市販豚肉100例を供試し, 薬剤耐性大腸菌163株を分離した. 分離菌の薬剤感受性, 耐性型, およびその耐性を伝達するR因子の分布について検索し, 次の結果を得た.
1. 豚肉からの耐性大腸菌の分離頻度は, 夏季の調査では, 検体70例中57例 (81%) であった. しかし, 冬季では分離されなかった.
2. 検体70例のうち耐性菌保有検体は TC 55例 (78.6%), SM 54例 (77.1%), SA 49例 (70.0%), KM 39例 (55.7%), APC 10例 (14.3%), CM 9例 (12.9%) であった.
3. 分離菌の大部分は多剤耐性で, 単剤耐性菌はわずかに約7%であった. その主な耐性型はTC, SM, SA 20%, TC, SM, SA, KM 18%, TC, SM 12%で, その他の耐性型はそれぞれ10%以下であった.
4. R因子を保有するものは, 分離菌163株中69株 (42%) であった.
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