症例は20歳の女性で,小学校入学時に初めて心疾患を指摘されている.最近,登坂時とか急いで歩いた時に,心悸充進,息切れの症状が増加したため,入院した.身長は160cm,体重は50kg.脈拍は毎分90,整で,血圧は120/80mmHgで左右差を認めず,チアノーゼ,パチ指も認めなかった.聴診では第3肋間胸骨左縁にLevineI~II度の駆出性収縮期雑音を聴取し,P
2は著明に充進していた.
胸部レントゲン写真では,心胸郭比57%で,左第1,第4弓は突出し,肺血管陰影は左右とも増強していた.心電図では,両室肥大,右房肥大の所見を認め,肺シンチグラムでは右肺は全て陰影欠損を示した.右心カテにて主肺動脈圧は111/70mmHgと高値を示し,動脈管開存も確認した.逆行性大動脈造影で右肺動脈は上行大動脈の後面より直接分岐しているのを認めた.本論文では本邦報告例を集計するとともに,本症の頻度,発生,臨宋症状などについて,若干の文献的考察を行った.
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