植物環境工学
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27 巻 , 2 号
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連載記事
論文
  • 南谷 健司, 石神 靖弘, 彦坂 晶子, 後藤 英司
    2015 年 27 巻 2 号 p. 61-67
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    明期終了時の短時間の光照射 (EOD光照射) の処理では, PSSがEOD-B区で0.56, EOD-R区で0.89およびEOD-FR区で0.13となった. PSSが最も低いEOD-FR区で茎伸長が促進され, 徒長した. 一方,第1花房着生葉位は試験区間で差がみられなかった. よって, EOD-FR処理によりトマトの避陰反応が誘導されることが示されたが, 花成は促進されなかった. 他方, 明期 (16 h) における遠赤色光量を調節した実験では, 第1花房着生葉位は試験区間で差がみられず, 低R/FR比の遠赤色光が含まれる全処理区で高R/FR比のFR0区と比べて茎伸長が促進され, 徒長した. よって, 明期 のPSSが0.72以下のFR50区、FR100区およびFR150区で避陰反応は誘導するため, 一次育苗で遠赤色光を付加する必要はないことが示唆された. 以上より, EOD-FR処理や低R/FRの条件では, 花成を促進することはなく, 茎伸長を促進するため,閉鎖型苗生産システムではこのような光環境制御は望ましくないと考えられた.
  • 村上 覚, 片井 秀幸, 山田 晋也, 種石 始弘
    2015 年 27 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツ‘レインボーレッド’由来の実生集団182個体において,4つの雌雄判別マーカー(SmX,SmY,SmY1,SmY2)を用いて雌雄判別を行なった.適合率をみると,最も精度が良好だったのはSmY1の95 %で,次いでSmYの77 %であった.SmXについては全く検出されなかった.これらのことから,‘レインボーレッド’を親とした交雑集団においては,SmY1でシグナルが検出された個体を雄と判断し淘汰することで,育種効率を高めることが可能であると考えられた.また,キウイフルーツおよびサルナシ26品種における雌雄判別マーカーの有無について調査した結果,いずれのマーカーも品種によっては検出されない場合もみられた.本研究での調査結果は,今後のキウイフルーツ育種を行う上での基礎的知見として活用できることが期待できた.
  • 水島 智史
    2015 年 27 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    ウワバミソウの珠芽を用いて,湛液水耕における培養液濃度と生育の関係を調査した.水耕には園試処方培養液を使用し,培養液濃度は低濃度区(0.25単位)および高濃度区(0.5単位)の2水準とした.移植直後はすべての試験区で0.25単位の培養液で水耕し,高濃度区では移植14日後に0.5単位とする試験区の培養液濃度を0.5単位に上昇させた.移植後の主茎長の生育は,移植42日後に低濃度区と比較して高濃度区で短くなる傾向が出始め,移植49日後以降では低濃度区と比較して高濃度区で有意に短くなった.移植後の節数の推移は,試験期間中低濃度区と高濃度区で有意な差は認められなかった.平均節間長の推移は,移植42日後では有意な差は認められないものの,低濃度区と比較して高濃度区で短くなる傾向が見られ,移植49日後以降では低濃度区と比較して高濃度区で有意に短くなった.試験終了時の移植64日後の調査では,主茎の下から3 cmの茎径,1株の地上部と地下部の新鮮重および総側枝長は,低濃度区と比較して高濃度区で有意に劣った.珠芽からの発生茎数および側枝数は,低濃度区と高濃度区で有意な差は認められなかった.また,0.13および0.25単位の培養液で水耕したところ,移植後の生育は両者ともほぼ同等であった.以上のことから,ウワバミソウを珠芽から水耕する場合,0.5単位では主茎や側枝の生育が抑制されたため,水耕に用いる培養液濃度は0.25単位以下が望ましいと考えられた.
  • 仙波 浩雅, 菊地 毅洋, 安西 昭裕
    2015 年 27 巻 2 号 p. 82-90
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    植物の茎に巻き付けて設置することにより茎の膨張・収縮の変化を計測できる簡易なセンサを試作し,その有用性について検討した.厚さ1 mmのゴムシートにひずみゲージを接着したダンベル状センサ試験片を製作し,引張・除荷試験によりセンサの形状やゴムのテンションがセンサ出力特性(ゴムの長さの変化率に対するセンサのひずみゲージ出力変化量の関係)に及ぼす影響を測定した.ゴムの長さ変化率に対するセンサ出力変化量の関係は,ゴムの伸長時(引張時)と回復時(除荷時)では挙動が異なりループ曲線を描いた.また,ゴムの伸び率が高いほどゴムの長さの変化率に対するセンサ出力変化量は大きくなった.ゴムの回復時においてゴムの長さや幅がセンサ出力特性に及ぼす影響を測定したところ,長さが20~50 mm(幅5 mmの場合),幅が5~10 mm(長さ40 mmの場合)でほぼ同等のセンサ出力特性を得た.ゴムの引張テンションを代表する値としてセンサ初期出力値(初期テンション)とすると,初期テンションが2000~6000 nfの範囲においては,初期テンションの増加に対しゴムの長さの減少率に対するセンサ出力減少量は2次関数的に大きくなった.同じ初期テンションの下では,ゴムの長さの減少率に対するセンサ出力減少量は,ゴム回復初期時に最も大きくなった.本センサの有用性の検証のため,カンキツの苗に本センサと従来型の茎径測長センサを取り付け7日間にわたり測定比較を行った.両者は,線形近似で相関係数0.95の高い相関を得たが,センサ特性実験結果と同様に茎の膨張時と収縮時は挙動の異なるループ曲線を描いた.茎収縮時初期および茎膨張時初期は茎径変化に対して本センサの変化が大きくなった.茎径の減少率に対するセンサ出力の関係がセンサ特性の実験値とよく一致し,本センサの有用性を確認した.
短報
  • 山名 昌男, 安部 智子, 馬場 嵩, 椿原 賢太, 栗山 昭, 大内 幹夫
    2015 年 27 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    ダイコンスプラウトの養液栽培において,成長と品質に及ぼす超音波加振 (40 kHz; 0, 33.4, 78.9, 136.4 kPa) の影響を葉と茎の新鮮重量,ポリフェノール含有量とDPPHラジカル捕捉活性から検討した.その結果,根への超音波の加振による水分吸収の減少により1本当たりの茎と葉いずれの新鮮重量も減少した.しかし,1本当たりの総ポリフェノール含有量およびDPPHラジカル捕捉活性には影響を与えず,その結果,ダイコンスプラウト1 g当りの総ポリフェノール含有量およびDPPHラジカル捕捉活性が増加することがわかった.したがって,生鮮食品として考えると,抗酸化活性物質を高濃度で含むダイコンスプラウトを育成できるので,養液栽培時の根への超音波加振は有効な方法の一つであることが示された.
  • 浜本 浩, 黒崎 秀仁, 岩崎 泰永
    2015 年 27 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/01
    ジャーナル フリー
    深度データを面的に収集できるKinect for Windowsを用いて,作物個体群の受光態勢を評価することを試みた.Kinectで撮影した作物の深度デ-タを表計算ソフトで解析し,作物の占有する区画における葉の写っている面積割合(Ra)を算出した.Raは上方からみた水平受光面の大小を示す.また,これを深度別に分け,作物個体群の最高点から1 cmごとに積算し(Ra’),これがRaの80 %の値になるまでの距離を葉の分布している距離で除した割合(Rp)を算出した.Rpは作物個体群への光の浸透性の強弱を示す.模型による疑似作物個体群やポット栽培のトマト個体群を用いた解析では,総葉面積(受光面積)の大きい場合にRaも大きくなり,個体群の光透過率が低い処理ほどRpが小さくなった.また,パプリカ個体群では,Raが早朝増加,薄暮時減少,Rpが早朝減少,薄暮時増加を繰り返したが,これは薄暮時には早朝と比べて葉が下垂したためと考えられた.
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