食品衛生学雑誌
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32 巻, 4 号
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  • 吉田 精作, 小中 晴雄, 西宗 高弘
    1991 年 32 巻 4 号 p. 267-271_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    1週間分のモデル献立を作成しPCB, 残留農薬1日摂取量を手製ミニカラムを用いてクリーンアップし, キャピラリーカラムGCにより実測した. 検出された項目の検出頻度及び1日摂取量平均値は総HCH (7/7, 0.95μg), 総DDT (7/7, 2.09μg), ディルドリン (1/7, 0.33μg), PCB (7/7, 0.47μg), ダイアジノン (5/7, 0.82μg), フェニトロチオン (4/7, 1.67μg), マラチオン (4/7, 1.59μg) であった. 摂取量レベルは低いものの汚染が継続していることが確認された.
  • 大下 市子, 金森 久幸, 水田 満里, 坂本 征則
    1991 年 32 巻 4 号 p. 272-277_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    しょう油中からβ-カルボリン誘導体を分離し, MS, 1H-NMR及び13C-NMRなどよりその構造は Jeffreys らが Rye-grass (Lolium perenne L.) から分離した物質1-(5-hydroxymethyl 2-furyl)-9H-pyrido[3,4-b]indole (1-hydroxymethyl-furyl-β-carboline) であることが分かった. その変異原活性は, TA100株, S9非共存下で亜硝酸未処理時の活性は2His+revertants/μgで, 亜硝酸処理時の活性は15His+ revertants/μgであった. また, この化合物は本醸造しょう油では1mlあたり2.0μg, 新式醸造では0.79μg含まれていた. いずれの製造方法のしょう油においてもこの化合物の含有量は加熱 (120°, 20分) により約2倍に増加した.
  • パラオキシ安息香酸エステル類の抗菌作用機作 (第6報)
    竜口 和恵, 鍬本 しのぶ, 渡辺 忠雄
    1991 年 32 巻 4 号 p. 278-283_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    45~50°の緩和な加熱による大腸菌の損傷に対するパラオキシ安息香酸ブチル (パラベン) の影響を膜脂質に着目して検討した. 単なる加熱処理では, 細菌の環境適応の一種であるカルジオリピン (CL) の増加と, これに対応したホスファチジルグリセロールの減少が認められたが, 最も一般的な温度適応現象である脂肪酸組成の変化は認められなかった. パラベン存在下の加熱処理では, CLの増加も認められず, 逆に膜の崩壊を意味する遊離脂肪酸 (FFA) やリゾリン脂質 (LP) が増加した. FFAやLPはパラベン存在下の加熱時にのみ直線的に増加し, 菌体内のホスホリパーゼAが活性化することが示唆された. 電顕観察でも, パラベンによる加熱損傷の拡大と膜崩壊の進行が認められた.
  • 池上 幸江, 土橋 文江, 西出 英一
    1991 年 32 巻 4 号 p. 284-290_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    7種の有機塩素系農薬 (TPN, クロルベンジレート, p,p′-DDT, β-HCH, ヘプタクロル, ディルドリン, エンドリン) を含む飼料を Sprague Dawley 系雄性ラット (4週齢) に2週間投与した. p,p′-DDTとヘプタクロルでは肝臓のトリグリセリドの増加とともに, 過酸化脂質の増加がみられ, 両者の間に高い相関があった. 過酸化脂質の生成にはチトクロムCリダクターゼの関与も示唆されたが, グルタチオンペルオキシダーゼとビタミンEの関連はみられなかった. 同時に数種の農薬では血清と肝臓のコレステロールとリン脂質の増加が観察されたが, 血清のトリグリセリドはむしろ低下した.
  • 神谷 智恵子, 小川 美江子, 大川 博徳
    1991 年 32 巻 4 号 p. 291-300_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    シュウ酸カルシウムによる尿路結石症の発病予防の観点から, 愛知県及び京都府の茶道教授の飲茶量をアンケートにより調査すると共に, 茶のシュウ酸及びカルシウム含量を分析し, 両者のバランスを検討した. その結果, 1杯の飲茶によるシュウ酸摂取量に対するカルシウムの不足量はそれぞれ平均, 抹茶10.23mg, 紅茶5.26mg, 玉露2.21mg, 煎茶1.87mg, 番茶0.81mgであり, 飲茶によるこのカルシウムの不足量は計算上コップ1杯の牛乳に相当する.
  • 佐藤 恭子, 合田 幸広, 義平 邦利, 野口 博司
    1991 年 32 巻 4 号 p. 301-307_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    Hibiscus sabdariffa のガク (calyces) 抽出エキス (天然ハイビスカス色素) 中の主色素成分 (1) を単離し, その構造を, おもに H-H long range COSY 法やNOESY法といった核磁気共鳴 (NMR) の手法により, アントシアンである delphinidin-sambubioside (3-[O-β-D-xylopyranosyl-(1→2)-β-D-glucopyranoside]) と決定した. さらに市販ハイビスカス色素中の主色素成分も, 単離した標品とフォトダイオードアレイ検出の高速液体クロマトグラフィー (HPLC) の結果を比較することで, 1であることを明らかにした. また天然及び市販ハイビスカス色素中の1について, HPLCを用いて定量したところ, それぞれ1.1及び0.3%含まれていた.
  • 日高 利夫, 桐ヶ谷 忠司, 上條 昌彌, 木川 寛, 河村 太郎
    1991 年 32 巻 4 号 p. 308-314_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    次亜塩素酸ナトリウム処理野菜における低沸点有機塩素化合物 (VCOC) の生成機構を明らかにするために必要な, 残留塩素及びVCOCの同時定量法を検討した. すなわち, あらかじめリン酸塩緩衡液 (pH 7.0) 及びシアン化カリウム溶液を入れたヘッドスペース用フラスコに試料を加えた後栓をして, 30分間放置する. 発生したガスをECD-GCに注入して残留塩素及びVCOCを定量した. 次亜塩素酸ナトリウム液 (200ppm) にもやしを浸漬したとき生成した物質は, GC/MSによりクロロホルムと同定され, 残留塩素が12.1μg/g, クロロホルムが114ng/g検出された. 本法を用いて, 市販の野菜66検体について分析した結果, もやし等4検体より残留塩素が0.14~3.7μg/g, クロロホルムが15~241ng/g検出された.
  • 広末 トシ子, 細貝 祐太郎
    1991 年 32 巻 4 号 p. 315-322_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    体重約40gの Wistar 系雌ラットを2群に分け正常食または鉄欠乏食で8週間飼育し, 後半の4週間は両群の半数に飲料水として10% (v/v) エタノール溶液を投与した. その結果, 鉄欠乏食は, 肝のすべての細胞内小器管中の鉄含有量を減少させ, 逆にCu含有量を増加させた. 更に, 鉄欠乏食はミクロソームとサイトゾールのZn含有量を減少させた. エタノールの投与は正常動物では, 核のCu, Zn及びSe, 核とミトコンドリアのMn及び核とサイトゾールのMg含有量を減少させ, 貧血動物においては核のFeとMnを減少させ, 逆にミクロソームとサイトゾールのMn及びミクロソームのMgとPを増加させた. 以上の結果から, 貧血動物へのエタノールの投与は, 核画分のFe含有量の減少やサイトゾール画分のMn含有量の増加を一層増強することが明らかとなった.
  • 米中のグルコン酸の保存による含量変化
    合田 幸広, 渡辺 啓恵, 鈴木 淳子, 酒井 綾子, 神蔵 美枝子, 義平 邦利
    1991 年 32 巻 4 号 p. 323-327_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    非加工食品中の天然由来物質の摂取量調査の際観察された, 第1群食品 (穀類他) でのグルコン酸 (GA) の季節による著しい含量変化の原因を解明する目的で, 1群食品の80%を占める米を用い, 収穫年度, 保存期間などによるGA含量の違いを検討した. その結果, 産年度別, 購入月別では, 夏を越す回数が多いほど高い傾向があった. また恒温槽を用いた保存実験では, 10°では3週間後でもほとんど変化が見られなかったものの, 20°以上の条件では, 顕著にGA含量が上昇した. よって夏期, 米の20°以上での長期保存の有無が上記のGA含量変化の主因である可能性が高いことが判明した.
  • 外海 泰秀, 長谷川 ゆかり, 中村 優美子, 柴田 正, 辻 澄子, 伊藤 誉志男, 加藤 誠哉
    1991 年 32 巻 4 号 p. 328-335_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    農作物中のジスルホトン (エチルチオメトン) とその酸化的代謝物 (ジスルホトンスルホン, ジメトンチオールスルホン) 及びトリクロルホンのFPD-GCによる簡易, 迅速な分析法を作成し, 51農産物について実態調査を行った. 試料にジスルホトン及びトリクロルホン0.1ppmを添加したときの回収率は, 60.4-93.5%であった. これら5農薬の本法による検出限界は, いずれも0.001ppmであった.
  • 食品中各種元素の動態に関する研究 (第6報)
    池辺 克彦, 西宗 高弘, 田中 凉一
    1991 年 32 巻 4 号 p. 336-350_1
    発行日: 1991/08/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    1988~1989年に大阪府内のスーパーマーケット及び一般小売店から購入した魚介類37種, 151検体中の17金属元素の分布実態を明らかにした. Feはイワシ, サンマ, アサリ, シジミ及びトリガイに高く, その中でもシジミは79ppmとイワシ (19ppm) やサンマ (18ppm) に比べ約4倍高かった. Znはカニに多く含まれ (43ppm), またシジミやタコにも約20ppm含有されていた. なお, 魚類は含有量は少なく3~10ppmの範囲であった. Caはカニ, シジミ, アサリに高く各々1,700ppm, 1,240ppm, 940ppmを示した. 一方, ハマチやブリの含有量は低く100ppm以下であった.
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