 上島 亮, 西井 脩子, 登 勉, 橋爪 勝, 竹沢 英郎
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1148-1153
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    12歳の女子例で3歳の時より,時々失神痙攣発作があり,てんかんとして治療をうけていたが,今回,突然心室細動,意識消失発作を来たし入院して来た.発作問歇期には心電図上QTの著明な延長と異常U波の出現を見た.
    なお本症例は臨床上,先天性心疾患,弁膜疾患,虚血性心疾患,心筋炎,代謝異常,電解質異常を伴わず,又QTの延長を来たすような薬剤も使用していない.又心音,心機図心エコー図上全く異常所見を認めなかったため,いわゆるRomanor Ward症候群と考えた.なお本症例で興味ある所見として脳波異常を認めたことである.即ち3・5HZの徐波及び棘波の発作的出現である.又脳波検査中に心室細動発作があり数秒後に脳波異常があらわれているが,正常洞調律の時にも脳波異常を認めるため,この心室細動が直接脳波に関係づけられるかは問題のあるところである.
  • 金 公一, 田中 孝, 川瀬 光彦, 大中 正光
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1154-1158
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    従来,右室内異常筋束は漏斗部狭窄とは区別され,右室二腔症と同疾患として扱われてきたが,非典型的な右室二腔症や漏斗部狭窄と鑑別困難な症例にたびたび遭遇する.今回われわれは円錐部中央の巨大な異常筋束による漏斗部狭窄の1例を経験した.右室内異常筋束は一連のスペクトルムを有し,1)漏斗部内 2)漏斗部下部(Inflowとoutflowのjunction) 3)漏斗部以下(subinfundibulum)1とその位置が多様であるため,右室二腔症と同疾患として扱うには問題があることを,若干の文献的考察に検討を加え整理した.なお,本症例は臨床例として他に報告をみない.
  • 佐藤 秀郎, 三森 重和, 安藤 正彦, 長井 靖夫
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1159-1163
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    4歳男児で,右胸心に合併した完全大血管転換症[1,L,L]の1例を経験した.他に心室中隔欠損症と肺動脈弁狭窄症を合併していたが,無痺症,共通房室弁,単心房症,単心室症等の合併はなかった.心臓が正位の完全大管血軽換症[S,D,D]は数多く存在するが,右胸心においても,稀ではあるが本疾患の存在を念頭において検査すべきである.
  • 田口 善作, 長谷川 正, 富田 房芳
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1164-1170
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    肺動脈拡張症は心臓の内外で左右短絡を有するものにその頻度が高いが,極めてまれなものとして全くの基礎疾患がみられず,肺動脈自体の先天性異常と考えられるいわゆる特発性肺動脈拡張症idiopathic dilatation of the Pulmonary artery (IDPA)がある.われわれはこの2症例を経験し,同時に本邦報告例の31例について検討した.
    症例は11歳女児および52歳男子で,とくに後者はうっ血性心不全の原因が本症と合併した肺動脈弁閉鎖不全によるものと診断した.本症は一般に自覚症状が乏しく,従来より予後良好と考えられていたが,肺動脈弁閉鎖不全を合併しやすく,とくに成人例では症例2の如く,うっ血性心不全を呈す場合もあり,長期に亘る経過観察の必要性を強調した.
  • 古川 俊之
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1171-1179
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • Hanskurt Muller, Martin Stauch, 阿部 裕
    1976 年 8 巻 11 号 p. 1180-1185
    発行日: 1976/11/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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