食品衛生学雑誌
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28 巻, 6 号
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  • 外海 泰秀, 中村 優美子, 辻 澄子, 伊藤 誉志男
    1987 年 28 巻 6 号 p. 427-435_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    即席めん粉末スープ中のポリソルベートの検出・定量法を確立するために, 定性法としてのTLC条件及び抽出液の精製法としてのシリカゲルカラム条件を求めた. また比色法として従来のチオシアン酸コバルト法 (測定波長620nm) と共に, 新たにドラーゲンドルフ法 (測定波長500nm) を検討し, 両比色法によるダブルチェック方式を設定した. 本法によるポリソルベート200ppmの添加回収率は94.5~97.0%であり, 国産及び輸入めん添付の粉末スープ中のポリソルベート含量を測定した結果, 後者では100~345ppm検出されるものがみられた. 本法によるポリソルベートの検出限界はチオシアン酸コバルト法及びドラーゲンドルフ法でそれぞれ25及び10ppmであった.
  • 池上 幸江, 土橋 文江, 大野 光宣, 西出 英一
    1987 年 28 巻 6 号 p. 436-444_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    Sprague Dawley 系雄性ラットを用い, クロロベンゼン系化合物の生体に対する影響を化学構造と関連させながら検討した. 肝臓重量の増加, 肝臓中及び血清中の脂質 (総脂質, トリグリセリド, リン脂質, コレステロール) の増加, 肝臓のチトクロームP-450, チトクロームcリダクターゼの増加, 体内ビタミンA含量の低下は, 塩素数4以上のクロロベンゼンにおいて有意な影響がみられ, 特にペンタクロロベンゼンの影響が強くあらわれた. また, ペンタクロロベンゼンでは, 肝臓の過酸化脂質の増加もみられた. アニリン, フェノール, ニトロベンゼン, トルエンのクロル誘導体については, 特にクロル化によってそれらの影響が増強されることはなかった.
  • 辻 澄子, 石田 浩平, 中村 優美子, 外海 泰秀, 江川 宏, 伊藤 誉志男
    1987 年 28 巻 6 号 p. 445-452_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    アスコルビン酸含有清涼飲料は酸性を呈するため, 酸素電極法により過酸化水素 (H2O2) を測定する際に, リン酸緩衝液 (PB) でカタラービの至適pHに調整する必要がある. 11種の市販アスコルビン酸含有清涼飲料について検討し, H2O2含量を測定した. 酸素電極装置の試料セル内にPBを加え, 溶存酸素を窒素ガスで追い出した後, 試料を加え, カタラーゼを加えて, 生成する酸素を測定してH2O2を算出した場合は, いずれの試料からもH2O2を検出しなかった. 一方, 試料をあらかじめPBで混和した溶液を試料セルに加え, 溶存酸素を窒素ガスで追い出した後, カタラーゼを加えて測定した場合は, H2O2として0.2~4.7μg/mlが検出された. その原因としては試料中のアスコルビン酸がカタラーゼを加えるまでの間に, PB中の溶存酸素により酸化されてH2O2を発生したことが明らかになった.
  • 内山 貞夫, 斎藤 行生
    1987 年 28 巻 6 号 p. 453-460_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    発ガン性マイコトキシンといわれているオクラトキシンA (Oct. A)の毒性に関する基礎情報を得るため, in vitro の動物組織や血清タンパク質への結合能が検討された. 電気泳動法による検討の結果, ラット血清アルブミンへの親和性は高いが, 肝, 腎の可溶性組織タンパク質へは低かった. ヒト血清アルブミン (HSA) はα, β, γ-グロブリンよりも極めて高い親和性を示し, その結合パラメータはn=2.15±0.05, K=6.01±0.09(×105/M) であった. 一方Oct. AはHSA共存下で増けい光し, その作用はpH依存性を示した. この増けい光はOct. Aのカルボキシル基に由来する主たる結合とは関連性がなく, むしろイソクマリン環との弱い相互作用に起因するものと推定された.
  • 須田 郁夫, 渡辺 忠雄, 堤 将和
    1987 年 28 巻 6 号 p. 461-465_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    コール酸塩の抗菌作用に対する E. coli JE 1011 とそのNS-変異株を用い, 外膜の保護効果について検討した. これらの菌株はコール酸耐性株とコール酸感受性株に区分された. 感受性株はコール酸塩の添加により, その耐塩性は著しく低下した. また感受性株のSDH活性はコール酸塩により阻害されたが, 耐性株のSDH活性は逆に促進された. 耐性株は E. coli の外膜主要タンパク質であるb-, c-, d-タンパク質を含んでいたが, 感受性株はこれらのタンパク質の1つ以上を欠損していた. 従って, これらのタンパク質はコール酸塩の抗菌作用に対し, 保護的役割を持つと思われる.
  • 不飽和トリグリセリドの通気酸化防止に関する研究 (第2報)
    勝木 康隆, 松本 茂, 露木 英男
    1987 年 28 巻 6 号 p. 466-472_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    精製したトリオレイン (TO) とトリリノレイン (TL) について, 前報と同様の装置を用い, 75°で酸素を導入して酸化を行った. 得られた試料について, 低沸点の酸化生成物, 特に酸敗臭の原因とみられるアルデヒド類に注目して, それぞれの脂肪酸メチルエステルの酸化物と比較しながら, ガスクロマトグラフィー質量分析計併用による同定を行った. その結果, TOより炭化水素2種, アルコール2種, 飽和アルデヒド4種, 不飽和アルデヒド2種を, TLより炭化水素1種, 飽和アルデヒド2種, 不飽和アルデヒド3種を確認した. TO, TL及びそれらのメチルエステルからの生成物について, ガスクロマトグラムより相対面積比を求めた. また, 酸化生成物の前駆体であるモノヒドロペルオキシドとその切断部位の検討を行った. さらにTO及びTLの酸化において認められる臭気についても考察を行った.
  • 角田 光淳, 井上 典子, 青山 光雄, 長谷部 昭久
    1987 年 28 巻 6 号 p. 473-479_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    ポリアミドの, 合成色素に対する染着, 溶離性の良さに着目し, 簡易な迅速分析法を検討した. 食品からの色素溶出液に, 少量のポリアミドを加えて, 酸性下で, 色素を染着させた. 染着ポリアミドを水洗し, 少量の濃アンモニア水-エタノール (4:6) 混液を加え静置しその上澄液をPC, TLCに供した. 本法は毛糸染色法における色素溶出液からのアルコールの揮散, 色素の染着, 溶離時の加温, クロマトグラフィー供試液の濃縮などが不要であった. また, クロマトグラム上のテーリング, Rf値の変動も小さく, 毛糸染色法に比べて精度が高かった. 本法を市販着色食品約506検体に適用したところ, 食品の種類を選ぶことなく, 日常検査に十分対応できるものであった.
  • 水落 慎吾, 吉田 啓子, 荻原 博和, 春田 三佐夫
    1987 年 28 巻 6 号 p. 480-482_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    簡易な生菌数測定法としてTanらが提案したプレートMPN法による, 発酵乳・乳酸菌飲料中の乳酸菌数の測定を試み, 平板培養法と比較した. その結果, 純培養乳酸菌を対象とした場合, プレートMPN法と平板培養法の間には相関係数0.983と高い相関がみられた. さらに, 市販発酵乳・乳酸菌飲料を対象とてした場合でも相関係数0.929と高い相関がみられた.
  • 吉田 啓子, 水落 慎吾, 春田 三佐夫, 清水 苗一, 森地 敏樹
    1987 年 28 巻 6 号 p. 483-486_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    原料乳の乳質評価のための細菌数測定におけるペトリフィルムSMの実用性について検討した. 試料乳60検体において, ペトリフィルム法による測定値とブリード法による測定値間の相関係数は0.916, 回帰式はY=-0.11+1.00Xであった. また, ペトリフィルム法による測定値と平板法による測定値間の相関係数は0.972, 回帰式はY=0.60+0.92Xであり, 方法間に良好な一致が認められた. なお, ペトリフィルム法及び平板法共に48時間培養で安定した測定値が得られた. ペトリフィルム法は, 他の2法に比べ測定における個人差の少ないことが認められた.
  • 中屋 謙一, 杉谷 哲, 河合 信
    1987 年 28 巻 6 号 p. 487-491_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    寄生虫駆除を目的とし飼料添加物として用いられるデストマイシンA (DM), ハイグロマイシンB (HM) の豚肉中での残留検査のため高速液体クロマトグラフィー (HPLC) による定量法を検討した. 試料からDM, HMを10%トリクロロ酢酸抽出し, CG-50, 次いで Dowex 1-X8 カラムで精製, o-フタルアルデヒド試薬で蛍光誘導体としHPLCで定量した. カラムは TSK gel ODS 120T (4.0×250mm), 移動相はメタノール-水-アセトニトリル (65:30:5) で蛍光検出器を用いた. 試料にDM 0.25, 0.5μg/g, HM 0.5, 1.0unit/g添加したときの平均回収率はそれぞれ73.8, 82.5%, 77.4, 81.6%であり, 定量限界はDM 0.1μg/g, HM 0.3unit/gであった.
  • 小林 加代子, 豊田 正武, 斎藤 行生
    1987 年 28 巻 6 号 p. 492-497_1
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    アルコール飲料中のカルバミン酸エチル (EC) の簡易分析法を開発した. 試料をエキストレルート20に負荷し, ジクロロメタンで溶出させ, 更にセップパックフロリジルを通して精製後, N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと反応させてアルキル化し, エキストレルートミニカラムで精製し, GC-FIDで測定した. 検出限界は30ppbで, 清酒, ビール, 酎ハイに対し, 300ppbを添加したときの回収率は70.9~86.3%であった. 9種の市販アルコール飲料について本法を用いて調査したところ, ECは検出限界以下又は痕跡量であった. 本法における検出限界は, 以前に著者らの報告した分析法の10ppbと比較してやや高いが, 分析時間は前法で1日以上を要したのに対し5~6時間と短縮することができた.
  • 石崎 睦雄, 上野 清一
    1987 年 28 巻 6 号 p. 498-501
    発行日: 1987/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
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