植物環境工学
Online ISSN : 1880-3563
Print ISSN : 1880-2028
ISSN-L : 1880-2028
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
連載記事
論文
  • 上脇 優人, 福田 信二
    2024 年 36 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/02
    ジャーナル フリー

    ハツカダイコンの品質は,品種に大きく依存するが,青果物の品質は生産環境とポストハーベスト管理によって決定される.特に,ポストハーベスト管理のためには品質モニタリングが重要である.そこで本研究は,ランダムフォレストを用いて,画像から得られる色情報と形状情報に基づいて,非破壊でハツカダイコンの品質を推定することを目的とした.説明変数である色情報と形状情報は,一定の撮影環境下でハツカダイコンの静止画像を撮影し,画像解析により取得した.実験の結果,色情報と形状情報を用いたモデルの再現性が良好であったことから,色情報および形状情報とハツカダイコンの重量の関係性に基づいて,非破壊でのモニタリングができる可能性が示唆された.本研究で対象としたハツカダイコンは,赤系品種であったため,色情報の中でもR値が重要な変数であった.この色情報は撮影環境に変化のない条件で取得した色情報であるため,屋外や太陽光の影響がある室内環境などで撮影された画像を用いる場合に関する検討が必要である.また,本研究の成果は,特定品種に依存する研究成果ではあるものの,品種ごとにモデルを構築することで内部品質が推定できる可能性がある.今後の課題としてハツカダイコン内部の成分の時間変化の再現性に関する検討が挙げられる.

  • 中嶋 香織, 名田 和義, 平塚 伸
    2024 年 36 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/02
    ジャーナル フリー

    トマト果実の成熟および追熟過程におけるリコペン濃度に及ぼすK高濃度施用の効果を検討するため,培養液のK濃度を通常(4 mM:NK区)よりも6倍(24 mM:HK区)に高めて養液栽培したトマト果実を緑熟期,催色期,桃色期,完熟期でサンプリングし,新鮮重,K濃度,糖度,果実表面の色彩値,色素濃度を測定した.また,桃色期果実について,20 ℃暗黒下で保管して追熟処理を行った.HK区では果実重量は有意に低下したが,糖度は有意に増加し,果実の着色が早まった.果実のクロロフィル濃度はNK区では緑熟期から桃色期にかけて低下したが,HK区では一定の濃度を維持した.果実のリコペン濃度は,NK区では催色期に検出され桃色期にかけて徐々に増加したが,HK区では緑熟期に検出され,その後急激に増加し,完熟期ではNK区の約2倍の値となった.HK処理によるリコペン増加効果は,追熟中にも継続され,追熟果実のリコペン濃度は樹上完熟果実とほぼ同等の値となった.以上より,K高濃度施用がトマト果実のリコペン濃度を成熟過程の早い段階から高め,その効果は追熟中も維持されることが明らかとなった.

feedback
Top