植物環境工学
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24 巻, 3 号
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総説
論文
  • 森本 哲夫, ISLAM Md. Parvez
    2012 年 24 巻 3 号 p. 185-192
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2012/09/01
    ジャーナル フリー
    青果物の長期貯蔵を考えると, 冷凍貯蔵法が有効である. しかし, 植物細胞は硬い細胞壁があるので, 冷凍すると, 動物細胞より壊れやすいという問題がある. 本研究では, 簡易・安価な方法として, 通常の低温ストッカーを用い, 冷凍による青果物の細胞破壊を抑制するためアルミニウム材を有効に利用した急速冷凍, 40~50°Cのマイルドな熱ストレス処理, トレハロース処理の3つの方法による急速冷凍法を検討した. 冷凍時間は, スライストマトの場合, アルミニウム板の厚い方が素早く冷凍できた. また, 片側のみの接触では10分程度であったが, 両側から接触させると3~4分ほどに短くなり, 約2.5倍速く冷凍できた. 一方, 丸ごとのトマトに対しては, アルミニウム容器にトマトを収納しアルミニウム粒で埋没させることにより約20分での冷凍を可能にした. このように, アルミニウム材が急速冷凍に有効と分かった. 熱ストレス処理については, 気温45°C, 24時間の熱ストレス負荷をトマトに与えることで, 冷凍による細胞破壊や組織のクラックをある程度抑制できた. トレハロース処理については, トマトの果柄をトレハロース溶液に24時間以上漬けてトレハロースを吸収させ, その後冷凍させれば, 冷凍による組織のクラックを抑制できた. 以上より, 熱伝導性の高いアルミニウム材を有効利用した急速冷凍法と熱ストレス処理, トレハロース処理を適切に組み合わせた冷凍法が, 水分含量の多い青果物の冷凍に有効であり, 安価かつ簡易な急速冷凍法を確立する上で重要と考えられる.
  • 石井 雅久, 奥島 里美, 森山 英樹, 降幡 泰永
    2012 年 24 巻 3 号 p. 193-200
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2012/09/01
    ジャーナル フリー
    本報では, 循環扇を異なる配置条件で稼働したときの温室内の気流・気温分布を測定し, 循環扇の適正な設置・制御方法について検討した. 無植栽の温室において, 循環扇の送風軸上の気流速は, 吹き出し口から2 mの距離で6.04 m s-1あったが, 循環扇から遠ざかると急激に低下し, 22 mの距離では0.33 m s-1であった. また, トマトを生産する温室では, 循環扇から22 m離れると気流速は0.04 m s-1であった. 温室内の気流速は循環扇の稼働台数が増えるほど大きくなるが, トマトのように草丈の高い植物群落があると植物の茎葉や果実が気流の抵抗となり, 風下になるほど気流速が小さくなることがわかった. 一方, 1000 m2当たりの循環扇の稼働台数と温室内の平均気流速の関係は, 5台稼働時が0.24 m s-1, 10台稼働時が0.36 m s-1, 15台稼働が0.44 m s-1となった. したがって, 果菜類などの草丈の高い植物が温室内にある場合, 室内の気流速を0.3 m s-1以上で流動させるには, 1000 m2当たり10~15台の循環扇が必要である.
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