水揚直後の鮮魚4試料, 小売店で入手した鮮魚6試料を0.5°で冷蔵し腐敗させ, 新鮮時の皮膚, および腐敗時の皮膚および筋肉の生菌数を測定し, 菌株を分離した.
新鮮時の皮膚から104株, 腐敗時の皮膚から150株, 筋肉から148株, 計402株を分離し, Shewanらの群別法にしたがって同定したところ, Pseudomonas III/IVが大半を占め, そのほかVibrio, Pseudomonas II, Pseudo-monas I, Moraxellaが主要なものであった.
またPseudomonas III/IV群には好塩性 (Pseudo-monas III/IV-H) と非好塩性 (Pseudomonas III/IV-NH) の明確な2群の存在することをみとめた.
Pseudomonas III/IV-HとMoraxellaの大部分は海水塩分要求性があり, Pseudomonas I, II, III/IV-NHは完全に非好塩性であり, Vibrioの多くはわずかながら塩分要求性をもっていた.
新鮮時の皮膚ではPseudomonas III/IV-H, Vibrio, Pseudomonas III/IV-NHが多く, Moraxellaがこれについだ. 腐敗時では皮膚, 筋肉ともPseudomonasIII/IV-Hがもっとも多く, Pseudomonas III/IV-NHとVibrioがこれについでおり, この3群が腐敗魚のミクロフローラの中で主要なものと考えられる. また腐敗時にはPseudomonas IIおよびIが少し増加しており, Moraxellaは減少した.
ブリ肉に各菌群の純培養菌を接種し, 5°に放置し, 腐敗臭の産生を官能的に検査したところ, 典型的腐敗臭を産生する菌株はPseudomonas III/IV-NHにもっとも多く, Pseudomonas III/IV-HおよびVibrioがこれにつぎ, Pseudomonas I, IIおよびMoraxellaの3群にはみられなかった.
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