心臓
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9 巻, 5 号
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  • 河野 剛, 大迫 文磨, 池田 文武, 井村 裕夫, 遠藤 治郎, 新保 慎一郎, 南野 正隆
    1977 年 9 巻 5 号 p. 367-375
    発行日: 1977年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 戸田 仁, 渡部 良夫
    1977 年 9 巻 5 号 p. 376-383
    発行日: 1977年
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    新しい抗不整脈剤etafenone hydrochlorideの電気生理学的作用を,組織浴灌流のウサギまたはイヌ心筋標本ならびにウサギ摘出灌流心で検討した.使用濃度は一部実験を除き0.5~10.0mg/lであった.
    本剤は活動電位波形に影響しない濃度で洞結節・房室接合部およびPurkinje細胞の自動能を抑制する.心房・心室筋の活動電位持続時間と全不応期は延長,活動電位立ち上がり速度は低下し,伝導時間は延長した.高濃度では静止膜電位が減少,脱分極は不完全となる.心房筋は心室・Purkinje細胞に比して感受性が高い.定頻度刺激下のHis東電位直接記録で,本剤は心房内・房室結節内伝導を遅延させ,His-Purkinjeおよび心室内伝導時間も延長させた.洞調律時には房室伝導抑制は著明でなかった、以上は本剤の異所自動充進による不整脈や洞頻脈,リエソトリー性上室頻拍などに対する有効性を示唆するものと思われる.
  • 井村 哲也
    1977 年 9 巻 5 号 p. 384-392
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    房室結節内伝導路が,機能上数本の伝導路に分かれうることは,微小電極法などにより確かめられている.このような現象を臨床家の立場よりとらえんとすると,もっばら,ある種の頻拍症,Atrialecho, Ventricular echoなどの,ごく限られた状態の出現をもってのみ行いうるのが現状である.
    著者は,洞調律心房波に電気刺激で作った心房波を接近させ,房室結節内伝導に関する不均等な状態を強調し,この状態の下で,さらに第2の興奮波を通過させれば,その不均等な性格が,より明瞭に,その伝導に現れるであろうことを期待し,雑犬21頭を用い実験を行った.そして,房室結節内で伝導が杜絶すると,次の伝導が容易となる事実を見出すとともに,この現象がWenckebach周期に現れていると考えられたので報告する.
  • 中村 憲司, 長井 靖夫, 小松 行雄, 足立 文子, 近藤 瑞香, 渋谷 実, 広沢 弘七郎
    1977 年 9 巻 5 号 p. 393-399
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Discrete Subaortic Stenosis(membranous type)2症例のUCGを手術前後に記録し比較検討を加えた.
    1)大動脈弁は収縮早期半閉鎖,半閉鎖以後収縮末期までの弁離開の減少,粗い大動脈弁振動の異常運動所見を示した.
    2)弁下狭窄物由来と考えられる異常エコーを記録した.1例は細い異常エコーが心室中隔側,僧帽弁輪側の両側でみられ,心室中隔の動きと同期して平行運動を示した.他の1例は大動脈弁と同じ深さにおいて多重エコーが認められた.
    3)弁下狭窄物の部分切除後に,大動脈弁異常運動の改善,消失が認められた.また左室流出路の異常エコーも一部消失した.
    4)大動脈弁収縮早期半閉鎖,弁振動などの異常運動所見は多くの疾患でみられるため,ビーム方向をかえて詳細に左室流出路を検索し,弁下狭窄物の異常エコーを捉えることがDSSの診断にさいして重要である.
  • 龍野 勝彦, 今野 草二, 石井 潔, 今井 康晴, 橋本 明政
    1977 年 9 巻 5 号 p. 400-410
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    過去18年間に開心術を行った166例のVSD+AIの手術成績と術後1年以上の遠隔成績をVSD閉鎖のみ,大動脈弁形成術,大動脈弁置換術の術式別に調べ,本症の手術適応を検討した.
    VSD閉鎖のみを行った86例の術後遠隔期のAIは術前のAIの程度と密接に関係し,AIが軽症であるほど遠隔期AIは改善する傾向が見られた.大動脈弁形成術を行った40例では下垂した大動脈弁の両側を吊り上げ,VSDを直接縫合した症例のAI改善率がもっともよかった.大動脈弁置換を行った37例では死亡率,術後合併症率が最も高く,まったく合併症のなかった症例は術後年数が3年以内の8例のみで,これらの症例の多くは人工弁専門外来で厳密な経過観察を受けていた.遠隔成績からいうと,本症の手術適応は軽症例はVSD閉鎖のみ,中等症以上は大動脈弁形成手術を第一選択として,大動脈弁置換術はもはや大動脈弁が修復不可能な症例に行うべきである.
  • MI合併例とその対策を中心として
    弓削 一郎, 今井 康晴, 橋本 明政, 林 久恵, 工藤 龍彦, 岡村 健二
    1977 年 9 巻 5 号 p. 411-416
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心内膜床欠損症に見られる僧帽弁亀裂をいかに処置すべきか長い間論争がくりかえされてきた.今回は不完全型ECD55例の最長10年におよぶ遠隔成績から,現在われわれの採用している手術方針に再検討を行った.その結果MI軽症例においては,僧帽弁亀裂は原則として縫合すべきであることを再確認した.MI重症例に対しては生体弁による弁置換が有効であった.心膜パヅチの僧帽弁亀裂への使用方法には再検討の必要があると考えられた.またMIが比較的軽い症例でもNYHA臨床度・CTR,RVEDPが悪化している場合には,術後残存MIのため症状悪化をきたしやすいことを認めた.
  • 馬渕 宏, 多々見 良三, 上田 良成, 上田 幸生, 亀谷 富夫, 羽場 利博, 小泉 順二, 伊藤 清吾, 太田 正之, 宮元 進, 元 ...
    1977 年 9 巻 5 号 p. 417-422
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    家族性高コレステロール癒症(FHC)は,腱黄色腫と著明な動脈硬化を伴う疾患である,われわれは,本症の腱黄色腫の程度をアキレス(「ア」)腱のX線撮影で定量し,FHCの虚血性心疾患(IHD)の進展度を判定する指標になりうるか否かについて検討した.対象はFHC41例(平均年齢40歳)で,IHDの判定はWHOの診断基準に従った.
    1)FHCにおけるIHDの頻度は41.5%であった.2)IHDを有するFHCは正常心電図群より有意に高齢であった.3)IHDは30歳頃より発現し,年齢とともに頻度は高くなっており,一般人の約10倍であった.4)FHCにおいてIHDの有無と血清コレステロール,トリグリセライド値とは無関係であった.5)高血圧を伴うFHCでは,IHDの頻度は有意に高かった.6)IHDを伴う群の「ア」腱(13.5±0.7mm)は,IHDのない群の「ア」腱(11.3±O.8mm)より有意に肥厚していた.
    以上より,FHCにおいて「ア」腱厚はIHDの進展度を表わす指標になりうると考えられた.
  • 横田 旻, 鈴木 久美子, 杉江 三郎, 田辺 達三, 川上 敏晃, 田村 正秀, 笹 尚, 安田 慶秀, 松倉 裕美, 明神 一宏, 松山 ...
    1977 年 9 巻 5 号 p. 423-429
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    56歳男子の中間型症例で,心室粗.細動を主とする難治性不整脈が頻発した.抗不整脈剤電気的除細動によっても不整脈のコソトロールは難しく.ST上昇も出現してきたため,手術を前提に,撰択的冠動脈造影を施行した.右冠動脈優位で,その起始部から4.5cm末梢に,限局性の90%狭窄があり,末梢はgood run offであった.左は回旋枝起始部に50%狭窄があった.不整脈は強力な内科療法で貿ソトロール不能であり,二枝病変のため手術適応ありと判断し,右冠動脈狭窄部末楕へ,緊急にA-Cbypassを施行した.術後は洞調律で,抗不整脈剤も不要であった.虚血性心疾患に伴う難治性頻拍性不整脈について考察し,強力な通常の不整脈治療でコントロールしえない場合,根治的治療の利点を有する外科療法を考慮すべきことを強調した.具体的に病型による術式撰択の方針についても言及した.
  • false inhibitionを呈した1症例と実験的検討
    藤原 秀臣, 谷口 興一, 新富 芳明, 丹羽 明博, 飯泉 智弘, 宮原 康弘, 武内 重五郎, 高丘 忠道, 田渕 耕平
    1977 年 9 巻 5 号 p. 430-435
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Demand pacemakerのsensing機構に関連する合併症に注目し,falsely triggered pacingについてすでに報告した,心室抑制型demand pacemakerにおいてfase signalが感知された場合,escape intervalが延長し,false inhibitionが発現する.今回,Medtronic 5942の心筋電極植込み患者で庵極の不完全離断により立位の場合のみに発生するfalse inhibitionを経験し,さらにモデル実験で同現象を再現し得た.その発生機序としては電極の異常によりpaclng回路内の時定数が変化し,pacing impulseのafterpotentialおよびそのdV/dtが変り,あるレベルに達するとそれがfalse signlとなって感知される可能性が考えられる.
  • 浜田 希臣, 元田 憲, 舟津 敏朗, 石瀬 昌三, 川崎 英, 森 清男, 斎木 茂樹, 追分 久憲, 中山 章, 金谷 法忍, 井上 徹 ...
    1977 年 9 巻 5 号 p. 436-440
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠動脈瘤,冠拡張症(Ectasia)の生前報告例はきわめて少ない.今回,家族性高コレステロール血症を有する38歳の男子にcoronary cineangiographyを実施し,三主幹冠動脈の著明な拡大を認めた.臨床的には他の報告例と同様,“Atypical”coronary lnsufficiencyが特徴的であり,閉塞性冠疾患と多少趣を異にする,また本症は心筋梗塞を高率に合併し,これによる突然死の頻度が高く文献的にも予後はきわめて悪いとされるが,本例ではまだ心筋梗塞はみていない.病因論的には,本例は,その特異な冠動脈形態からみて川崎病の可能が強いが,木例では冠疾患のrisk factorを多く所有しており,二次的な硬化因子の関与も強いと考えられる.
  • 伊藤 明一, 篠田 晋, 長島 道夫, 古田 達次, 徳留 俊博, 鈴木 彦之, 丹野 三男
    1977 年 9 巻 5 号 p. 441-448
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    頻回の心電図記録および心房刺激でWPW症候群を示唆する心電図所見がまったく認められず,かつ発作性上室性頻拍(PSVT)を有する34歳男子が,電気生理学的に検索された.このPSVTは,PSVT出現時の心房興奮が左房において最も早期にみられたことより,正常房室伝導路を正伝導し,左房に心房端を有するKent束を介して逆伝導する興奮旋回路を有することが明らかにされ,潜在性WPW症候群と診断された.PSVTの心竜図所見がみられるとき種々の機序が考えられるが,木症候群の可能性を常に考慮すべきであり,その診断に左房などの心房の多部位での電位を同時記録することが有用である.
  • 小林 晴夫, 中村 常太郎, 相楽 恒俊, 松本 博雄, 瀬崎 登志彰, 勝田 貞夫, 遠藤 毅, 加部 恒雄, 斉藤 学
    1977 年 9 巻 5 号 p. 449-456
    発行日: 1977/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は1歳の時心血管造影を行い,ファロー氏四徴症または総動脈幹症と診断されていた.その後約7年にわたり経過観察をしていたが,チアノーゼと運動障害が著明になったので根治手術を予定して,再度心血管造影を行い,肺動脈閉鎖,心室逆位,VSD,PDAならび大動脈が解剖学的右室から起始していることを認めた.この症例に対して,解剖学的左室と肺動脈の間に直径20mmのHancock Model 100の弁つきgraftを使川して肺動脈形成術を行った.完全A-Vブロックの発生をきたしたが,一応満足すべき結果をおさめた.術後3週の心内圧測定で静脈側心、室圧76mmHgの時,左肺動脈圧38mmHgであり,圧較差が吻合部で発生していることを知った.術後1ヵ月に恒久的ペースメーカーの植込みを行い,術後6ヵ月の現在,ほぼ健康な状態と考えられる.
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