高知大学農学部における, 20年間の春期における気温の推移とカキ主要 8品種の萌芽, 開花および満開期との関係を調査し, 地球温暖化との関連を検討した. 1985年から2004年において, 3, 4, 5月の平均気温はいずれも年度の推移と有意な関係にあり, 1年単位では0.084, 0.108, 0.142°C上昇していた.カキ8品種の萌芽開始月日と開花ならびに満開月日はいずれも年度の推移と有意な関係にあり, 1年単位では8品種平均では, それぞれ, 0.45, 0.53および0.47日早くなっていた. 20年平均では, 萌芽開始月日は, ‘平核無’, ‘富有’および8品種平均において, それぞれ3月の21, 31および25日であり, 開花月日はそれぞれ5月の5, 14および9日であり, 満開月日は5月の10, 18および14日であった. 開花および満開月日は8品種において, いずれも萌芽月日と高い正の相関関係があり, 萌芽期が早まると開花と満開期も早まる関係が認められた. 20年間のカキ8品種についての萌芽月日と平均気温との間の相関係数(r)は2月と3月でそれぞれ有意であり, 2月と3月の気温が高まると萌芽月日が早まることがうかがえた. 20年間のカキ8品種についての開花および満開月日と2, 3および4月の平均気温との間にはそれぞれ有意な負の相関関係があり, 特に, 4月の気温との相関係数は-0.88
***と-0.89
***と高かった.
以上の結果より, 年度の推移に伴うカキの萌芽, 開花および満開時期の早進化は地球温暖化による2~5月の気温の上昇と関連が深いと考えられた.
抄録全体を表示