(1) ぶどう酒中のソルビン酸の定量法としてはTBA反応による比色定量法が国際法として指定されている. しかしながら日本の国税庁およびA. O. A. C. は, これとやや操作法の異なるTBA法を採用している. そこで著者らは国際法として示されたフランス法および後2者の方法について比較検討を行った. その結果, エタノールの除去操作は必要不可欠であり, 除去操作はフランス法が優れていることを明らかにした. 水蒸気蒸留条件は国税庁法が適しており, 留液の採取量を150mlから350mlに増加することにより, この操作段階での回収率は98%に高まった. これらの知見を基にして改良TBA法を作製した. 本法によるソルビン酸 (0.2g/kg) の添加回収率は98~100%であった.
(2) 亜硫酸塩の共存はTBA反応による呈色を低下させることを認めた. 亜硝酸塩の共存は著しくTBA発色を阻害するが, ぶどう酒には亜硝酸はほとんど含まれないのでこの影響は免れるものと思われる.
(3) 輸入ぶどう酒10検体 (亜硫酸をほとんど含まないもの) を用いて改良TBA法とGC法による比較実験を行った結果, 測定値はよく一致することを認めた.
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