房室結節内伝導路が,機能上数本の伝導路に分かれうることは,微小電極法などにより確かめられている.このような現象を臨床家の立場よりとらえんとすると,もっばら,ある種の頻拍症,Atrialecho, Ventricular echoなどの,ごく限られた状態の出現をもってのみ行いうるのが現状である.
著者は,洞調律心房波に電気刺激で作った心房波を接近させ,房室結節内伝導に関する不均等な状態を強調し,この状態の下で,さらに第2の興奮波を通過させれば,その不均等な性格が,より明瞭に,その伝導に現れるであろうことを期待し,雑犬21頭を用い実験を行った.そして,房室結節内で伝導が杜絶すると,次の伝導が容易となる事実を見出すとともに,この現象がWenckebach周期に現れていると考えられたので報告する.
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