心臓
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8 巻, 8 号
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  • 曽根 克彦, 高尾 篤良, 三森 重和, 門間 和夫, 安藤 正彦, 森 克彦, 高見沢 邦武, 長井 靖夫, 石川 自然
    1976 年 8 巻 8 号 p. 793-802
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    卑天性心疾患の小児80例にHBEおよび心房ペーシングを行い,洞結節,心房内伝導,房室接合部の機能について論じた.
    Corrected sinus Roderecovery timeは本論文の対象小児では-45~410msecの間に分布し,成人の値より短縮していた.心房ペーシングによるWenckebach 現象の発現時期は年齢の増加とともに低いレートで出現する傾向があった.房室接合部の不応期は年齢とともに延長した.心房早期刺激を行ない,房室伝導に対するCoupling timeの影響について述べた.
    以上の検索は心臓刺激伝導系の異常の診断治療,予後を検討する上に有用である.
  • 市川 湛
    1976 年 8 巻 8 号 p. 803-810
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋ハイド薮オキシプロリソ含量は心重量に比例して増加するか否かを検討するために,45例のヒ5剖検心について化学的に定量した. 左心室の心外膜側と心内膜側との間, 左右の心室間, また心・腎疾患群, 悪性腫瘍群, その他の疾患群の間にも有意差は認められなかった. しかし, 左心室の凍結乾燥試料1mgに含まれる総ハイド隣オキシプロリソ量は心重量に比例して増加し, 中性塩可溶性分画が酸可溶性分画より比例して増加し。た. この傾向は左心室の心外膜側より心内膜側において著しかった. 症例を非肥大群と肥大群に分けてみると, 非肥大群では左心室の心内膜側の酸可溶性分画が心重量と, さらに年齢に比例して増加しており, 肥大群では非肥大群に比べて中性塩可溶分画が有意に増加していた. この結果, ヒト心筋の左心室総ハイドロオキシプゴリン量は心重量に比例して増加するが, 非肥大群では酸可溶性分画が心重量と年齢に比例して増加し, 肥大群では中性塩可溶性分画が増加するという,2つの過程によることを示した。右心室の酸可溶性分画あるいは総ハイド獄オキシプロリン量が心重量に比例して増加したが, 本研究においてはその意味は不明である.
  • 第1報
    坂下 勲, 安藤 武士, 大谷 信一, 中村 千春, 横沢 忠夫, 浅野 献一
    1976 年 8 巻 8 号 p. 811-818
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    昭和42年4月以降の人工弁置換症例133例を対象とし,大動脈弁,僧帽弁,大動脈弁・僧帽弁両弁,僧帽弁・三尖弁両弁置換群に分け,術後発生した不整脈のうち頻度の最も高かった心室性期外収縮(VPC'Sと略)につき,術前状態,術中操作,術中および術直後管理との関連を検討した.術前状態では大動脈弁,僧帽弁および僧帽弁・三尖弁両弁群でほぼジギタリス剤と利尿剤投与をうけた症例に,また,大動脈弁群で年長例と肝腫大例,僧帽弁・三尖弁両弁群で年長例と心拡大例にVPC'S発生の比率は高かった.完全体外循環時間など手術条件ではVPC'S発生と非発生に差を認めず,術中・術後管理面で,僧帽弁群は尿量過多,利尿剤,ジギタリス剤使用,人工心肺中カリウム非添加でVPC'Sの発生頻度高く,大動脈弁群で差を認め得なかった.両弁置換群で非使用および非添加例の数も少なく,VPC'S発生との関係は明確iに出来なかった.
  • 第2報
    坂下 勲, 安藤 武士, 大谷 信一, 中村 千春, 横沢 忠夫, 浅野 献一
    1976 年 8 巻 8 号 p. 819-825
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    第1報に引き続き術後発生した心室性期外収縮の治療につき検討した.治療を要しなかった症例は大動脈弁群で33%と最も多く,逆にカリウムの術後補充,ペーシングあるは抗不整脈剤を併用した比率は,僧帽弁三尖弁両弁,大動脈弁・僧帽弁両弁,僧帽弁,大動脈弁群の順に高かった.治療効果も治療方法の併用,ことに3者例で有効性が高かったと判断された.
    右室ペーシングの血行動態におよぼす効果として,大動脈弁,僧帽弁群では心拍数1分間100まで心拍出量は良好に維持されたが,2弁置換群では心拍数をやや低値にとどめる必要があった.また,心筋乳酸摂取率もこの事実を裏付けた.GIK療法を行うと対照群に比べカリウムの出納,代謝性アルカローシスは改善された.術前R.1.静注でVPC'Sを誘発したが,その発生機序の解明に手がかりを与えると考えられた.
  • 断層法およびUCGによる診断
    松本 正幸, 松尾 裕英, 永田 正毅, 別府 慎太郎, 大原 龍彦, 吉岡 幸男, 仁村 泰治, 阿部 裕
    1976 年 8 巻 8 号 p. 826-834
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    DeBakeyI型,狂型解離性大動脈瘤各1例を超音波断層法,UCG,Mモードスキャンにより検討した.超音波心血管断層法(静止断層法,断層キモグラム)により,いずれの例にても大動脈根部解離が明瞭に記録された.また本報告2例共,最近提唱されているUCGによる大動脈根部解離の診断基準を満足した.この診断基準による大動脈根部解離の偽陽性診断例(mimics)を文献的に考察した結果,本症診断には超音波心血管断層法,或いは超音波断層法とUCGの併用が最も信頼できると判断された.DeBakeyI型例では胸部大動脈および腹部大動脈の解離を示す所見をも得た.
  • 丹羽 明博, 谷口 興一, 小関 迪, 新富 芳明, 藤原 秀臣, 飯泉 智弘, 山田 崇之
    1976 年 8 巻 8 号 p. 835-844
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Marfan症候群の予後は合併する心血管病変に左右される.今回報告の4同胞では2例にannuloaor ticec ectasiaと僧帽弁閉鎖不全および解離性大動脈瘤を合併しており・解離性大動脈瘤で急死したと考えられる1例も大動脈弁閉鎖不全を有していた.残る1例はValsalva洞の拡大のみを認め,今後 annulo aortic ectasiaへの進展が示唆される.また,合併症としては稀な大動脈縮窄を1例に認めた、本報告例では多彩な心血管病変とともに,その発現様式に類似性がみられた.本邦報告の臨床例ならびに剖検例をみると,本症例にみられるような心血管病変の合併が多くみられ,また,家系内でみると病変の発現様式に高い類似性が認められる.したがって,Marfan症候群の病態と予後を知る上で心血管病変を明確にし,家系の病像調査をすることが重要と考えられ,本症候群の2家系の臨床像に本邦報告356例を参考に若干の考察を加えて報告した.
  • 岡部 眞也, 野見 山哲, 高崎 雄司, 玉地 寛光, 日野原 茂雄, 友田 春夫, 笹本 浩, 鈴木 豊
    1976 年 8 巻 8 号 p. 845-852
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近,我々は,99mTeehmetium pyrophosphate静注後シンチカメラにより,急性心筋硬塞の硬塞巣の描出を試みている.Pyrephosphateは,apatite-labeling tracerであり,急性心筋硬塞巣にapatiteの形で集積するcalcigmと結合すると考えられている.今回は,本法が,診断上特に有用であった数例を報告し,考案を加えた.
    本法はnon-iltvasiveであり,重症の症例にも安全,確実に行うことができる.また,発作後一定期間に行えぽ,硬塞巣の検出率は100%と考えてよく,偽陽性率はほとんどない.
  • 小松 親義, 小池 真弓, 村岡 和子, 小原 誠, 佐藤 泰雄, 吉村 正蔵, 川村 博俊, 中村 葉二
    1976 年 8 巻 8 号 p. 853-859
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    調査人員34名の内6名にsick sinus syndromeの発現をみた1家系について報告した.いずれも幼時より,持続性,高度な原因不明の洞性徐脈を示し,先天性洞性徐脈と考えられた.先天性の刺激伝導系障害では先天性房室ブロックの報告が多いが,家族性に洞性徐脈を認めた報告は極めて少ない,本症例6名の内2名に心電図上冠不全所見を,1名に左室肥大所見を認め,2名に胸部X-P上軽度の心陰影拡大を認めたが,他の検査成績では異常を認めなかった.また2名は加齢と共に頻拍発作も訴えるようになった.本症は浸透不完全な常染色体優性遺伝子によると推定される.
  • 田中 茂夫, 小関 一英, 鈴木 敏克, 池下 正敏, 庄司 佑, 堀江 伸
    1976 年 8 巻 8 号 p. 860-868
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1家系16人中7人に,洞房ブロック,洞停止,洞性徐脈,wandering pacemaker,PR延長,ST上昇などの刺激伝導障害をみとめた.3例に心室刺激によるペースメーカー植込み術をおこない,His束心電図,右房ペーシソグによるover-drivesupPression,染色体異常などの検査をおこなった.
    家族性心ブロックの報告に関しては,完全房室ブロックによるものは著者の集計しえた限りでは現在まで19家系をかぞえるが,SSSによるものは少ない.
    この両者の混合型もみられること,更にPR延長,asymptematic sinus bradycardiaの如き不全型が単独に,あるいは混合して発症していることなどから,洞結節,房室結節,His束のいずれが主要障害部位であるかによって症状が異ってくるものと思われる.遺伝形式に関しては,多くは常染色体優性遺伝とされているが,著者らの症例では伴性劣性遺伝による可能性も考えられた.その他心ブロックに関し若干の文献的考察を加えた.
  • 鈴木 康之, 石沢 栄次, 田所 正路, 佐藤 清春, 佐藤 尚, 高橋 和夫, 伊藤 孝, 岡田 嘉之, 堀内 藤吾, 佐藤 哲雄, 加納 ...
    1976 年 8 巻 8 号 p. 869-874
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    乳児期に発症する大動脈弁狭窄症は,予後不良で,手術の絶対的適応であるが,本邦においては,その手術報告は皆無のようである.本症では,他の奇形を合併することが多く,ことに,大きな心室中隔欠損を合併した場合,圧較差が生じないため,狭窄の程度の評価が困難となる.
    症例は呼吸不全,心不全を呈した9ヵ月男児で,4.4kgと発育の遅延がみられた.肺動脈造影および大動脈造影により,大きな心室中隔欠損と動脈管開存を伴った高度の大動脈弁狭窄症と診断し,直視下大動脈弁切開,動脈管結紮および,心室中隔欠損閉鎖の根治手術が行われた.残存狭窄のため低心拍出症候群を呈し,呼吸管理が長びき,結局65病日に肺感染のため失った.剖検で心室中隔欠損の再開通がみられ,大量のステロイド使用によると考えられた.
    本症の診断および外科治療について若干の考察を加えて報告した.
  • 木村 南樹, 権藤 道雄, 石崎 驍, 吉雄 幸治, 園田 康男, 御厨 美昭, 今村 俊之, 岩永 敦, 古賀 秀隆, 藤原 恒夫
    1976 年 8 巻 8 号 p. 875-883
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は20歳の女性で,小学校入学時に初めて心疾患を指摘されている.最近,登坂時とか急いで歩いた時に,心悸充進,息切れの症状が増加したため,入院した.身長は160cm,体重は50kg.脈拍は毎分90,整で,血圧は120/80mmHgで左右差を認めず,チアノーゼ,パチ指も認めなかった.聴診では第3肋間胸骨左縁にLevineI~II度の駆出性収縮期雑音を聴取し,P2は著明に充進していた.
    胸部レントゲン写真では,心胸郭比57%で,左第1,第4弓は突出し,肺血管陰影は左右とも増強していた.心電図では,両室肥大,右房肥大の所見を認め,肺シンチグラムでは右肺は全て陰影欠損を示した.右心カテにて主肺動脈圧は111/70mmHgと高値を示し,動脈管開存も確認した.逆行性大動脈造影で右肺動脈は上行大動脈の後面より直接分岐しているのを認めた.本論文では本邦報告例を集計するとともに,本症の頻度,発生,臨宋症状などについて,若干の文献的考察を行った.
  • 高田 重男, 黒崎 正夫, 小川 忠邦, 石田 礼二, 杉本 恒明
    1976 年 8 巻 8 号 p. 884-887
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    リウマチ熱では,高頻度に房室伝導障害がみられるが,完全房室ブロックを呈する例はまれとされている,今回,われわれは完全房室ブロックのためにAdams-Stoks発作をおこしたリウマチ熱と思われる1例を経験した.患者は27歳の男性である.昭和49年1月20日頃より発熱,関節痛をみとめ,2月15日当院初診,2月18日数回にわたり眼前暗黒発作をおこし緊急入院した.入院時ASO値の高力価,CRP陽性,血沈の充進をしめし,心雑音は聴取されなかったが,胸部X線写真上明らかな心拡大をしめし,リウマチ熱と診断した.心電図上,PQ間隔の延長,Wenckebach型2度房室ブロック,頻脈性の異所性調律を伴った完全房室ブロック,数秒間にわたる心室停止を伴う完全房室ブロック等種々の房室伝導障害がみられた.ペニシリン・ステロイド剤の投与により第6入院病日以降はPQ間隔延長のみとなり,心陰影も縮少,4月20日軽快退院した.
  • 横山 正義, 遠藤 真弘, 関口 守衛, 堀 原一, 今井 健雄
    1976 年 8 巻 8 号 p. 888-892
    発行日: 1976/08/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    43例の心筋電極を使用したが,そのうち4例に断線を認めた.われわれの使用した電極はMedtronic社製の従来のものであったが,断線の好発部は,4例とも,心筋挿入部であった.4例中2例は心筋電極が断線した後も,ペーシングに異常はなかった.この2例では断線した近位端(ペースメーカー本体側)が,なお,心筋に接しているものと考えられる.
    4例中1例は断線後,Adams-Stokes発作をおこし,緊急入院した.他の1例では不完全な断線であり,False inhibitionまたはOversensingを示し,脈i拍数の減少,めまいを訴えた.この例では断線していない側を陰極とした単極ペースメーカーに交換し,経過良好である.
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