植物環境工学
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18 巻, 1 号
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論文
  • 栗田 充隆, 近藤 直
    2006 年 18 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル フリー
    台湾で生産されたクチクラ層の厚いレンブ果実を対象とした自動選別システムにおいて, 画像処理を用いた着色計測の実験を行った結果, 以下の知見が得られた.
    1) レンブのような光沢のある果実の着色計測に対しては, 間接照射方式の照明を用いるよりも, ハレーションを生じさせない偏光フィルタを利用した直接照射方式の照明が有効であること.
    2) レンブの着色度計測に関しては, DL環境下において, 簡易色度もしくはHSI変換による色表現を用いれば, 等級判定を正確に実現できること.
  • 栗田 充隆, 近藤 直
    2006 年 18 巻 1 号 p. 18-27
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル フリー
    レンブ, バレイショ, トマトの自動選別システムにおいて, 画像処理を用いて, カメラ数や体積計算方法を検討し, 質量推定実験を行った結果, 以下の知見が得られた.
    1) レンブに関しては, 上横2カメラの画像から体積を円錐モデルで近似し, 比重パラメータを乗じた方法が最も結果がよく, 誤差平均9.2 gの計測精度であった.
    2) バレイショに関しては, 直交する3方向に配置した3カメラの投影面積から体積を近似し, 比重パラメータを乗じる方法が最も結果がよく, 誤差平均7.1 gの計測精度であった.
    3) トマトに関しては, 直交する3方向に配置した3カメラの投影面積から体積を近似し, 比重パラメータを乗じる方法で誤差平均7.1 gと十分な精度が得られた. 等級項目の計測に必要とされる6カメラを用いた場合には, 誤差平均6.3 gの計測精度を得た.
  • 洪 寧基, 樹野 淳也, 中村 貴彦, 田島 淳, 玉木 浩二
    2006 年 18 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 塩類移動がある飽和土壌の条件下において, 開発した電気伝導度センサの経時測定の可能性を検証することである. 異なる塩濃度で成層化した飽和土壌の環境と, 蒸発に伴って塩が土壌中に集積する過程を模した環境の土壌において, 開発したセンサによる測定値と土壌溶液の電気伝導度を比較した. その結果, 開発したセンサの測定値と土壌溶液の測定値はほぼ同様の傾向を示していることが確認できた. これらの結果から, 塩類集積が進行している土壌において, 開発したセンサを用いて継続的に計測を行うことにより, 土壌の塩類化の状況やその変化の継続的把握に適用できる可能性が示唆されたと言える.
  • 前田 智雄, 角田 英男, 大島 千周, 前川 健二郎, 鈴木 卓, 大澤 勝次
    2006 年 18 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル フリー
    The objective of this study is to evaluate the effects of additional light supply on the polyphenol contents, flavonol content and the antioxidative capacity of broccoli and red cabbage sprouts in the commercial scale. Broccoli and red cabbage were grown for four and five days respectively under the various length of light supplement (30-100 μmol/m2·sec) in the indoor sprout production system equipped with the newly developed additional light supplying device. Both polyphenol contents and kaemfperol content significantly increased in accordance with the length of light supplement. DPPH radical scavenging activity also significantly increased. Meanwhile, hypocotyl lengths were significantly shortened by more than two days light supplement. These results suggest that light supplements bring about the increases of polyphenol contents including flavonol, and as a consequence enhance the antioxidative capacity in the broccoli and red cabbage sprouts. These findings indicate that the additional light supplying device we developed is effective in enriching the polyphenol contents and antioxidative capacity of Brassica sprouts grown in an indoor production system on the commercial scale.
  • 永田 雅輝, 小林 太一, ジャスパ タラダ, 豊田 寛, 後藤 有美子
    2006 年 18 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル フリー
    ハイパースペクトルイメージングを用いて, 有色サツマイモ (アヤムラサキ, ムラサキマサリ) のアントシアニン色素の評価を行った.
    (1) 分光画像の取得は, 高感度冷却CCDカメラと液晶チューナブルフィルターを用いて450~600 nmの可視光領域を1 nm間隔で分光画像を取得した. 画像処理は分光画像を画素ごとに輝度値から吸光度値に変換し, 平均吸光度二次微分値を求めてスペクトル作成を行った.
    (2) アントシアニンの抽出液 (50%酢酸に24時間侵漬) の吸光度二次微分スペクトルから490~530 nmの範囲で最も吸収の強い波長をアントシアニン色素の吸収波長として選択した.
    (3) アントシアニン色素の検量線は, 分光画像から求めた平均吸光度の二次微分値を説明変数, 化学的抽出法で求めた波長の吸光度値を目的変数として重回帰分析から求めた.
    (4) 検量線から画素ごとの吸光度を求め, その値をカラーマッピングしてアントシアニン色素分布の可視化画像を作成した.
    (5) アヤムラサキでは, 523 nmの分光画像と525 nmの抽出液に強い相関が認められた. 523 nmを第一波長として5波長で検量線を作成した結果, 重相関係数R=0.921,標準誤差SEP=0.052となり, 予測精度は良好であった.
    (6) ムラサキマサリでは, 523 nmの分光画像と526 nmの抽出液に強い相関が認められた. 523 nmを第一波長として5波長で検量線を作成した結果, 重相関係数R=0.830, 標準誤差SEP=0.017であり, 予測精度は良好であった.
    (7) 選択された波長域で検量線を適用し, アントシアニン色素分布の可視化画像と分布割合のグラフを作成し, 個体間の評価を試みた結果, ハイパースペクトルイメージングの有用性を確認した.
  • 小林 太一, 永田 雅輝, 後藤 有美子, 豊田 寛, ジャスパ タラダ
    2006 年 18 巻 1 号 p. 50-57
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル フリー
    (1) 品質評価・検査システムの開発研究の一環として, ハイパースペクトルイメージングによるイチゴのアントシアニン色素の評価を行った.
    (2) 分光画像の取得は, 高感度冷却CCDカメラと液晶チューナブルフィルターを用いて450-600 nmの可視光領域を1 nm間隔で分光画像を取得した. 画像処理は分光画像を画素ごとに輝度値から吸光度値に変換し, 平均吸光度二次微分値を求めてスペクトルの作成を行った.
    (3) アントシアニン色素は, 抽出液 (50%酢酸に20時間以上浸漬) の吸光度二次微分スペクトルから490~530 nmの範囲で最も吸収の強い波長を選んだ.
    (4) アントシアニン色素の検量線は, 分光画像から求めた平均吸光度の二次微分値を目的変数, 化学的抽出法で最も吸光度の強い波長の吸光度値を目的変数として重回帰分析から求めた.
    (5) 検量線から画素ごとの吸光度を求め, その値をカラーマッピングしてアントシアニン色素分布の可視化画像を作成した.
    (6) 分光画像では508 nmと抽出液では504 nmにおいてアントシアニン色素を表す波長が強く認められたので, 508nm を第一波長に検量線を作成した. 5 波長での実測値と予測値との間には,重相関係数R=0.932, 標準誤差SEP=0.213であり, 予測精度は良好であった.
    (7) 選択された波長域で検量線を適用し, アントシアニン色素分布の可視化画像と分布割合のグラフを作成し,個体間の評価を試み, ハイパースペクトルイメージングの有用性を確認した.
    (8) 撮影距離による影響は, 設定値から20 mm程度の差ではアントシアニン含有の予測精度になんら支障はなかった.
  • 稲葉 善太郎, 加藤 智恵美
    2006 年 18 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル フリー
    キンギョソウを7月下旬に播種し, 9月上旬に摘心する作型において, 育苗方法と採花位置の違いが開花, 切り花収量および切り花品質に及ぼす影響を調査した. ‘メリーランドピンク’と‘ライトピンクバタフライII’を供試して, 無仮植育苗と慣行育苗に, それぞれ第2節分枝の採花位置を分枝位置から1節, 2節および3節の3処理を組み合わせて検討した. 無仮植育苗により第2節分枝の到花日数が短縮するとともに採花本数が増加した. 第2節分枝の採花節位により, 第2節分枝の切り花長, 第1節以下分枝の到花日数と採花本数, 採花後分枝の到花日数と採花本数などが影響を受けることが明らかとなった. 本試験の結果からみてそれぞれの品種の採花位置として,‘メリーランドピンク’では3節, ‘ライトピンクバタフライII’では2節が適することが示唆された.
  • 馬 稚〓, 清水 浩, 森泉 昭治, 宮田 真知子, 道園 美弦, 田澤 信二
    2006 年 18 巻 1 号 p. 65-71
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/17
    ジャーナル フリー
    本研究では, キク (Dendranthema × grandiflorum cv. “Reagan”) を対象として, 光環境の変化が節間伸長量に与える影響について調べた結果, 以下の知見を得た.
    1. 一日あたりの節間伸長量を100%とし, 明期, 暗期, 光中断期のそれぞれの時間帯での成長量を時間当たりに変換した相対伸長速度(%/hour)という概念を導入して, 一日のプロフィールを調べたところ, 暗期は約6%/hour, 明期および光中断期は約3%/hourという値となり, 供試植物では暗期に伸長成長が促進されることが明らかとなった.
    2. 暗期に節間伸長が促進されるという傾向は, 20%L (節間成長が停止した時点を100%Lとした指標) ステージを除いたほとんどのステージにおいて, この傾向が変わらないことが判明した.
    3. これらの知見より, 光中断期(22:20~2:20)とそれに続く暗期(2:20~6:20)の長さの調節による光環境制御によって, 伸長成長量をコントロールできる可能性が示唆された.
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