植物環境工学
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18 巻, 3 号
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論文
  • 梅田 知季, 宮崎 肇, 山本 愛, 彌冨 道男, 山口 雅篤, 松添 直隆
    2006 年 18 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/10/05
    ジャーナル フリー
    ナス(Solanum melongena L.)果皮の色素細胞の分布およびアントシアニンの存在様式と果実の光環境との関係を調べるために,暗黒処理を施した果実を顕微鏡で観察した.ナス果実の着色と光環境との関係は品種・系統間で異なり,果実に暗黒処理を行うと全く着色しない光感受型,着色への影響が少ない非光感受型,着色は低下するがある程度の着色がみられる中間型の3タイプに分類できた.光感受型の品種では,対照区(無被覆)で果皮に色素細胞がみられたが,暗黒区では全くみられなかった.非光感受型の品種では対照区,暗黒区とも色素細胞がみられた.中間型の品種では,対照区で色素細胞がみられたが,暗黒区では色素細胞と全く着色がみられない細胞が混在していた.このことから,光感受型では全ての細胞,中間型では一部の細胞において,アントシアニン生成経路に光が必要であることが明らかになった.従って,ナスの果色は,細胞内のアントシアニン量と果皮組織の色素細胞の分布(密度)量に影響すると考えられた.
    果皮の色素細胞中のアントシアニン様液胞内含有物(AVIs)は主要色素がナスニン(delphinidin 3 -p-coumaroylrhamnosylglucoside-5-glucoside)である品種・系統に特異的に観察された.また,AVIsの存在は果色に大きく影響することが示された.
  • 佐藤 員暢, 山下 淳, 松浦 英樹
    2006 年 18 巻 3 号 p. 200-205
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/10/05
    ジャーナル フリー
    先に,養液栽培施設の中を走行する4WS 採用の無人走行車を開発したが,これと同種の車両開発に当たっては,容易な走行制御プログラムの開発手段が必要と考え,本報では二輪モデルによる走行シミュレーション・プログラムを開発し,その検証のためのシミュレーションを行うと共に実車との比較検討を行った.得られた結果の大要は次のようである.
    1) プログラムには,ステアリング操作を行わない領域,すなわち実車のステアリングの遊びやステアリング剛性に起因する不感帯を設ける必要性が明らかになった.
    2) 実車走行の結果,ステアリングの遊びとステアリング剛性が,むだ時間要素として現れるのでプログラムにもこの要素を考慮すべきであることが分かった.
    3) ステアリング速度,ステアリング制御周期,ステアリング制御量の変化に対する中央走行ラインからのずれ量が明らかになった.
    4) センサ位置,走行速度等の車両諸元を用いて,本走行シミュレーションを行うことは,同種の無人走行車開発における制御プログラムの作成に有効であることが分かった.
  • 河野 俊夫, 北野 雅治, 松岡 孝尚, 石川 勝美, 疋田 慶夫
    2006 年 18 巻 3 号 p. 206-211
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/10/05
    ジャーナル フリー
    乾燥中のシイタケの内部状態,特に含水率状態をモニタリングする目的で,シイタケのかさ部の電気インピーダンスを,周波数42 Hz~5 MHz,含水率133.1% d.b.~1671% d.b.の範囲について測定した.
    Cole-Coleプロットの結果,農産物に特徴的なプロット上の円弧が乾燥の進行に伴い消失することがわかった.
    電気インピーダンス対数値の含水率依存関係は,境界点で二つの部分,すなわち直線部分と指数関数の部分とに分割することができることがわかった.測定周波数42 Hzに対する含水率推定式を提案し,パラメーターを非線形の当てはめにより求めた.その結果,提案した式は590.2% d.b.以上の含水率域で10.0%,それ以下の含水率で17.4%の相対誤差を持つことがわかった.
  • 栗田 充隆, 近藤 直, 二宮 和則
    2006 年 18 巻 3 号 p. 212-224
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/10/05
    ジャーナル フリー
    1.トマトを対象に,ガク側を下にローラーピン搬送装置に供給し,反転実験を行った結果,ガク認識は確実に行うことが可能で,約80%の成功率を得た.これより,本装置は全面計測を行うための機構として利用できると考えられた.ただし,小階級の果実は大階級に比べて,その形状より成功率は低くなった.
    2.傷害をもつトマトを対象に,6台のカラーTVカメラならびに果実の反転機構を有する選別システムにおいて,傷害の等級判定実験を行った結果,人間の選別作業で得られる等級にほぼ近い判定が実現できた.実際の運用に向けては,反転角度のばらつきによってガク面の傷害計測結果が変動することより,反転精度およびガク面の傷害計測処理精度の向上が望まれた.
短報
  • 西村 徹郎, Sayed M. A. Zobayed, 古在 豊樹, 後藤 英司
    2006 年 18 巻 3 号 p. 225-229
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/10/05
    ジャーナル フリー
    St. John's wort (Hypericum perforatum L.) is a medicinal plant widely used for treatments of neurological disorders, depression, etc. Recently, studies have reported the production of St. John's wort plants under controlled environments with artificial light a promising technique to standardize and enhance the growth and medicinal contents. The present study investigated the effect of the light quality of fluorescent lamps on the growth of St. John's wort plants. The seedlings with 6-8 unfolded leaves were grown for 28 days under blue and red lamps in growth chambers under controlled environments. Dry weight of plants grown under the red lamps was greater compared with that of plants grown under the blue lamps.The CO2 absorption rate of plants grown under the red lamps was similar to that under the blue lamps. Absorption of red light (600-700 nm) by leaves was lower than that of blue light (400-500 nm). Leaf area, number of unfolded leaves, number of branches from the main stem, and number of nodes of plants grown under the red lamps were greater than those of plants grown under the blue lamps. These findings demonstrated that the difference in dry weight of plants grown under these conditions was not due to the spectral characteristic or photosynthetic ability of leaves but due to the amount of light actually absorbed by the leaves. In conclusion, controlling the light quality can be an important technique for enhancing production of St. John's wort plants.
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