心臓
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9 巻, 9 号
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  • 門間 和夫, 安藤 正彦, 高尾 篤良, 今井 康晴, 本多 正知
    1977 年 9 巻 9 号 p. 787-796
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心室中隔欠損を伴う大動脈縮窄症36例の臨床経過と血行動態,剖検例については縮窄部の形態を検索した.36例中28例(78%)は乳児期前半に強い心不全を生じ,12例は自然死亡し,17例に手術を行つた.乳児心不全例では著しい肺高血圧とVSDよりの大量の左右短絡があり,PDA合併例では90%以上でPDAを通して右一左短絡が存在した.縮窄を残してVSD閉鎖・PDA結紮の手術を行った3例では,手術後上下肢の血圧差が増大した.7例に乳児期前半に一期的心内修復手術を行い,5例の長期生存例をえた.PDAが比較的太い5例は1歳以上まで生存したが,高度の肺高血圧が持続し,早期に肺血管閉塞が進行した.VSDの小さい3例では肺高血圧が1隆く,心不全なく比較的軽症であった.このような軽症例は手術を急く必要はないが,COA+VSDの残り90%は乳児期早期に確実に診断し,COAとVSDの両方に対して手術を行うことが望ましい.
  • 比江嶋 一昌, 佐竹 修太郎, 坂本 保己, 鈴木 文男, 佐野 豊美
    1977 年 9 巻 9 号 p. 797-804
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心室刺激によるリエントリーの発生様式を,extrasti-mulus法により検討した.対象の42例中,心室の早期興奮を示さぬものが28例(concealed bypass 例を除く)あり,そのうち20例(71.4%)に房室伝導を認めた.心室刺激により次のタイプのリエントリーを認めた.LHis-Purkinje系を経るリエントリー(10例),2.房室結節内におけるリエソトリー(2例),3.心室内におけるリエントリー(11例)および4.バイパスを経るリエントリー(6例) .なお,同一患者で,2つの異なるバイパスによるリエントリーがみられた.リエントリーのechozoneについては,有意差がなく,ただバイパス例のechozoneが他と比べ,内外へ若干広かった.心室筋の不応期とeche zoneのinner limitとの一致率は.His-Purkinje系および心室内におけるリエントリー群できわめて高かった.心室内のリエントリーと"vulnerable period"における早期反応との異同について考察した.
  • 千田 晴之, 冨田 良照, 宮本 亮一, 鈴木 剛, 馬場 瑛逸, 荒 宏樹, 細井 靖夫, 岡村 宏
    1977 年 9 巻 9 号 p. 805-812
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    NYHAlll°ないしlV°の重症弁膜症患者の人工弁置換手術にさいし,1)2mg/kgのmorphineに50%N20を併用した麻酔法.2)直腸温26°C前後までの灌流冷却により,低酸素流量,低送血量を可能とした体外循環法.3)低温冠灌流,心表面冷却法(topical cooling)薬物による化学的心惇止(chemical arrest)を併用した心筋保護法などの術中管理法をこころみ,安定した術中経過と,良好な手術成績をおさめた.これらに対する諸家の報告は数多くみられ,その報告をもとに,著老らの方法を検討した.
  • 最近多発した若年者の脚気心症例について
    西 征二, 有馬 寛雄, 福田 正臣, 栗山 勝, 石神 稔郎, 有馬 新一, 川平 和美, 真田 竹生, 三原 謙郎, 外山 芳史, 田中 ...
    1977 年 9 巻 9 号 p. 813-825
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    最近発症した若年者脚気心21例の臨床的観察の結果を報告した.主要な点は以下のごとくである.すなわち,(1)発症は夏季に多い,(2)明らかな心不全症状は47%にみられた,(3)心胸廓比50%以上の心拡大は76%にみられた,(4)心拡大の有無にかかわらず,サイアミン投与により心胸廓比は全例において短時日のうちに縮小した,(5)脚気心の再発が1例にみられた,(6)衝心脚気の1例の組織学的検査で不可逆性と考えられる心筋病変の存在が確認された.若年者に原因不明の心不全,心拡大をみたときには,脚気心を念頭におき早期に診断,治療を行う必要があることを示した.
  • 高松 哲郎, 岡本 力, 石原 義紀, 小田部 栄助
    1977 年 9 巻 9 号 p. 826-831
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    肺血流が動脈管に依存しているチアノーゼ性心奇形乳児4例(心室中隔欠損を伴わない肺動脈弁閉鎖症2例,修正大血管転位症1例,無脾症1例)にプロスタグランディンE1を使用し,動脈管拡張による心雑音増大とともに動脈血酸素分圧上界,チアノーゼ軽減,一般状態改善を認めた.このような心奇形を有する乳児の姑息的方法としてPGE1は使用しうることを経験した.動脈管拡張作用以外にプロスタグランディンE1王使用中に発熱,頻脈,多呼吸,副E低下,下痢,削脈炎を認めたが,使用量・使用期間による差とともに個人差もあった.なかでも使用量は重要な因子であって,これまで用いられた0.1μg/kg/minより少ないプロスタグランディンE1持続点滴静注量でも有効であった.減量によって動脈管拡張作用以外の作用が消失ないし軽減した症例が多く,各症例の至適量を用いれぽ臨床的効果があると考えた.
  • 特に心房横切開法および
    近江 三喜男, 毛利 平, 石沢 栄次, 鈴木 康之, 羽根田 潔, 垣畑 秀光, 堀内 藤吾, 福田 守邦, 臼井 恵二
    1977 年 9 巻 9 号 p. 832-838
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    完全大血管転移症1群は乳児期早期に死亡する重篤な疾患である.われわれは,3ヶ月の本症の乳児に対し,再度のballoon atrial septostomy を施行したが無効であったため緊急に心房内血流転換手術を行った.右心耳から右上下肺静脈の間に及ぶ心房横切開法を用い,より大きな心房中隔欠損を作り.premolded Dacron baffleを縫着した. 心房切開創は右心耳と右上下肺静脈間の切開端を合わせるように直接縫合し,肺静脈路閉塞の可能性の減少を計った.術直後一遡性にporousなbaffleを介して大量の心房間動静脈血混合を生じたが,安定した血行動態であり術後2ヵ月で元気で退院した.
  • 川田 志明, 小出司 郎策, 山崎 史朗, 正津 晃, 相沢 忠範
    1977 年 9 巻 9 号 p. 839-846
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    頸動脈洞反射充進による失神発作は,中・高年者にときにみられ,潜在性の発作をもつ人が不意に外傷をうけたり,急死の原因になることがあげられている.意識消失発を繰返す49歳男性で,心電図所見から伝導障害によるAdams-Stokes発作と考えてペースメーカー植込み術を行った.ディマンド・ペースメーカーは完全に作動していたが2年6ヵ月後にふたたび失神が起き,頸動脈洞マッサージによって脈拍・血圧は不変のまま同様の発作が誘発され,この間の脳波にも異常を認めたことから頸動脈洞性失神のcerebraltypeと診断した.右頸動脈洞神経切除術を行い,失神の誘発,自然発作もなくなり順調に経過している1例を報告し,若干の文献的考察を加えた.
  • 田林 晄一, 加畑 治, 横山 温, 羽根田 潔, 佐治 公明, 高橋 和夫, 堀内 藤吾
    1977 年 9 巻 9 号 p. 847-851
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    われわれは,これまで34例にSwan-Ga麗カテーテルを使用したが,このカテーテルにに起因すると考えられる肺塞栓が肺梗塞から気管支痩形成まで進展した1例を経験した.本例における肺塞栓,肺梗塞の原因としては,カテーテルが懊入状態にあったこと,留置時間が長かったこと,心拍出量が少なかったことが考えられる.また,肺梗塞から気管支痩まで進展したのは長期間にわたる人工呼吸器による陽圧呼吸が関与していると思われる.このような合併症を予防するには,胸部X線写真によりカテーテル先端の位鷺を確認すること,カテーテ乃内のヘパリン加液持続注入,および全身的な抗凝固療法を行いつつ肺動脈圧を連続的に記録し,異常の早期発見につとめることが大切であろう.
  • 羽根田 潔, 香川 謙, 小泉 誠二, 仁田 新一, 本田 剛彦, 佐藤 清春, 垣畑 秀光, 田林 晄一, 毛利 平, 堀内 藤吾
    1977 年 9 巻 9 号 p. 852-856
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    孤立性右室低形成はきわめてまれな疾患であり,これまでに21例の報告をみるのみである.今回12歳の女子の1例に対し,ASD閉鎖術を施行し良好な結果を得ることができたので報告した.本症例の手術に先立ち,balloon catheterにてASD閉塞試験を行い,15分聞の血行動態の観察よりASD閉鎖術の安全性を確認したが,術後心不全症状の発現もなく良好な経過をたどった.ただし,術後30病日の心臓カテーテル検査では,右室容量は依然小さく,右房圧の上昇が認められ,今後長期間の経過観察が必要と思われた.本症に対する手術法はGlenn手術がよいといわれてきたが,右室の低形成の程度が軽度な症例では,ASD閉鎖術が可能と思われ,その適応の決定にはballoon cath-terによるASD閉塞試験が有用であると思われる.
  • 小山田 雍, 阪部 嶺夫, 斉藤 正敏, 二宮 淳一, 野口 慎吾, 川畑 勉
    1977 年 9 巻 9 号 p. 857-865
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Differential cyanosisを呈した2歳4ヵ月男子に心カテーテル,心血管造影を行い完全大血管転換,心室中隔、欠損,動脈管開存,僧帽弁狭窄などを合併したCeloria分類B型の大動脈弓遮断と診断し後に剖検により確認しiた症例を経験したので報告する.Cyanosisは,口唇右手指に認め,心音ではクリックと2音の充進を聴取した.胸部写真では心拡大,肺血流増加,狭小な心基部,卵型の心陰影を認めた.心電図では電気軸+120度,右室肥大を示し,右心カテーテルでは右室圧87mmHg,O2-step up叩なく,右室および左房で造影を行い完全大血管転1換を伴うCeloyiaB型大動脈弓遮断と診断した.剖検では室上稜が発達し,右室流出路狭窄を形成していた.1975年までの本邦例を集計し,若干の検討を加えて報告する.
  • ●冠動脈に狭窄性病変を認めた1例を中心にして
    松井 忍, 村上 暎二, 竹越 襄, 平丸 義武, 金 武雄, 前田 正博, 原 重樹, 村上 英徳, 北野 英一, 升谷 一宏, 嵯峨 孝 ...
    1977 年 9 巻 9 号 p. 866-871
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Pseudoxanthoma elasticum(PXE)の1例のおもに心血管系病変について若干の文献的考察を加え報告した.症例は60歳,女子.主訴は全身倦怠感ならびに心悸尤進である.50歳ごろより高血圧症を指摘されていた.頸部ならびに腋下に黄色皮疹を,眼底にangioid streaksを認めた.心電図上心房細動あり.心音図にて僧帽弁開放音を認め,心エコー図所見とを併せ考えると僧帽弁に肥厚などの変化を有する可能性が示唆された.左室造影より左室壁の肥厚と駆出分画の低下が,大動脈造影より解離性大動脈瘤ならびに腎動脈の狭窄が認められた.選択的冠動脈造影にて左右冠動脈ともに有意な狭窄像を認めた.また,心内膜心筋生検法により得られた心筋組織内のsmall coronary arteryにおいて動脈壁内弾性板の顎粒状断裂および内膜肥厚が認められ,PXEの血管病変として矛盾しないと考えられた.この所見よりPXEがsmall coronary artery diseaseの1つの原因となりうる可能性が示唆された.
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