食品衛生学雑誌
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21 巻, 1 号
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  • 福田 敏子, 斎藤 眞, 神保 芳郎, 井上 裕正
    1980 年 21 巻 1 号 p. 1-4_1
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    市販冷凍食品77検体についてEC培地により E. coli 数を測定した. E. coli は11検体から検出され, 測定値は30~930/100gであった. ガス産生を示したEC発酵管から分離した48株のうち26株が E. coli I, 3株がE. coli IIで残りは K. aerogenes I, C. freundii Iなどであった. これらの分離菌株をEC発酵管に接種し, 44.5°で培養試験を行ったところ, K. aerogenes Iの4株などはガスを産生しなかった. しかし, 冷凍魚フライの検体を1%量添加した場合にはガスを産生した. また, これらのうち2株はEC発酵管にブドウ糖またはショ糖などを添加した場合にもガスを産生した. 冷凍食品のECテストにおいて誤りの陽性管が出現する原因の一つは, 試料食品の成分として混入する乳糖以外の炭水化物の影響が考えられる.
  • E. coli MPN と病原大腸菌汚染との関連性
    小川 博美, 得能 弘志, 佐々木 実己子, 岸本 敬之
    1980 年 21 巻 1 号 p. 5-12_1
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    カキ生育環境における病原大腸菌 (EEC) の分布と原因不明カキ食中毒との関連性について調査した. EECの分離率は, 生カキ14.0%, 海水14.4%, 河川水15.3%, 海底土3.7%であった. 分離株の血清型は, O128:K67 (25.0%), O125:K70 (9.5%), O127:K63 (8.7%), O44:K74 (7.1%) を主体に20血清型84株であった. 汚染 E. coli 菌量とEEC分離率との関連性については, カキにおいて E. coli MPN 230以上の試料は, 230以下に比べ高い値を示し (p=0.05), 海水においても E. coli MPN 18以上の試料は, 18以下に比べ高い値を示した (p=0.01). これらの結果から, カキ生育環境におけるEECの分布は, 幅広く認められ原因不明カキ食中毒とEECの関連性が推察された.
  • 安達 修一, 川井 英雄, 細貝 祐太郎
    1980 年 21 巻 1 号 p. 13-17_1
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    褐藻類はヒ素含有量が高く, そのヒ素の大部分は水溶性の形態で存在するので, 数接類の褐藻類について水抽出液を調製し, それらのゲルろ過クロマトグラフィーを行いヒ素溶出パターンをAs2O3, As2O5, フェニルアルソン酸と比較した. その結果, 各海藻のヒ素溶出位置は, As2O3, As2O5, フェニルアルソン酸よりも速く, それら水抽出液に含まれるヒ素化合物の分子量は200以上であると考えられた. 一方, マコンブとワカメのヒ素溶出位置は一致したが, ヒジキは異なり, 同時に行ったアワビ水抽出液, ヒジキ摂取後尿と一致した また, ヒ素溶出位置での260nmの吸収はみられず, ヒジキについて行ったニンヒドリン発色ではヒ素溶出位置で若干の発色がみられた.
  • 剱持 堅志, 松永 和義, 石田 立夫
    1980 年 21 巻 1 号 p. 18-31_1
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    魚肉, 底質, 水質中の9種類の有機リン酸トリエステル類 {トリ-n-ブチルホスフェート, トリエチルホスフェート, トリ-n-アミルホスフェート, トリス (2,3-ジクロロプロピル) ホスフェート, トリフェニルホスフェート, トリス (2-ブトキシエチル) ホスフェート, トリクレジルホスフェート, トリス (2,3-ジブロムプロピル) ホスフェート, トリス (4-tertブチルフェニル) ホスフェート} の分析法を確立した. 精製法としてヘキサンアセトニトリル分配, 活性炭カラムクロマトグラフィー, 硫酸抽出, アルカリ洗浄およびフロリジルミニカラムクロマトグラフィーを採用し, GC (FPD) およびGC-MSにより測定した.
  • 飲食物用器具などに使用するゴム製品の衛生化学的研究 (第5報)
    馬場 二夫, 斉藤 穣, 福井 弥生, 谷口 繁, 水谷 泰久
    1980 年 21 巻 1 号 p. 32-36_1
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    食品関係に使用されているゴム製品から溶出するジメチルアミン (DMA) の実態を調べた. 各種ゴム製品25試料中乳首などを除く15試料からDMAが検出され, その溶出量は製品当り水浸出で3~1280mg/kg, 1N塩酸浸出で17~2830mg/kgであった. またDMAが検出された試料から, 化学構造式中にジメチルアミノ基をもつチウラム系あるいはジチナカルバメート系の加硫促進剤が検出されたことと, それら加硫促進剤を水または1N塩酸で煮沸するとDMAが生成することが確認されたことから, ゴムから検出されたDMAの由来は加硫促進剤によるものと推察された.
  • 飲食物用器具などに使用するゴム製品の衛生化学的研究 (第6報)
    福井 弥生, 馬場 二夫, 斎藤 穣, 大宮 季宏, 谷口 繁
    1980 年 21 巻 1 号 p. 37-42_1
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    乳首にはイソプレンゴム, 天然ゴムおよびシリコンゴムを材質とするものがある. イソプレンゴム製乳首にジブチルヒドロキシトルエン (BHT) を検出したが, 他の材質のものからは検出されなかった. イソプレンゴム製乳首からミルクへのBHTの溶出量はこん跡~0.34ppmであった. また, くりかえし浸出実験の結果はおおむね減少の傾向にあった. 以上の結果から, 一日最大摂取量を計算すると, それはADIの1/31.6~1/12.5であった. この量は乳児にとって危険な量であるとは思われないが, 食品衛生の立場からこれをさらに減少させるため, エタノールで材質中のBHTを除去し, その効果を検討した.
  • 鈴木 敏正, 栗栖 誠, 星野 庸二, 一戸 正勝, 能勢 憲英, 徳丸 雅一, 渡辺 昭宣
    1980 年 21 巻 1 号 p. 43-49_1
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    埼玉県の麦類のトリコテセン類および Fusarium の汚染調査を行ったところ, Deoxynivalenol (DN), Fusarenon-X (FX), Nivalenol (NI), Diacetoxyscirpenol (DS), Neosolaniol (NS), T-2 toxin (T-2) は検出されなかった. Fusarium の検出率は0~32.7%であり, 高頻度に検出されるものはなかった. 分離した Fusarium 菌種は F. graminearum が73.7%と最も多く, 次いで F. equiseti (8.0%), F. oxysporum (5.6%), F. semitectum (3.3%) など12種810株を同定した. 分離菌株のトリコテセン生産性は F. graminearum の57株中47株に認められ, 主にNI, FXを生産し, 一部にDN生産株も見られた. F. equiseti は25株中16株, F. semitectum は23株中8株にNI, FX, DS, NS の数種の同時生産が認められ, その他 F. acuminatum, F. poae, F. sulphureum など179株中77株 (43.0%) にトリコテセン生産性が認められ, NI系統の生産菌が74.0%を占めた.
  • 武田 由比子, 天野 立爾, 内山 充, 松本 清司, 降矢 強, 戸部 満寿夫, 本田 喜善, 中村 幸男
    1980 年 21 巻 1 号 p. 50-57_1
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    1976年から1978年まで宮崎, 佐賀, 鹿児島において17件の鯉摂取によるとみられる食中毒が発生し患者125名に達した. 中毒症状は嘔吐, 痙れん, 麻痺などで, 疫学調査により共通食品に鯉があげられ, 食べ残りの鯉をイヌに与えたところ, 人の場合と同様に発症した. この有毒鯉からの熱エタノール抽出物をエーテルに転溶しTLCを行った結果Rf値0.5~0.7 (展開溶媒ベンゼン, アセトン, 酢酸, 90+5+5)で硫酸噴霧後加熱により特異な青緑色を呈するスポットに毒性を認めた. この物質をさらに精製しUVλEtOHmax 220, 282nm, MSより分子量575を得たが化学構造などについてはなお検討中である.
  • 貝瀬 利一, 渡辺 重信, 池田 陽男
    1980 年 21 巻 1 号 p. 58-63_1
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    海藻中には比較的ヒ素含有量が多く, 中でも多いヒジキを対象に, 水溶性ヒ素化合物について性状を検討した. ヒ素化合物は, 水, メタノール,エタノールに可溶であり, ゲルろ過, イオン交換クロマトグラフィーより, 糖質, 含リン化合物とは違った挙動を示し, 分子量も500以下であった. また弱酸性陽イオン交換樹脂に吸着されるヒ素化合物は, 255nmおよび279nmに紫外部吸収があり, 高速液体クロマトグラフィーでは279nmの吸収と,ヒ素化合物の溶出パターンが一致した.
  • 中里 光男, 冠 政光, 有賀 孝成, 藤沼 賢司, 直井 家壽太
    1980 年 21 巻 1 号 p. 64-69_1
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    食用油脂中の tert-butylhydroquinone (TBHQ), BHAおよびBHTの同時分析法について検討した. 油脂をn-ペンタンに溶解し, アセトニトリルを用いて酸化防止剤を抽出した. 抽出液を合わせ, 減圧下で溶媒を留去した後, ジクロルメタンで一定量とし, 試験溶液とした. 定性ではシリカゲルを用いた薄層クロマトグラフィーを行い, 各々を分離した後, 3種類の発色試薬を噴霧し, Rf値および色調により同定した. 定量においてはガスクロマトグラフィーについて検討し, TBHQ, BHA, BHTとの分別定量を可能にした. 本法に従って種々の植物油, 動物脂, バターおよびマーガリンを用いて添加回収実験を行ったところ, 87~99%の回収率を示し, 良好な結果が得られた.
  • 河村 葉子, 武田 明治, 内山 充, 堺 敬一, 石川 英樹
    1980 年 21 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 1980/02/20
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
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