ポリ塩化ジベンゾフラン (PCDF) は化学的に安定で, 脂溶性であるため, 環境中に放出されたものは, 食物連鎖を通じて, 人体中に蓄積する可能性がある. PCDF分析用試料として, 正常人の大網, 肝臓, 乳房を用いた. PCDFの確認と定量は GC-MS fragmentgraphy により行った. 検出感度5pptにおいて, 大網5検体中3検体, 肝臓3検体中1検体および乳房から, pentachlorodibenzofuran を検出した. その濃度は nd から45.4pptである. しかし, tetrachlorodibenzofuran および hexachlorodibenzofuran をま検出できなかった.
一方, 油症原因油7検体のPCBとPCDFを測定した. PCB濃度は0.9~1,029ppm, PCDF濃度は0.021~5.4ppmであり, PCDF/PCB 濃度比は, KC-400に比べて著明に高かった. PCDFの強い毒性から考慮して, PCDFはPCBとともに油症の発症原因物質であると思われる.
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