ブドウの貯蔵条件の設定を目的として幾つかの要因を対象に分析を行なった結果, 次のような知見を得た.
1) 温度は15°, 10°, 4°と湿度は100, 94, 87, 81, 76%の各区分を設けて実験を行なった結果, 一部にカビの発生を認めたが, この状態は当然のことながら貯蔵温度が高いほどその発生も早く, 15°では15日, 10°では17日, 4°では75日であった. これによって腐敗現象が顕著に現われはじめたのは, 15°で20日, 10°では40~45日, 4°では極く一部の区分において125日頃よりその現象を認めた程度であった.
湿度との関連はほとんど認められないが, これはいずれの菌種も発育に必要な関係湿度があったからと思われる.
2) 関係湿度は高いほど長期保存に耐えるが94%以上のものは果粒の離落現象を認めた. これに反し, 81%以下では離落を認めないが果粒の萎縮を認めた. この現象よりブドウを貯蔵する関係湿度は87%が最もよいと思われる.
3) 温度および関係湿度の点より, 総合判断すれば4°で87%が外観的観察より最もよい結果を得, 120日程度貯蔵可能であることを認めた.
4) 貯蔵中における果粒の硬度について検討を行なった結果, 当初は果粒の重量と硬度との間に顕著な相関々係を認めたが, 日数の経過に伴い総体的に硬度の低下をきたし, 硬度と重量との関係も薄れていく傾向を認めた.
5) 供試々料のブドウの房を各部分, すなわち, 果粒 (果皮・果肉・種子) と果梗に分けて, 水分含有量の変化する状態を調べた結果, 果肉・果梗とも関係湿度が低く, 温度が高いほど水分の低下を顕著に示した. この状態は肉眼的にも萎縮の現象として顕著に観察されている.
他の部分では各対照検体間での測定値に差を認めなかった.
6) 糖濃度の消長について検討を行なった結果では関係湿度が94~100%および87%のものは糖濃度値は減少し, 反対に81, 76%のごとく, 関係湿度が低下するものはその数値は増加する. しかし, その検体の水分含有量の変遷との相互関係から見れば水分が減少するためで, その数値は増加するが, 含有糖濃度 (全糖) は各検体ともに日数の経過するにつれて減少する結果となった.
7) 総酸量についての検討を行なった結果, 前項, 糖濃度の消長と同じような傾向のあることを知った. すなわち, 貯蔵日数が経過するにつれて各関係湿度区ともに総酸量は減少する傾向が認められた.
8) 貯蔵過程における果粒のpHの変化を調べた結果, 貯蔵開始時は3.2を示したものが温度・湿度にほとんど関係なく, ややアルカリ側 (4.0) に傾くことを認めた.
9) 貯蔵中において腐敗を誘引する原因としてカビの発生を認めたのでこれを分離し, さらに再接種を行なって病原菌であることの確認を行なった. それらの菌種名は次のごとくである.
a)
Glomerella cingulato b)
Aspergillus nigerc)
Aspergillus candidus d)
Aspergillus Oryzaee)
Aspergillus wentii f)
Penicillium citereovirideg)
Penicillium notatum h)
Penicillium lilacinumi)
Alternaria sp, j)
Curvularia sp.
k)
Trichoderma viride
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